メーカーさん、こんなPC作ってください!

【特別版】3Dプリンタでオリジナルスマホスタンドを作ろう

~第1回 カブクに訊く業務用3Dプリンタの世界。パソコン工房のPCケースデザインコンテストも実施

 PCは実に多くのことができるが、最近ではスマートフォンなどの能力も一気に向上しており、PCでなければできないことは減りつつある。だが、ものづくり、あるいはそこまで行かなくても、自分で編集・作成するオリジナルコンテンツの制作においては、PCに比肩するデバイスはないのが現状だ。

 ただし、何でもできると言っても、実際には、予算上限が決まっているので、いくらでも高性能なパーツを使えるわけではないし、1人が使う用途もある程度限られている。

 本コーナーでは、主にクリエイターやクリエイターを目指すユーザーを想定し、特定の用途において価格性能比の面で最適なPCとはどのようなものかを、その分野に造詣の深い専門家やライターの方、および実際にPCを製造するメーカー、PC Watchの三者が一緒に議論、検討し、実際に製品化する。

 今回の特集のテーマは、3Dプリンタ向けの3Dデータを制作するのに適したPCを作ろうというものだ。ややニッチな用途と思われるかもしれないが、それには理由がある。実は、本コーナーに協力をいただいているパソコン工房が株式会社カブクによる協力の下、一般ユーザーを対象にした3Dプリンタを使ったPCケースデザインコンテストを近日開催する予定になっているのだ。

 デザインコンテストの詳細については、2016年2月にも発表される予定。コンテストには興味があるが、3Dプリント用の3Dデータを作った経験がないという人も多いことだろう。そこで、今回の特集では、無償で利用できるAutodeskの3D CADソフト「Fusion 360」を使った3Dプリント用の3Dデータの制作方法や、有名フォトレタッチソフトである「Photoshop」を使った3Dプリント用3Dデータを出力する方法についても紹介する予定なので、是非、多くのユーザーに挑戦してもらいたい。

 その前に、今回は基礎知識編として、業務用3Dプリンタを活用したものづくりプラットフォーム「Rinkak」を運営する株式会社カブクの横井康秀氏に、業務用3Dプリンタの現状を訊くことにした。業務用3Dプリンタは、1台数百万円から数千万円する高価な機器であり、一般のユーザーにはあまり関係がないと思われるかもしれないが、PCとソフトさえあれば、Rinkakのような3Dプリントサービスを利用することで、誰でも世界に1つしかないオリジナル商品を製作できるのだ。さらに、Rinkakはマーケットプレイスとしての側面もあり、自分で製作した商品を広く販売することも可能だ。

 ただし、初めて3Dデータを制作するという人が、ゼロからものづくりをすることは難しいので、カブクのご厚意でひな形となる3Dデータを用意する。今回用意した3Dデータは、スマートフォン用のスタンドだ。ひな形データをダウンロードして、それをカスタマイズすることで、初心者でも気軽にオリジナル製品を作る楽しみを味わうことができるのだ。まずは、ここから挑戦して、さらに上を目指す人は、パソコン工房のデザインコンテストにも応募してもらいたい。

株式会社カブクのインダストリアルデザイナー横井康秀氏

ここ2~3年で使える素材の幅が大きく進化、フルカラー樹脂も可能に

 カブクは、2013年1月に設立されたものづくり系スタートアップだ。同社の主な業務内容は、1台数千万円もする業務用3Dプリンタを所有している工場と、それを使いたいという顧客のマッチングを行なうプラットフォームの提供である。このものづくりプラットフォームは「Rinkak」という名称が付けられているが、無償の会員登録をするだけで、企業でも個人でも利用できる。3Dプリンタを所有していなくても、自分が制作したオリジナル商品を、自分で決めた価格で販売できることがRinkakの特徴であり、既に数千人のクリエイターが活用している。

【司会】Rinkakの特徴とは何でしょうか。

【横井】3Dデータさえアップロードすれば、Rinkakのプラットフォーム側で体積ベースで出力にかかる費用の自動見積もりをしてくれます。販売を行なう場合は、クリエイターが各自の感覚で利益を載せて販売できます。クリエイターの方が主役ですので、コンテンツ企画みたいなものも結構やってまして、クオリティの高いクリエイターさんにフォーカスを当て、彼らはどういうプロセスで作品を制作しているかといったことを紹介したりしています。

