週末カジュアルPCゲーム部

室内のオブジェクトを破壊しまくり!爽快アクションが魅力のSFミステリー「CONTROL」

Epic Gamesストア価格:4,180円/Steam価格:1,992円(7月9日まで)

 今回紹介するのは、TPS視点の超能力アクションアドベンチャー「CONTROL」。6月17日までEpic Gamesストアで無料配信されていたタイトルだが、こちらは通常版のため、拡張パックは別途購入が必要となる。Steamでは7月9日までの期間限定だが、拡張パックを含む「Ultimate Edition」が1,992円でリリースされている。

 2019年12月に日本語字幕版がPS4で発売され、2020年1月にはPC版も日本語字幕対応済み。ストーリーはSFミステリーといったテイストで、ゲーム開始直後から全く話が見えてこない展開が続く。言えることは主人公がジェシーという名前で、ゲームの舞台は「連邦操作局」の建物「オールデスト・ハウス」ということくらい。

 この連邦操作局だが、アメリカ国旗が掲げられた政府組織ということは分かるのだが、何しろ警備員すらいない無人の空間なので、とにかく移動をしてみないと話が進まない。大体「操作」局が何をする組織なのかが名前からしても全く分からない。また、ジェシーはひとり言というよりはプレーヤーに対して話しかけている様子なので、この辺にも何かの要素が隠されているかもしれない。

 また道中の節目では明らかに異空間の「アストラルフィールド」や、色味が褪せた不思議な空間に飛ばされることがあるなど、とにかく謎だらけのフィールドを進めていくことで、ジェシーは弾丸をチャージして無限に発射できる不思議な銃「サービスウェポン」を入手したり、手から衝撃波を発したり、フィールド上のオブジェクトを遠隔から掴んで投げられるテレキネシスのような超能力を獲得して、少しずつ強くなっていき、少しずつ物語の骨子が見えてくる。

 そのため、こうしたSF物が好きな人はフィールドの様子を観察しつつ、ジェシーの紡ぐワードを記憶にとどめながら物語を進め、少しずつ明らかになってくる物語の全容を想像しながら楽しむことができるし、よく分からないけどアクション大好きな人は、少しずつ要素が増えてくるアクションを楽しみながらとにかくジェシーを前へ前へと進めて、様々な超能力アクションを満喫することも可能だ。

 今回はストーリーについてはあまり掘り下げず、本作のアクションゲームとしての、特徴や魅力について語っていこうと思う。また、本作はレイトレーシング表示に対応しているので、その辺りの設定や実際の表示の比較なども行なってみたい。

「CONTROL」の物語の謎はそもそも「操作局」や「アストラルフィールド」とは何かというこの世界の謎と、ジェシー自身の正体を探るための内面に潜む謎、そしてプレーヤーとジェシーとの関係性の謎など、様々な不思議な要素がある
道中で見られるTVや8㎜フィルムなど、カセットテープなど様々な記録媒体を通して謎の断片が確認できる
本作の魅力の1つはとにかくド派手な破壊ビジュアルだ。フィールド内のオブジェクトの多くがド派手に破壊できる本作ではプレイするほどスカッと爽快感が味わえる

 ゲームスタート時にはDX11モードとDX12モードから選択する。DX11モードはリアルレイトレーシングが無効にされたモードで、DX12モードでは有効になる。細部の調整については、タイトル画面のオプションから各種設定が行なえる。ビジュアルについての設定は「表示」タブから変更が行なえる。

ゲーム起動時にDX11モード化DX12モードかの選択肢が出る。DX11モードを選ぶとレイトレーシング設定が操作できなくなる
搭載するGPUがGTX 1660ということもあってか、画面表示設定におけるレイトレーシングのデフォルト設定はオフだった

 モニターの項目としてウィンドウ表示や全画面などの設定のほか、解像度設定は表示解像度とレンダー解像度の2種類が用意され、レンダー解像度を上げることでより高精細のビジュアルが楽しめる反面、GPU負荷がより高くなる。デフォルトの設定は表示解像度、レンダー解像度ともにフルHDだったが、4Kまで上げることも可能だ。

 クオリティーの項目では、実際の3D映像の各種設定が可能で、テクスチャの解像度や遠方オブジェクト、シャドー解像度などきめ細かな調整が行なえる。とにかく最高品質でやりたい場合は、カスタムですべて最上位の項目を選択すればOKだし、細かい設定が面倒な場合はデフォルト、またはプリセットでお好みの設定を選択するのが手っ取り早い。

