イベントレポート

Samsung、曲面ディスプレイ採用の「Galaxy Note Edge」を発表

~2,560×1,440ドット表示の5.6型。5.7型液晶搭載の「Galaxy Note 4」も

 韓国Samsung Electroniicsは、ドイツ・ベルリンで開催されるIFA 2014を前に、モバイル部門プライベートイベント「Samsung Unpacked 2014 Episode 2」を開催した。Episode 2の名称のとおり、スペイン・バルセロナのMobile World Congressに合わせて開催されたUnpackedに続いて、2014年では2度目のUnpackedとなる。

 Samsung Electronicsは、やはり2011年のIFAで「Galaxy Note」を発表して以来、Galaxy Noteシリーズの後継モデルを毎年のIFAで発表し続けてきた。2014年もメディアイベントの案内状や、市内のティザー広告、イベント会場外観などから、Noteシリーズの新製品が発表されることは確実視されていた。

Samsung Electronicsのモバイル/IT部門のプレジデント、DJ Lee氏。左の内ポケットからGalaxy Note 4を、右の内ポケットからGalaxy Note Edgeをそれぞれ取り出して披露した

 発表されたのは、Galaxy Noteシリーズのナンバリングモデルである「Galaxy Note 4」。シリーズの正統進化と言うべき位置付け。専用スタイラスの「S-Pen」を利用したユーザーインターフェイスをブラッシュアップしている。

 搭載するディスプレイは、WQHD(2,560×1,440ドット)のSuper AMOLEDでサイズは5.7型。本体サイズは前モデルよりやや大きくなり78.6×153.5×8.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は176gと発表されている。背面カバーは樹脂素材だが、革のノートの質感を感じさせるソフトテクスチャを採用している。搭載されるOSは、Android 4.4(Kitkat)。プロセッサは2.7GHzクアッドコア。本体メモリは3GBで、32GBのストレージを備える。バッテリ容量は3,220mAh。

 カメラ機能は、背面が1,600万画素、前面が370万画素。前面はセルフィー(自分撮り)に適した広角仕様で、約120度の画角を備えている。本体には指紋センサー、心拍センサー、UVセンサーなど、2月に発表された「Galaxy S5」と同等以上の機能を搭載する。無線機能はLTE Cat.6、IEEE 802.11a/b/g/n/ac(MIMO-PCIe)、NFC、Bluetooth 4.1 LE、ANT+など。

 上記仕様や機能はいずれもグローバルモデルのもので、これまで同様に市場ごとに適したカスタマイズが施されて出荷される見通し。日本市場向けは、これまでの例から想像すると、おサイフケータイなどが搭載されるものと推測される。グローバルモデルの出荷時期は10月と発表された。

グローバルモデルのカラーバリエーションは四色。チャコールブラックとフロストホワイト、ブロンズゴールド、ブロッサムピンクとなる
WQHD(2,560×1,440ドット)のSuper AMOLEDを採用。液晶の対角は5.7型
前モデルからパネルも一新し、Adobe RGBのカバー率は90%以上に
カメラ機能は、前面側でセルフィー(自分撮り)を充実。最大120度の画角を実現
発表会場内のステージから前面カメラで登壇者と聴衆を撮影するデモ
前モデルでは50%充電までに急速モードでも約55分が必要だったが、約30分まで高速化
ボイスレコーダー機能は、マイク位置のシミュレートで発言者の位置も同時に記録
Galaxy Giftとして、プリインストールされるアプリケーション
MONTBLANC(モンブラン)のチーフ・マーケティング・オフィサーが登壇。専用カバー、およびS-Penの提供を発表した

 4代目となったことで、製品として当初ほどの目新しさはないものの、その分使い勝手などがモデルチェンジのたびに洗練されてきている。最大の特徴であるS-Penを使ったユーザーインターフェイスも、Note 4でさらに手を加えられて、新しいマルチウィンドウデザインなどが採用されている。マルチタスキングでは、ウィンドウを分割する機能のほか、ポップアップウインドウや、アイコン化して複数のタスクを同時に画面表示する。筆圧感知もNote 3では1,024段階だったものが、2,048段階へ向上。新たに、スクリーンのクリッピングを容易にする操作も加わった。