【司会】一口に3Dプリンタといっても、20万円未満の家庭用3Dプリンタと数百万円以上の業務用3Dプリンタでは雲泥の差がありますよね。特に使える素材の幅が違うと思いますが、最近の業務用3Dプリンタのトレンドについて教えていただけないでしょうか。

【横井】この2~3年で、使える素材の幅が格段に広がってきました。それぞれの素材の進化も確かにありまして、例えばポリアミドとか、アクリル。私は前職で大企業での工業デザインをやっていて試作でいろいろ使ったんですが、こういう伝統的な素材も進化しています。

 その一方で、木材を使ったものですとか、陶器ですとか、ステンレスとかシルバーとか、今ではもう、チョコレートとか砂糖菓子とか食べられるものにまで広がってきました。木材素材は、普段は捨てられている間伐材を粉末にして、それを樹脂のバインダー材と一緒にレーザーで焼き固めていくプロセスで出力します。我々自身が3Dプリント工場を持っていなくても、いろいろな工場との連携による、そうした柔軟性が利点と言えます。陶器やステンレスも粉の状態から焼き固めて作り上げます。このように多数の工場と連携して、お客様にサービス提供できるところは、おそらく世界でも数社くらいしかないと思います。

カブクが運営するものづくりプラットフォーム「Rinkak」
Rinkakで利用できる素材一覧。まだ表示しきれない素材がある
Rinkakには、高品位な商品が多数登録されており、気に入ったらすぐに購入できる
木材での出力例。手触りも本物の木材に近い

 さらに今、精度もどんどん上がってきてます。例えば、この日時計の指輪くらいまで精度が出せます。これは、1台数千万円する高性能3Dプリンタを持っている工場が出力したものです。ここは、普段は航空産業用部材を製造して納めている工場さんなんですけど、空いた時間でRinkakの注文を受けていただき、こういう風にジュエリーを作ってしまうみたいなことをやっています。

高性能3Dプリンタで出力した指輪。細部まで表現できている

 色表現も進化しています。従来からフルカラー石膏はありましたが、結構高かったんですね。しかしここ3~4年で、相当安くなってきています。製造原価はあんまりお伝えできないんですけども、2~3年前だったら、数千円かかっていたものが、数百円レベルまで下がっています。今はいい意味での競争が起きているので、一般のお客様にも手の届くような価格まで落ちてきています。石膏だけじゃなくて、フルカラー樹脂も今は出てきてまして、このフィギュアは、歯の先とか、絶対石膏では再現できないです。キャラクターデザイナーさんにとっては、ありがたい素材だと思います。そういう進化や広がりが出てきてます。

フルカラー石膏での出力例。石膏なのでやや重い
フルカラー樹脂での出力例。石膏では難しい尖った歯の先端なども再現できている

 Rinkak上で使える素材は、カラーの有無も含めると相当なバリエーションがあります。さらに、トライアル素材と呼んでるんですけど、技術革新が激しい分野なので、一般のお客様レベルでは、価格もクオリティも満足いただけないレベルのものでも、あえてチャレンジしています。マニアックなところでは、歯科技工士用アクリル素材も提供しています。これも、ユニークな工場と繋がることで出てくる、新しい種を期待してのことです。

【司会】これだけ多くの種類を扱っているのは、世界一といってもいいですよね。

【横井】規模についてはいろんな定義がありますが、幸いにもアジアの中では最大のマーケットプレイスになっているかと思っています。

【司会】3Dプリンタの展示会などに行くと、色だけじゃなくて素材自体の特性を途中で変化させるというか、例えばゴムっぽいところと堅いところを一度に出力できるものも出ていますよね。

【横井】はい。ただ、それは3Dデータの段階で、特殊な調整をする必要がありまして、我々と連携している工場で、そういう特殊な3Dプリンタを持っているところも何社もいらっしゃるんですが、まだちょっとコンシューマレベルでは公開していないです。でも、自主企画レベルやBtoBレベルでは、我々もトライしています。現時点では、まだまだ特殊ではありますが、数年後には一般のお客様にも利用できるようになると思います。3Dプリンタメーカーも、その点に関してはどんどん使いやすく改良していくと思います。

