週末カジュアルPCゲーム部
ドラマチックで自作シナリオも遊べる無料の本格ターン制シミュレーション「Battle for Wesnoth」
2021年5月30日 06:45
- 価格:無料
今回紹介するのは中世ファンタジーな世界観のターン制戦略シミュレーション「Battle for Wesnoth」。価格は無料で、従来は公式サイトからダウンロードして遊ぶフリーソフトだが、2018年5月からはSTEAMで無料配信を開始しているので、より手軽に遊べるようになっている。
本作は2003年よりオープンソースでリリースを開始しており、2020年10月に最新バージョンの1.15.6がリリースされるなど、今なお、改良が施されているという息の長いタイトルだ。
ゲームのメインストーリーとして、公式キャンペーンという物が予め用意されている。主な物語はWesnoth(ウェスノス)と呼ばれる架空のファンタジー世界で、主人公が王位を取り戻すというものだが、これが17本のストーリー、各10本前後のシナリオで構成されているという大ボリュームのため、これだけでかなり長い間、ファンタジーの物語が堪能できてしまう。
それに加えてマルチプレイ対応やオリジナルのマップやシナリオ作成まで可能とのことで、世界中でオリジナルのシナリオを公開しているユーザーが多数いるなど、今なお現役のファンタジー戦略シミュレーションだ。
このタイプのゲームというと、古くはMSXやPC-8801などの時代の「マスターオブモンスターズ」や、ファミコン以降だと「ファイヤーエムブレム」シリーズなどが該当するだろう。調べた感じでは会話イベントなどの演出は「ファイヤーエムブレム」っぽいし、シナリオによってはモンスターなども操作できるなど、柔軟なシステムの作りは「マスターオブモンスターズ」っぽいとのことで、どちらの要素も盛り込まれているようだ。
世界中で、今なお遊び続けられている魅惑のタイトルを早速プレイしてみることにしよう。
基本的にインターフェイスやストーリー内容など、すべてが日本語化されているので、ストーリーがメインの公式キャンペーンシナリオも問題なく楽しめた。所々で直訳調のセリフが表示されることがあるが、主人公のセリフ回しなどはキャラクターの雰囲気を考慮した口語調になっている面もあるなど、細かい作りこみが感じられるところもある。
解像度は接続するディスプレイ設定の上限まで利用可能で、2K解像度/2,160×1,350ドットのディスプレイを搭載する「ThinkPad X1 Nano」では、その上限までキッチリ選択可能だったほか、最大3,840×2,160ドット表示の4Kディスプレイに接続するとその解像度に合わせた状態で表示された。スケーリング設定に依存しているため、スケーリング200%設定で起動するとフルHD解像度に拡大した状態で表示される。
本作のマップ表示は、出力解像度が高くなるほど、広範囲の情報を1度に表示してくれるので、全体の戦況を見渡しやすくなる。いつもはスケーリングを設定して拡大表示している人も、本作については是非スケーリング100%のままでプレイしてみてほしい。高解像度の大型ディスプレイが活かせるゲームとなっているのは嬉しい限りだ。ゲームプレイに関するそのほかの表示情報などについては、「設定」から変更できる。
今回はチュートリアルとキャンペーンの最初の入門レベルのストーリー「2人の兄弟の物語」をプレイした様子を紹介しよう。まずはチュートリアルから。ここでは魔法使いに呼ばれた兵士が魔法使いとの会話を交えつつ、ユニットの使い方を学んでいく。2本のシナリオで構成されており、1本目のシナリオでは、魔法使いが用意した、訓練用のダミー人形を相手に戦い方を学んでいき、2本目のシナリオでは実践形式で村を襲ってきたオークを倒す、というもの。チュートリアルなのに2本目のシナリオはいきなり本格的でやりがいのある作りだ。
