COMDEX Fall 2001レポート チップセット/マザーボード編

2003年半ばにNorthwood後継のPrescottと対応チップセットをリリース
~nForce対抗のATI A3やDDR SDRAM対応のIntel 845マザーなど

会期:11月12日~11月16日(現地時間)
会場:Las Vegas Convention Center


 COMDEX/Fallは3日目を迎え、各メーカーによる発表会も一段落し、会場の方も徐々に人が減りつつある状況だ。毎年、COMDEX/Fallでは新しいチップセット、マザーボードなどがデビューする場となっているが、今年も新しいチップセットを搭載したマザーボードがいくつか展示されている。そうした中から注目のチップセット、マザーボードなどを紹介していきたい。また、Intelの2003年の新チップセット、CPUなどに関しても徐々に詳細が明らかになってきたので、そちらに関してもお伝えしていく。


●ATI TechnologiesのnForce対抗となるAthlon XP用チップセット「A3」

ATI TechnologiesのA3チップセット。NVIDIAのnForceの強力なライバルとなるか?

 あるマザーボードベンダはATI Technologiesが開発しているコードネームA3と呼ばれる統合型チップセットを搭載したマザーボードを顧客向けに公開している。

 左の写真がそのチップセットで、Athlon XP/Duron用のSocket Aマザーボードに採用されていた。A3はRADEONコアを統合した統合型チップセットで、Athlon XP/Duron用のほか、Pentium 4用も開発が進んでいることで知られている。サポートしているメモリはDDR SDRAMで、PC2100(266MHz)とPC1600(200MHz)の2つのメモリモジュールに対応している。

 A3はRADEONコアのグラフィックスをノースブリッジに内蔵しており、外部AGPスロットも利用することができるという。内蔵グラフィックスがRADEONコアのため、3Dグラフィックス性能では、やはりNVIDIAのAthlon XP向け統合型チップセットであるnForceに対抗するパフォーマンスを持っていると言われており、nForceの対抗製品として大きな注目が集まっている。

 あるATIのOEMメーカー筋によれば「nForceは発熱やコストの問題を抱えているが、A3は発熱量もそれほどではなく、サウスにVIAやALiなどのPCIの汎用サウスが利用できるため、熱設計やコスト面で有利になっている」と述べており、nForceに比べると安価に製造できる点がA3のアドバンテージだといえる。

 現時点では2002年に出荷されると説明されただけで、出荷時期などはいまいち明確ではないが、実際に搭載された製品が(限定的ながら)公開されたことで、徐々に出荷に近づいていることは間違いない。nForceと競合する3D性能を持ちながら、低コストを実現するA3の存在は、nForceの普及を目指すNVIDIAにとって大きな脅威といえ、統合型チップセットにおいても、NVIDIA vs ATIという対決の図式が展開されていきそうな気配だ。


●Brookdale-DDRがややイレギュラーなデビュー

LuckyStarのIntel 845 Bステップを搭載したP4A845D

 OEMメーカー筋の情報によれば、IntelはOEMメーカーに対してCOMDEXのオープンスペースにおけるBrookdale-DDR(Intel 845のDDR版)のデモを許可しなかったという。このため、ABIT、AOpenといった大手マザーボードベンダのブースでは、Brookdale-DDRを搭載したマザーボードは展示されていなかった。

 しかし、中小のマザーボードメーカーはそんな通知もお構いなしなのか、DDR SDRAM版のIntel 845マザーボードを展示していた。展示していたのはLucky Star、Trancesend、Legendの3社で、TrancesendとLegendでは、実際にDDR SDRAMを利用してIntel 845のDDR版を動作させていた。

 あるマザーボードベンダによれば、すでにBrookdale-DDRを搭載したマザーボードのデザインは終わっているものの、現在のところリアルなサンプルを待っている段階であるという。DDR SDRAMをサポートしたIntel 845はB0ステップ以降となる模様だが、これがまだOEMメーカーには届いていないという現状であるようだ。現在のDDR SDRAM版のサンプルマザーボードはSDRAM版(つまりB0ステップ以前)のIntel 845を利用したものであるという(それでもとりあえずは動作するらしいが)。

 Brookdale-DDRはまもなくサンプル出荷が開始され、12月には出荷が可能になると言う。ただ、実際に秋葉原などで販売されるのは、年明けの1月上旬になる可能性が高い。

TrancesnedのIntel 845 Bステップ搭載マザーボードTS-ABR4を利用したライブデモ LegendのIntel 845 Bステップ搭載のQDI P2D-Aを利用したライブデモ

 なお、DDR SDRAM版のIntel 845をIntel 845Dと呼んでいる人もいるが、正しくはIntel 845 Bステップとなる模様だ。Intel 815ファミリーのBステップと同じような扱いと言うことになるだろう。


●SiS740、SiS645とSiS650を搭載したマザーボードがデビュー

 SiSはAthlon XP/Duron向けの統合型チップセットであるSiS740、さらにはPentium 4向けの単体チップセットであるSiS645、統合型チップセットであるSiS650を発表済みだが、COMDEX/Fallでは、それらのチップセットを搭載した製品がいくつか展示されていた。

