2014年10月1日

2014年9月30日

2014年9月29日


平澤寿康の周辺機器レビュー

【特別編】バッファロー、USB 3.0対応製品開発者インタビュー
〜対応カードとHDDを世界初の商品化



 最大5Gbpsという高速なデータ転送速度を実現するとともに、USB 2.0などに対応する従来のUSB機器との互換性も保たれており、次世代の周辺機器接続インターフェイスとして有望視されているUSB 3.0。10月7日、バッファローは、他社に先駈けUSB 3.0対応のインターフェイスカードおよび外付けHDDをいち早く市場に投入すると発表した。

USB 3.0対応の外付けHDDの試作品 PCI Express x1対応の、USB 3.0インターフェイスカード試作品

 そこで今回は、バッファローでストレージ製品のマーケティングを担当している、ストレージ事業部 STマーケティンググループの中村智仁氏、ストレージ製品の開発を担当している、ストレージ事業部 ストレージ開発グループリーダーの伊藤司氏、広報を担当している、事業推進部 販売促進グループ 広報担当の山下誠氏に、今回発表されたUSB 3.0対応製品について話をうかがった。

●USB 3.0のメリット

Q:初めに、USB 3.0のメリットはどういった部分にあると考えているかお教えください。

ストレージ事業部STマーケティンググループ 中村智仁氏

中村: 速度という面では、ストレージやGigabit EthernetのUSBネットワークアダプタなど、従来のUSB 2.0では速度が足りなかったものにメリットがあると思います。また、HDDの速度は頭打ちになっているので、RAID対応、特にストライピングされている外付けHDDに有効だと思います。

 また、USB 3.0の一番いいところは、USB 2.0に接続しても利用できるというところです。今までの他の高速インターフェイスとは違って扱いやすさが段違いですので、将来非常に有望だと考えています。

Q:eSATAなどの他のインターフェイスのように、コネクタの存在を意識することなく、USB 3.0に対応していないPCを利用していても、USB 3.0対応の周辺機器を利用できるという点は大きなメリットですね。

中村: そうですね、インターフェイスの種類を意識せずに使えるという意味では、従来よりも早く普及する可能性は十分にあります。それから、これまでは、いくら高速なHDDを搭載しても、USB 2.0の速度でHDDが持つ速度のメリットが引き出せませんでしたが、USB 3.0ならフラッシュメモリとHDD、SSDなど、それぞれを速度で棲み分けできるようになりますので、そういった意味でもUSB 3.0の普及は大事だと思っています。

ストレージ事業部 ストレージ開発グループリーダー、伊藤司氏

Q:今回発表された、USB 3.0ホストコントローラとUSB 3.0対応外付けHDDの開発は、特に大きな問題なく進みましたか。

伊藤: いえ、当初は問題だらけで、かなり苦労しました。また、現時点でも出荷に向けて最終調整を行なっている段階です。それでも弊社は、インターフェイスとデバイスの双方を扱っていて、インターフェイス側とデバイス側の双方で安定度を高めるすり合わせが行なえますので、かなり安定した動作が実現できます。これは、過去の経験上の弊社のノウハウも役立っています。

Q:USB 3.0に既存のUSB 2.0機器を接続した場合もトラブルもありましたか。

伊藤: そちらも、開発段階ではいくつか問題もありましたが、その都度、問題を解決していきました。出荷段階では、問題のない状態になります。

Q:それはハード的、それともドライバレベルでの問題でしょうか。

伊藤: ドライバやファームウェア、使用するドライブ(HDD)など、さまざまな問題が付きまとっています。しかし、それはUSB 2.0が登場したときもほぼ同じ状況でした。USB 3.0特有の問題というわけではなくて、発生する問題やそれを解消するための作業量は特に変わらない感じです。

●今回発表された製品について

Q:今回発表された製品の試作モデルをいち早くお貸し出しいただいて速度を計測してみましたが、実際に130MB/secを超える速度が確認できました。HDDの速度がほぼフルに発揮されていると思いますが、速度の上限はどの程度になるのでしょうか。

伊藤: 速度面は、現時点でもSATAに近い速度が出ていますので、(この製品に関しては)ほぼ上限だと思っています。あとは、弊社独自のTurboUSBなどでパフォーマンスをアップさせるといったところです。ちなみに、限界を見るといった意味でSSDを接続して試しましたが、その場合には200MB/sec以上の速度が出ているのは確認しています。

中村: 現時点では、HDDやSSDなどをシングルドライブで接続して安定した動作を実現することを最優先にしています。ですので、速度の限界がどの程度なのかということについてはまだ調べていません。しかし、超高速なシステムを接続した場合にどの程度のパフォーマンスが発揮できるのかというのは、今後調べる必要があると思っています。

USB 3.0対応外付けHDDは、シーケンシャルアクセスで読み出し125MB/sec、書き込み131MB/secを確認
UTurboUSB利用時には、読み出し135MB/sec、書き込み136MB/secを記録。HDD自体の速度がほぼフルに発揮されている


テスト環境
CPU Core i5-750
マザーボード Intel DP55KG
メモリ PC3-10600 DDR3 SDRAM 2GB×2
グラフィックカード Radeon HD 4670
HDD Western Digital WD3200AAKS
OS Windows Vista Ultimate SP2

Q:今回発表されたUSB 3.0対応製品の位置付けはどのようなものでしょうか。

中村: 今回の製品では、各社のHDDの中でも、120〜130MB/secほどの、最も速度が出るものだけを利用しようと考えています。従来の製品では、高速なHDDから低速なHDDまで、どれを接続しても最大限の速度が得られるようにファームウェアをチューニングしていますが、今回の製品では、最高速のHDDに絞り込んでチューニングを行なっています。