基本的には動かしたいユニットをマウスでポチっとクリックすると、移動可能な範囲が明るく、それ以外のエリアが暗くなるので、移動可能な場所をクリックして移動すればOKだ。この時、移動後の隣接するマスに敵がいる場合は、攻撃を仕掛けることも可能だ。行動力のようなものは特にないため、移動できる精一杯のところに敵がいた場合も攻撃が行なえる。
本作の最大の注意点は、ユニットの攻撃範囲だ。魔法使いや弓兵など、遠距離から攻撃できるユニットの場合であっても、本作では敵に隣接しないと攻撃が行なえない作りになっている。そのため、壁役として、頑強なキャラクターを前面に配置して、後列から敵を削る、といった戦術が行なえない。
一見すると遠隔攻撃の意味がないと思われるがそうではない。本作におけるユニットには近接攻撃のみの物から遠隔攻撃と近接攻撃の両方が使えるユニットなどがあり、近接攻撃が可能なユニットに近接攻撃を仕掛けると反撃が待っている。一方で遠隔攻撃できない、または近接攻撃ができない相手にそれらの攻撃を仕掛けると反撃ができないため、一方的に攻撃が行なえる。そのため、相手によって攻撃方法をキッチリ使い分けることで、無駄な損害を減らす事ができる。
ただ、両方使えるユニットであっても、例えば「弓兵」の場合だと、遠隔攻撃の弓はダメージがでかいが、近接攻撃はダガーによる攻撃となるため、ダメージが小さくなるといった感じで、期待できるダメージ量が異なるため、いざ戦闘の際にどちらを選ぶのかが非常に悩ましい。
本作のマップはすべての地形が正六角形となっており、1人の敵に対して最大でも6人までしか取り囲めない。遠隔攻撃であっても、攻撃するには囲みの中に入る必要があるため、どのユニットを使って取り囲むか、など非常に頭を使う作りになっている。
2本目のチュートリアルで敵として登場するのはオークで、オークたちをエルフの戦士たちで撃退していくストーリーとなっている。ここでは先ほど1本目のチュートリアルを終えた主人公ともう1人、NPCとして操作できない仲間が登場し、こちらに助言を与えてくれる作りだ。ここでも会話によってチュートリアルを進める作りになっている。
本作のもう1つの魅力であり、ポイントは、現場でバトルする時には自分で戦うだけでなく、シナリオで設定されたユニットを雇用できる事。雇用では費用が発生するため、無限に雇うわけにはいかないが、それぞれにコストが設定されているので、最安ユニットを大量に雇用して戦ったり、単価は高いが性能の高いユニットを雇用して慎重に戦うなど、戦術に応じたユニット雇用が楽しめる。
所持金は画面上部のバーに表示されており、ここの金額の範囲内で雇用してバトルに挑む。なお、雇用したユニットはその後、維持費も発生するため、注意が必要だ。なお、複数のシナリオが続く場合、雇用したユニットたちを再雇用する事も可能だ。また、所持金はフィールド内にある小屋「村」を制圧することで、収入が増えるようになっている。村は1度乗っかるだけで簡単に制圧でき、制圧した村は以降放置しても収入は継続して入ってくる。ちなみに「村」はユニットを留めておくことでHPを毎ターン8回復できる貴重な回復エリアでもある。
今回のチュートリアルのユニットは近接攻撃が強力で弓矢も使える「エルフの戦士」のほか、弓矢が強力だが近接がイマイチの「エルフの射手」、隣接マスにいるだけでターン毎に仲間を回復できるほか、魔法による攻撃も行なえる「エルフの女呪術師」が雇える。
雇用を行なえる場所は自身の陣地内にある中心の場所となっており、1ターンの間に雇えるユニットの上限は陣地内の空きマスの数となる。例えばチュートリアル1本目の城は空きマスが2つしかないため、1ターンで最大2人までしか雇用できず、お金に余裕があり、さらに追加で雇用したい場合は1度陣地内のマスを空にする必要がある。雇用したユニットはそのターンは動けないため、次ターンの最初に陣地内のユニットをどこかに移動させてから雇用を行なう。
