【COMPUTEX 2011レポート】
【AMD編】次世代APU「Trinity」を初披露し順調な開発をアピール

発表会場

会期:5月31日~6月4日(現地時間)
会場:Taipei World Trade Center Nangang Exhibition Hall
   Taipei World Trade Center Exhibition Hall 1/3
   Taipei International Convention Center



 米AMDは台湾時間の1日、COMPUTEX会場近隣のホテルで記者発表会を開催。この中で同社は、先だって発表された「AMD 9」シリーズチップセットや、近々発表予定のAPU「Llano」のほか、次世代APU「Trinity」についても情報を公開した。

リック・バーグマン氏

 同社プロダクトグループ上級副社長兼ジェネラルマネージャのリック・バーグマン氏はまず、「人間は会話では1分間に150語前後のやりとりしかできないが、画像や映像はその400~2,000倍も高速に情報をやりとりできる」と述べた上で、デジタルライフにおいては今後まずます画像や映像に触れる機会が多いうえ、その解像度も向上するため、それを処理するためには高度なGPU機能を統合したCPUが必要だと、APUの必要性を説いた。

 そのAPUを下支えするチップセットとして、バーグマン氏は、本イベントの前日に発表されたAMD 9シリーズを紹介した。同チップセットは、従来のSocket AM3対応CPUとの互換性を保ちながら、今後登場するSocket AM3+ CPUに対応。また上位モデルでは、最大で4枚のビデオカードを取り付けられる。

 そして、Socket AM3+のCPUについては、今後60~90日以内に、「Zambezi」(ザンベジ、コードネーム)を出荷予定であることを告げた。このCPUは、新マイクロアーキテクチャである「Bulldozer」コアを採用し、デスクトップ向けとしては初の8コアになるとしている。

 Zambeziはビデオ機能を内蔵しないが、現行のAPUであるAMD C/Eシリーズの上位モデルとなるクアッドコアCPU「Llano」(リャノ、同)を6月の中旬に、Zambeziと同じBulldozerコアでGPU機能を内蔵する「Trinity」(トリニティ、同)は2012年に投入する。

 バーグマン氏は、最初に登壇した際、「私はCOMPUTEXのこの場で毎回新CPUのウェハをみなさんに紹介してきたが、今回のスピーチでその予定はない。ただし、別のサプライズを用意している」と述べていた。ここで同氏はTrinityの実チップをポケットから取り出し、その姿を初めて公開し、新製品の開発が順調であることをアピールし、今後毎年最高の性能を持つAPUを投入していくと語った。

AMD 9シリーズを発表8コアCPUのZambeziは60~90日で投入
2012年までのロードマップTrintyの実チップを初披露するバーグマン氏

 続いて、同社コンピューティングソリューショングループ コーポレート副社長兼ジェネラルマネージャのクリス・クローラン氏が登壇。同氏は、Llanoの製品ブランドが「AMD A」シリーズとなることを明らかにした。

 AMD Aシリーズはデスクトップおよびノートブック向け双方に用意され、前者は最大で500GFLOPS、後者は400GFLOPSの処理能力を持つという。

 また、同社上級副社長兼チーフマーケティングオフィサーのナイジェル・デッソー氏は、AMD Aシリーズ投入以降の新しいVISIONプラットフォームブランドについて紹介した。

 エントリーモデルとなるAMD Eシリーズ搭載製品は、VISION E2となり、AMD Aシリーズ搭載機については、VISION A4、VISION A6、VISION A8という3つに区分される。

 加えて、AMD Aシリーズでは、CPU内蔵と外付けのGPUを同時に利用し、CrossFireのように負荷分散を図る機能が搭載されるため、そういった製品については「DUAL GRAPHICS」というロゴも与えられる。

 このほか、タブレット向けにAMD C/Eシリーズと同じアーキテクチャの「AMD Z」シリーズを追加投入することも発表されたが、2012年にはその後継の「Hondo」(ホンド、同)が、ノートブック向けには「Krishna」(クリシュナ、同)が予定されている。

 発表会の最後には、Acer、ASUSTeK、HP、Lenovo、MSIの代表者が順に登壇し、タブレットから16型クラスのメインストリームまで幅広い製品が投入されることが紹介された。

クリス・クローラン氏Llanoの製品名はAMD Aシリーズにナイジェル・デッソー氏
これまでのVISIONブランドAMD Aシリーズ以降はこのようになり、外付けGPU搭載機についてはDUAL GRAPHICSのロゴもつく
タブレット向けにAMD Zシリーズを追加投入パートナーとの記念撮影AMD CPU搭載機の一例

(2011年 6月 6日)

[Reported by 若杉 紀彦]