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Adobe Fireflyでラフを打ち合わせ中に即時生成!クリエイター北沢直樹氏が語る時短術

クリエイターの北沢直樹氏

 ラフを1枚作るのに時間がかかり、それがクライアントのイメージと違えば作り直し——制作の現場で長く当たり前だった、この往復に心当たりはないだろうか。あるクリエイターは、打ち合わせの最中にAdobe Fireflyでラフをリアルタイム生成し、その場でクライアントとのイメージのズレを潰すことで、認識合わせにかかる時間を大幅に短縮していた。

 最終成果物は自らの手で仕上げるプロが、なぜ道具として生成AIを取り入れたのか?本記事ではその実践をインタビューから紐解く。

 今回インタビューを受けていただいたのは、可愛らしいキャラクターで定評があり、著名なマンガやテレビ番組などとのコラボ作品も手がけるクリエイターの北沢直樹氏(以下、敬称略)だ。

ラフ作りと作り直しの往復——制作現場が抱えてきた時間の壁

――北沢さんは、普段どのような仕事をされているのでしょうか?

北沢:イラストレーターとして、キャラクターを自分のタッチでデフォルメしたイラストや、カプセルトイなどのグッズを作っています。テレビ番組のタイトルデザインを手がけることもあります。

 また、「Adobe Community Evangelist」として、アドビのツールを多くの方に紹介する活動もしています。

――生成AIを使う以前は、クライアントへどのようにラフを提案していましたか?

北沢:僕はイラストレーターなので、手描きのスケッチを作って提案していました。イラストであればそれで伝えられるのですが、ぬいぐるみなどの立体物は完成した状態では見せられません。

 3Dモデルを作るのも大変なので、実物がどうなるのかはクライアントに想像してもらうしかありませんでした。そこは難しい部分でしたね。

――用意したラフがクライアントのイメージと異なり、作り直しになることは多かったのでしょうか?

北沢:仕事ではほぼ毎回なにかしらの修正があります。たとえばアーティストのキャラクターグッズでは、服装や髪型を変更してほしいという要望がよくあります。

 依頼する側からすると簡単な変更に思えるかもしれませんが、実際にはいろいろ描き直す必要があるので、それなりに時間がかかります。

――言葉だけでイメージをすり合わせる際には、どのような難しさがありましたか?

北沢:僕はLINEでやり取りすることが多いのですが、同じ言葉を使っていても、僕とクライアントが想像しているものが違うことがあります。

 たとえば「ギャル風の服装」と言われても、僕は原宿にいそうなポップで可愛らしい服装を想像しているのに、クライアントは渋谷のギャルを想像しているかもしれません。

 参考画像を送っていただくこともありますが、そのまま再現するだけでは僕に依頼していただいた意味がありません。参考画像を踏まえながら、自分なりにアップデートしたものを提案する必要があります。そのやり取りが難しいですね。

――打ち合わせに世代の異なる複数の担当者が参加していたら、それぞれが異なる「ギャル」を想像していることもありそうですね。

北沢:そういう場合は、皆さんの話をきちんと聞きます。それぞれが思い浮かべているギャルを確認して、僕が考えているものも示したうえで、「今回はどのギャルにしますか」と話し合います。

 デザインセンスだけでなく、相手の考えを汲み取る力や、言葉を引き出す力も必要だと思います。自分が提案したいものがあるときには、その考えをどう説明して納得してもらうかも重要です。

 理想は絵だけで説得できることですが、そのデザインにした理由や、背景にある考え方を伝えることも大事にしていますね。

打ち合わせ中にラフを即生成、その場でイメージを合わせる

――現在はFireflyを使って、どのように打ち合わせ現場でラフを作っているのでしょうか?実際の流れを見せてください。

北沢:まず自分で描いたラフを用意します。このラフをAdobe Illustratorのベクター生成機能を使ってシンプルなイラストに変換してみますね。

 「細かい部分を省略したデフォルメイラスト」といったプロンプトを入力し、元のラフを参照画像として設定します。あとは生成を実行するだけです。

まずは北沢氏自身が描いたラフを用意。生成AIへすべてを任せるのではなく、自分のアイデアを出発点にするわけだ
ラフを参照画像に設定し、イラストの簡略化やデフォルメの方向性をプロンプトで指定する

