山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

実売2万円切り、8.4型Androidタブレット「BPad T1」の実力と唯一の弱点

「BPad T1」。実売価格は23,759円だが、Amazonではクーポンなどでたびたび2万円を切る価格で販売されている

 BNCFの「BPad T1」は、8.4型のAndroidタブレットだ。実売2万円前後という価格設定ながら解像度はフルHDをサポート、さらにUnisoc T7300による高いパフォーマンスを誇るなど、ミドルクラスのタブレットとしてコストパフォーマンスの高い1台だ。

 口コミで評判が広がり入荷しては品切れを繰り返している本製品について、今回は筆者が購入した実機をもとに、電子書籍ユースを中心とした使い勝手を、従来モデルに相当する「BPad Mini」と比較しつつチェックする。

Unisoc T7300を採用しつつ実売価格は2万円前後を維持

 まずは従来モデルとの比較から。

【表】BPad T1とBPad Miniのスペック比較
BPad T1BPad Mini
発売2026年1月2024年(時期不明)
サイズ(幅×奥行き×高さ、最厚部)201.89×125.18×7.6mm200.8×124.2×7.6mm
重量316g317g(筆者実測)
OSAndroid 16Android 14
CPUUnisoc T7300
A78(2.2GHz)×2+A55(2.0GHz)×6
Qualcomm Snapdragon 685
A73(2.8GHz)×4+A53(1.9GHz)×4
メモリ24GB(8GB+16GB)20GB(8GB+12GB)
ストレージ128GB128GB
画面サイズ/解像度8.4型/1,920×1,200ドット(270ppi)8.4型/1,920×1,200ドット(270ppi)
通信方式Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)
生体認証顔認証顔認証
バッテリ持続時間(メーカー公称値)5,500mAh6,050mAh
コネクタUSB Type-CUSB Type-C
カードスロット◯(最大1TB)◯(最大1TB)
イヤフォンジャック--
価格(発売時/購入時)2万3,759円2万3,999円
備考SIMフリーSIMフリー

 本製品は昨年紹介したSnapdragon 685搭載の8.4型タブレット「BPad Mini」の系譜に連なる製品で、サイズや重量はほぼ横並びだ。ボタン配置が変更されるなど設計は一新されているため、保護ケースなどのアクセサリは流用できないものの、見た目はそっくりだ。

 本製品の目玉はSoCにUnisoc T7300を採用していることだ。搭載製品がじわじわ増えつつあるこのミドルレンジ向けSoCは、従来このクラスのタブレットで採用例が多かったMediaTekのHelio G99よりも高性能なことから注目度は高い。

 従来モデルが採用していたSnapdragon 685はそのHelio G99よりもさらに性能は控えめなことから、パフォーマンスには大きな差が出ると予想される。ベンチマーク結果は後述する。

本体外観。アスペクト比は16:10。従来モデルと同じく購入時点で保護フィルムが貼られている
もちろん横向きでも利用可能。前面8MPカメラは短辺側(この写真では左側)にある

 メモリ容量は物理8GB+仮想16GBという構成。物理メモリの容量は従来モデルとは同じだが、仮想メモリはより大きなサイズを指定可能になっている。電子書籍ユースでは実質的に出番はないが、用途によっては重宝するだろう。

 ディスプレイに関しては、リフレッシュレートは最大90Hz対応(従来は60Hz対応)、また最大輝度は350cd/平方mから400cd/平方mへとアップするなどスペックの向上が見られる。このほかWidevine L1についても、従来と同じく対応であることをアピールしている。

上面。電源ボタンと音量ボタンが並ぶ。音量ボタンは大小が独立したタイプから細長い一体型へと変更された
底面。カードトレイが配置されている
左側面。USB Type-Cポートとスピーカーが配置されている
右側面。スピーカーが配置されている
背面。BNCFというブランドロゴが目立つ

 スペックの中で気になるのはバッテリで、従来は6,050mAhだったのが本製品は5,500mAhと、1割ほど目減りしている。従来モデルは容量の割にはバッテリの持ちはよかったが、決して十分というわけではなく、容量そのものが削減されたのは気がかりだ。バッテリの消費量が比較的多いといわれるAndroid 16を搭載しているとくればなおさらである。こちらものちほど詳しく見ていく。

背面カメラは1,300万画素。2眼に見えるが一方はフラッシュだ
片手でも余裕で掴めるスリムさが強み
カードスロット。メモリカードは最大1TB対応

 と、気になる点も若干あるが、実売価格は従来と変わらず2万円台前半、さらに定期的に配布されるクーポン利用で1万円台後半で売られることも多いなど、コスパの高さは圧倒的。品薄で入荷即完売を繰り返しているのも納得だ。

 なお、本製品はLTEに対応しているのが売りの1つだが、先日紹介した「Headwolf Titan 1」と同様、技適が確認できるのはWi-Fiのみで、LTEについては取得の有無が確認できなかったため、今回はLTEはオフで利用している。

重量は実測319g。従来モデルとほぼ同じで、このサイズとしては及第点だ

パフォーマンスは劇的向上、懸念点はやはりバッテリ?