こうしてメンバーを固めて、敵とのバトルに挑んでいく。敵とのバトルは立地条件に応じて、攻撃の命中率やダメージ量などが変動するため、こちらが有利な地形でバトルを挑むのが望ましいが、一方で敵に攻撃する場合、こちらが先制して敵を取り囲み、相手のターン時に敵に行動させないのがベストなので、この辺りのさじ加減が非常に奥が深い。
フィールド上は移動できない地形も用意されており、2本目のチュートリアルでは、川の中の深いエリアが移動できなくなっている。こうした立地を考えながら兵を動かしていく。さらに立地条件などをどれだけ整えても最終的にはランダム要素が非常に強いのもターン制戦略シミュレーションの宿命だ。そのため、手数が多いが1度のダメージが少ないユニットにするか、手数は少なく、1度のダメージが大きい一発勝負のユニットを選ぶか、色々なシナリオをやりながら、自分の好みの戦術スタイルなどと相談しながら進めていく。
なお、シナリオを進めていると、最初からユニットが複数用意されている場合もあり、このような場合は無理に雇用せずに進める事もできる。会話に登場するユニットもいるので、こうなると愛着が湧いてきて、なるべく倒されずに進めたくなるのが人情だ。ちなみに、あとから雇用したユニットたちもすべて名前が設定されているので、いい名前を見つけて感情移入して遊ぶスタイルもアリだ。
ストーリーに絡むユニットも、後から雇用したユニットも、経験値を稼いで積み上げる事で、上位クラスにレベルアップできる。戦闘で敵にダメージを与えるだけでも少量の、倒せばより多くの経験値が稼げるので、レベルを上げておきたいユニットがとどめをさせるように戦闘でのダメージを調整するのも、この手の戦略シミュレーションのお約束だ。
このようにストーリーに直結するユニットであっても、ゲーム内での扱いはすべてのユニットが公平になっているところは面白い。とはいえ、ストーリーに直結するユニットが死んでしまうとストーリーが成立しなくなるため、これらユニットが生存することが、シナリオのクリア条件に設定されている。そのため、メインユニットだからといって前線でレベルを上げようと無理な戦い方をすると返ってクリアできずに失敗になってしまう場合があるので、この辺は他のユニットたちをうまく活かして、おいしいところだけ持っていけるような工夫も必要になる。
本作のチュートリアルで感心したのは、この2本目のシナリオでは、プレーヤーの行動におかしな点があると、NPCや雇用したキャラクター本人が直接注意をする点だ。
筆者は「エルフの女呪術師」を雇用して使っていたが、戦闘時にちょうどいい位置にいたため、どんな魔法が使えるのかと、試しに彼女に魔法で攻撃するよう指示した。すると、画面下部にカットインで登場し「私を攻撃に使うのは危険です!」と怒られてしまったのだ。本作の攻撃魔法は遠隔攻撃の扱いとなり、敵に隣接する必要があるため、敵が遠隔攻撃を使えれば反撃してくるし、敵のターンになればHPの低い彼女が標的になってやられてしまう可能性があるからだ。
まさか物語に一切関係のないモブに怒られるとは……とはいえ、プレーヤーがこの指示を出さなければ、一連のメッセージが表示されることはないわけで、細かいところまで作りこんであるチュートリアルだと感心してしまった。
チュートリアルで一通りのプレイスタイルを学んだので、いよいよ、本番の「2人の兄弟の物語」のストーリーをプレイ開始。すると開始するなり、画像とテキストによるちょっとしたストーリーが展開し始めた。さすがにアニメーションなどはなく、静止画とテキストのみによる作りだが、本作の雰囲気にもバッチリ合った、いい演出と感じる。邪悪な魔法使いに襲われた村に住む魔法使いが自身の兄を呼びだして、ともに邪悪な魔法使いを退治するというものだ。