北沢:描き起こしたようなイラストになっていますね。さらに「パステルカラーの柔らかい雰囲気」や「アウトラインなし」と指定すれば、別の表現も試せます。

 僕は普段、アウトラインのあるイラストを描くことが多いのですが、生成されたものを見て、アウトラインがないデザインも可愛いと感じました。最終的には、その方向で自分の手で描き起こしています。こうした比較検討を短時間で行なえるようになったのは非常に便利です。

同じラフをもとに、アウトラインの有無や配色の異なる案を生成。その場でデザインの方向性を比較できる

――ラフから複数のデザイン案が生成されるまで、どのくらいかかりますか?

北沢:5分もかからないですね。生成を待っている時間を含めても、その場で確認できる速さです。

――クライアントから「もっと明るく」、「和風にしてほしい」といった要望が出た場合もすぐ反映できますか?

北沢:プロンプトを書き換えれば、その場で別の案を作れます。色だけを変えたい場合は「生成再配色」を使う方法もあります。

 ベクター生成機能には複数のプリセットも用意されているので、それらを切り替えながら方向性を探ることもできます。

生成AIによる配色の変更やプリセットの切り替えにより、元の構図を生かしながら異なるテイストを試せる

――思い通りの結果を得るために、よく使うプロンプトはありますか?

北沢:「シンプルなイラスト」や「フラット」といった、イラスト制作で一般的に使われる言葉を入力します。アニメ調にしたければ「カートゥーン」、可愛らしいキャラクターにしたければ「ちびキャラ」も有効です。

 「トマトのちびキャラ」と入力すれば、トマトをモチーフにした可愛いキャラクターが作られます。そこへ「3D」、「2Dアニメ」、「粘土」、「フィギュア」といった言葉を加えると表現も変わります。

 僕はできるだけ短いプロンプトで結果を出すことにもこだわっています。長いプロンプトをコピーして使うより、その場で自分が入力できる短い言葉の方が使いやすいし、多くの人にも試してもらいやすいからです。

試行錯誤で見つけたプロンプトは、次の企画にも生きる

――そうしたプロンプトは、どのように見つけているのでしょうか?

北沢:自分で何度も試して見つけることが多いですね。以前、ぷっくりとした立体シールのプロンプトを作ってほしいという依頼があり、プロンプトをかなり研究しました。

 最初は「食べ物を擬人化したキャラクター」など、思いつく言葉をたくさん入力していました。そこから結果を見ながら、必要な要素だけを整理していきました。

 キャラクターの種類と服装を分けて指定したり、「ロココ様式」と入力してドレスや髪型を変えたりしました。生成結果を比較しながら、クライアントが求める方向を探っていきます。

生成結果を確認しながら言葉を追加、削除し、必要な要素が伝わるプロンプトへ整理していく

北沢:ぷっくりシールを作ったときは、最初に「飴玉のような立体感」と入力しました。しかし、結果を見ているうちに、求めている質感は飴玉ではなく「透明樹脂」だと気づきました。

 さらに、輪郭に沿った形にするために「ダイカット」、ラメを加えるために「キラキラ」、商品として袋に入った状態を確認するために「OPP袋」といった言葉を追加しました。

 生成された画像を見て、「これはなんだろう」と考え、適切な言葉を探してプロンプトへ入れていく。その繰り返しですね。

質感や商品の形態を表す言葉を追加し、完成品に近い見た目へ段階的に近づけていく

――適切な言葉を思いつくためには、商品やデザインに関する知識も必要ですね。

北沢:そう思います。ダイカットポーチやマスコット付きボールペンなど、グッズを作っている人でなければ、名称自体が思い浮かばないこともあります。名前が分からないものは検索し、呼び方を確認してからプロンプトに入れています。

 ただ、生成結果が見栄えよくできているだけでは不十分です。実際に商品として並んだときに、自分が欲しいと思うかどうかを考えますね。

 画面上では可愛く見えても、商品にしたら買わないだろうと思うものもあるんです。生成された大量の候補から、商品として成立するものを選ぶ判断力は、以前より重要になっていると感じています。

――このFireflyボードでの検討には、どのくらいの時間をかけたのでしょうか?

