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米産業安全保障局、中国Huaweiを輸出規制対象リストに追加

~PC製品は事業継続が困難になるおそれ

 米産業安全保障局(Bureau of Industry and Security、以下BIS)は、5月16日より中国Huawei Technologiesとその関連企業を、エンティティリストに追加したことを公開した。

 エンティティリストはBISが管理しているリストの1つで、米国の安全保障や外交政策上の利益に反すると判断された個人や団体などが掲載される。

 対象への輸出取引が原則的に禁止される「違反禁止顧客リスト」とは異なるが、輸出管理規則では、エンティティリスト対象への米国製品や技術の輸出、再輸出などを行なう場合、追加の要件と許諾が必要とされるため、事実上の輸出規制となる。

 なお米国の輸出管理規則では、規制対象への米国からの直接輸出に対してのみならず、日本など第三国を経由して米国製品が輸出される場合にも同様の規制を受ける。

 今回追加されたのはHuawei Technologiesのほか、Kirin SoCなどを製造しているHiSiliconなど、Huawei関連企業72社が対象とされており、日本や英国、カナダなど26カ国の現地法人も対象に含まれている。

 このエンティティリスト追加の影響により、ロイター誌では20日(米国時間)、米Googleが中国Huaweiに対するハードウェアおよびソフトウェア、技術サービスの提供を停止していると報じている

 Googleは、僚誌ケータイWatchの問い合わせに対して、BISの決定を遵守するとともに影響を精査するとしており、取引の中断を認めている。なお、既存のHuawei製端末については、Google PlayおよびGoogle Play Protectによるセキュリティ保護機能は継続利用できるとしている。

 本件のHuawei製品への影響としては、スマートフォン/タブレットなどのAndroid端末では、OSそのものについてはオープンソースのため継続利用できるものの、YouTubeなどのGoogle関連サービス、Google PlayストアやGoogle Play開発者サービスといった基本部分が今後の製品で利用できないため、中国国外市場への影響は大きい。なお、中国国内では以前からGoogle製サービスやPlayストアなどは利用できないため、中国国内市場への影響は限定的とみられる。

 PCやサーバー関連製品については、基幹部品であるx86 CPUを製造するIntelおよびAMD、Windows OSを開発するMicrosoftが米国企業であり、それぞれが輸出規制を遵守した場合、事業継続は難しくなることが予測される。

 Huaweiでは、BISによる決定に反対するとの声明を発表しており、本決定は誰の利益にもならず、Huaweiと取引のある米国企業に大きな経済的な打撃を与えると同時に、米国内の雇用に影響を与え、グローバルなサプライチェーンで培われてきた協業と相互の信頼を分断させるものであると表明。また、すぐにも救済策を探ると同時に本件の解決を図り、積極的に本件による影響の低減に努めていくとしている。