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Copilot for Microsoft 365、その入力指示自体をAIが補助可能に
2024年5月8日 21:00
米Microsoftは8日(現地時間)、生成AIサービス「Copilot for Microsoft 365」の機能拡張を発表した。同サービスのプロンプトでオートコンプリートが利用可能となるほか、ボタンクリックでよりリッチなプロンプトに変換したりするなど、入力自体を生成AIがアシストしてくれるようになる。
Microsoftが2023年に発表し、日本では1月からサービスインしている「Copilot for Microsoft 365」は、企業向けの「Microsoft 365」などに生成AIのサービスを提供するオプション(一般消費者向けにはCopilot Proが提供されている)。国内の料金は月額3,200円。
Copilot for Microsoft 365では、一般的なLLM(大規模言語モデル)同様、プロンプトと呼ばれるテキストベースで生成AIに指示を出すが、今回のアップデートでその指示自体を生成AIがアシストする「オートコンプリート」機能が追加。これにより、Webブラウザと同じように、数文字入力すると自動でプロンプトの文字が追加される。
たとえばプロンプトに「Summarize」(要約)という文字を入力すると、その後に自動で「my last 10 unread emails」(直近の未読電子メール10件)という文字が自動で追加される。
「リライト」機能は、非常に単純なプロンプトへの指令を、「Elaborate your prompt」という新ボタンを押すことで、AIが指示内容を類推してより詳細なプロンプトへ書き換えてくれる。プロンプトになれているユーザーであれば当たり前の指示を、初めてCopilot for Microsoft 365を使うユーザーでも出せるようになる。
「キャッチアップ」は、電子メールやスケジュールの追加など、Microsoft 365でのアクティビティを生成AIがチェックし、それにもとづいた即応性のあるリコメンデーションを提供する機能。たとえば重要なミーティングのスケジュールを表示し、それに関係するようなPowerPointの資料などをリンクに表示してユーザーの準備を促すといったことが可能になる。
Copilot Labでは、役職や部課の種類により異なるニーズを反映した、作業内容を正確に把握するためのプロンプトを作成、管理し、公開できるようになる。部課それぞれのニーズに合わせて調整を行なうことが可能になる。
これらの機能は今後数カ月以内に利用可能になる。さらにより利便性が高いプロンプトを実現すべく、今後も改良を重ねていくとMicrosoftは説明している。
従業員の78%はAIサービスの活用を始めている
Microsoftはここ数年働き方などの意識調査として行なっている「Work Trend Index」の結果を発表している。これまでMicrosoftは3度この調査を行なってきたが、4度目となる今回はLinkedInも調査に協力し、共同リポートという形で公表された。31カ国3万1,000人を対象に調査が行なわれ、今回は特にAIの利活用に関しての意識調査が行なわれた。
それによれば、従業員の75%は既にAIの利活用を始めており、そのうち46%はこの6カ月に使い始めたばかりだという。従業員の多くはAIを活用することで時間を節約し創造性を高めることが可能になるなど生産性が高まっていると考えていると説明されている。
また、BYOAI(Bring Your Own AI、企業が従業員向けに用意しているAIではなく、従業員が独自の判断で活用しているもの)を利用している従業員の割合も78%にのぼっており、従業員はAIを活用したがっているのに対して、企業が従業員に与えているAIツールは十分ではなく、従業員が自分の判断やコストでAIツールを使っていることが多いことが浮き彫りになっているとしている。
特にGen Z(18歳~28歳)では85%に達するなど、若い世代ほどその傾向は顕著になっている。また、LinkedInとの共同調査では、リーダーのうち66%がAIスキルのない従業員を雇いたくないと答えているという。
Microsoftのサティヤ・ナデラCEOは「こうした調査により、すべての組織がテクノロジーを活用することで、よりよい意思決定、コラボレーション、生産性の向上を実現する機会があることが浮き彫りになっている」と述べている。