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HP、法人PC事業グローバル担当者が今後の戦略を語る

~世界初のUltrabookワークステーションは数週間以内に日本にも展開

エンリケ・ロレス氏
9月12日 実施

会見には、アジアパシフィック&ジャパン担当バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのアネリーズ・オルソン氏(右から2番目)、日本HP取締役副社長執行役員の岡隆史氏(一番左)も参加した

 米Hewlett-Packard(HP)で、プリンティング&パーソナルシステムズ ビジネスPCソリューションズ シニア・バイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーのエンリケ・ロレス氏が12日来日し、同社の法人PC事業の今後の戦略などについて語った。

 ロレス氏はHPで法人PC事業のグローバルな責任者。同社では法人向けPCのイノベーションの多くが日本発のものであり、それらがその後に世界でのトレンドになっていることから、日本市場を重要視していると言い、今回の説明会の運びとなった。

 同社の全事業における法人向けPCの売上が占める割合は2割に過ぎないが、ロレス氏は、この市場に対して、強い意志を持って、大きな変革に取り組んでいくと再三語った。というのも、市場が大きな変化を遂げようとしているからだ。

 端末、ネットワークインフラ、ワークスタイル、そしてデジタル時代に生まれ育った世代が働き手になってきたことなどから、職場での協業やコミュニケーションの方法が変わり、法人向けPCやサービスに求められるものもそれに呼応したものを提供する必要がある。また、法人PCというと保守的なイメージが強いが、BYODなどの広まりから、法人顧客は、法人ユーザーとコンシューマユーザーの両方の視点から製品を見るようになったほか、モバイルの普及で社外でもモバイル端末を使うことから、デザイン性なども求めるようになっている。加えて、PCメーカーは、ユーザーだけではなく、顧客企業のIT部門の要件を満たす製品を提供しなくてはならない。

職場において大きな変化が起こりつつあり、法人PC事業も顧客の声が牽引する状況に
HPの法人向けPC事業戦略6つの柱

 こういった背景から同社では、1) 顧客が望む製品を作る、2) モバイルやハイブリッドデバイスを拡充、3) 複数のクライアントOSの提供、4) セキュリティと管理ソリューションの拡充、5) リモートでの協業を促進するデザインソリューション、6) エンドツーエンドのプレミアムサービスプラットフォームの提供、という6つの柱で構成された戦略の下に、イノベーションを加速していくという。

 より具体的には、1)に関して、シンクライアント、タブレット、コンバーチブル・着脱式、ノートブック、モバイルワークステーションといった幅広いポートフォリオを展開するが、それだけに留まらず、タブレット1つをとっても、5型、7型、10型と、あらゆる画面サイズを提供していく。

「HP ZBook 14」

 また、先立って米国で発表した、世界初のUltrabookワークステーション「HP ZBook 14」も顧客の声に応えて開発された製品の1つだ。客先でのプレゼンテーションなどのために、高い3D性能を持ったノートPCを持ち運んで使いたいというニーズは以前よりあるが、この分野でもより薄く、より軽い製品を望む声が高まっているのだという。なお、ロレス氏はこの製品を今後数週間以内に日本でも発表することを明らかにした。

 3)については、Windowsに固執するのではなく、AndroidやChrome OSなど他のプラットフォームも積極的に手がけていくという。これも、ロレス氏が各社のCIO(最高情報責任者)と過去数カ月ミーティングしてきた中で、Androidを検討しているというフィードバックが多かったためだ。

 このほか同社は、PC市場シェア世界1位のスケールメリット、コンシューマPCやエンタープライズサービスなども統合的に手がけるといった強さなどを活かし、管理が容易で、セキュリティ性に優れ、ユーザーが使いやすい製品を、サービス/ソリューションとともに包括的に提供していくという。

 また、同社の売上の8割近くはチャネルパートナーを通じたものであることから、パートナーとの協業もさらに強めていくとした。

(若杉 紀彦)