OCZ、新コントローラ採用SSD「Vector」シリーズを解説
~継続ライト性能もアピール

Vectorシリーズ

11月末 発売
価格:オープンプライス



Johnny Preston氏

 株式会社アスクは28日、OCZ Technology製の2.5インチSSD「Vector」シリーズを11月末に発売すると発表した。発売に先立って都内で記者会見を開き、台湾より来日したOCZ Technical Marketing EngineerのJohnny Preston氏が、Vectorシリーズの特徴を説明した。

 既報の通り、VectorはOCZが買収したIndilinxとPLX Technologyの開発チームが中心となって開発した、6Gbps対応SSDコントローラ「Barefoot 3」を採用したモデル。ファームウェア部分はIndilinx、ハードウェア部分はPLXが担当し、OCZとしては初となる100%自主開発のフラグシップモデルとなる。

 なお、店頭予想価格は、128GBモデルが13,400円前後、256GBモデルが24,300円前後、512GBモデルが48,900円前後となる。

発表会で展示された基板基板の裏面Barefoot 3コントローラ

 OCZのSSD事業は、2008年にSamsung製SSDを販売したことに始まり、2009年にはIndilinx製、2010年~2011年にはSandForce製、そして今年(2012年)の始めには、Marvellのコントローラをベースとしたモデルをリリースした経緯がある。OCZが本格的にSSDの開発に携わったのはIndilinxコントローラからだったが、「今回のVectorはその原点への回帰とも呼べるモデルになる」という。

 Barefoot 3コントローラの詳細についても明らかにし、ARMのCortex-9プロセッサを2つ搭載し、うち1つをフラッシュインターフェイスの管理専用プロセッサに特化した「Aragon Co-Processor」として動作させることで、安定性と高速性の両立を実現したという。動作クロックは400MHzとなっている。

 また、DDR2/3に対応したバッファ用DRAMコントローラを装備。実際の製品には1,600MHz駆動のDDR3を2チップ備え、128/256GBモデルは合計512MB、512GBモデルは合計1GBの大容量バッファとなっている。NANDフラッシュインターフェイスは8チャネル分で、1チャネルあたり8CEとなっている。実際の製品には25nmプロセスで製造されるIMFT製のNANDフラッシュを搭載する。また、BCH ECCによる誤り訂正機能を備える。

これまでのOCZのSSDの経緯Barefoot 3コントローラの詳細

 この独自コントローラにより、リード速度は最大550MB/sec、ライト速度は最大530MB/sec(128GBモデルのみ400MB/sec)を実現。4Kランダムリードは95,000IOPS、4Kランダムライトは100,000IOPS(128GBモデルのみ90,000IOPS)となっている。自社のVertex 4を含む競合製品と比較すると、リードで劣る面もあるが、Vectorが注力しているシーケンシャルライト性能/ランダムライト性能については競合を上回る性能を実現しているとアピールした。

 また、データを圧縮せずにWrite Amplificationを削減する機能、より効果的なガベージコレクション、データ補正やエラー修正を行なうECC、独自NANDフラッシュマネジメントを、先述のAragon Co-Processorですべて行なうことで、5年間の長期保証を実現。これはMTBFに似た指標値として、1日あたり20GBの書き込みを行なうことを想定した環境下で、5年間の利用(36.5TB)が可能という。なお、一般的な用途では1日あたり約10GB前後の書き込みとしている。

Vectorシリーズの製品概要ほかのSSDとの性能比較Vectorシリーズの耐久性へのこだわり

 発表会では、実際のベンチマークとして、CrystalDiskMark、AS SSD Benchmark、HD Tune、Iometerなどを利用し、2台のRAID 0環境での結果を示し、高性能をアピール。また、独自のガベージコレクションにより、連続した書き込みが起きた際にも競合より高い性能が維持できることがアピールされた。

推奨のベンチマーク環境RAID 0環境下でのCrystalDiskMark結果AS SSD Benchmarkでも非常に高いスコアを示す
シングルの結果。ATTOでは公称値に近い結果が出せるシングルのAS SSD BenchmarkのスコアHD Tuneでは同じライト性能を維持しているのがわかる
Iometerの結果容量50%利用時でも競合他社と比較して高い性能を維持
こちらは容量100%利用時。性能は低下するものの、それでも競合より高性能である容量100%利用時のベンチマーク

(2012年 11月 29日)

[Reported by 劉 尭]