 セットアップの手順はAndroid 16の一般的なフローで、特に変わった項目はない。アプリについても従来と変わらず、サードパーティ製アプリがほとんどないシンプルなラインナップだ。ちなみに電子書籍系のアプリはプリインストールされていない。

 従来モデルはAndroid 14、本製品はAndroid 16ということで、ホーム画面以下のデザインや配置に若干違いはあるが、機能面で大きな差はない。設定画面で項目名や並び順が違っているため、両者の設定を揃えようとすると戸惑うという程度だ。

デフォルトのホーム画面。Android 16ベースの、初期状態の時点でウィジェットが配置されたデザイン
プリインストールアプリ一覧。ほぼGoogle標準のアプリのみで、電子書籍アプリは用意されていない
従来モデル(右)との比較。同じ壁紙を設定しているが、本製品の方が寒色が若干強い色合いになる
背面。基本デザインに違いはない。貼り方が雑だった底部シールはかろうじて平行になっているが、これは個体差かもしれない
iPad mini(右)との比較。本製品は8.4型、iPad miniは8.3型だが、アスペクト比の関係で本製品の方が縦長に見える
背面。横幅は本製品の方が明らかにスリムだ
厚みの比較。いずれも左側が本製品、右上は従来モデル、右下はiPad mini。iPad miniにはかなわないが善戦している

 さて前回のモデルは、電子書籍ユースとしては極めてコスパに優れた製品だったが、汎用のタブレットとして見た場合、大きく4つの問題点があった。これらが今回のモデルで改善されているかを見ていこう。

 まず1つは質感だ。従来モデルは剛性は十分にある一方で、エッジ部分が鋭角的で、握っていると手に食い込みやすいという問題があった。本製品は側面に微妙な段差を設けることでなだらかに感じられるようになり、これらが気にならなくなっている。同じ理由でボディも体感的にスリムになったように感じられる(実際はサイズ的にはほぼ同一)のが興味深い。

 また従来は電源ボタン/音量大ボタン/音量小ボタンというサイズが同じ3つのボタンが並ぶ仕様で、ページめくりでうっかり電源ボタンを押して画面が消灯してしまうミスを犯しやすかったが、本製品は音量ボタンは大小がまとまった長いボタンに改められたほか、電源ボタンの表面には細かい凹凸が施され、指先でボタンの違いを判別しやすくなっている。ボタンを取り違えやすかった従来モデルの欠点は完全に解消されている。

側面の加工の比較。側面がほぼ垂直の従来モデル(下)と異なり、本製品(上)はエッジ部に微妙な段差を設けることで、従来よりも薄く感じるよう工夫されている
音量ボタンは大小分かれていた従来モデル(右)と違って一体型へと改められた。また電源ボタンは滑り止めの凹凸があり指先で判別しやすい

 続いてパフォーマンス。従来モデルも実売2万円前後の製品とは思えないほど動きがきびきびしていたが、それでも再起動などでは一定時間待たされるなど、エントリークラスらしさを感じることはしばしばあった。

 本製品は従来モデルに比べてレスポンスが明らかに高速化しており、ほんの数秒操作すれば、新旧どちらの製品なのか明確に分かるほどだ。またベンチマークでも従来モデルの約1.5~2倍程度のスコアを叩き出すなど、まるで別物といっていいレベルで進化している。

「Octane 2.0」でのベンチマーク結果。左が本製品、右が従来モデル。約1.7倍もの差がある
「Wild Life Extreme」でのベンチマーク結果。こちらもやはり2倍以上の差がある
「Geekbench 6」(CPU)でのベンチマーク結果。シングルコアでは1.4倍近い差がある
「Geekbench 6」(GPU)でのベンチマーク結果。約4倍の差がある

 最後はバッテリ。実売2万円前後のタブレットの多くはバッテリの持ちが弱点だが、従来モデルは容量の割にはバッテリの持ちはよく、及第点といっていいレベルだった。今回のモデルはここが大いに改善された……であればよかったのだが、前述のように従来モデルの6,050mAhに対して本製品は5,500mAhと、容量はむしろ減ってしまっている。

 容量を減らして差し支えないほどバッテリ効率が改善されたのかと思いきや、ABEMAアプリで最大輝度/音声ミュートで動画を流しっぱなしにして電源が自動オフになるまでの時間を測定したところ、従来モデルの7時間49分に対して本製品は5時間12分と、大幅に持続時間が短くなっている。外出先で充電なしで終日利用するのはかなり苦しいだろう。

 本製品の売りである高リフレッシュレート(90Hz)がバッテリ消費を早めている可能性を考慮し、設定画面をチェックしてみたが、選択肢は「自動」「90Hz」の2つのみ。開発者モードで見る限り、「自動」の場合もほぼ常時90Hzで動作しており、これを60Hzに抑えようにも、現状ではその方法がない。このあたりが少々ちぐはぐさを感じる。