 ほかにも、バッテリの50%までの充電を約30分で行なえる急速充電機能、音声レコーダ機能ではマイク位置を仮想化して、会議の録音などでは発言者の位置を把握できるようにもなっている。

 定番モデルになったことで、ブランドとのコラボレーションも充実。背面カバーはスワロフスキーとコラボレーションしたアクセサリを用意するほか、MONTBLANC(モンブラン)ともコラボレーションして、MONTBLAC仕様のS-Pen、および革製のフリップケースなどがラインナップされる。

Galaxy Note 4。これはブロッサムピンク。会場照明の影響で、ハンズオンでの写真は全体的にマゼンタがかぶっている
背面。こちらのカラーはチャコールブラック
370万画素の前面カメラを使ったセルフィー(自分撮り)機能。ハンズオン会場では、このぐらいの範囲をカバーする
Snap Note機能。カメラで撮影する際に、自動的に台形補正を行なう
本体機能で台形の画像を長方形に補正
メモを任意の範囲でクリッピングできる

 ほかにも、周辺機器は従来のフリップカバー、S-Viewカバーなど多彩に揃う。最近のトレンドなのか、LEDカバーも発表された。背面の交換カバーにはワイヤレス充電の、Qi対応カバーも存在する。

 本体カラーはブラック、ホワイト、ピンク、ゴールドの4色構成。ただし、前述のとおりこれはグローバルモデルの仕様なので、日本市場向けに投入される製品のカラーバリエーションがどうなるかは、現時点で明らかになっていない。

MONTBLANC(モンブラン)のウォレットタイプカバーと、モンブランタイプのS-Pen
S-Penのグリップにはクリックボタンを備えている
革製カバーのデザインは2種類
MONTBLANC(モンブラン)とのコラボレーションアクセサリ。革製カバーが2種類、S-Penも2種類が発表された
こちらは、SWAROVSKI(スワロフスキー)のコラボレーションカバー
純正アクセサリのLEDカバー
フリップカバーやS Viewカバーなど、ウォレットタイプのカバーや背面カバーなどが揃うGalaxy Note 4向けの純正アクセサリ
グローバルモデルの主要スペック

Galaxy Noteシリーズ初めての派生モデルは、側面ディスプレイを搭載

 こうして、正統進化を遂げた4代目「Galaxy Note 4」を発表する一方、意欲的な製品も同時に公開した。右側面部分に曲面ディスプレイを採用する「Galaxy Note Edge」である。

 メインの液晶はNote 4同様に2,560×1,440ドットのSuper AMOLEDだが(サイズは5.6型)、その液晶と密着する形で弧を描いたサブディスプレイが右側面のほぼ全体に搭載されている。サブディスプレイの解像度は2,560×160ドット。スペック表記では、ディスプレイ全体として、2,560×(1,440+160)ドットとなっている。カラーはブラックとホワイトの2種類。

「Galaxy Note Edge」のEdge Screen。横に+160ドットの曲面ディスプレイが付いている
側面ディスプレイに各種ツールなどを表示できる
さまざまな情報の「通知スクリーン」としても機能する
カメラ機能を利用する際、シャッターボタンを始めとする各種設定は全て側面ディスプレイ部分を利用できるため、プレビューで隠れる部分が極めて少ない
純正のフリップカバーも、側面ディスプレイ部分をあえて隠さないデザインになっている
近日中にSDKの提供を開始。サードパーティ製の対応アプリケーションが増えることが期待される

 側面部分はメインディスプレイとは独立しているので、アプリケーション解像度はNote 4などほかのスマートフォンと互換性がある。これらのアプリケーションを利用する際に、独立した情報、あるいは関連した情報を表示するのが側面ディスプレイ部分だ。例えばホーム画面であればメイン部分に通常のホーム画面、側面ディスプレイにアプリケーションのランチャー機能を表示できる。あるいはカメラ機能の場合、メインディスプレイからはシャッターを始めとする操作ボタンを排除して、側面ディスプレイ部分に操作ボタンをまとめている。プレビュー画面にボタンを重ねて表示しないように配慮したデザインというわけだ。

