山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ

Amazon「Kindle Paperwhite」(セットアップ編)
~日本語に完全対応したE Ink搭載Kindleの最新モデル



Kindle Paperwhite

発売中
価格:139ドル



 Amazonの「Kindle Paperwhite」、6型のE Ink電子ペーパーを搭載した読書端末だ。新たにライトを内蔵し、暗所での読書が可能になったことが大きな特徴。また、Kindleとして初となる日本語のメニューを搭載し、同梱のユーザーズガイドも含め、日本のユーザーが利用することを念頭に置いた製品に仕上がっている。

 本稿執筆時点では日本版Kindleストアはまだオープンしていないが、日本語メニュー以外にも、総務省の技術基準適合証明マークが取得済みであるなど、端末自体はこのままの仕様で国内投入されると見て間違いないと思われる。今回はまずセットアップ編として、外観周りと日本語チュートリアルの紹介、および新機能であるライトを中心としたハードウェアについて紹介する。

Kindle Paperwhite。本稿執筆時点ではAmazon.comから日本への発送は対応しておらず、輸入代行業者を使って購入。価格は139ドルと、従来モデルと同じ背面には技適マークもある

●ついに日本語に完全対応

 Kindleは2010年に発売された第3世代モデル(俗に言うKindle 3。現在はKindle Keyboardと呼称される)で初めて日本語フォントを搭載し、本文およびリスト画面での日本語表示が行なえるようになった。ただしメニューは日本語非対応のままで、第4世代のKindleでは多言語メニューが搭載されたにもかかわらず、日本語のメニューはその中に含まれていなかった。

 第5世代に相当する今回のKindle Paperwhiteは、メニューも含めて日本語に完全対応しており、設定画面はもちろん、スタートガイドなどもすべて日本語化されている。第2世代モデルが国内で入手できるようになってから3年、ついに日本語への完全対応を果たしたというわけだ。日本語対応してすぐの海外製品にありがちなたどたどしい日本語もみられないほか、フォントも中華混じりのCJKフォントではなく明朝とゴシックの日本語フォントをそれぞれ搭載、さらに日本語辞書も搭載するなど、完璧といっていい仕上がりになっている。

 以下、開封から初期設定、スタートガイドまでの流れをスクリーンショットでご覧いただきたい。購入時に使用したアカウントが到着時点ですでに本体に登録されており、IDやパスワードの入力作業が一切必要ないまま使い始められるのは、これまでのKindleと同様だ。

パッケージは従来と同じく一辺が斜にカットされた形状で、本体色に合わせた黒一色(ところどころにムラがあるのは送り状をはがした跡)。ちなみに同時に発表された第5世代KindleファミリーのKindle Fire、Kindle Fire HDもほぼ同じ形状のパッケージを採用している破線部分を切り取って開封する。従来モデルは画面にフィルムが貼られていたが、今回は本体ごと透明な袋に封入されている同梱品一覧。本体のほか、1ページの注意書き、さらにUSBケーブルという簡素な内容。ケーブル色は本体色とは無関係に白のまま
画面に「電源」の2文字が表示されている。メニューに日本語が登場するのは従来モデルも含めてこの箇所が初めてということになる電源を投入すると、オープニング画面のあとに言語選択のメニューが表示される。もちろん日本語を選択して「OK」をタップ恒例のオープニング画面。日本語が選択されたことに合わせてバックグラウンドでセットアップを行なっているものと思われる
最初の画面。周囲の集中線らしきデザインが不思議な雰囲気を醸し出している。この段階で、フォントが従来の中華風のCJKフォントではなく、きちんとした日本語フォントが使われていることがわかるまずはWi-Fi接続。自動検出されたSSIDの1つを選択してパスワードを入力する。WPSも利用できる。また画面下部のソフトキーボードにある「あいう」と書かれたキーから、日本語入力にも対応していることがわかる
登録済みアカウントをそのまま利用するか、あるいは別のアカウントを使用するか尋ねられる。今回はAmazon.comのアカウントがプリセットされていたが、ここでAmazon.co.jpのアカウントと切り替えられるようになるのかもしれない。ちなみにこれは別アカウントを選択しようとした際の警告表示で、通常のフローでは表示されないFacebookとTwitterとのアカウント連携を設定できる。機能としては従来と変わらないようだ。設定はここでいったん完了し、次からは間を置かずにスタートガイドに切り替わる