 USB 3.0の市場がブレイクするのは、チップセットにコントローラが内蔵された以降だと考えています。今回のスタート時点では、新しいテクノロジーへの感度が高い方や、既存の外付けHDDの速度に不満を持っている方などが(購入層の)中心でしょうから、我々としてはフラッグシップモデルと位置付けています。

Q:内蔵HDDは7,200rpmのドライブのようですが、極限まで速度を追求するという意味で、10,000rpmなどの超高速HDDを搭載するといった予定はありますか。

伊藤: やってみるのは面白いかもしれませんが、発熱など速度以外の問題を考慮する必要があります。また、10,000rpmのHDDを搭載したからといって、劇的に速度が変化するというと、それほど大きな差は生まれないと思います。あと、価格的にもかなり厳しいと思います。

Q:インターフェイスボードと外付けHDDが同梱販売ではないようですが。

中村: 当初は、インターフェイスボードと外付けHDDのセットモデルも検討していました。しかし、インターフェイスボードが意外と安く発売できることになりましたので、バラで出すことにしました。価格的には、外付けHDDは既存製品よりも4,000〜5,000円ほど高い程度になります。インターフェイスボードも5,000円前後でないと厳しいとは思っていますので、頑張って安く出す予定です。(インタビュー時には、価格は発表されていなかった)。

Q:Windows 7への対応はすでに完了していますか。

中村: 弊社の製品では、ストレージ機器に関しては、9月出荷の新製品からWindows 7の32bit/64bit双方にフル対応で出荷しておりますので、今回発売するUSB 3.0製品についても全てWindows 7対応となっています。

Q:USB 3.0対応製品の登場で、eSATA対応製品の位置づけが難しくなると思われますが。

中村: eSATAの位置づけがかなり難しくなるのは事実です。実は、我々の販売実績では、すでにeSATA対応外付けHDDの売れ行きが大きく落ちています。eSATAは、電源供給できるタイプの登場が遅すぎた感じですね。今市場で売れているのは、圧倒的にUSB 2.0対応製品です。そういった意味では、最も期待できるのはやはりUSB 3.0と言えます。

●今後の展開について

Q:まずはインターフェイスカードと外付けHDDを発表されましたが、その他の製品はどういったものを想定していますか。

中村: USB 2.0だと最大限の速度が活かせなくなるBlu-rayドライブはやらないといけないでしょう。それと、SSDですね。SSDを2ドライブでRAIDで、というのは当然あると思うのですが、値段がかなり高くなるはずなので、売れるかどうか難しいところではあります。ただ、2年後ぐらいには出しても面白いかもしれません。

Q:PCI Express x1以外のインターフェイスボードの発売予定はありますか。例えばPCI用とか。

中村: PCI Express Gen2と、ExpressCard対応の製品を発売する予定です。PCI用の予定は現時点ではありません。今回はUSB 3.0のマックスのスピードを楽しんでもらうというところに注力していましたので、PCI用のボードは案としてはありましたが見送りました。ただ、ネタ的には面白いので、将来USB 3.0対応の周辺機器が豊富に出回った段階で出すかもしれません。

Q:USBメモリのUSB 3.0化とかはどうですか。

中村: USBメモリは、SSDのようにマルチチャネルやインターリーブといった手法はハイエンド製品に搭載されていますが、USB 3.0にすることによる効果が出るかどうか難しいです。当然、USB 3.0に対応させるとさらに金額も上がりますので、現時点ではかなり厳しいと思います。

事業推進部 販売促進グループ 広報担当、山下誠氏

山下: 弊社で出している、USBポートを追加したSSDのように、(コスト的に)コントローラが気軽に使えるレベルになれば、そういったものも出てくると思います。

Q:そのように、気軽に出せるようになるのは何年後ぐらいになると思いますか。

中村: うまく行けば、2年後ぐらいには激変している可能性があると思っています。チップセットに載れば当然ですが、製品の数が増えればチップも安くなりますので。我々としては、1年ぐらいで変わってくれると嬉しいのですが、1年では少々厳しいと思います。

Q:当初はUSB 3.0は、速度を活かすという活用が中心になりそうですか。

中村: そうですね、速い部品を使った速度を活かした製品、速度を活かしたソリューションなどが中心になると思います。

伊藤: それと、USB 2.0ではバスパワーが500mAでしたが、USB 3.0では900mAまで上がりますので、バスパワーのみで動作する製品も幅が広げられると思います。

Q:最後に、USB 3.0への期待度と、今後の展望をお聞かせください。

中村: これまでインターフェイスのせいでHDDの高速さが失われていたのが、USB 3.0なら限界値まで発揮させられますので、我々としては非常に期待が大きいですし、これからどんどん伸びていって欲しいと思っています。現在、USB 2.0が市場を席巻していますが、それと同じような形に早い段階でなってもらいたいですね。外付けHDDが大容量でこんなに高速なんだということを、早く全てのユーザーが体感できるようになってもらいたいと思います。

 さらに、デジタル家電で取り扱うデータはどんどん大きくなっています。デジタル家電にUSB3.0が搭載されると飛躍的に普及に弾みがつきますので、PC業界以外への普及も期待しています。

 USB 3.0に関しては、今回発表した商品を皮切りに、ユーザー様に喜んでいただける商品を連続して出していきたいと思っています。このところPC業界はかなりの不況ではありますが、新しいテクノロジーやソリューションを提案しつつ、魅力のある商品を投入していかなければ、業界の活性化につながりませんので、これからも頑張っていきたいと思っています。

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(2009年 10月 7日)

[Text by 平澤 寿康]

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