家庭用3Dプリンタとは出力精度も大きく違う

【司会】3Dプリンタのネックが、出力に結構時間がかかることだと思います。家庭用3Dプリンタだと数時間はざらですが、その辺、業務用レベルではいかがでしょうか? ここ数年で速くなったりしているのでしょうか。

【横井】そうですね。具体的な数字は手元にありませんが、速くはなってきてるかなと思います。一方で別のネックが発生していて、業界レベルで、業務用3Dプリンタを使いたいという需要が多くなっていて、その需要に対して3Dプリンタの数が足りていないという状況もあります。Rinkakの納期の保証期間は2週間ですが、平均すると10日くらいでお届けしています。工場によっては1週間以内で届けてくれることもあります。ちょっとここは我々のプラットフォーム上の課題ではありますが、3Dプリンタを自社では持っていない分、その辺はどうしても幅が出てきてしまいます。

【司会】現状は、サポートの除去とかも必要でしょうし。同じデータで作っても100%成功するわけでもないですよね。家庭用3Dプリンタに比べれば失敗は遙かに少ないでしょうが、数十個作って1個失敗とかあると思うのですが、そういう失敗は工場側でチェックして、ちゃんとしたものがくると考えていいんですよね。

【横井】いいご指摘で、素材によって、例えば、最小厚みとかが違ったりします。3Dデータ作成のコツみたいなものですね。中空構造がいけるものといけないものがやっぱりあったりするので、この辺は、むしろ我々がサポートするのが仕事なのかなあと思います。基本的に細かなパラメーターなどは工場側で最適化してくれます。

 家庭用3Dプリンタとの比較では、使える素材の幅もそうですけど、精度も大きく違います。例えばこれは、iPhoneケースですがピッタリはまります。精度はコンマ数mm台で製造できるようになっていますね。また、家庭用3DプリンタはFDM方式を採用していて、いろんなところにサポート材が付くので、それを除去する時に変形したり、壊れてしまったりすることがあります。でも、こちらの業務用3Dプリンタでは、粉末から造形するので、サポート材の跡も全然残りません。こういうところも、業務用3Dプリンタならではかと思います。

 やはり、こういうことは実際に体験しないと分からないと思います。家庭用3Dプリンタを買ってがっかりしているお客様もいると思いますが、業務用3Dプリンタでの出力を1回経験してもらえると、3Dプリンタには性能の幅があるんだなっていうのを感じてもらえると思うんですよね。そこは、Rinkakとしても課題というか、重要な活動として考えています。Maker Faireにはここ数年毎年出展していますが、「え、これって3Dプリンタで作ってるんですか?」っていう反応がお客様の8~9割くらいから返ってきます。我々以外にもいろんな会社さんが3Dプリントサービスをやってはいるんですけども、それでこれですから、コンシューマレベルでの認知度はまだまだ低いと思います。

Rinkakを使ったオリジナル商品の作り方

【司会】業務用3Dプリンタの現状の話をしていただきましたが、業務用3Dプリンタって、一般個人には関係ないのかっていうとそうではなくて、3Dデータを自分で作るなり、加工するなりして、出力の段階で御社のRinkakを利用することで一般のユーザーも業務用の3Dプリンタを使って、自分のものづくりができるわけです。家庭用3Dプリンタを買って、家で楽しむというのは、それはそれでありだと思いますけども、業務用3Dプリンタを使うことで、格段に精度が良いものが作れるわけですよね。では、この企画などをきっかけにして、自分でも出品をする、あるいはとりあえず自分用として出力をしてみたいという場合は、どのような手順を踏めばいいのでしょうか。

【横井】まずは、3Dデータを作る必要があります。詳しい話は、次回以降で紹介することになると思いますが、Autodeskさんのものとか、Adobeさんのものとか、それ以外にもいろんな3D系ソフトが出ています。無料のものから数十万円するものまであります。まず、それらを使って3Dデータを作っていただくことになります。