北沢:通常の仕事と並行しながら、1週間ほど試しました。夜に家でお酒を飲みながら、何度も生成ボタンを押していましたね。生成クレジットが足りなくなりそうになるくらい試しました(笑)。

 ただ、そこで見つけたプロンプトは、その後の別の商品企画にも使えます。アクリルキーホルダー、ダイカットポーチ、ピンバッジなど、ほかのグッズへ展開するときの時短にもつながりました。

――これだけ試行錯誤しているので、実際にご自身の手で描き始める時点で、完成形の着地点が明確になっているわけですね。

Fireflyボード上でぬいぐるみ、シール、ポーチなどの案を並べ、商品の展開やデザインの方向を検討できる

ビフォーアフター: 認識合わせにかかる時間と手戻りの変化

――リアルタイムで生成した画像をクライアントへ見せることで、打ち合わせの進み方は変わりましたか?

北沢:話が盛り上がりやすくなったと思います。以前、番組のオープニング用に作ったアニメーションをもとに、キャラクターをぬいぐるみ風に変換したことがあります。さらに、そのぬいぐるみを動かしてみると、想像以上に可愛らしい映像になりました。

 自分のキャラクターを持っていれば、その場で「ぬいぐるみにしたらどうか」「アニメ化したらどうか」といった、当初の依頼とは別の展開まで提案できます。

 目の前の仕事を完成させるだけでなく、次の企画をクライアントと一緒に考えられるようになったのは大きいですね。

静止画のキャラクターをぬいぐるみ風に展開し、さらに動かすことで、グッズ化や映像化の提案につなげられる

北沢:SNS用のビジュアルを検討するときには、店舗の正面を描いた画像をIllustratorの「ターンテーブル」機能で傾け、少し上から見た構図へ変えるといった使い方もしています。

――画像を見ながら話せると、クライアント自身も制作に参加している感覚を得られそうですね。

北沢:そうですね。やはり実際に見てみないとイメージしにくい方が多いと思います。言葉だけで合意していると、完成後に「思っていたものと違う」と言われるかもしれません。

 打ち合わせ中に画像を見てもらい、どの案を選んだのかを共有しておけば、認識のずれを減らせます。キャラクター制作だけでなく、広告やウェブ制作でも有効だと思います。

 ただし、生成AIで作ったラフが、いつの間にか最終成果物のように扱われてしまう危険もあります。権利面に問題のある画像が参考として承認され、それをそのまま作ってほしいと言われる可能性もあるので、ラフの扱い方には注意が必要です。

なぜ最終成果物は手で作るのにラフはAIなのか——道具としての線引き

――最終成果物は自分の手で仕上げる一方、ラフには生成AIを使っています。この線引きには、どのような考えがあるのでしょうか?

北沢:一番の理由は時短です。言い方を変えれば、楽をできる部分は楽をしたいということです。

 僕は新しいものが好きなので、便利な道具が出たらまず試してみたいと思っています。実際に使ってうまくいき、従来の方法より効率がよければ、積極的に取り入れたいです。

――生成AIを使うことで、北沢さん自身の作家性が損なわれる心配はありませんか?

北沢:僕は、制作において自分のテイストに合うものを選ぶことができます。生成AIから多くの候補が出てきても、その中から自分らしいものを選べるので、作家性が損なわれるとは思っていません。むしろ、選択肢が増えることで、自分では思いつかなかった方向を発見できます。

――AIに任せる部分と、自分で作る部分は、どこで切り分けていますか?

北沢:納品物は、原則として自分で描き直します。ただ、納期が極端に短い場合など、ベクター生成機能で作ったものを背景に使用したことはあります。その場合も、自分が作った素材を参照画像として読み込ませ、ロゴと背景を別々に生成して組み合わせたり、色やグラデーションを調整したりしています。

 ゼロから生成したものをそのまま納品するのではなく、まず自分が作ったものを変換し、必要な部分を自分で直すという使い方です。

――生成AIを使うことに葛藤を感じたことはありますか?

