Windows 7を契機にリスタートの準備を進めるUQ WiMAX



 この連載でも何度か取り扱ったUQ WiMAX。データ通信専用の高速WANとして期待したユーザーも多かったと思うが、実験サービスでの評判は必ずしも良いものばかりではなかった。

 筆者は、モバイルWiMAXに関して現在の携帯電話と同程度のカバーエリアを期待していない。しかしWi-Fiのことを気にせずに出先のカフェや駅、公園などでインターネットにつながればそれでいいという気持ちで使っているのだが、多くのユーザーは違う。ほとんどのユーザーは自宅内のどこでも使え、携帯電話と同じように出先でエリア内に入っていることを望む。

 おそらく、こうしたサービスエリアへの期待度と実際のサービスエリアのギャップは、ユーザーごとに大きく違っていると思われる。UQコミュニケーションズ関係者と話すと「まだまだ、とにかく基地局を増やしていかなければならない。ただ、この短期間でここまでの基地局を揃えたことは自信になっている。今後もこのペースで基地局を増やしたい」と話していた。しかし、今もなお基地局増強中ということは、必ずしも期待通りの結果が得られていないことも示している。

 UQコミュニケーションズとしては、これからさらに増強するので状況は日々改善していくと前向きなつもりでも、月々の固定料金を支払うユーザー側からすると、使いたい場所で使えないとまだまだ、あるいはWiMAXはダメかと後ろ向きな結論になりがちだ。

 もっとも、正式サービス開始後の整備も進み、年度末に向けた基地局増強計画も順調に進みつつあるようで、関係者の顔は明るくなってきた。来月には都内の基地局数、基地局密度は、当面のライバルと見られるイー・モバイルとほぼ同等になるという。

 Windows 7とともに次々に発売されるWiMAX内蔵モデルへの期待も大きい。

●お客様の会でこれからのUQ WiMAXに言及
UQコミュニケーションズ田中社長

 UQコミュニケーションズは試験サービス実施中より、「UQ WiMAXお客様の会」というイベントを開催している。実際に利用しているユーザーを集め、実際にテーブルを囲んでさまざまな要望、希望に対してUQコミュニケーションズ幹部たちが直接答えることで、相互の理解を進めてUQ WiMAXのサービス向上に役立てようというものだ。

 先日、10月中旬に行なわれた第3回目には筆者も出席させていただいたが、冒頭からUQコミュニケーションズ田中社長が、将来どのようにUQ WiMAXを発展させていこうと思っているのか。定型のプレゼンを並べて予想されるコメントと出すだけでなく、そのロードマップや基地局増強計画について、具体的な数字を盛り込みながら解説するなど、なかなか突っ込んだ内容にまで踏み込んで話していたのが印象的だった。

 田中氏は「ご存じのように、基地局を建てるためには、その1個ずつを総務省に申請し、免許をもらう必要がある。この数は総務省のWebページで確認できる。10月5日時点でのUQ WiMAXの基地局免許数は3,696個。免許を受けてから基地局を設置し、実際に稼働し始めるまでの時間は約1カ月なので、11月5日には約3,700の基地局が動き始める。このペースで基地局を設置し続け、今年度末までには約7,800局に達する見込み」と、コンスタントに基地局数が増えていることを数字で示した。

 ちなみにイー・モバイルの現在の基地局数は約8,100局で、この数字はしばらくの間増えていない。おそらく年度末(来春)には基地局数でUQ WiMAXが追いつき、追い抜いていく計算になる。もちろん、イー・モバイルの3.5Gネットワークが使っている電波は1.7GHz帯であり、UQ WiMAXの2.5GHz帯よりも浸透性が高いため、同程度の基地局数と密度ならば、ビルなど屋内のカバーエリアではまだ追いつけないかもしれない。

 もっとも、こうした数字に対して持つ感想は、人それぞれだろう。携帯電話と同じようなサービスエリアで使えなければ意味がないと考える人もいれば、自宅のブロードバンド回線代わりに使うから壁際に無線ルータを置ければ十分という人もいると思う。しかし、出先でPCを使って仕事に活用するという使い方であれば、実際にUQ WiMAXを使って仕事をしている経験から言うと意外に屋内でも使えるケースは多くなってきた。このまま基地局が2倍になるなら、期待できるという印象だ。

 ただし、言うまでもなく主役はやはりWiMAX内蔵PCだ。パナソニックが積極的にWiMAXを搭載しているが、WiMAX内蔵PCはUSB通信モジュールに比べて同じ場所でも電波を拾えることが多い。加えて内蔵WiMAXでは“お試し”がより手軽に、簡単にできるからだ。

●内蔵WiMAXなら何度でもTry WiMAXできる

 ユーザー側はTry WiMAXを使ってどのぐらい使えるものか、実際に体験してから購入するのが良いが、もしPCの買い換えタイミングと合うならば、WiMAX内蔵モデルを選んでみるのもいいかもしれない。非内蔵モデルとの差額は1万円程度だ。Windows 7モデルでは数多くのWiMAX内蔵モデルが用意されている。