 そしてもう1つ、レイトレーシングの項目も用意されている。プリセットでオフにすることですべてのレイトレーシング項目をオフにできるほか、環境に応じてプリセットを選択することで簡単に設定もできる。

 今回筆者が使用したのは本連載で使用しているRyzen 5 3400G+GeForce GTX 1660(6GB)の環境だが、まずは解像度表示、レンダー解像度ともに4K設定とし、その他の画質設定を最高に設定、レイトレーシングも最高にしてみたが、フレームレートは3~6fpsと絶望的な数値でゲームもプレイ不可能なレベルとなった。次いでレイトレーシングをオフにして再度起動、これでもフレームレートは8~10fpsとまだまだ足らない。

 画質設定のプリセットを中レベルにセットして、レイトレーシングを有効にしてみたが、フレームレート8~10fpsとやっぱり厳しい。レイトレーシングをオフにすることで、11~15fpsと少し向上。ここからプリセットを低レベルにすることでフレームレートは16~20fpsとまだまだぎこちないながらも、かろうじてゲーム操作が可能なレベルとなった。この状態からレンダー解像度のみをフルHDに設定すると、70~100fpsとようやく普通にゲームプレイ可能なフレームレートが確保できた。しかし、この状態でレイトレーシングを中レベルで有効にすると、一気にフレームレートは30fps前後にまで低下する。

 最終的にはレンダー解像度フルHD、表示解像度4K、クオリティー項目はプリセットの「低」を選択し、レイトレーシングプリセットには選択可能な中で一番低い「中」を選択してプレイを続けた。フレームレートは60fps以上が望ましいところだったが、リアルタイムレイトレーシングをフル活用する本作ではやはりここは有効にしておきたかった。

 本作ではリアルタイムレイトレーシングが多用されており、GeForce RTXシリーズなどの対応GPUを搭載していれば、その負荷はかなり軽減できる。一方でGTXシリーズなど非対応ボードでは、Direct X 12による処理となるため、その負荷はかなり高くなるのだ。

 実際のビジュアルを見ていても、レイトレーシングのオフとオンとでその違いはかなり歴然としており、本作をプレイすることでその重要性が改めて再認識できた。

レイトレーシングオフの状態。この状態でも壁に掛けられた星条旗が床面に映りこんでいる
レイトレーシングオンの状態。オフの状態と比較すると明らかに床面の艶やかさが異なり、リアリティレベルが上がっているのが分かる
レイトレーシングオフの状態で星条旗が画面上に見えない状態にすると、今まで床に映りこんでいたはずの星条旗の映り込みが消えてしまう
レイトレーシングオンの状態では、星条旗を画面外に持っていった場合でも床に星条旗の映り込みが表示されたままとなる

 アクションゲームとしての本作は基本的にはガンアクションが主体となり、それに加えて近接距離から敵に対して手のひらから放つ衝撃波や、フィールド上のオブジェクトを遠隔から掴んで敵に投げつける「投擲」というテレキネシスのような能力などが楽しめる。

 ガンアクションについては、本作ならではのユニークな武器「サービスウェポン」と呼ばれる進化する銃が入手でき、これを継続して使っていく。1度に撃てる弾丸には限りがあるが、弾の補充は不要でその代わり、すべての弾を撃ちきると、再度使えるようになるまでクールタイムが発生する点はユニークだ。敵に銃を構えるとなんとなく敵に近い位置に銃口が向けられるので、これを自身の操作で微調整して敵を狙っていくセミオートエイムの感覚はちょっとクセがあるので、この辺りは慣れていく必要がある。また、物語を進め、フィールド上で回収できる要素を集めることで、威力やエイムの精度を強化していくことができる。

 超能力についても最初は衝撃波のみだが、ストーリーを進めていくことで、新たな能力がアンロックされる。他にも獲得したポイントでスキル強化するような仕掛けも用意されており、自分好みのプレイスタイルで戦えるようになる。

本作のメイン武器は「サービスウェポン」と呼ばれる銃だ。この銃は道中で弾丸などを補充しなくても放っておけば弾数が回復する便利な武器なのだが、戦闘中に弾が切れるとチャージが必要になる点は注意が必要だ
手のひらから発する衝撃波で近接距離の敵を粉砕することも可能だ
フィールド上のオブジェクトを遠隔で掴んで敵にぶつける「投擲」など、物語を進めると新たな超能力を獲得していくことができる