●スタートガイドには日本語書籍の書影も

 初期設定が終わると、続けてスタートガイドが表示される。タップ位置による挙動の違い、文字サイズの変更方法、範囲選択を用いた機能など、主要な操作方法が一通り紹介される。実際に指し示されたエリアをタップすることで先にすすめる仕組みになっているので、読みながら操作していくことで一通りKindleの操作方法を体験できる。

 操作方法は基本的に従来のKindle Touchに準じているが、ホームボタンが廃止され上部のツールバー内に一本化されたことで、何かメニュー周りの操作をする時は画面の上部をタップすればよくなり、直感的な操作性はさらに向上したように感じられる。これだけでも一般的な読書端末やアプリに比べるとかなり使いやすい部類に入るが、これに加えてスタートガイドで丁寧に説明してくれるのは好印象だ。電子書籍に馴染みのないユーザーであっても、周りの人の手助けをほとんど必要とせず、使いこなせることだろう。

クラウドと端末の切り替え方の説明。仕組みこそ従来と同じだが、より馴染みやすい呼び名および操作方法へと改められている。ただし「コレクション」などの分類方法は従来のまま本の選択方法が示されている。実在する本の書影が用いられているのが興味深い。詳しくは後述する次のページに進むためのタップ位置を示す図。一般的な読書端末やアプリに比べて範囲がかなり広く取られており、EasyReachと呼称されている
前のページに戻るための領域はかなり狭いが、頻度を考えるとこの程度が妥当だろう。ちなみにこれら領域の分割は従来のKindle Touchに準じている本モデルでは物理的なホームボタンが廃止されたため、ホーム画面へのリンクを含む移動にあたっては上部の「Kindleツールバー」を表示する。機能的にはnookに搭載されているナビゲーションボタンに近い2段になったツールバーの下段には、フォントオプションや移動ボタンが表示される
フォントサイズは8段階、フォントは明朝とゴシックの2種類を搭載する。行間および余白も3段階で調節可能長押しすることにより単語が選択される。ちなみに縦書きのサポートが公式に明らかになるのはこの画面が初めて内蔵辞書、ここではデジタル大辞泉と連携して意味を表示している様子。先の画面では「トリプル」だけが選択されていたのにこの画面では「トリプルアクセル」が選択されているのはツッコミどころだろうか
単語の意味を調べるのと同様の選択操作で文字列にハイライトをつけたり、SNSでのシェアが可能文字列にハイライトをつけた状態。実際の選択時には範囲を調整するための三角マークが表示されるので、一発で選択できなくても調整が可能ライトに関する説明。従来なかった目玉機能だが、説明はかなりあっさりとしたもの
Kindleストアへの移動方法の説明。「Kindleストア」という表記が出てくるのもここが初めて。本以外にわざわざ「漫画」という単語を用いていたり、雑誌や新聞に言及していない点が示唆的。ちなみに漫画については「Kindleパネルビュー」なる機能を利用できることがユーザーズガイドに記載されているスタートガイドはここまで。実際に左上のホーム画面をタップして移動するホーム画面が表示された状態

 ところでやや余談になるが、このスタートガイドの背景には日本版Kindle Storeで取り扱われるとみられる日本語書籍9点の書影がうっすらと表示されており、同ストアのラインナップを垣間見ることができる。もちろんこの9点だけで全容がわかるとは思えないが、講談社、小学館、集英社の大手3社の名前がなかったり、ビジネス書寄りの出版社が多かったりと、なかなか示唆に富んでいるように思える。

