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沖データ、9型液晶搭載で業務アプリとの連携も可能なA4カラー複合機など

~菅野美穂さん出演の新CMも披露

今回発表の新製品
5月22日 発表

沖データ代表取締役社長の平本隆夫氏

 株式会社沖データは22日、同社主催の印刷/ICTソリューション関連を集めたイベント「OKI PRNCOM 2013」において、同社の事業戦略や夏以降に発売する新製品および新CMを紹介する発表会を開催した。

 同社代表取締役社長の平本隆夫氏は、まず2012年度の同社事業の成果について紹介。タイの洪水被害などが発生し打撃を受けた2011年から反転、攻勢に打って出た2012年はワールドワイドで前年比1.17倍の販売台数増を記録。日本国内では1.3倍の販売台数増などシェア/台数ともに過去最高、10年連続の増収。そして、念願であったという300億円を超える売り上げを初めて達成した。

 2013年は、もう1つの念願であるというプリンタシェア10%を目指すために、沖データ独自のLEDプリンタを活かした事業拡大を図るという。

 具体的には、これまで同社のプリンタ事業はオフィス向けが主な領域だった。PC売り上げが伸び悩む中、プリンタ単機能のSFPは前年割れながら、スキャナを搭載するMFP(複合機)は年間成長率14%で、安定した伸びを示しているという。このことから、印刷性能差で遜色なくなったプリンタベースの複合機が、オフィスに受け入れられたと判断。コピー機が主流となっている“オフィスソリューション市場”を複合機の次の成長市場と捕らえ、攻勢をかける。

 また、スケーラビリティに優れるLEDプリンタの特徴を活かし、これまでデザイン、印刷ユースに提供してきた「MICROLINE」シリーズを強化し、プロ向け製品も成長を伸ばすとする。

 この新しい成長市場に対し、沖データの戦略として2つのキーワードを挙げた。

 1つ目は「ベストの効率」で、5年間無償保証、メンテナンス品5年間無償提供というセルフメンテナンス性の高さで、コストと業務効率の両立ができる点を訴求。

 2つ目は「スマートプリンティング」。オフィスソリューション市場に対しては、コストや業務効率に加えて、モバイル/クラウドとの連携などの付加価値を。プロ向け市場には、表現力や生産性向上を訴求する。

2013年はコピー機が主流のオフィスソリューションへの展開や、現事業でもあるプロ向け製品を強化する
セルフメンテナンス性を高めることで、コピー機、売り切り型プリンタそれぞれの良さを両立する
コストや効率だけでない付加価値を、それぞれの市場へ提供する

“なぜかA3対応機が普及している”市場に一石を投じるA4複合機

 オフィスソリューション市場向け新製品として投入されるのが、A4カラーLED複合機「MC780dnf」、「MC780dn」の2モデル。「COREFIDO2」シリーズにラインナップされる。

沖データ第二商品事業部 事業部長の井上崇氏
MC780dnf
MC780dn

 平本氏によると、オフィスソリューション市場では「なぜかA3対応の複合機を導入されることが多い」というが、同社の調査で94.3%がA4用紙を利用している結果が出たという。また、プリンタ/複合機1台当たりの共有人数が増えることで印刷待ち時間が長くなり効率低下に繋がっているという結果も得られた。

 製品説明を行なった沖データ第二商品事業部 事業部長の井上崇氏は「たった6%のために大型で集中型のA3複合機を導入することは費用から見ても効率的ではない」とし、A3対応機より安価で省スペースなA4複合機を市場に投入することになったという。複数導入することで、待ち時間が短くなるだけでなく、従業員の席からプリンタまでの導線短縮、故障時に別の機械でプリントすることで業務を止めない、といったメリットが生まれることをアピールしている。

 また、この市場に投入するにあたり「100万円クラスのA3複合機を凌駕する圧倒的なコストパフォーマンス」(井上氏)も、チャートを示してアピールしている。

100万円クラスのA3カラー複合機に対する優位性
9型のタッチパネル液晶を搭載
オープンAPIにより外部アプリケーション/サーバーとの連携が可能

 プリンタの主な仕様は、方式がCMYK4色のLED方式。各色256階調で、解像度は600×600dpi。印刷速度はカラー/モノクロとも片面印刷時が40ppm、両面印刷時が32ppm。ファーストプリントは約8秒。対応用紙はA4~A6、レター、リーガル、エグゼクティブ、封筒、はがきなど。メモリ2GBとHDD 160GBを内蔵する。

 スキャナ部はCIS方式で、解像度は600×600dpi。ADF対応。スキャン速度も片面40ppm、両面32ppmとなる。対応用紙はA4~A6、レター、リーガル、エグゼクティブなど。出力フォーマットはPDF、JPEG、TIFF、XPSで、PDFの暗号化も可能。

 対応OSはWindows XP/Vista/7/8/Server 2003/2008/2012およびMac OS X 10.4以降。PCとの接続はUSBまたはGigabit Ethernetで、USB接続での利用と、スキャナドライバはWindowsのみとなる。

 MC780dnf、MC780dnの違いは、大きく2つで、1つは前者にのみ自動ソートおよびステープル機能付きのフィニッシャが搭載される点。後者は手動式のステープラを搭載している。

 2つ目は、MC780dnのみオプションの増設ユニット(580枚)と大容量増設トレイユニット(2,400枚)を同時に搭載可能な点。MC780dnは、手差し110枚、標準トレイ580枚、増設トレイ580枚、大容量増設トレイ2,400枚で、最大給紙枚数が3,670枚。MC780dnfは、ここから増設トレイ分を除いた3,090枚が最大給紙枚数となる。

