山田祥平のRe:config.sys

100均を信じるか、信じないか

 安いから粗悪であるというわけでもなく、高いから良質であるとも限らない。PSE(電気用品安全法マーク)やJET(第三者認証マーク)のマークがついていても全面的な信頼は難しいということなのだろうか。

延長コードのリコール

 100均のセリアが、発火・火災の恐れがあるとして、電源延長コードの商品回収を発表した。2010年11月から2013年12月に販売された約244万個が対象だという。セリアのサイトには状況が詳しく書かれてはいないが、経済産業省消費者庁からニュースリリースが出ている。

 消費者庁のリリースには事故事象について多少詳しく書かれている。それによると、異音がしたため確認すると、当該製品および周辺を焼損し、1名が軽傷を負う火災が発生したという。事故原因は調査中とされているが、製造上の不具合により、使用中に電源コードが破損し、短絡、出火に至ったものと考えられるという。

 手元では5~6本の延長コードを愛用している。全部が全部ではないが、ほとんどはセリアで購入したものだと記憶している。対象製品の外観が公開されているので、確認してみたが、どうやら1本も該当しないようで、ホッと胸をなでおろしているところだ。

 何の型番なのか不明だが製品に[FLD-108]という刻印があるものが対象のようなのだが、手元のものを見ると、その型番のものが混じっていたので、心配になって専用フリーダイヤル0120-284-321に電話して確かめたところ、この型番刻印は他業者の販売するものを含めてたくさん流通しているようだが、今回公開された刻印パターンと正確に一致するものだけが対象だという。もしかしたら同じサプライヤーによる不良品が異なる100均チェーンで売られている可能性もあるだけに心配だ。

 ただ、たまたま100均で購入したコードだったが、「だから100均はだめだ」とか「もう100均で買うのはやめよう」というようには思わないし、思いたくない。それでも、これなら大丈夫と安心ができるなんらかの指針があってほしいとは思う。

充電器のアクシデント

 実は、8月の米国出張中に、愛用しているUSB充電器が発煙した。特に使い方に問題があったとは思えない。ホテルの部屋でPCに向かって作業中で、なんだかプラスチックが焼けるようなおかしな臭いがするなと思ったら、モクモクと煙が出ていた。あわててACプラグをコンセントから抜いて、煙が収まるのを待って確認したところ、USB端子付近が溶けてしまっていた。

 たまたま部屋にいるときで、すぐに気が付いてよかった。とにかく火事のようなことにならなくて助かったが、部屋を留守にしているときに発煙発火し、火災報知器でも鳴らしてしまっていたらと思うとゾッとする。

 すぐにサポートにメールで連絡を入れたところ、シリアルナンバーと、不具合品の写真をメールで送付するように指示されたので、写真を撮影して送付した。すると、すぐに新しい交換品を手配する旨の返事がきた。

 こういうものはほぼアマゾンで購入しているので、履歴を確認したところ、過去に購入した同じメーカーの充電器が5台あった。事故器と同時期に購入したものもあるので、心配になって問い合わせてみたところ、現品確認を行なわせてほしい旨の返信があり、自宅に戻ったところでゆうパックの梱包封筒が届いていた。

 その封筒に事故器を含めて4台の充電器を入れて送付したところ、

  • 事故器は不具合があったので交換品を手配する。
  • 他の3台は出力が0.5Aほどだったので、どういったデバイスをどういった種類のケーブルで充電しているのか教えてほしい。

という返事が戻ってきた。

 使っているケーブルはその都度まちまちだ。製品付属のものはもちろん、100均購入のものも多いし、1,000円を超えるようなケーブルもあると回答した結果、事故器以外に保証期間内の製品については新品交換となり、保証期間を過ぎている1台については現品が戻ってきた。原因については純正・認証ケーブル以外のケーブルを使っていたことだという。

純正以外のケーブルは使うなというサードパーティの理屈

 さまざまなデバイス、ケーブルを接続される可能性がある充電器のメーカーが、純正・認証ケーブル以外のケーブルを使ったら不具合を発生するという理屈はおかしいと思う。まして発煙するのは許されないことだ。そこで

 「純正、認証ケーブル以外のケーブルが粗悪だった場合、それを検知して安全側に働くのが装置の正しい振る舞いではないでしょうか。それは発煙や、故障の言い訳にはならないと思います。そもそも、御社製品はデバイスにとって純正、認証充電器ではないわけですから、その理屈は通りません。また、ケーブルの不具合で、何が起こり発煙に至ったのか、正確な理由を教えていただけますか」

という内容の質問メールを送り、その返事を待っているところだが、まだ回答は戻ってこない。ちょうど1週間が経過したところだ。社内で協議が続いているのか、終わったことになっているのかわからないので、メーカー名についてはとりあえず伏せておくが、ちょっと納得のいかない状況が続いている。これ以上のサポートは無理というなら、その旨を知らせてくれてもよさそうなものだ。

モノづくりと不良率

 ケーブルといえば、愛用しているcheeroのDANBOARD USB Cableを追加購入しようとしてアマゾンで注文しようとしたら「改善版」という表示があった。気になったので、ちょっと調べてみると、どうやら初期に出荷された製品のいくつかの欠点を改善したバージョンらしい。公式サイトには記載がないが、同社のFacebookページには説明がある。

 このベンダーは不良品についても一家言があるようで、1%の不良率を0%にするのは大変だが、日本のメーカーはそこに大きなコストをかけているという。中国の製造サプライヤーに製造を頼る同社は、とにかく不良品を見つけたときには知らせてほしいと訴えている。

 純正ケーブルを使わないのが悪いという充電器メーカー、ケーブルメーカーはそれをどう取るのだろう。そんなことをぼんやりと考えているときに、冒頭のリコールのニュースが飛び込んできた。

 100均ショップは、この連載でも何度も取り上げているくらいで、ぼく自分の暮らしには欠かせない存在だ。さまざまなサプライ製品やペリフェラル製品と100均、そのリーズナブルな関係は続いてほしいとは思うのだが、事故が起こってしまっては元も子もない。

(山田 祥平)