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デル「U2412M」
~WUXGA表示対応のIPSパネル採用機



 U2412M
液晶サイズ24型
パネル方式IPS方式
表示解像度1,920×1,200ドット
アスペクト比16:10
画素ピッチ0.27×0.27mm
表面処理ノングレア
バックライト方式LED
応答速度8ms(GTG)
コントラスト比1,000:1(ダイナミックコントラスト有効時 200万:1)
視野角上下/左右とも178度
輝度300cd/平方m
表示色約1,670万色
走査周波数水平:30~83kHz
垂直:50~61Hz
チルト角度下4度、上21度
高さ調節115mm
スイベル左45度、右45度
ピボット機能あり
入力端子DVI-D(HDCP対応)×1
DisplayPort×1
ミニD-Sub 15ピン×1
USBアップストリームポート×1
出力端子USBダウンストリームポート×4
デル製サウンドバー用DC電源コネクタ端子
スピーカーなし
VESAマウント対応(100×100mm)
電源内蔵
消費電力標準38W/最大72W
付属品DVI-Dケーブル
ミニD-Sub15ピンケーブル
USBケーブル
電源ケーブル
ユーティリティディスク
本体サイズ556×180.3×513.5mm(幅×奥行き×高さ)
重量約5.73kg

 デルは、表示品質に優れる液晶ディスプレイ「デジタルハイエンドシリーズ」に属する新製品「U2412M」を発売した。1,920×1,200ドット表示対応の24型IPSパネルを採用しており、比較的安価な製品ながら、優れた表示品質を実現している点が特徴だ。販売価格は34,980円。

●本体デザイン

 U2412Mのデザインは、デル製液晶ディスプレイとしてオーソドックスな、スクウェアなデザインとなっている。液晶パネル部側面部分とスタンドのネック部分のみシルバーで、ほかには特に目立つ装飾などもなく、落ち着いた印象だ。

 本体サイズは、556×180.3×513.5mm(幅×奥行き×高さ)と、アスペクト比16:10の液晶パネルを採用していることもあり、24型液晶としては若干高さがある。とはいえ、ベゼル部は十分に狭額で、特別大きいわけではない。バックライトにLEDエッジライトを採用しているため、液晶パネル部の厚さも比較的薄い。

 付属のスタンドは、下4度から上21度までのチルト角度調節機構、最大115mmの高さ調節機構、左右それぞれ45度ずつのスイベル機構に加え、液晶の角度を90度回転できるピボット機構を備える高機能なものとなっている。また、ぐらつきが少ない点もポイントが高い。スタンドのネック部分には、接続ケーブルを束ねる穴も用意されている。

 電源ボタンやOSD操作用のボタンは、他のデル製品同様、液晶右側面ベゼル下側に集められている。ボタンは物理ボタンで、操作性は申し分ない。

●液晶パネル

 1,920×1,200ドット表示対応の24型液晶を採用。パネルの方式はIPS方式のため、視野角が広く、多少視点が移動しても色合いや明るさが変化して見えることはない。応答速度は、中間色で8msと特に高速というわけではないが、映像を表示させても残像が気になることはほとんどなかった。バックライト輝度は300cd/平方mで十分に明るい。また、パネル表面は非光沢処理が施されている。

●接続端子

 映像入力端子は、DVI-D(HDCP対応)×1系統、DisplayPort×1系統、ミニD-Sub15ピン×1系統の計3系統。DisplayPortを標準で用意しているのに対し、HDMI入力が用意されていないことから、ビジネス向けとして位置付けられた製品と考えていいだろう。本体下部には、オプションで用意されているスピーカーユニット「デル サウンドバー AY511」を固定するためのフックと、電源出力が用意されている。ただし、ディスプレイ自体には音声入力や音声出力端子は用意されない。

 映像以外の接続端子としては、USB 2.0アップストリームポートが1ポートと、USB 2.0ダウンストリームポートが4ポート(底面に2ポート、左側面に2ポート)用意されている。

●OSD

 OSDメニューの構成は、他の同社製品に採用されているものとほぼ同等。ただし、グラフィックス用途での利用を想定した上位モデルでは、6軸カラー調整など、かなり充実した設定項目が用意されているのに対し、U2412MのOSDは設定項目がやや少なく、全体的に簡略化されているという印象だ。とはいえ、色合いや輝度、コントラスト、ガンマ調節など、必要な項目はほぼ網羅されており、実際に使用する上で不便に感じることはないだろう。

 OSDメニューの操作は、液晶右側ベゼル下部に縦に並ぶ4個のボタンを利用して行なう。OSDメニューを呼び出すと、ボタン横の画面に操作ガイドが表示されるため、戸惑わずに操作可能だ。

●画質

 広色域表示に対応する液晶パネルを搭載する上位モデルと比べると、表示品質は若干劣るように感じるが、デジタルカメラで撮影した画像やBlu-ray Discなどの映像コンテンツを表示させても十分鮮やかな映像が表示される。IPS方式の液晶パネルを採用しているため視野角が広く、輝度やコントラストも優れる点も合わせ、この価格帯の製品としては十分に満足できる表示品質が備わっていると言っていいだろう。

 応答速度が8msと若干遅いが、筆者が映像コンテンツやゲームなどを表示させて確認したところでは、ほとんど残像を感じることはなかった。もちろん、動画などのシビアな表示能力を求めるなら、より高速な応答速度を実現した製品を選ぶべきだが、通常の使用の範囲内であれば、ほぼ問題ないと考えられる。表示遅延については、比較的入力にシビアなタイミングでの入力を要求されるゲームをプレイしてみてが、大きな違和感は感じられなかった。

 U2412Mは、IPS方式の液晶パネルを採用するデルのデジタルハイエンドシリーズに属する製品とほぼ同等の表示品質を実現したうえで、1,920×1,200ドットと広い表示解像度を実現したことに加え、パネル表面が非光沢処理となっている点、優れた機能を持つスタンドが付属している点などから、主にOffice系アプリケーションなどを利用する、文字入力が中心の一般ビジネス向けとして最適だ。

 広色域モデルではないため、プロレベルの映像処理用途としては少々物足りないが、個人レベルでデジタルカメラで撮影した写真を編集したり、ゲームや映像コンテンツを楽しむといった用途であれば、表示品質も十分に満足できる。HDMI端子が用意されていないため、ゲーム機や外部映像機器を接続して利用するという用途には対応しづらいが、PCのみを接続して利用するのであればその点も全く問題がないし、DisplayPortが用意されているので、マルチディスプレイ用途としても重宝するだろう。もちろん、34,980円という安価な価格帯で、1,920×1,200ドット表示に対応する点も、大きな魅力で、一般ビジネス用途から個人用途まで幅広い用途に対応できる製品としてオススメしたい。

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(2011年 8月 26日)

[Text by 平澤 寿康]