イベントレポート

Huawei、その日本市場での躍進

 CES 2017において、Huawei日本法人副社長の呉波氏(端末統括本部長)がPC Watchの単独インタビューに応え、2017年の同社の日本での活動について語った。

 呉氏は、6年間、中国・深センにあるHuawei本社でセールスプレジデントを経験したあと、日本の市場を見るために2007年に来日した。

 今回、Huaweiは米国市場にスマートフォンの「Honor 6X」や「Mate 9」を投入することで、再参入に近い形の活動を始めることになった。以前に参入していたアメリカの市場でのHuaweiの営業成績は、自社ブランド、OEMを含めて500万台くらいは確保できており、成功していないと言われるアメリカ市場でも、現在の日本より大きなセールスを確保できていたとする。

 呉氏は世界一難しいのが日本の市場だと言う。世界第3位の市場としての日本は、とにかくやりにくい、難しいと呉氏。なぜならそれは、品質に対する要件と、新しい技術に対する感度が高いからだ。

 だからこそ、いろいろなことを先んじなければならない。実際、こうしたことを忠実に実践しながら生き残ってきた。呉氏によれば、一貫して堅持しているのが「生き残る」ことであると言う。それが呉氏の哲学だ。

 Huaweiは、CES 2017の開幕に先立ち、米国でのHonor 6X発売をアナウンスしているが、そのプレスイベントでは、Huaweiと言う企業名をいっさい出さなかった。これは、日本の市場をGalaxyと言うブランドで戦うことにしたSamsungの戦略に似ている。

 そのことを呉氏に聴いてみると、海外のメーカーが日本で生き残るのは本当に大変だが、日本のHuaweiではそこまでは考えてはいないと言う。したがって、SIMロックフリーの市場では、Huaweiのブランドを自信を持って露出していくと言う。そのために、リアル店舗をよりいっそう充実させることを考えているそうだ。

 年末の納会で呉氏が社員に向かって毎年必ず告げることがあると言う。それは「今年も終わった。生き残れた。来年はまたゼロからスタート」と言う言葉だ。心を空にして、まっさらな気持ちでマーケットと向き合っていくことが必要で、毎年リセットが必要だとし、そのあと、一同で3分間に渡って拍手をし続けるそうだ。

 呉氏は、今年はSIMロックフリーのマーケットをさらに強化したいとし、そのための仕事を1つ1つこなしていくと言う。リアル店舗を増やすとともに、販売員の教育もきちんとやっていくことで、新たな層の顧客獲得に積極的に取り組みたいとした。

 量販店展開ではいけないのかと言う指摘に対して、今、Appleだけがで自前のショップで売っているが、他のメーカーはやっていないことから、その効果はグレーで、今のところはとにかくリアル店舗の展開を優先したいと考えているとのことだった。

 どのやり方が正しいとか、間違っているとはいえないが、日本のマーケットは複雑であり、他社と同じことをやっても勝てるとは限らない。だからこそ、Huaweiのフラグシップショップを全国に展開するべく、既に候補ロケーションの選定の段階に来ているとのことだった。

 今年は、フラグシップスマートフォンのP9後継機としてのP10や、Windows 2in1の新Matebookといった製品の発売が予測されるHuaweiだが、そのプレミアム感を日本の市場でどう演出できるかがカギとなる。別記事でのWan氏インタビューにもあるように、多くのプレーヤーが参入し、競争が激しい方がイノベーションは活発になる。同社の今後の躍進に期待したい。