スタートガイドの背景には日本語書籍がうっすらと表示されている。これは松下幸之助著「リーダーになる人に知っておいてほしいこと」(PHP研究所)こちらは左から笹本祐一著「ミニスカ宇宙海賊」(朝日新聞出版)、近藤麻理恵著「人生がときめく片づけの魔法」(サンマーク出版)、鎌田浩毅著「座右の古典」(東洋経済新報社)
左から、築山節著「脳が冴える15の習慣」(日本放送出版協会)、 菅原裕子著「子どもの心のコーチング」(PHP研究所)、岩崎夏海著「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)本田直之著「レバレッジ・リーディング」(東洋経済新報社)、吉田順著「浅田真央 さらなる高みへ」(学研教育出版)

●ライトは24段階で調節可能。「ペーパーホワイト」の製品名に偽りなし

 ホーム画面が表示されるまでのステップを紹介したところで、仕様面をチェックしていこう。

 本体色はブラック。第3世代の途中までがほぼ純白のホワイト、その後モデルチェンジして第3世代と第4世代がグレー、そして今回がブラックと、世代を重ねるごとに本体色が濃くなっている。タブレットタイプのKindle Fireと色を統一するという意図もあるかもしれないが、今回のモデルに限ってはベゼル部分を黒くすることで、画面の白さを際立たせる意図もあると思われる。

画面サイズは6型、16階調モノクロ、解像度は758×1,024ドットと従来の600×800ドットに比べると高精細(212ppi)になっている上面。とくに端子類はない底面。microUSBポート、LED、電源ボタンが並ぶ。MP3プレーヤー機能とText-to-Speech機能が廃止されたことでイヤフォンジャックはなくなった
左側面。とくに端子類はない右側面。とくに端子類はない背面。上部の「kindle」ロゴは、従来のKindle Touchではシルク印刷だったが今回はモールド処理されている。スピーカーは非搭載

 その画面については、ライトを内蔵しているのが大きな特徴だ。液晶のようなバックライトではなく上方から照らすフロントライト構造であるため、光が直接目に飛び込んでくるのと違い、長時間見つめていても目が痛くなることがない。少なくとも数時間見続けた程度では、目を刺すような痛みを感じることはなかった。

 このライトはデフォルトでオンになっているため、見た目には紙のように真っ白に見える。設定画面でライトをオフにすれば従来と同様の灰色がかった画面になるので、実際にはライトによって白く見えているだけなのだが、視野角によってもほとんど変化しないので、発光していることをほとんど意識しない。本製品をしばらく見たあとでほかのE Ink端末を見ると暗く沈んだように見えてしまうほどで、他社にとってはかなり脅威だろう。「ペーパーホワイト」の製品名に偽りなしといったところだ。

光量はスライドバーのタッチ操作により24段階で調節が可能。実用上はなんら問題はないのだが、むしろ段階が細かすぎて狙った光量でぴたっと止めるのが難しい。もう少し段階は少なくてもよかったのではと思う。また、センサによる自動輝度調節機能はないベゼルの段差を覗くとライトの光が漏れているのが見える。光は画面の上下それぞれから発している
【動画】本体の電源をオンにしたのち、ホーム画面からライトの光量を調整している様子。指でスライドさせることで、24段階で切り替わる

 もっとも、実はこのライトについては、発売直後から下部にムラがあることが報告され、問題になっている。具体的には下端の部分が波打ったように光量が変化している点を指して、不良品ではないか、という指摘があるようだ。現時点で本製品を入手しようとすると納期が約4~6週間と、これまでのKindleシリーズからするとかなりの長期欠品になっているのは、これらの改善に時間を要しているからなのかもしれない。不良とみなされるのか、それとも仕様ということで落ち着くのか現時点では不明だが、やや気になるところではある。

