イベントレポート

プレミアム路線を貫くHuaweiのMatebook

~Snapdragon搭載Windowsモデルの可能性はいかに

「Matebook」

 2016年のMWC 2016でHuaweiが突然発表した2in1の「Matebook」。同社としては初のWindowsデバイスだ。通信業界のイベントで、WAN通信機能を持たない製品を新発表という点でも業界の注目を集めた。

 CES 2017において、Wan Biao氏(同社President, Mobile Broadband and Home Device Business CBG)がPC Watchのインタビューに応え、もうすぐ1周年を迎えるMatebookについて、今年2017年の展開について語った。

 まず、MateBookは1機種に留まらないシリーズとなる。そして、そのシリーズはプレミアム感のある製品で構成されるものになるだろうとWan氏。Huaweiとしては、この製品のデザインに大きなこだわりを持っていて、スタイリッシュで携帯性にすぐれた美しいインダストリアルデザインを重視していくという。

HuaweiのWan Biao氏

 また、ビジネスパーソン向けとして、より高性能なCPUを搭載していきたいとも言う。気になる4G、つまり、SIMスロットを装備してWAN通信ができるようにするかどうかはまだ未定だそうだが、出せるとしても早くても2017年下半期になる見込みだ。

 ただし、WAN非対応のものはもう少し早く出てくるということだった。Matebookの日本発売は2016年の7月だったので、日本での1年目に何かが起こることを期待できそうだ。

 HuaweiのPC市場への参入については、過去10年、PCのイノベーションはスマートフォンに比べて遅いことを指摘。その遅さは、この業界のプレーヤーの数が少なすぎるからだという。だが、消費者はもっと革新的な製品が出ることを求めているし、需要もある。ユーザーはみな、バッテリが長持ちして、携帯性が高く、おしゃれなデバイスを求めていると、Matebookのコンセプトを再確認した。したがって、参入企業が多ければ多いほど、イノベーティブな動きが活発になるのではないかというのがWan氏の考えだ。

 HuaweiがPC市場に参入した大きな動機としては、今まで同社が培ってきたものを、よりいろいろな形で活かしたかったところがあるともいう。Huaweiは、もともと通信を出自とした会社としてビジネスを進めてきた。通信インフラと、そのクライアント群だ。それをよりいっそう活かしたいというのがWan氏の考えだ。こうしたことからも、WAN対応のMatebookは期待してもよさそうだ。

 QualcommのSnapdragonでのフルWindows 10の可能性についても訊いてみた。

 Matebookは現在、Intelのプロセッサをを搭載している。だが、どこのプロセッサを使うかはあくまでもオープンであるとする。他のプロセッサが優秀であれば使わない理由はないとも言う。

 ただし、SnapdragonでのWindowsは、その性能がHuaweiの求める要件を満たしているかどうかを分析中であるとのことだった。Microsoftとの話し合いも、まだ、積極的に進める段階には至っていないとする。このことから、Huaweiは当面、Snapdragon搭載Matebookをリリースする可能性は薄そうだ。

 また、Huaweiは、独自プロセッサとして、ARMアーキテクチャのKirinプロセッサを擁する。当面、x86デスクトップアプリをエミュレーションで稼働させるフルWindows 10は、Snapdragon限定だが、Kirinでの稼働の可能性、その搭載機のリリースについては、このプロセッサでWidnowsを動かすかどうかを含めて結論はまだ出ていないと言う。

 KirinはAndroidを稼働させることを前提に設計され、非常に優れたチップセットとして、他のメーカーには追随できないものと考えているが、そこで、Windowsがどう動いてくれるのかまだ疑問符を持っている状態で、望んだとおりの性能を発揮できるのかなど、OSとの親和性を担保できない限りは、あくまでもKirinはAndroid用として使うという。

 こうしたWan氏の発言を統合すると、HuaweiとMicrosoftやIntelの間でのパートナーシップはまだ始まったばかりであると同時に、その距離感を感じ、水面下での動きも微妙な段階にあることが分かる。