ここでのカットは邪悪ながらも精悍そうな魔法使いが水彩画のようなイラストで描かれており、雰囲気はバッチリ。こうしてストーリー紹介が終わるとマップ表示と同時に画面下部には魔法使いの弟が兄の騎士に声をかける場面がカットインする。ここで驚愕のビジュアルに遭遇することになる。
「やあ、兄さん、お帰りなさい。」と呼びかける弟の魔法使い「Baran」は洋風のイケメンなのだが、どうにも弟の感じがしない老け顔なのだ。西洋と日本の感性の違いもあるのだと思うが、比較的年を経た兄弟が再開するという場面なのになぜか笑ってしまうシュールさを感じる。
それに対する兄「Arvith」は言葉数も少なく、必要な事だけを告げるぶっきらぼうなセリフ回しがカッコいいのだが、こちらはなぜかやや小太り気味な騎士なのが、こちらも不思議な笑いを誘う。
こうして開始したストーリー1本目のシナリオはNPCとして別行動をとる弟「Baran」と邪悪な魔法使いを陽動する兄「Arvith」となり、プレーヤーは兄となって仲間の傭兵たちとともに魔法使いの砦を攻めることになる。ここでは最初から多くの仲間がいるため、それらのユニットで敵の魔術師に攻撃を仕掛けていく。
チュートリアルではすべての要素を教わったと思っていたが、この最初のシナリオではいきなり危険な展開に陥ることになる。敵の魔法使いはアンデッドなどを召喚できる黒魔術師で、本シナリオでの主な敵はグールとなる。しかもこのグールからの攻撃を受けると、一定の確率で毒の状態にされてしまうのだ。
毒の効果は凄まじく、1度食らうと以降はターン開始時に毎回8ダメージを受ける事になる。本作のユニットのHPは大体20-50くらいの値なので、ターン経過だけであっという間にボロボロに削られる事になる。これが原因で命を落とす事はないが、HP1の状態で生き残っていても、敵の追撃を受けたら一撃でオダブツの状態だ。
さらに悪いことに、このシナリオで利用できるユニットは物理による近接、遠隔攻撃が行なえるユニットのみで、魔法が使えるユニットは雇用できないのだ。
これは困った。というか正直、最初のうちは何度プレイしても毒のダメージと敵の追撃の相乗効果で仲間が割と削られていく。そこで、とりあえず少しでもHPの減少を減らそうと、村に入って休息させてみたところ、奇跡がおきた。なんとHPだけでなく毒の状態までも回復してくれたのだ!
なるほど、村の回復にはこういうプラスの効果もあるのだ、と感心すると同時に、チュートリアルでここまで教えてくれなかったのか、見落としたのか。とにかく、最初のシナリオはこれが最大の鬼門だったので、毒からの回復方法が分かればあとは怖い物はない。毒にかかった仲間は早々に最前線から離脱させ、代わりに元気な仲間を前線に送る。この入れ替え戦法でシナリオは順調に進められた。
ところがフィールド中盤くらいまで歩みを進めると突然アニキと仲間との会話のカットシーンが入る。なるほど、フィールドの状況に応じてこうした会話イベントが発生するのはとても「ファイヤーエムブレム」っぽい!
彼らの会話によると、別行動を取っていたはずの弟がいつまでも出てこないらしい。取り急ぎ、今いる魔術師を追い詰めてシナリオをクリアしてみた。すると、どうやら弟は事前に捕まってどこかに連れ去られたという。弟の奪還を決意する兄「Arvith」。ということでシナリオは次に進む。
次のシナリオでは、ゲーム開始と同時に今度はエルフから煽られた挙句、特に選択肢などもないままに、いきなり複数のエルフたちとの戦闘が開始してしまう。しかもこちらのメンバーは兄「Arvith」ともう1人の騎兵「Magrid」の2人しかいないのだ!あれ?さっきまでいた10人もいた仲間はいずこ?