撮影後にトーンカーブを調節し、画面下部の光量のムラをわかりやすくした状態。たしかに中央左寄りと右端が暗く、中央右寄りが明るいように見える。現時点では不良なのか仕様なのかといった見解は明らかになっていない同じくフロントライトを搭載した「NOOK Simple Touch with GlowLight」(右)との比較。NOOKも使っていてムラを感じるレベルではなかったが、こうして比べると本製品の均一さがよくわかる。それだけに下部のムラが今後どのように扱われるかは気になる

●ストレージ容量削減やText-to-Speech機能の廃止に注意

 話が前後するが、従来モデルである「Kindle Touch」、および国内で入手可能なほかのE Ink端末と比較しながら、仕様についてもう少し詳しく見ていこう。

【表】他機種比較

Kindle PaperwhiteKindle TouchPRS-T2kobo Touch

Amazon.comAmazon.comソニー楽天
サイズ(幅×奥行き×高さ)117×169×9.1mm120×172×10.1mm110×173.3×10.0mm114×165×10mm
重量約213g約213g約164g約185g
解像度/画面サイズ758×1024ドット/6型600×800ドット/6型600×800ドット/6型600×800ドット/6型
ディスプレイモノクロ16階調 E Ink電子ペーパーモノクロ16階調 E Ink電子ペーパーモノクロ16階調 E Ink電子ペーパーモノクロ16階調 E Ink電子ペーパー
通信方式802.11b/g/n802.11b/g/n802.11b/g/n802.11b/g/n
内蔵ストレージ約2GB(ユーザー使用可能領域:約1.25GB)約4GB(ユーザー使用可能領域:約3GB)約2GB(ユーザー使用可能領域:約1.3GB)約2GB(ユーザー使用可能領域:約1GB)
メモリカードスロットなしなしmicroSDmicroSD
バッテリ持続時間(メーカー公称値)8週間(Wi-Fiオフ)6週間(Wi-Fiオン)/2カ月(Wi-Fiオフ)約30,000ページ、最長2ヵ月(Wi-Fiオフ、1日30分読書時)、最長1.5ヵ月(Wi-Fiオン)約1ヶ月
電子書籍対応フォーマットKindle (AZW3、AZW), TXT, PDF, unprotected MOBI, PRC natively; HTML, DOC, DOCX, JPEG, GIF, PNG, BMP through conversion.Kindle (AZW), TXT, PDF, unprotected MOBI, PRC natively; HTML, DOC, DOCX, JPEG, GIF, PNG, BMP through conversion.XMDF(mnh/zbf).book、EPUB、PDF、TXT、JPEG、GIF、PNG、BMPEPUB、PDF
電子書籍ストアKindle StoreKindle StoreReader Store、紀伊國屋書店BookWebkoboイーブックストア
価格(2012年10月14日現在)139ドル(広告なしモデル)-9,980円7,980円
備考
販売終了、後継はKindle Paperwhite
PDFは楽天koboで販売しているPDF書籍のみがサポート対象。対応フォーマットは仕様として公表されている以外にCBZ、CBR、JPG、GIFなどの表示が可能

 サイズはわずかにKindle Touchよりも小さくなっているが、もとのKindle Touchが6型のE Ink端末としてはかなりゴツかったこともあり、差し引きゼロといったところだ。重さは残念ながら従来と変わらず213gということで、ソニーPRS-T2に比べると50g近く差を付けられている。ライト機能の分重量がプラスになっている、と解釈すべきだろうか。

 解像度の向上による表示能力の違いについては、次回のレビューで同一コンテンツを用いた比較を行なう予定なのでご容赦いただくとして、特筆すべきはバッテリ持続時間の長さだろう。ライトをオンにしても8週間(ただしWi-Fiはオフ)ということで、ライトをオフにすればどの程度まで伸びるのか気になるところだ。