 本作で厄介な点は、体力(ヘルス)の回復だ。基本的にフィールド上で静かにしているだけではヘルスは回復しない。敵を倒した際にこぼれ落ちるヘルス要素を回収することで微量ながら回復する仕組みなのだが、敵が落とすヘルス要素は基本的に量が少なめだ。そのため、敵からあまり多くダメージを食らってしまうと、倒した後に回収した要素だけでは回復しきれない場合がある。

 さらに本作では敵の攻撃に対して、ローリングなどの咄嗟の緊急回避アクションのような物がない。そのため、しゃがんで物陰に隠れたり、移動時のダッシュを多用することで敵の攻撃を回避する必要がある。この辺りの操作感にも慣れが必要となる。

 一方で本作のアクションが最高に気持ちいいのは、フィールド上の多くのオブジェクトが破壊可能になっている点だ。例えば、室内に設置された棚や壁に掛けられた絵画などはすべて破壊できるようになっており、これが非常に気分爽快なのだ。物語の進行に必要なオブジェクトや、回収可能なアイテムについては非破壊設定になっているため、遠慮なく破壊活動が満喫できるので、日々のストレス発散にもなるので面白い。

 SFミステリーな謎の多いストーリー、「操作局」は何を「操作」していたのか?ジェシーの正体とは?そしてプレーヤーとジェシーとの関係性は?こうした謎の数々を爽快なアクションを進めることで読み解いていく本作は、最新の3Dグラフィックスを楽しむ1本としても申し分ない。是非これらの真実を突き止めるべくプレイしてみてほしい。

床に転がる青白い粒状の物がヘルス要素で、体力を回復できる。回復量は微量のため、敵からのダメージが大きい場合、回復に手間がかかる
こんな感じの理路整然と並べられたデスクや書類の数々だが
超能力でガンガン吹き飛ばして破壊しまくれるのは気分爽快!
序盤で訪れる長官の部屋。本棚に書類が埋まり、整然とした部屋だ
机の上や本棚などがガンガン破壊できて気持ちいい
暴れ切った後の長官の部屋。壁面の本棚なども破壊できるのは面白い
道中で視聴できる8㎜フィルムなどは微妙に古臭い映像になっているのが面白い
マップ表示で現在位置を確認できる
体力がなくなると死亡となり、道中で解放する「コントロールポイント」と呼ばれる中継点まで戻されてしまう。死亡時には本作内で武器の強化などに使われる要素が減ってしまう点には注意が必要だ
ボス戦の手前などには未開放のコントロールポイントが用意されている場合もあるので、ボス戦が厳しい場合などは再戦前にコントロールポイントを探すのも重要だ。コントロールポイントは操作局内に複数用意されており、ファストトラベルで移動したり、能力を解放したり、武器やスキルの強化なども行なえる拠点となっている
体力回復にクセがあることもあり、本作の難易度はなかなか高めに感じる。特にボス戦は1度でのクリアは厳しく、何度もリトライしてボスの動きをある程度把握する必要がある

 動作環境については冒頭で触れた通り、高解像度でプレイするならなるべく高性能なハイエンドGPUを推奨したい。特にGeForce RTXシリーズやRadeon RX 6000シリーズといったリアルタイムレイトレーシング対応GPUを使うことで、本作のビジュアルは理想的な形でプレイできる。

 GPU負荷については、フルHD解像度プレイ時も4K解像度でも常時100%となっており、3D性能をフルに使い切っている。もし古めのGPUを使ってプレイする場合は解像度を下げたり、クオリティを下げるなどの調整が必要となるだろう。個人的には多少全体の画質を落としてもレイトレーシング設定は有効にしてプレイし他方が雰囲気は味わえると感じた。

スペック要件(最低)
OS:Windows 7(64bit)
CPU:Intel Core i5-4690 / AMD FX 4350
GPU:NVIDIA GeForce GTX 780 / AMD Radeon R9 280X
RAM:8GB
今回プレイした環境
CPU:Ryzen 5 3400G
RAM:DDR4 16GB
GPU:GeForce GTX 1660(6GB)
ストレージ:TS256GMTE220S
今回試した設定はすべてグラフに落とし込んである。なお、カットシーンではフレームレートが240fpsまで上がり、GPU使用率も急激に低下するため、今回のデータでは除外している。GeForce GTX 1660環境ではレンダリング解像度をフルHDまで下げることでようやく実用的なフレームレートが出るようになった