 本体上部には9型のタッチパネル液晶を搭載し各種操作が可能。また、東芝テックとの協力によりプリンタに対するデータ/命令の入出力が可能な「オープンAPI」を提供。業務アプリなどと連携させることができる。

 OKI PRNCOM 2013会場内では、オープンAPIを利用した学習塾のシステムをデモンストレーションしており、答案用紙と正答の登録を先生が行ない、生徒は自身でタッチパネルのメニューを操作して問題とマークシート式の解答用紙を印刷。記入した解答用紙をスキャンすると自動的に採点して、結果を出力するシステムとなっている。

 このシステムは、.NETを使ったWindowsベースのサーバー(ハードウェアはノートPC)が別途用意されており、操作こそ製品上のタッチパネルで実行するものの、データのスキャンやデータの取得、答え合わせの処理などは全てサーバー側で実行し、APIを使ってデータを入出力させている。このほか、プリントのコスト管理システムと連携したソリューションなども紹介されていた。

 増設トレイを取り付けない標準状態での本体サイズ/重量は、MC780dnfが522×604×811mm(幅×奥行き×高さ)/約60kg、MC780dnが522×604×675mm(同)/約50kg。価格はMC780dnfが470,400円、MC780dnが386,400円。発売時期はMC780dnfが8月中旬、MC780dnが7月下旬。いずれも、5年間無償保証とメンテナンス品無償提供が含まれる。

操作パネル。9型のタッチ対応液晶を搭載
スキャナ部。ADFも搭載する
トナーが収納されている本体内部
背面のインターフェイス
MC780dnに搭載された手動ステープラ。センサー内蔵で紙を挿入すると自動的に綴じられる
オプションで無線LANモジュールも発売される
学習塾を例にしたオープンAPIのデモ。これは先生用の画面で、テストや正答の登録なども行なえる
採点は、解答用紙をスキャナにセットし「スキャン」ボタンを押す。この操作で、サーバー側がスキャナを操作してデータ取得を行なう
マークシート式の解答用紙(左写真)と採点結果(右写真)。あくまでデモなのでシンプルだが、問題と正答さえ登録すれば、生徒がタッチパネルで操作するだけで、このようなプロセスを自動的に行なわせることができる

ホワイト/クリアカラー対応プリンタ「MICROLINE VINCI」

 プロフェッショナル市場向けには、これまでの「MICROLINE」シリーズに、よりハイエンドなプロフェッショナルユースを対象とした「MICROLINE VINCI」ブランドを立ち上げ、「C941dn」、「C931dn」、「C911dn」の3モデルをラインナップした。

 最上位モデルのC941dnでは、CMYK4色に加え、ホワイトとクリアーの特色トナーを搭載可能。デザインの内製化が進む中、ホワイトやクリアのプリントもニーズが高まっているが、印刷機材が高価で広い設置場所も必要なために外注せざるを得ないという現場に向けた仕様となる。

 また、全モデルで320g/平方mや長尺用紙、光沢紙、透明フィルムに対応するなど、用紙対応の柔軟さもアピールしている。

 C931dnはC941dnから特色対応を省略。C911dnは上位2モデルに搭載されるPostScript用のモリサワフォントが日本語平成フォントへ変更される。

 そのほかの仕様は共通で、印刷方式はLED方式。各色256階調で、解像度は1,200×600dpi。ファーストプリントは約8秒。対応用紙はA3ノビ~B6、レター、リーガル、エグゼクティブ、封筒、ハガキ、タブロイドなど。内蔵メモリは2GB。

 印刷速度はカラー/モノクロ、片面/両面時ともに速度は同じで、A4横送り時に50ppm、A3縦送り時で28ppm。C941dnの特色ホワイトを使った場合は、A4横送り時45ppm、A3縦送り25ppm。特色ホワイトをCMYKより前に印刷するオーバープリントモードを用いた場合はB4以上のサイズで印刷速度が落ち、A3縦送り時に6ppmとなる。特色クリアーを使った場合は、A4横送り時に18ppm。

 給紙枚数は手差しトレイが310枚、カセットが580枚。カセット1個と大容量増設トレイを用いることで最大3,210枚の給紙が可能。

 インターフェイスはUSB 2.0およびGigabit Ethernet。対応OSはWindows XP/Vista/7/8/Server 2003/2008/2012およびMac OS 9.2以降/X 10.3.9以降。

 本体サイズは699×625×640mm(同)。重量はC941dnが116.5kg、C931dn/C911dnが96.5kg。価格はC941dnが146万7,900円、C931dnが942,900円、C911dnが522,900円。発売時期は全て7月中旬。

C941dn
C931dn
C911dn

 発表会の最後には、同社のCMに出演する女優の菅野美穂さんも登壇し、COREFIDOシリーズを訴求する新CMを紹介。

 新CMは、プリンタを選ぶポイントを絞っていくとCOREFIDOが残る、という内容で訴求したものとなるが、このCMについて菅野さんは「頑張って働く現場の皆さんを応援するという沖データさんの姿勢が表れている」と感想を述べたほか、苦労を重ねながら無農薬でリンゴを栽培するという実話に基づく菅野さんの主演映画「奇跡のリンゴ」(6月8日公開)と、“現場に愛を”という沖データのの考え方とを重ね「私も愛を持って、影ながら頑張る皆さんを応援している」とメッセージを送った。

(多和田 新也)