イベントレポート
Toshiba、8型液晶採用Windows 8.1タブレットを展示
~Intel未発表のCPU「Atom Z3740」を搭載
(2013/9/6 00:00)
- 会期:9月6日~12日(現地時間)
- 会場:Messe Berlin
ToshibaはIFA 2013にブースを開設し、同社の最新製品などを多数紹介している。この中10月に出荷開始される予定のWindows 8.1を搭載した8型液晶搭載タブレット「ENCORE(アンコール)」を展示した。
ENCOREは、SoCとして未発表のAtom Z3740(1.33GHz)を搭載しており、これはIntelが来週Intel Developer Forum(IDF)で発表することを予定している、Bay Trail-Tだと想定される。
このほか、ToshibaはBay Trail-Mに相当するとみられる未発表のCeleron N2810およびPentium N3510を搭載した低価格モバイルノート「Satellite NB10」シリーズ、13.3型液晶を搭載したキーボードドック付きスレート型タブレット「Satellite W30t」などを展示して注目を集めた。
Atom Z3740を搭載している8型タブレットのENCORE
Toshibaが発表したENCOREは、液晶ディスプレイに8型のマルチタッチ液晶を搭載したWindows 8タブレット。
当初、1,366×768ドット以上の液晶ディスプレイがWindows 8ロゴ取得の要件になっていたため、8型や7型といった小型/低解像度の液晶を搭載したタブレットは製品化がされなかった。しかし、Microsoftは10月に発売するWindows 8.1で、小型タブレットを実現するため、制限を撤廃することを決めた。
既にAcerの「ICONIA W3」のように、8型で1,280×800ドットといった従来の基準ではロゴ取得が認められないようなものも製品化されつつある。今回Toshiba発表したENCOREもそうした小型ディスプレイを搭載したWindowsタブレットの1つとなる。
ICONIA W3が、Atom Z2760(開発コードネーム:Clover Trail)を搭載しているのに対して、ENCOREはIntel未発表のAtom Z3740(1.33GHz)を搭載。Toshibaでは「次世代のIntelプロセッサ」とだけ紹介しており、詳細は明らかにされなかった。しかし、9月5日に開催されたIntelの記者会見では、このENCOREが「Bay Trail搭載タブレット」として紹介されたので、このAtom Z3740はBay Trail-Tのことだと考えていい。
Intelは既に来週サンフランシスコで開催されるIDFにおいて、Bay Trailを正式に発表することを明らかにしており、SKUなどはそこで公開される。これまでに明らかになっていることは、新たにアウトオブオーダー実行で処理能力を大幅に高めたSilvermont CPUコアを4つ搭載する点と、GPUがIvy Bridgeに内蔵されているGPU(Intel GMA Gen7)のカットオフ版を搭載する点。これによりCPU/GPUともに性能が大幅に強化される(詳しくは以前の記事などを参照していただきたい)。
ENCOREで実際にデバイスマネージャーなどを開いてスペックを確認することが可能になっていたが、それによればAtom Z3740(1.33GHz)が4つ表示されており、クアッドコアであることが確認することができた。メインメモリに関しては2GB(LPDDR3)で、ストレージには64GBのeMMCが採用されていた。このあたりの基本的なスペックは従来のAtom Z2760を搭載したWindowsタブレットと共通になっている。ただ、OSに関してはWindows 8.1の32bit版が採用されており、Windows 8世代ではConnected Standbyと呼ばれていたInstantGo機能に標準で対応している。
国内市場への投入も検討されているENCORE、今年の末までに投入予定
本体のサイズは213×135.9×10.68mm(幅×奥行き×高さ)、重量は450gとなる。ARMベースの8型液晶搭載タブレット(例えばiPad mini)が300~350g程度であることを考えると、決して軽量な部類とはいえないが、8型WindowsタブレットのICONIA W3の重量が500gであることに比べると軽量だ。
採用されている液晶ディスプレイは、8型で1,280×800ドット表示対応のHFFS(High-aperture-ratio Fringe Field Switching)パネルとなる。IPS液晶とは方式が違うが、同じように視野角の広さや視認性の高さが特徴だ。実際の製品も、視野角が広いように感じられた。