 パナソニックなど一部のWiMAX内蔵PCでは、UQ WiMAXの15日間無償トライアルが付属しており、自由に試すことができる。そのまま気に入らなければ契約しなければいい。また、UQコミュニケーションズ提供のサービスがバンドルされたWiMAX内蔵モデルであれば、トライアル終了後、90日を経過すると、またもう一度、15日間無償トライアルに参加できる。これは何度でも繰り返せるので、満足できるサービスエリアになったと思った時点で契約をすればいい。

【お詫びと訂正】初出時にすべてのWiMAX内蔵PCに15日間トライアルがあると記載しておりましたが、上記記載の機種に限られます。お詫びして訂正させていただきます。

 と知人に話したら、15日ごとにリカバリをかければ、ずっと使えるのかと問われた。しかし管理はMACアドレス単位なのでそれは無理で、リカバリをかけても徒労に終わる。

 現在、WiMAX内蔵モデルがあるPCは19機種だが、まだ未発表の製品もあり、今後はさらにこの数字が増加していく。さらにはIntelのモバイルプラットフォームが次の世代に移行する際、通信モジュールも現在のEchopeak(Intel WirelessLink 5150)からKillmerpeak(Intel WirelessLink 6250)へと切り替わる。すると同じWiMAXでもより上位の規格で接続可能となり、18〜20Mbpsぐらいの速度で通信可能になる。

 また、Try WiMAXのアンケート結果などで、ユーザーがもっとも重視していることが分かった自宅での利用をチェックするため、UQコミュニケーションズ社員による自宅での通信品質調査も行なったという。本来はユーザーの自宅で詳細なデータを取りたいところだろうが、昨今はプライバシーなどの問題もあって満足に協力を得られないといった背景もある。屋外での通信可能なユーザーは東京23区内で90.5%、リビングなど室内での利用可能な世帯は73.3%になったという。23区外になるとそれぞれ50.4%、31.6%に落ちてしまう。

 これまでは23区内のカバーエリアや山手線沿い、成田エクスプレス沿いといった、ビジネス客を中心に目的意識を強く持ったエリア展開を行なってきたが、今後はユーザーの自宅をカバーエリアにするべく23区外への展開を強め、都内並に郊外の通信品質を高めていきたいと田中氏は話した。

エリア整備計画 基地局の建設計画 提供エリアの拡大
通信品質 Intelの開発計画 WiMAX搭載PCの優位性
PCへ標準搭載を目指す

●ローミングは精算方法を残すのみ。来年には下り350Mbpsの次世代WiMAXへ

 個人的にモバイルWiMAXで期待しているのが、国際ローミングだ。ホテルだけでなく、さまざまな場所で使えるようになればSkypeを使った国際電話代わりなど多くの場面でモバイルPCを活用できるようになる。

 UQコミュニケーションズは米クリアワイア、露ヨタと3社でローミングに関する会議を進めており、精算方法をどのようにするかを話し合っているそうだ。というのも、相互の接続に関しては規格上、問題のないことが分かっており、サービスへの接続認証を行なうプロトコルも標準化されている。さらに、接続ツールもIntelがすべて供給しているため、全く問題がないからだ。

 実際、田中氏が米国訪問した際は、クリアワイア側が田中氏のPCに内蔵されているWiMAXモジュールのMACアドレスを登録しておいたため、現地で問題なくローミングができたという。

 精算方法も、基本的には固定料金(1日いくら、1週間いくらといった単位で通信量フリーのプラン)で提供される見込みとのことだ。

 さらに来年には次世代モバイルWiMAXの802.16mの実験サービスを開始する。下り350Mbps、上り112Mbpsというスペックになる予定だ。田中氏は、「データ通信サービスでは最速であり続けることを目指しているため、LTEよりも先に世の中に出す」とユーザーに約束した。

 ちなみにIntelはIDFにおいて、非公式にWirelessLink 6250を802.16eカテゴリ4+という規格に対応させると話していた。UQコミュニケーションズは、カテゴリ4+への対応も進めていくというから、端末側がそろってくれば現行基地局でカバー可能な範囲でも、実効20Mbpsよりも速い速度でのサービスも可能になっていくだろう。

 また、本社ビルで実験を続けてきた、ビル内のWiMAXリピータ局(ビル内に対してWiMAXの電波を吹いてサービスエリアを広げる手法)のノウハウが蓄積されてきたため、これを一般の企業向けビルや商業施設などで活用することや、UQコミュニケーションズ自身でMID(モバイルインターネットデバイス)を企画・販売していくこと、UQ WiMAXとUQ Wi-Fiのシームレスな接続といったテーマに取り組んでいくことなども明言した。

世界各国で導入が進むWiMAX 国際ローミング WiMAX技術のロードマップ

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(2009年 10月 22日)

[Text by 本田 雅一]

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