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Snapdragon搭載のWindowsノートってどうなの?3社のCPUの総合検証で見えてきたその性能と特性
- 提供:
- 日本マイクロソフト株式会社
2025年6月28日 06:30
MicrosoftのSurfaceシリーズをはじめ、CPUにSnapdragonを搭載するWindowsノートPC/タブレットが増えてきており、注目も高まっている。しかし、Windows PCのCPUはまだまだIntelとAMDが主流であり、Snapdragonの互換性や、Intel/AMD CPUとの性能差がどうなのか気になっている人もいるだろう。
そこで、今回はSnapdragon、Intel、AMDの最新世代のCPUを搭載したノートを揃え、性能、消費電力、バッテリ駆動時間などを検証してみた。それぞれのプラットフォームで代表的なCPUに絞っての検証ではあるが、各ブランドの性能面での位置付けが分かるだろう。ぜひともノートPC/タブレット選びの参考にしてほしい。
Snapdragonの互換性は問題なし!Copilot+PC準拠でAIにも強い
Snapdragonは半導体メーカーであるQualcommが手がけるCPU。PC業界では新参者に見えるかもしれないが、スマホ向けCPUでは長年の実績と定評があるメーカーだ。Microsoftも、古くはSurface用にQualcommと共同開発したArmベースのCPU「SQ1」を2019年に採用し、Copilot+ PCに初めて準拠したのもSnapdragon搭載Surfaceとなる。
Intel、AMDのCPUがx86/x64アーキテクチャなのに対して、SnapdragonはArmアーキテクチャを採用している。そのため、WindowsもArm版とx86/x64版はそれぞれ別に用意されている。そのため、互換性を気にするユーザーもいるだろう。
Arm版Windowsは、登場当初こそx86/x64アプリとの互換性は低かったが、Windows 11のバージョン24H2ではエミュレーターとなる「Prism」の更新によってx86/x64アプリの高い互換性とパフォーマンスを実現した。
さらに、Microsoft Officeや、Adobe Creative Cloud、Web会議系など幅広いアプリでArmにネイティブ対応しているバージョンが出ており、一般的な用途でWindowsがx86/x64版なのかArm版なのか意識する必要はほとんどなくなっているのが現状だ。つまり、一般的なビジネス用途やファミリー用途で互換性を気にする必要はほとんどなくなっているというわけだ。
例外的なのはゲーム。チート防止用として有名なEasy Anti-CheatツールがArmに対応していないため、これを採用しているゲームは動かない。また、動いても正しくグラフィックスが描画されないケースやパフォーマンスが十分に出ない場合もあり、こちらはまだ発展途上というところだ。とは言え、ストリートファイター6のように問題なく動くゲームもあるので、これについても時間がたてば状況は改善される見込みだ。
Windows向けSnapdragonには、いくつかのブランド(グレード)がある。最上位はSnapdragon X Eliteだ。12コアの第2世代Oryon CPUを搭載し、前世代から大幅な性能向上を実現している。それに続くのがSnapdragon X Plusだ。10コアまたは8コアのOryon CPUを搭載している。それぞれのブランドで動作クロックなどが異なるモデルが用意されている。なお、Surfaceでは搭載CPUのブランドは公表されているが、パーツナンバーは非公開となっている。
| ブランド | Snapdragon X Elite | Snapdragon X Plus | ||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| パーツナンバー | X1E-00-1DE | X1E-84-100 | X1E-80-100 | X1E-78-100 | X1P-66-100 | X1P-64-100 | X1P-46-100 | X1P-42-100 |
| CPUコア | 12 | 10 | 8 | |||||
| キャッシュ | 42MB | 30MB | ||||||
| マルチコア時最大クロック | 3.8GHz | 3.4GHz | 3.2GHz | |||||
| ブースト時最大 | 4.3GHz(デュアルコア) | 4.2GHz(デュアルコア) | 4GHz(デュアルコア) | - | 4GHz(シングルコア) | - | 4GHz(シングルコア) | 3.4GHz(シングルコア) |