 一方、内蔵ストレージの容量が4GBから2GBへと減り、ユーザー使用可能領域に換算すると40%ほどになってしまっているのは減点要因だろう。ただしデータはクラウドに置き、必要なものをダウンロードして読み、終わったら削除するという使い方であれば、大きな支障はないように思える。少なくともAmazonからすると、他社とスペック比較での競争をするつもりはないのではないかと思う(そもそも第4世代の無印Kindleは本製品と同じ2GBだったので、Kindle Touchだけが多かったとも言える)。microSDで容量を増やせないので、自炊で使うユーザーだけは注意した方がいい、というくらいだろうか。

 もう1つ、この表には項目がないが、MP3プレーヤー機能とText-to-Speech機能が省かれ、その結果としてイヤフォンジャックとスピーカーが非搭載となったのは大きな変化だ。先日発売されたばかりのソニーPRS-T2も同様に音声関連の機能を省いており、E Ink端末から音声関連の機能を省くのは1つのトレンドという気がしなくもない。Text-to-Speechがあまり用いられない日本国内ではそれほど影響はないようにも思えるが、どうしても必要なユーザーは従来モデルを急いで購入するか、他社製品などの選択肢を検討した方がよい。

左が本製品、右が従来のKindle Touch。こうして並べるとKindle Touchがかなり暗く感じてしまうベゼルとの段差がかなりあったKindle Touch(右)と異なり、本製品はそれほど違和感を感じないレベルまで段差が抑えられており、画面の端であってもタッチしやすい従来のKindle Touchにはあったイヤホンジャック(下)が本製品ではなくなった
左から、本製品、ソニーPRS-T2、楽天Kobo Touch。画面の明るさもそうだが、前面が完全にボタンレスであることも本製品の大きな特徴厚みはソニーPRS-T2(右)に比べると0.9mm薄いことになっているが、実際に比べてみるとそれほど違いは感じず、ほぼ同等といったところNexus 7(右)との比較。直接競合する製品ではないが、サイズが近く、またライト搭載ということもあってこれら7型タブレットが比較の対象となることはありそうだ

●より一般的な操作性に改められたインターフェイス

 そのほかインターフェイスまわりについて見ていこう。

 ホーム画面の構成は、上部のメニューバーなどは従来のKindle Touchとよく似ているが、最近読んだ書籍が表示される中央エリアや、おすすめ本などが表示される下段については、テキストによるリスト形式だったこれまでのKindleとはうってかわって、サムネイルが並ぶ表示になっている。また、クラウドにある本と端末上にある本とをワンタップで切り替えられる仕組みなど、見せ方をガラリと変えてきているのが面白い。Kindleならではの操作性を重要視するよりも、一般的なルールを優先したといったところだろうか。

 上部のツールバーからは、前述のライトの調節のほか、ストアへの移動、検索、オプション画面の呼び出しなどのボタンが並ぶ。面白いのはこのツールバーの左から2番目に配置された「<」のボタンで、1つ前の画面にワンタップで戻ることができる。例えば読んでいる本をうっかり閉じてしまった場合、多くの製品では最後に開いていた本をタップして開くわけだが、このボタンがあればこうした誤操作があっても迷わずに1つ前の状態に戻れる。非常にユーザーフレンドリーな機能だと感じる。

ホーム画面。これは端末内のコンテンツを表示したところ。従来と違ってリスト形式ではなく表紙が表示されるこれは「端末」を「クラウド」に切り替えたところ。購入済みで端末にはダウンロードされていないコンテンツが表示される。クリックすればダウンロードが開始される従来と同じリスト表示に切り替えたところ。タイトルや著者などでソートが可能
上部ツールバーから光量を調節可能コンテンツの検索画面。もちろん日本語も利用できるメニュー画面。表紙/リストの表示方法を切り替えられるほか、コレクションを作成してコンテンツを分類できる
おなじみの設定画面。各種オプションの設定が行なえる端末オプションの設定画面。持ち出す機会が多いのであればパスワードは設定しておいた方がよいだろう言語と辞書の設定画面。日本語を選択した場合、デフォルトでは日本語と英語のキーボードにチェックが入る
辞書は、デジタル大辞泉、プログレッシブ英和中辞典、New Oxford American Dictionaryの3つを搭載するデフォルトではデジタル大辞泉とプログレッシブ英和中辞典が利用可能になっている読書オプションの設定画面。リフレッシュレートの設定変更はここで行なう