北沢:既存の有名キャラクターに似せようと、意図的にプロンプトや参照画像を使って何度かやると、似たモノが生成されることがあります。他者が権利を持つキャラクターを読み込ませ、別の形に変換することも技術的にはできてしまいます。しかし、それを公開したり商品へ使ったりするのは、倫理的に問題があります。

 また、街のチラシなどで、いかにも生成AIで作ったような違和感のある画像を見ると、気になることはありますね。

 以前、街のチラシ案のラフを生成AIで作って見せたところ、それだけでも非常に喜ばれました。しかし、最終的には社内のデザイナーが全体を作り直し、使用する素材もAdobe Stockから選び直しました。

 生成AIのラフは、相手に方向性を理解してもらうためには非常に便利です。ただし、ラフの見栄えがよいからといって、そのまま完成品として使っていいとは限りません。

クライアントの反応と、提案の通り方はどう変わったか

――Fireflyを導入したことで、クライアントとの認識合わせにかかる時間はどのように変わりましたか?

北沢:見るものがあるかないかで、理解の速さは大きく変わります。画像を見れば、多くの人はすぐにイメージを共有できます。その意味では、認識合わせは格段に速くなりました。ただし、手戻りが必ずしも減るとは限りません。

 最近は、クライアント自身が生成AIでイメージ画像を作り、「このようなキャラクターにしてほしい」と持ってくることがあります。見た目が具体的になりすぎているため、こちらもその画像に引っ張られます。

 そのまま描くわけにはいかないので、僕なりにデザインし直すと、「最初の画像と違う」と言われ、コンセプトから考え直すこともあります。結果として二度手間になることがありますね。

 本来であれば、最初にキャラクターの目的や性格、コンセプトを話し合い、そのあとでラフを作るべきです。いきなり完成に近い見た目を生成してしまうと、その大事な工程を飛ばしてしまいます。

――生成AIのラフが、かえって依頼内容を狭めることもあるわけですね。

北沢:そうですね。見た目をすぐ共有できることは利点ですが、最初から1つのルックへ固定されると、自由に考えにくくなります。

 一方で、元となる素材や方向性が決まっている仕事では、生成AIが非常に役立ちます。たとえばキャラクターのポーズを考える作業は、かなり楽になりました。

 自分のキャラクターを読み込ませて「走っているポーズ」や「三面図」と指定すると、複数の案が出てきます。僕の絵とは線の滑らかさなどが異なるので、そのまま使うことはありませんが、ポーズを考えるための参考になります。

キャラクターを読み込ませ、走る姿や正面、側面、背面などの案を生成。北沢氏はデッサン人形のように参照している

北沢:ターンテーブル機能で少し横を向かせ、立体的な角度を確認することもありますね。いわばデジタルのデッサン人形のような使い方です。

 クライアントには生成したポーズを見せて、「この方向でよいですか」と確認できます。合意したあと、自分のタッチで描き直します。

――生成AIによって浮いた時間は、どのように使っていますか?

北沢:浮いた時間で、別のプロンプトを考えているかもしれません(笑)。以前にはなかった作業なので、トータルの仕事時間はあまり変わっていない可能性もあります。

 ただ、最近は水墨画を勉強しています。生成AIがあるから絵を描かなくなるわけではありません。もっと絵が上手くなりたいですし、クリエイターとしてできることを広げたいと思っています。

生成AIで効率化する一方、北沢氏は水墨画を学び、手描きの表現力も磨いている

これから取り入れる人へ——ラフ活用を始める最初の一歩

――これから生成AIをラフ制作へ取り入れる人は、まず何から始めればよいでしょうか?

北沢:鉛筆書きでも、Adobe Frescoで描いたものでもよいので、最初に自分のスケッチを1つ用意することをお勧めします。

 ゼロからすべてを生成AIへ任せるのではなく、自分のアイデアを1つ描き、それを読み込ませてください。

 そこから「ぬいぐるみにする」「着ぐるみにする」など、いろいろなプロンプトを試すと、思ってもいなかったものが出てきます。まずは難しく考えず、楽しんで使ってみるのがよいと思います。

――Fireflyにはアドビのモデルだけでなく、パートナーモデルも用意されています。どのように使い分けていますか?