1度雇用した仲間を再度呼び出すこともできるようだが、そのコマンドがわからないため、仕方ないので手元に残った騎兵と2人でエルフたちとの戦いを開始!
この戦いが本当にしんどかった。とにかく1つ間違えば、あっさり全滅。2人しかメンバーがいないため、どうにもならない。と、そこでふと画面上のメニューにある「指定ターンに戻る」という項目の存在に気が付いた。このコマンドを使うことで、なんと手前のターンに戻ってやり直しができるのだ!何なら最初からのやり直しも可能だ。例えば敵に攻撃を仕掛けて外した時はこのコマンドで直近のターンに戻る事で、同じターンをやり直せるのだ。このコマンドを繰り返すことで、なんとか窮地を乗り切った。
今回ストーリーに含まれるシナリオではすべてに目的達成のターン数制限もあるため、あまりのんびり進めているとクリアできず失敗になってしまう。この辺りのさじ加減も気を付けながら、どうにか2本目のシナリオもクリア。どうやら次のシナリオで弟「Baran」が救助できるようだ。
3本目のシナリオは城からのスタートとなった。道中でいきなり仲間に加えてほしいという大槌兵「Brena」が登場したので恐らくストーリーには関係なさそうだが、人数不足のため遠慮なく仲間に加え入れる。スタート地点が城だったため、これは雇用が使えるなと考えて、マス目いっぱいに仲間を雇用で一気に増員。このシナリオについては、特にトラブルもなく、無事にクリア。弟「Baran」も救出できてめでたしめでたし。
そして、最終シナリオ。村に帰ってきたところ、村の様子がなんだかおかしい。村に入ろうとすると、いきなりモンスターが大量出現なのだ!しかもこちらのメンバーは兄弟2人しかいない!だからさっきの仲間はどこに消えたんだ!?
今回もシナリオ2同様、「指定ターンに戻る」を駆使して、何度も戦いを繰り広げるが、どう頑張っても、多勢に無勢、どうにも敵が減らせない。少しずつスタート地点に戻ってくる羽目に。
何度かリトライを繰り返している時に、ふと自分たちのスタート地点の陣地の形状を見て、ふと気が付いた。「あれ?もしかして城じゃなくても雇用できるんじゃないか?」
これまでチュートリアルやゲーム中、城のあるところでしか雇用したことがなかったので、城以外の場所では雇用はできないと考えていたのだが、ひょっとしたら自軍陣地であれば、城じゃなくても雇用はできる?その答えは大正解!
あまり大きな陣地ではないものの、費用が許す限りガンガン雇用してメンバー大増員に成功。雇用で気をよくして、ほかのメニューを眺めていたところ、「雇用」の下に「召喚」という項目があるのに気が付いた。正確にはこれまでも気が付いていたのだが、本作では黒魔術師がアンデッドなどを召喚できる仕組みがあるので、魔法使い向けの仕組みかと思っていたのだ。
だが、ここまで1度参戦したユニットを再雇用するためのコマンドは確認できなかったので、もしやと思い、こちらのコマンドを実行してみたところ、これが大成功!ついに過去に仲間になったユニットたちを呼び出せたのだ!「召喚」コマンドはよくある召喚獣などを呼び出すものではなく、文字通り、過去に一緒に戦った仲間を再度「召喚」するためのコマンドというわけだったのだ。
ただし、経験値を獲得した仲間たちを再度召喚する場合、雇用のコストがちょっと高くなる。レベルが上がったりなど条件によってはさらに費用が高くなる可能性もあるが、今回のシナリオでは倍まで高くはならなかったので、経験値を比較的稼いでいた仲間のみを再召喚して、戦線に復帰してもらった。非常に心強い。
考えてみたら、シナリオ2においても、スタート地点の陣地は城ではなかったが、今回と同じようなビジュアルの地形だった事を思い出した。つまり「召喚」の存在を知っていれば、仲間たちと比較的楽にエルフの襲撃をかわすことができたわけだ。これまた大失敗だった!