 ページめくりは速度、レスポンスともに十分だと感じられるが、いかんせん今回はプリインストールされているユーザーマニュアルでしか試せていないので、縦書きや右綴じ、ルビや禁則処理への対応と併せて、ストア開設後にあらためてチェックしたい。その他のオプションなどについては以下のスクリーンショットでご確認いただきたい。ブラウザ機能は「体験版」とされているものの、実用的なレベルに進化しているのも嬉しいところだ。

一般的な読書画面。右下には既読割合がパーセントで示されている。左下の「章を読み終えるまで:3分」といった進捗表示がやや新しい進捗表示は「章を読み終えるまで」以外に、「本の中の位置」「本を読み終えるまで」という3種類の切り替えが可能。進捗バーによる表示はない画面上部をタップするとツールバーが表示される。読書中に表示されるツールバーは二段構成になっており、下の段にはフォント調整(Aa)、移動、同期、シェアといった各機能へのリンクが並ぶ
フォントの調整画面。フォントサイズは8段階、フォントは明朝とゴシックの2種類を搭載する。行間および余白も3段階で調節可能実際にフォントサイズと書体、行間と余白を切り替えたところ。かなり自由度が高い印象移動機能を使って特定の章へのジャンプが可能。もちろんコンテンツ自体がきちんとした目次を持っていることが条件となる
メニューからは横画面への切り替えのほか、メモやブックマークの表示などが行なえるブラウザ機能も健在。プリセットされているURLの中にはAmazon.co.jpのほかmixiも見える。英語版でプリセットされていたBBCやNew York Timesなどは省かれている
Amazon.co.jpを表示したところ。現時点ではあまりレイアウトが最適化されているとは言えなさそうだPC Watchトップページを表示したところ。従来のKindle Touchでは発売直後はフォントの関係で使い物にならなかったが、今回は十分に実用的だ
【動画】電源を投入してホーム画面を表示し、スタートガイドを開いてスワイプおよびタップでページめくりを行なったのち、文字サイズとフォントの変更を行ない、最後に別の章へのジャンプをしたのちホーム画面に戻るまでの様子。従来まで画面下部にあったホームボタンがなくなったため、ホームを含むメニュー画面の呼び出しには、画面上部のタップが割り当てられている。なおリフレッシュレートは上記画面では1ページ1回になっているが、目立たなくするよう調節は可能だ

●ハードウェアやUIは正常進化、ローカライズもほぼ完璧。ストア登場が待たれる

 以上、初期設定時の画面やライト機能を中心に、Kindle Paperwhiteのファーストインプレッションをお届けした。ここまで使った限りでは、ライトのムラは例外として、ハードウェア、そしてインターフェイスも正常進化しているほか、ローカライズもほぼ完璧といっていいレベルに仕上がっている。

 とくに日本向けのローカライズについては、従来のKindle Touchが日本語フォント周りでかなり不安があったことを考えると、かなり作り込んできていることがわかる。ストアの品揃えや価格については具体的な発表を待たなくてはいけないが、ハードウェアがお話にならないレベルでせっかくのストアが台無し、ということはまずなさそうだ。

 そんなわけで、国内のサービスインに期待が持てる製品に仕上がっている、というのが現時点での評価だ。ストアの使い勝手、購入したコンテンツを用いての読書端末としての評価は、今後のサービスインの動向をみながら追ってお伝えしていきたい。