北沢:僕の場合、パートナーモデルへ画像を読み込ませるときは、自分で描いたものや、自分が権利を持つものだけを使うと決めています。

 元になる画像を持っていない場合は、Fireflyモデルでキャラクターを生成します。そのあと、生成したキャラクターを別のモデルでぬいぐるみ風にする、といった使い方をします。

 モデルによって得意な表現や、参照画像への追従性は異なります。いろいろ試しながら、自分の目的に合うものを選ぶとよいと思います。ただし、どのモデルを使う場合でも、読み込ませる画像の権利には注意が必要です。

――最終的な成果物まで生成AIで作ってもよいのでしょうか?

北沢:生成AIだけで完成まで持っていける場面は増えていると思います。専門的な制作経験がない人にとっても、アイデアを形にできる便利な道具です。

 ただ、プロとして商品を作る場合は、生成結果の良し悪しを判断する目が必要です。見栄えがよいことと、商品として成立することは別です。

 最後まで生成AIを使うのか、自分の手で仕上げるのかは、用途や求められる品質に応じて判断すべきだと思います。

生成AIには、便利なアシスタントになってほしい

――これから生成AIと、どのように付き合っていこうと考えていますか?

北沢:僕は、生成AIにアシスタントになってほしいと思っています。すでに存在する便利な道具なので、これからも積極的に使っていきたいです。

 生成AIはさらに進化していくと思います。自分が任せたい部分は任せ、そうでない部分は自分でしっかり作る。そのバランスを見ながら使っていきたいですね。

――Fireflyに期待している進化はありますか?

北沢:カスタムモデルがさらに進化してほしいです。自分が過去に描いたイラストを読み込ませ、同じテイストの新しいキャラクターを作ることを試しています。ただ、学習させたイラストに共通する要素を、必要以上に反映してしまうことがあります。

 たとえば、プロレスラーのイラストを多数読み込ませたモデルでは、多くのキャラクターが膝当てを付けていました。そのモデルを参照させてアイドル風の女の子を生成すると、全員に膝当てが付いてしまいました(笑)。

北沢氏が描いた複数のイラストをもとに、自身の作風を再現するカスタムモデルを作成
学習素材に共通していた膝当てまで、キャラクターに必要な要素として反映されてしまった

北沢:文字を含むドローイングを読み込ませたときには、新しく生成した画像にも文字のようなものが出てきました。絵のタッチだけを反映してほしいのに、素材に含まれる別の要素まで拾ってしまうわけです。

試しに「トマトのキャラクター」と入力しても、トマトではなく別の野菜が生成されることもありました。それでも、自分の絵をもとに、想像していなかった新しいものが出てくる瞬間は面白いです。

今後、絵柄、衣装、文字などの要素をAIがより正確に区別できるようになれば、さらに実用的になると思います。

自分の作風を反映したカスタムモデルへ新しいモチーフを指示。意図通りにならない場合もあるが、予想外の発想を得られる

――北沢さんは、いつ頃からFireflyを制作に取り入れているのでしょうか?

北沢:Fireflyが発表された直後から使っています。Fireflyの初期モデルで「ジェネモン」を作ったときには、手足や持っている物体が不自然になることが多く、Adobe Photoshopでかなり修正しました。

 別のキャラクターから手を持ってきて反転したり、不自然な物体を消したり、気持ち悪く見える部分を可愛らしく直したりしました。1つのキャラクターを完成させるだけでも大変でしたね。

 当時は、生成AIそのものを楽しみながら使っていました。ここ数年はFireflyのモデルも進化したことで、参照画像を読み込ませ、元のキャラクターを保ちながら別の姿へ展開しやすくなったことで、ここ1~2年ほどはラフ制作にも本格的に取り入れるようになりました。

 生成AIは、制作をすべて代わってくれるものではありません。しかし、自分のアイデアを広げたり、クライアントと完成形を共有したりするためのアシスタントとしては、非常に便利です。これからも、任せる部分と自分で作る部分を見極めながら、積極的に使っていきたいと思います。

――ラフの作成から商品の展開、クライアントとの認識合わせ、最終成果物との線引きまで、生成AIを制作現場で活用する具体的な方法がよく分かりました。本日はありがとうございました。