ともあれ最終章、仲間も無事に集合できたので、あとは敵を倒しつつ、前に進めて、村に何が起こったのかを突き止めるだけだ!ということで、ここから先は是非プレイしてその結末を確かめてみてほしい。
それにしてもチュートリアルのあまりの出来のよさに、すべての要素が詰め込まれていたかと思いきや、実際にシナリオを進めて、かつ色々試行錯誤してみないと見えないことが多かったのは驚いた。今後のストーリーや、ユーザー作成のオリジナルシナリオなどでは、こうした新たな発見がたくさんあるのかと思うと、早くこのストーリーをクリアして別のシナリオを遊んでみたくなってきた。
筆者はこれまでメガドライブの「シャイニング・フォース」シリーズなどでこの手のファンタジー戦略シミュレーションを楽しんできた。だが家庭用ゲーム機のファンタジー戦略シミュレーション物は出撃ユニットがある程度固有だった事もあり、今回のようなユニットを新たに「雇用」する感覚がピンと来ていなかった。そのため、無理矢理な2人の騎兵のみという無茶な挑戦を無意識にしてしまっていたのだ。
ファンタジー物の戦略シミュレーションという観点で見た場合、主人公など名前付きのキャラクターに感情移入して、ユニークな主人公たちを生かして進めないとストーリーが成立しない作りは、いわゆるストーリー中心のドラマチックなシナリオが楽しめる「ファイヤーエムブレム」シリーズなどと比べても決して引けを取らない作りと言える。
一方で本作は軍事物の戦略シミュレーションのように、傭兵たちを金で買う「駒」として扱う感覚でプレイできるファンタジー戦略シミュレーションとしても楽しめる。そう考えると、相反する2種類のファンタジー戦略シミュレーションが1本で楽しめる立ち位置は非常にユニークな1本に仕上がっている。
本作の場合、マップやシナリオ、さらにはユニットなども自作可能とのことなので、学校や職場の友人同士でシナリオを作って交換して遊んだり、オンラインマルチプレイで遊ぶなど、豊富なカスタム要素もあるので、息の長いタイトルになっている。
個人的には、本作のリアル志向を活かして、古代中国や中世ヨーロッパの実際の戦争をモチーフにしたシナリオを作ってみたり、逆にゲーム化されていない国内のファンタジー小説などをモチーフに思いっきりヒロイックなシナリオを作ってみるといった遊び方も面白そうだと考えた。
ビジュアルがちょっと古めの印象はあるが、ドット絵アニメーションはかなりきめ細かく作られているし、4Kまたはそれ以上の高解像度な大型ディスプレイの使い道の1つとしても有効に感じた。大型ディスプレイを使っている人たちには、是非マップを1画面にドーンと表示する贅沢プレイを試してみてほしい。
動作環境についてだが、今回はゲーム向きでないノートPCなどでも手軽に遊べるくらい軽量だ。実際に「ThinkPad X1 Nano」で動作を検証したが、重くなったりといった事は一切なく、常時快適にプレイできた。ただし、今回は「MSI Afterburner」などのツールにおいて、フレームレートが取得できなかったため、今回は記載していない。
GPU負荷については、2K解像度プレイ時で大体20%前後で低め安定だったが、4K解像度くらいになると40~60%前後となっていた。本作における敵や味方ユニットのちょっとしたアニメーションなどのビジュアルはすべて2Dのため、3D性能が高くないCPU内蔵GPUであっても問題なく動作することは間違いない。
CPU:デュアルコア 3.2GHz以上
RAM:4GB
RAM:DDR4 16GB
GPU:Intel Iris Xe Graphics
ストレージ:256GB SSD(NVMe/PCIe)
RAM:DDR4 16GB
GPU:GeForce GTX 1660(6GB)
ストレージ:TS256GMTE220S