 ソフトの選び方も迷い所だと思いますが、ざっくり分けると、工業パーツ系には3D CADですね。あとは曲面が多いキャラクターとかフィギュアとか、一部のジュエリーなどは3D CGソフトが向いてます。その目的に応じて選ぶことになります。あとはお客様の好みですね。感覚的にモデリングしたい人もいれば、きっちり寸法を決めてやりたいというお客様もいるので、それを勘定して3Dソフトを選ぶと良いでしょう。幸い3D CADも3D CGも今は無料ソフトがどんどんでてきていますので、初心者でも楽しめるようになりました。

 3Dデータを作ったら、STLもしくは、カラーデータの場合はOBJ、PLYもしくはVRMLといった形式で書き出します。これらは汎用フォーマットなので、3Dプリンタ対応を謳うものなら、基本的にどんなソフトでも書き出すことができます。

Aurodeskの3D CAD「Fusion 360」。高機能なソフトだが、個人利用なら無償だ

 3Dデータができたら、後のステップは簡単です。Rinkakのサイト上部のメニューから「つくる」をクリックして、「プロダクトを試作する」というボタンをクリックします。すると、ログインか会員登録が必要になりますが、3Dデータのアップロード画面が出てくるので、STLデータを選んでアップロードします。このアップロードと3Dデータの解析が速いことがウリで、世界最速クラスですので、ほとんど待たされません。

上部の「つくる」を選択すると、この画面が表示されるので、「プロダクトを試作する」をクリックする
ログイン画面が表されるので、すでにRinkakの会員になっている場合はログインし、まだ会員になってない場合は、新規会員登録を行なう
3Dデータのアップロード画面になるので、「参照」ボタンをクリックして、3Dデータを選択、アップロードする

 あとは素材と価格(製造原価)を選んでいただいて、試作もしくは商品として公開できます。公開するには、商品名を入れたり、キャッチフレーズを入れたり、詳細を入れたりする必要がありますが、試作だけなら不要です。Rinkakはグローバルなプラットフォームなので、英語での説明も必要なのですが、英語ができない人や、逆に外国人で日本語ができない人もいるので、日英/英日翻訳機能も付いています。実はこれ、Google翻訳などの機械翻訳を使っているのではなくて、ちゃんと我々スタッフがニュアンスなども汲み取った上で翻訳してから、公開する仕組みになっています。

モデルのサイズが表示され、素材と価格を選択できる
素材は色も含めると数十種類から選べる
素材を決定すると、アップロードした3Dモデルが画像として表示される
配送料を加えた合計金額が表示される

【司会】ここでいう公開っていうのは、無償でその3Dデータを他人にシェアするということですか。

【横井】いえ、単純に販売するために公開するということです。

【司会】要するに試作と同時に売ることもできるんですね。

【横井】はい、そうです。3Dデータそのものを公開して、ダウンロードできるようにしたいというお客様もいるので、それを許可することもできます。あとは著作権ですね。クリエイティブ・コモンズの基準に則って、表示だけとか表示-継承だけとか、そういうことを自分で設定できます。

スマートフォン用スタンドのひな形データを本企画のために用意

【司会】確かに3Dデータさえあれば、Rinkakを使うのはとても簡単そうです。ただ、やってみたいという気持ちがあっても、3Dソフトに関する知識とか経験がない人が、ゼロからオリジナルのものを作るというのは、すごく難しいと思います。そこで、本企画で興味を持った人がチャレンジしてもらうために、カブクさんのご厚意でひな形データを用意してもらいました。ひな形をダウンロードして、それを元に自分のイニシャルを入れたり、ちょっとした加工を行なうことで、オリジナルなものを作るということを気軽に体験してもらいたいと思っています。

【横井】はい、スマートフォンスタンドですね。これはFusion 360の画面ですが、Fusion 360では、モデリング作業の履歴が全て保存されており、自由に元に戻れるので、初心者の方でも試行錯誤してオリジナリティあるものに修正できると思います。これは中空構造になっているので、立体的なデータ制作が楽しめます。例えば、利用しているスマートフォンの幅によって、立てる穴の幅が変わりますよね。今は、iPhone用の幅ですけども、極端な話、例えばガラケーでもいいかもしれないですし、ペンスタンドの方がいいなと思ったら、ペンの穴をここに抜けばペンスタンドになる。そういった楽しみ方ができます。ちなみに、先ほどのひな形にロゴを加えた例がこちらです。