外部ポートとして用意されているのは、microSD(SDXC対応)、Micro USB(USB 2.0)、Micro HDMIの3つ。充電専用のポートなども用意されておらず、充電はMicro USBコネクタを利用してUSB型のACアダプタを利用して行なう。無線はWi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n)とBluetoothに対応しており、カメラは前面が200万画素、背面が800万画素となっている。そのほかセンサーとしてはGPSが標準で装備されている。
ヨーロッパ向けのモデルには、家庭用に用途が制限されるMicrosoft「Office Home & Student 2013」がプレインストールされる。Bluetoothなどを利用してキーボードを接続すれば、デスクトップモードで本格的なPCとして利用も十分に可能だ。単なるコンテンツ閲覧だけでなく、文書などを作るような生産的な用途にも使いたいというユーザーがターゲットになるだろう。
ヨーロッパでは第4四半期に投入が予定されているが、東芝 デジタルプロダクツ&サービス社 ビジネスソリューション事業部 事業部長 檜山太郎氏は「ENCOREは年末までに日本国内市場へ投入したい」との意向を示した。Windows 8.1の国内での正式な発売が10月18日に設定されているので、それ以降ということになるだろう。なお現時点では、価格などについては未定とのことだった。
Celeron N2810/Pentium N3510を搭載したSatellite Pro NB10
Satellite Pro NB10は、1,366×768ドット表示対応11.6型液晶を搭載したクラムシェル型のノートPCで、非タッチ版のNB10と、タッチ対応版のNB10tの2ラインナップが用意されている。本体サイズは284×208.6×13.8~21.5mm(同、NB10)ないしは284×208.6×13.8~25.1mm(同、NB10t)で、重量は1.3kgからと構成により異なる。
特徴的なのは採用されているCPUで、Pentium N3510ないしはCeleron N2810となる。現時点ではIntelはこうしたプロセッサー・ナンバーのCPUを発表していないが、Nのついている型番からも想像できるように、現在はAtom Nの型番の後継製品となる、Bay Trail-Mがその正体のようだ。
Intelは6月のCOMPUTEXでBay Trail-Mのブランド名がPentiumやCeleronになることを明らかにしており、来週のIDFで行なわれるBay Trailの発表のタイミングで何らかのアナウンスがあるものと考えられる。そうした出自のCPUを考慮に入れると、Satellite Pro NB10は従来のネットブックの後継だと考えられる。
CPU以外のスペックとしては、最大で4GBのメモリ、500GB HDD、Wi-Fi/Bluetooth、HDMI出力、ミニD-Sub15ピン、SDカードスロット、USB 3.0×1、USB 2.0×2、Ethernetと、クラムシェル型ノートPCとしては十分なスペックを持っており、低価格で持ち運べるノートPCを購入したいと考えるエントリーユーザーに好適な1台となるだろう。なお、現時点では価格は公表されていない。
Satellite Pro NB10シリーズは第4四半期中にヨーロッパ市場への投入が予定されているが、日本市場への投入は現時点では未定とのことだった。
AMDとIntelの両方のCPUがラインナップされる13.3型脱着型タブレット
Satellite W30t、Satellite W30Dtは、13.3型のIPSタッチ液晶を搭載したタブレットPC。脱着型のキーボードドックが用意されており、装着するとクラムシェル型ノートPCとして利用可能だ。CPUにIntelの第4世代Core Yプロセッサを搭載しているのがW30t、AMDのA4 APU(Temash)を搭載しているのがW30Dtとなる。
いずれの製品も最大の特徴は、Windowsタブレットとしては、採用例があまりない13.3型の液晶という比較的大きなパネルを搭載していると言う点。また、ストレージとして2.5インチHDDを採用しているのも特徴的で、現在のモデルでは500GBのHDDが内蔵されている。これはスピードよりも容量とコストを重視したためで、ローカルにデータを保存したいユーザーには嬉しい仕様になっている。
ただし、HDDなどを内蔵するために、本体はやや大型の設計になっている(今回はサイズは非公表)。このため、どちらかというと持ち運びというよりは、家庭やオフィスの中などで、持ち運ぶデバイスとしての用途が考えられているようだ。