 もちろん、Galaxy Note Edgeが最初の製品となるため、前述したホーム画面やカメラ機能のように密接に2つのディスプレイが連携するアプリケーションはプリインストールアプリが中心となる。だが、SamusungはSDKを提供する意向で、サードパーティのアプリケーションでも活用できる可能性がある。いすれは、側面ディスプレイという特異性を活かしたユニークなアプリケーションが生まれるかも知れない。

 今のところは、前述した各機能のサポート用途のほか、天候やツイート、スポーツの結果、着信情報など、いわゆる各種通知を任意で表示できるような機能が本体に搭載されている。これらの通知はスワイプ操作で、次々と表示を切り替えることができる。これはハンズオンで撮影した動画を見てもらうのがいいだろう。

Galaxy Note Edgeの側面ディスプレイ

 スペックはNote 4にほぼ準じる。違いは前述したように液晶サイズが5.7から5.6型になっているほか、バッテリ容量が3,000mAhとやや少ない。本体サイズは82.4×151.3×8.3mmで、重量は174gと発表されている。製品発表はグローバルモデルだが、ある程度は選出した市場に投入するとしている。これは本国である韓国をはじめ、日本を含めて主に先進国向け製品と捉えるのが妥当だろう。

「Galaxy Note Edge」。メインディスプレイと+160ドットの側面ディスプレイ部分は継ぎ目なく連結しているように見える。右側面は弧をえがくカーブデザイン
側面部分。視野角の関係でメインディスプレイ部分はかなり見えにくくなっているが、側面ディスプレイの部分はしっかり見えている
背面カメラ機能の撮影状態だが、シャッターボタンをはじめ各種設定ボタンが側面ディスプレイ側にあるため、プレビューはほぼ全画面が見渡せる
ホーム画面では、アプリケーションランチャーとして利用できる
背面。パネル部分の保護のためか、微妙に縁が広く設定されている右側面の裏側
ツール類。これは定規。メートル表示とインチ表示を選択できる
定規、ストップウォッチ、タイマー、LEDライト、ボイスレコーダーなどが、側面ディスプレイ部分から呼び出せて、側面だけで機能する
これは、ストップウォッチ機能
設定メニューは側面ディスプレイ部分にあり、各種設定が行なえる
各種の通知など、トグル式で側面ディスプレイ部分に表示する項目を選択する
非対応のアプリケーションなど、メインディスプレイ部分で完結する時に表示するメッセージなどが編集できる
パネルがここまで存在するため、鷲づかみでは操作を誤る可能性も高い

 Edgeの名の通り、なかなか尖った使い勝手で、使うユーザーを選ぶ可能性はある。まず何よりNoteの派生モデルということで、本体サイズは大きい。男性の手でも片手操作で全てをまかなうのは難しいだろう。特に右側面はそのままタッチ対応の曲面ディスプレイになっているので、右手持ちで親指を伸ばして操作すると、メインディスプレイより先に側面ディスプレイ部分に触れる可能性が高い。想定されているのは、やはり左手持ちをしてNoteシリーズの最大の特徴であるS-Penを右手に持って操作するということなのだろう。左利きの人には不親切かも知れないが、そうした点でもかなりとんがった仕様だ。

 純正アクセサリはNote 4ほどではないが、それなりに用意されている。特にフリップカバーは、カバーをした状態でも、側面ディスプレイ部分が露出して通知などを確認できるようになっており、やはり通知機能に重きが置かれているのが分かる。一方で、横160ドットとは言え、常時ディスプレイを点灯させているのはバッテリ負担にも繋がるので、パワーマネジメントや表示非表示の切り替えなどは、実際に運用してみて試したいところだ。

 「Samsung Unpacked 2014 Episode 2」ではほかにも、リストバンド型ウェアラブルデバイスの「Samsung Gear S」、Note 4をディスプレイに利用してバーチャルリアリティのヘッドマウントゴーグルにする「Samusung Gear VR」などが公開された。それらの詳細やハンズオンの様子などは、別稿にてお伝えする。

(矢作 晃)