横井氏に作成していただいたスマートフォンスタンドの3Dモデル

 当社にある家庭用3Dプリンタで、昨日の夜出力を開始させたところ、朝にはできあがってました。サイズ感はこんな感じですね。3Dデータとしては中空になってるんですが、先に述べたとおり、これだとやっぱりサポート材が中にガチガチに入っちゃってます。敢えて業務用3Dプリンタでしかちゃんと出せないこういうデザインにしています。あとは、Rinkakを使う際のコツでもあるんですが、基本は体積ベースで製造原価が計算されるので、どんどん肉抜きしていくと、価格が安くなります。

家庭用3Dプリンタでスマートフォンスタンドのひな形を出力したもの

【司会】これのRinkakって書いてるところに、代わりに自分の名前を入れてみようくらいだったら、とりあえずPCを使えればまあいけるだろうという感じでしょうか。

【横井】そうですね。はい。

【司会】このデータの場合、素材は何が利用できるんですか。

【横井】実用性を考えると、ポリアミドがいいですかね。ただ、基本的にはどの素材でも作れる構造になってます。ですから、透明系がいいというのであればアクリルとかもありです。ペイントソフトみたいなのがあるので、それでペイントして虹色にしたいならフルカラー石膏を使うとか、そういうこともできます。

【司会】表面にビットマップを貼り付けることもできるんですか。

【横井】そういうこともできますね。

【司会】そうすると、例えば、子供の写真とかを貼り付けることもやろうと思えばできるんですね。

【横井】そうです。いいですね。

【司会】今回の企画では、続編でFusion 360とPhotoshopでの手順を取り上げる予定ですが、Photshopで3Dデータを作れるっていうのをまだ知らない人も多いと思うので、実はできるんだよっていう、ここで軽く振りというか、ご紹介をいただきたいんですけども。

【横井】私も最初見たとき、結構衝撃でしたね。Photoshopで3Dデータがぐりぐり動いてるので。これは去年くらいから実装された機能で、最新版でまた強化されてます。

最新のPhotoshopでは、3Dデータの作成も可能だ

3Dプリンタ用データの作成ならミドルレンジでも基本的には十分

【司会】では、3D CADや3D CGといった3Dデータ作成ソフトを快適に利用するためのPCのスペックはいかがでしょうか。

【横井】そうですね、ミドルレンジであれば十分という感じですかね。

【司会】特にGPUが外付けじゃなくても大丈夫ですか。

【横井】はい、3D CADを利用するにはIntelの統合GPUでも大丈夫です。

【パソコン工房】3D CADの操作にはミドルレンジで十分ですが、複雑なモデルだと、STLデータに変換する際に多少時間がかかりますね。ただ、STLデータへの変換は頻繁に行なうわけではないですから、あまりスペックは気にしなくていいかもしれません。GPUについては、Fusion 360では、DirectX 11対応が必要とされています。

【横井】また、Fusion 360では、3D CADで一般的なソリッドベースのモデリング以外にも、スカルプトベースのモデリングも可能なのですが、スカルプトベースだと変形などがやや重い処理になりますので、スカルプトでのモデリングもやってみたいという方は、ハイスペックなPCの方がいいですね。さらに、3Dレンダリングの機能もありますので、そうした機能も快適に使いたいのなら、高性能PCをお勧めします。

パソコン工房のスタッフと一緒にPCのスペックについて議論を行なった

【司会】3Dプリンタを活用したPCケースデザインコンテストですが、どのような形になるのでしょうか。

【パソコン工房】詳細については現在詰めているところですが、フロントパネルの一部を差し替えられるような構造にして、その差し替えパーツを3Dプリンタで作ることを考えています。世界に1つしかないオリジナルPCケースを作ることができますので、興味を持たれた方は是非、デザインコンテストにも参加していただければと思います。

(石井 英男)