 SiS740はSiS730にローコストながら高い処理能力を発揮するSiS315コアを統合した統合型チップセットで、Athlon XP/Duron用となっている。すでにSiSから発表され、SiSのサンプルは公開されていたが、実際にマザーボードベンダのリアルサンプルが公開されたのは初めてだ。

 また、SiS645/650はPentium 4チップセットで、SiS645が単体のチップセット、SiS650がSiS315コアを統合したチップとなっており、SiS645は8月に発表され、ついでSiS650も発表されていた。すでにSiS645を搭載した製品は、日本でも実際に販売されており、そうした意味では特に新しいニュースではない。

 ただ、注目されるのは、各マザーボードベンダの展示で、VIAのP4X266を搭載したマザーボードを一枚も展示していないところがほとんどなのに対して、SiSのSiS645ないしはSiS650は多くのベンダで展示されていたことだ。各ベンダーともIntelと法的なトラブルを起こしているVIAのチップセットを使うのはかなり及び腰であるようで、展示されていたのはほとんどがSiSとなっていた。こうしたことから、今後Pentium 4世代においてはサードパーティチップセットの主流はSiSとなる可能性が高いと考えていいだろう。

SiS645を搭載したAOpenのAX45 SiS650を搭載したAOpenのMX45

ALiのALADDiN-P4を搭載したPC CHIPSのM910LMR

 また、ALiのALADDiN-P4を搭載したマザーボードを展示していたベンダもあった。ALADDiN-P4はノースブリッジのM1671、サウスブリッジのM1535D+からなるPentium 4用のチップセットで、DDR SDRAMをサポートしているチップセットだ。ALiはSiSと並び、Intelから正式なP4バスライセンスをすでに入手済みで、VIAの代わりにALiという選択肢も徐々にでてきているようだ。



●IntelのNorthwood後継CPUはPrescottで、対応チップセットはSpringdale-G

 ところで、昨日USB 2.0/シリアルATAのレポート中においてBrookdale-E/Gのリリース時期は2002年の第3四半期だと書いたが、これは正しくなかった。Intelは、最新のロードマップの中で2002年の第2四半期にはこれらのチップセットを出荷する(現在のスケジュールでは5月に出荷、2002年の半ばに発表となっている)と説明している。従って、ジラー氏がいうように2002年の前半にはUSB 2.0コントローラがチップセットに統合されることになる。この件をお詫びして訂正させていただきたい。

 さて、昨日の後藤氏の“後藤弘茂のWEEKLY海外ニュース”( http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011115/kaigai01.htm )では、2003年に登場すSpringdaleがDDR-IIをサポートするとことが解説されているが、COMDEX/Fallの取材中に、もう少しSpringdaleに関する詳細が判明したので、それについてお伝えしておこう。

 あるIntelのOEMメーカー筋によれば、Intelが2003年の半ばに“Springdale-G”と呼ばれるチップセットを計画しているという。Springdale-Gは後藤氏の既報の通りデュアルチャネルのメモリインターフェイスをサポートし、サウスブリッジはICH5になるという。“-G”というのがついていることからもわかるように、グラフィックスを統合することになるという。昨日のジラー氏のコメントである「2003年にはシリアルATAコントローラがチップセットに統合される」というコメントから、ICH5はおそらくシリアルATAに対応することになるだろう。

 このSpringdale-Gに対応するNorthwoodの後継CPUとなるのが、“Prescott(プレスコット)”だ。PrescottはNetBurstマイクロアーキテクチャがさらに拡張されるという。具体的な説明はされていないようであるので、詳細はわからないのだが、8月に行なわれたIntel Developer Forum Conference Fall '01では、Intelアーキテクチャグループディレクタ兼副社長のアナンド・チャンドラシーカ氏が「デスクトップPCにもHyper-ThreadingテクノロジをデスクトップPCにインプリメントすることを考えている」と述べており(後藤弘茂のWeekly海外ニュース http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20010830/kaigai01.htm )、この拡張というのはHyper-Threadingのインプリメントである可能性が高いと言っていいだろう。

 Prescottのリリース時期についてIntelは、Springdale-Gと同じ2003年の半ばと説明している模様で、2002年第1四半期には詳細を説明するとOEMメーカーに対して説明しているということで、来年になるとより詳細が判明するだろう。

□COMDEX Fall 2001のホームページ(英文)
http://www.key3media.com/comdex/fall2001/
□関連記事
【11月15日】【COMDEX2001】Intel、シリアルATAとUSB 2.0に関する説明会を開催
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/20011115/comdex08.htm

(2001年11月16日)

[Reported by 笠原一輝@ユービック・コンピューティング]

I
最新ニュース
【11月30日】
【11月29日】
【11月28日】

【Watch記事検索】


【PC Watchホームページ】


PC Watch編集部 pc-watch-info@impress.co.jp

Copyright (c) 2001 impress corporation All rights reserved.