やじうまミニレビュー
ケンジントン「ExpertMouse OpticalBlack」
~4ボタン+同時押し2ボタンが利用可能、左手でも使えるトラックボール
(2015/4/30 06:00)
以前、左右どちらの手でも使えるトラックボールとして、ケンジントンの「OrbitTrackball with Scroll Ring(以下OrbitTrackball)」を紹介したが、当初の目的である肩こりの解消に十分な効果があると分かったこと、また使い続けるうちに機能面で物足りなさを感じるようになったこともあり、上位のモデルへと買い替えることにした。今回はその上位モデルこと、同じケンジントンの「ExpertMouse OpticalBlack」を紹介したい。購入価格は8,562円だった。
本製品は前回の「OrbitTrackball」と同様、左右対称で左手でも問題なく使えるデザインを採用している。ただし、ボールを中心に中央部が盛り上がる形状の「OrbitTrackball」とは異なり、本製品は平らな台座の中心にボールを配置した形状で、見た目のデザインは全く異なる。価格帯が違う製品とはいえ、同じメーカーの製品とは思えないほどだ。
それゆえ「OrbitTrackball」のように手のひらで本体を包み込む握り方ではなく、キーボードのホームポジションに手を置いているかのような握り方になる。「OrbitTrackball」に比べるとフィット感には乏しいが、決して操作しにくいわけではない。もし角度が急すぎると感じるなら、付属のリストレストを使って調節すればよい。
機能面での特徴としては、「OrbitTrackball」と同じく、ボール周囲にホイールと同じ機能を持つ「スクロールリング」を搭載することに加え、ボタンを4つ搭載することが挙げられる。ホイールボタンが搭載されないのは「OrbitTrackball」と同様だが、実質2ボタンだった「OrbitTrackball」に加えてさらに2つのボタンがあるので、1つにホイールボタンの機能を割り当てたとしても、まだ余裕がある。一般的なマウスの操作は、十分に代替できることになる。
これらボタンに機能を割り当てるには、専用ユーティリティ「TrackballWorks」を利用する。左右ボタンの配置変更はもちろん、個別のキーストロークの登録も可能なので、例えば「Ctrl+Tab」というショートカットを割り当て、タブブラウザでタブを順番に切り替えるなどの役割を追加できる。ゲーミングマウスのようなマクロの登録まではさすがに無理だが、メディア再生用のキー割り当て、ウインドウの最大化最小化などのデスクトップ周りのキー割り当てなども用意されており、自由度は高い。
またこの「TrackballWorks」では、「左上+右上の同時押し」および「左下+右下の同時押し」にも動作を割り当てられる。これにより、4ボタンと合わせて合計6つのアクションを割り当てて利用できる。「左下+右下の同時押し」などは握り方によってはホームポジションのままでは押しにくく、常用には向かない場合もあるが、例えば画面のロックやタスクマネージャの起動など、片手では押しづらかったり、あるいはホームポジションから手を離して押すことになるショートカットを割り当てて活用するのも、1つの方法だろう。
ボールは前回の「OrbitTrackball」が40mmだったのに対し、こちらは55mmと大きく、ビリヤードの的玉よりわずかに小さい程度だ。自重があるためスムーズに回転させるにはやや力がいるが、むしろ「OrbitTrackball」のようにボールが軽すぎて制御しにくいこともなく、細かいコントロールも容易だ。しばらく使い込むと手の脂などで回転が軽くなってくるので、最初のうちに重く感じても、そう心配することはない。勢いをつけてボールを回転させた時の慣性も違和感はなく、ポインタの行方が分からなくなることもない。
ボールの周囲に配置されたスクロールリングは、回転させた時にわずかに感触があるタイプ。使い始めはあまりスムーズではなく、不規則な引っ掛かりを感じたが、数日間使っているとスムーズに動作するようになった。とは言えあまり微細なコントロールをするのに向いていないことは明白で、もう少し精度が高ければと思わなくもない。筆者は主用途がブラウザの上下スクロールなので、多少の誤差は許容範囲内だが、ユーザによっては狙った位置でピタッと止めにくいことにストレスを感じるかもしれない。
本製品のさらに上位モデル「SlimBlade Trackball」のように、ボールをひねる動きにまでアクションを割り当てられるといった派手な機能はなく、どちらかというとオーソドックスな製品だが、実質6ボタンで使える点など、「OrbitTrackball」との価格差なりの価値は十分にある。既に10年近いロングセラー商品であり、それなりに“枯れて”いるのも、安心して導入できる要因となるだろう。
唯一のネックはボディが大柄なこと。とくに付属のリストレストを装着すると、かなりの存在感になる。左手で使うのならキーボードの左側に、右手で使うならその反対側に、設置スペースを確保できることは、事前に確かめておいた方がよさそうだ。