最新液晶ディスプレイ ピックアップ

日本HP「HP ZR2240w」
~IPSパネルで豊富な入力系統とピボット機構を装備



 ZR2240w
液晶サイズ21.5型
パネル方式IPS方式
表示解像度1,920×1,080ドット
アスペクト比16:9
画素ピッチ0.2475mm×0.2475mm
表面処理ノングレア
バックライト方式白色LED
応答速度8ms(GTG)
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト有効時 200万:1)
視野角上下/左右とも178度
輝度250cd/平方m
表示色約1,670万色
走査周波数水平:24kHz~94kHz
垂直:50~76Hz
チルト角度下5度/上35度
高さ調節90mm
スイーベル左45度/右45度
ピボット機能あり
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
DisplayPort×1
HDMI×1
ミニD-Sub 15ピン×1
USBアップストリームポート×1
出力端子USBダウンストリームポート×4
スピーカーなし
VESAマウント対応(100mm×100mm)
電源内蔵
消費電力標準35W/最大52W
付属品DVI-Dケーブル
DisplayPortケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
USBケーブル
電源ケーブル
ユーティリティディスク
本体サイズ508×23.4×36.7~45.7mm(幅×奥行き×高さ)
重量5.74kg

 日本ヒューレット・パッカード(日本HP)は、ワークステーション用の液晶ディスプレイ「HP Workstationディスプレイ」シリーズの新モデルを発売した。発売されたのは、液晶サイズの異なる4製品で、今回はその中から21.5型の「HP ZR2240w」を取り上げる。法人向けとして位置付けられた製品ではあるが、日本HPの直販サイト「HP Directplus」では個人でも購入可能。また価格も安価で、個人用途としても魅力のある製品となっている。価格は、HP Directplusの直販価格で26,250円。

●本体デザイン

 HP ZR2240w(以下、ZR2240w)のデザインは、法人向けとして位置付けられた製品ということもあってか、かなりシンプルなものとなっている。本体側面部にシルバーのラインが施されているものの、それも目立つものではなく、他にも特に目立つ装飾はない。オーソドックスなデザインと言っていいだろう。ただ、本体やスタンドはプラスチックの素材がそのままで、やや安っぽく感じる。

 本体サイズは、508×23.4×36.7~45.7mm(幅×奥行き×高さ)。21.5型の液晶パネルを採用するとともにベゼル部は狭額で、サイズは比較的コンパクトだ。また、液晶バックライトに白色LEDを採用しているため、バックライトに冷陰極管を採用する従来モデルに比べ液晶部の奥行きもかなり薄くなっている。とはいえ、最近では極端に薄い液晶ディスプレイも登場しているため、特別薄いとは言えない。

 付属のスタンドは、下3度から上35度までのチルト角度調節機構、最大90mmの高さ調節機構、左右それぞれ45度ずつのスイーベル機構に加え、液晶の角度を90度回転できるピボット機構を備える、高機能なものとなっている。また、液晶面のぐらつきもほとんど感じられず、安定して利用できる点も嬉しい。スタンドのネック下部には、ケーブルを束ねる穴が用意されており、ディスプレイケーブルや電源ケーブルをすっきりとまとめられる。電源ボタンやOSD操作用のボタンは、液晶下部側面ベゼル右側に集められている。ボタンは全て物理ボタンだ。

●液晶パネル

 1,920×1,080ドット表示対応の21.5型液晶を採用。パネルの方式はIPS方式で、上下の視野角が広く、多少視点が移動しても色合いや明るさが変化して見えることはない。応答速度は、中間色で8msと特に高速というわけではないが、映像やゲームを表示させても残像はほとんど気にならなかった。バックライト輝度は250cd/平方mで、明るさは標準的。パネル表面は非光沢処理が施されており、外光の映り込みはほとんど気にならない。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、DisplayPort×1系統、HDMI×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計4系統を用意。DisplayPortだけでなくHDMIポートが用意されている点はポイントが高く、ビジネス用途以外でも十分に対応できる。ただし、スピーカーは搭載されず、音声出力やヘッドフォン出力もないため、HDMIで接続したとしても音声は再生できない。このあたりは、ビジネス向けらしい割り切りと言える。

 映像以外の接続端子としては、USB 2.0アップストリームポートが1ポートと、USB 2.0ダウンストリームポートが4ポート(底面に2ポート、左側面に2ポート)用意されており、USBハブ機能を搭載する。各種USB機器を接続して利用可能だ

●OSD

 OSDメニューは、比較的シンプルなものとなっている。調整できるメニューは、輝度やコントラスト、色温度、赤緑青の3色調節など、基本的なものが中心で、プロのグラフィックス用途の製品のような、高度な調節は行なえない。とはいえ、必要なものは揃っているので、一般ビジネスや通常の個人用途で利用するのであれば、特に不満を感じることはないだろう。

 OSDメニューの操作は、液晶下部ベゼル右側に用意されているボタンを利用する。ただボタンが横に並んでいることもあって、やや操作に戸惑うことがあった。ボタン上部の液晶画面に操作ガイドを表示するなどの工夫があると良かったように思う。

●画質

 グラフィックス用途をターゲットとした製品というわけではないものの、発色は鮮やかで、表示品質はこの価格帯の製品としては十分に優れている。また、ダイナミックコントラスト有効時には200万:1という優れたコントラスト比が実現され、メリハリのある映像が表示できる。一般ビジネス用途での利用はもちろん、個人用途でデジカメ写真を表示させたり、HD動画を再生させるといった用途でも十分に満足できる表示品質を備えていると言っていい。もちろん、IPS方式の液晶パネルを採用しているため視野角が広く、多少視点が移動しても色合いの変化などはほとんど感じられない。

 応答速度は中間色で8msと、特別高速なわけではないが、実際に動画やゲームなどを表示させてみても、ほとんど残像を感じることはなかった。また、表示遅延についても、ゲーム機を接続して比較的入力にシビアなタイミングでの入力を要求されるゲームをプレイしてみてが、大きな違和感は感じられなかった。スピーカーや音声入出力端子が用意されないため、ゲームやAV機器などを接続して利用するという用途にはあまり向かないかもしれないが、外部スピーカーを併用すれば、ゲームやAV用途のディスプレイとしても十分に活用できるだろう。

 ZR2240wは、液晶パネル表面に非光沢処理を施したり、高機能なスタンドが付属している点や、OSDでの設定項目が比較的シンプルなことなら、どちらかというと文字入力が中心のビジネス用途をメインターゲットにしていると考えていい。しかし、発色は十分に鮮やかで、プロレベルの発色性能を求めなければ、グラフィックス用途にも十分に対応できる。また、映像入力端子が豊富で、DisplayPortだけでなくHDMIポートも用意されている点も魅力がある。

 個人で利用する場合には、スピーカーが搭載されていなかったり、音声入出力端子がない点は少々残念に感じるかもしれない。しかし、これだけの表示品質があれば、個人用途で不満を感じることはないはずだ。販売価格が26,250円とかなり安価な点もあわせて、ビジネス用途だけでなく個人用途で利用する液晶ディスプレイとしてもオススメしたい。

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(2011年 10月 25日)

[Text by 平澤 寿康]