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Intel、初の“自己学習型”チップ「Loihi」

 米Intelは25日(現地時間)、“今までに類を見ない”という“自己学習型”のテストチップ「Loihi」(開発コードネーム)を発表した。

 近年、構造化されていない自然なデータから収集/分析/意思決定する必要性が高まっており、従来のCPUやGPUとは異なる計算能力が求められるようになっている。Intelでは過去6年間、このような用途に適する特殊なアーキテクチャについて開発/研究が行なわれてきたが、Loihiはその研究成果の一環だという。

 Loihiは、環境からのさまざまなフィードバックに基づいて動作することを学習するという脳の機能を模倣し、トレーニングと推論を1チップ上で実行し、自己学習を行なうのが特徴。これにより、従来の伝統的な機械学習をすることなく、データから学習して推論するまでの動作を簡略化し、エネルギー効率を高められるという。

 従来の機械学習型の深層学習は、大量のトレーニング用データを用意する必要があり、また、トレーニング用のデータが特定の要素や状況を具体的に考慮してないかぎり正しく動作しない分野もある。たとえば人の心拍数は運動量や個人によって異なるため、機械学習だけでは「正常値」を割り出すことはできない。自己学習を行なうLoihiであれば、ユーザーの行動を常にトラッキングして、そのユーザーに対しての「正常値」を学習できるわけだ。

 Loihiは脳の基本的な構造を模倣したデジタル回路で構成されており、13万ニューロンと1億3,000万シナプスの処理能力を提供する。完全な非同期の神経形態学的な多コアメッシュで構築され、各ニューロンは何千ものほかのニューロンと通信できる。製造プロセスは14nm。2018年上半期に主要大学や研究機関に提供する予定としている。