 またUSB PDでの急速充電も、従来モデルはピーク時19~20W程度は出ていたのが、本製品では15~16Wしか出ない。せめてここが高速化していれば、弱点であるバッテリの持ちを充電の速さでカバーできるとフォローできたはずだが、それも難しい。このバッテリ周りの弱さを許容できるかが、1つのポイントとなるだろう。

リフレッシュレートは初期設定では「オート」となっているが、その場合もほぼ90Hzで動作しており、60Hzで固定して運用する方法がない。バッテリの持ちが悪い一因と考えられる
急速充電によるピーク時出力の比較。従来モデル(下)は20W弱出ていたが、本製品(上)は15W前後へと低下している

高解像度とレスポンスの速さで電子書籍ユースには最適

 では電子書籍ユースについて見ていこう。サンプルには、コミックはうめ著「東京トイボクシーズ 1巻」、テキストは夏目漱石著「坊っちゃん」を使用している。

 解像度は従来モデルと同じ1,920×1,200ドット。8型クラスのタブレットの代表格であるiPad mini(326ppi)ほどではないが、270ppiと高い水準であるため、画面を横向きにして見開き表示にしても、文字が潰れることはない。見開き表示が可能な8型クラスのタブレットを探している人にとっては、良い選択肢といっていいだろう。

 また前述のように本製品はレスポンスが格段に向上しているので、電子書籍のページめくりなど基本的な操作に関しても極めてスムーズ。これはリフレッシュレートが90Hzに向上していることも要因だろう。格安タブレットにありがちなハングアップするような挙動も見られず、極めて優秀だ。

 電子書籍ユースにおける用途としては、今回紹介しているようなテキストやコミックのほか、雑誌コンテンツを単ページずつ読むのにも適するだろう。細かい字が読みづらい場合も、ダブルタップによる拡大/縮小が極めてヌルヌルと動作する。価格からすると考えられない快適さだ。

テキストを表示したところ。単行本と同等サイズで、フォントサイズ変更の自由度も高い
従来モデル(中)との比較。1行の文字数および行数が微妙に異なるのはAndroidのバージョン違いによるものとみられる
iPad mini(右)との比較。余白はiPadOS版に比べると少なめ
ディティールの比較。左が本製品(270ppi)、中央が従来モデル(270ppi)、右がiPad mini(326ppi)。どれも十分なクオリティだ
コミックを表示したところ。アスペクト比の関係で上下に若干の余白ができる
従来モデル(右)との比較。画面の色合いは若干異なるがサイズはまったく同じ
iPad mini(右)との比較。表示サイズは本製品の方がわずかに小さくなる
見開き状態での従来モデル(下)との比較。こちらもサイズはまったく同じ
見開き状態でのiPad mini(下)との比較。こちらも表示サイズは本製品の方がわずかに小さくなる
見開き状態でのコミックのディティールの比較。左が本製品(270ppi)、中央が従来モデル(270ppi)、右がiPad mini(326ppi)。線のシャープさはiPad miniが優秀だが、全体としてはどれも十分なクオリティだ

 一方で実際に使っていて気になったのは、前述のバッテリの減りの速さ、さらに長時間使っているとポート周辺にあたる画面の下部が比較的はっきりと熱を帯びてくることだ。電子書籍を中心に使っていてこれなので、ほかの用途ではさらに発熱が大きくなる可能性がある。背面に直接触れないための保護ケースがあると重宝するかもしれない。

 また電子書籍ユースとは関係ないが、スピーカーの音量における「0(ミュート)」と「1」の間隔が広く、音量を少し絞りたいだけなのにミュートになってしまうといった使い勝手の問題は少なからずある。これは従来モデルにも見られた症状で、最小音量が出せる補助アプリなどを、自分で見つけて調達する必要がある。

仮想メモリはデフォルトで16GBが指定されているが、サイズの変更や無効化も可能

コスパは最強クラス、バッテリを許容できるか次第?

 以上のように、実売2万円前後という価格帯は維持しつつ、従来モデルの欠点を的確に潰しに来ている点は高く評価できるが、その中で唯一手つかずどころか退化しているバッテリはやはり気になるところだ。

 この明確な問題点にメーカーが気付いていないわけはなく、そのことを前提とした使い道、たとえばバッテリが減っても充電が容易な屋内ユースを提案してきているのならば分かるのだが、実際には屋外利用が多くを占めるであろうLTE対応を積極的に推しているので頭が混乱する。

 今回検証したバッテリ駆動時間はあくまでも動画を連続再生した場合の話で、かつ輝度を最大化した状態での結果なので、スタンバイ状態を中心にたまに使うだけなら丸一日は十分持つだろうが、とはいえほかの同等クラスのタブレットと比べて弱点であることに変わりはない。コスパが最強クラスなのは間違いないが、とにもかくにもバッテリの持ちを許容できるかで、評価が大きく変わる製品といえそうだ。

本稿執筆時点で世間を騒がせているマルウェア「Keenadu」を「Anti-virus Dr.Web Light」でチェック。ひとまず問題はなさそうだ