| GPU性能 | 4.6TFLOPS | 4.6TFLOPS | 3.8TFLOPS | 3.8TFLOPS | 3.8TFLOPS | 3.8TFLOPS | 2.1TFLOPS | 1,7TFLOPS |
| NPU性能 | 45TOPS | |||||||
| メモリ | LPDDR5x-8488 | |||||||
Snapdragon Xシリーズで共通しているのは、45TOPSに達する高性能なAI特化型プロセッサの「NPU」を内蔵していること。Microsoftが提唱するAI PCである「Copilot+PC」の要件(40TOPS)を満たしており、ローカルでさまざまなAI処理を高速かつ低消費電力で実行できる。Windows 11の24H2バージョンではCopilot+PC関連の機能を順次追加しているが、それをいち早く利用できる環境が整っているということだ。
Snapdragon X、Core Ultraシリーズ2、Ryzen AIで性能検証
今回、Snapdragon X、Core Ultraシリーズ2、Ryzen AIを搭載するノートPC/タブレットを計7機種そろえてOfficeやAI、ゲーミング性能を測定した。加えて、バッテリ駆動時間、消費電力や、バッテリ駆動時にその性能がどう変化するのかなども検証した。これらの結果からビジネス用途およびファミリー用途での性能が見えてくる。
まずは用意したPCのスペックから紹介しよう。Snapdragon XシリーズからはSnapdragon X Elite、Snapdragon X Plusの10コア、8コアの両方を用意した。Snapdragon X EliteとSnapdragon X Plusの10コアはSurface Pro(11世代)の2in1ノートPCで、ほかはすべて一般的なノートPCだ。
なお、Surface ProについてはSurface Pro フレックス キーボードを装着した状態でテストを実行している。また、バッテリの容量はそれぞれ大きく異なる。バッテリ駆動時間や消費電力のテストについては目安と考えてほしい。
電源モードについてはSurface Proは「推奨」、そのほかは「バランス」に統一している。ACアダプタ接続時、バッテリ駆動時とも共通だ。
| メーカー | CPU | コア/スレッド | NPU | メモリ | ディスプレイ | バッテリ容量 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Qualcomm | Snapdragon X Elite X1E-80-100 | 12/12 | 45TOPS | 32GB | 13型 | 51,480mWh |
| Snapdragon X Plus X1P-64-100 | 10/10 | 45TOPS | 32GB | 13型 | 46,530mWh | |
| Snapdragon X Plus X1P-42-100 | 8/8 | 45TOPS | 16GB | 15.6型 | 70,010mWh | |
| Intel | Core Ultra 7 258V | 8/8 | 47TOPS | 32GB | 14型 | 64,006mWh |
| Core Ultra 5 226V | 8/8 | 40TOPS | 16GB | 14型 | 64,006mWh | |
| AMD | Ryzen AI 7 350 | 8/16 | 50TOPS | 32GB | 14型 | 75,001mWh |
| Ryzen AI 5 340 | 6/12 | 50TOPS | 16GB | 14型 | 42,068mWh |
まずは、CGレンダリングでCPUパワーをシンプルに測定する「Cinebench 2024」から実行しよう。すべてのコアを使用するMulti Core、1つのコアだけ使うSingle Coreのテストを行なっている。
Multi Coreに関しては今回のテスト機でもっともコア数の多い12コアのSnapdragon X Eliteが順当にトップとなった。次点で10コアのSnapdragon X Plusだ。8コアのSnapdragon X Plusも同じ8コアのCore Ultraを上回っており、SnapdragonのCPUパワーは高いと言ってよい。Single Coreに関してはCore Ultra 7 258Vがトップに立った。
興味深いのが、バッテリ駆動時になると結果が大きく変わってくる点だ。Multi CoreのスコアはRyzen AI 5 340以外それほど変わらないのだが、Single CoreはSnapdragon Xシリーズ以外、かなり落ちている。これは、電力効率が求められるスマホ向けCPUとして進化してきたSnapdragonが、バッテリ駆動時でも性能がほとんど変わらないということの現れだ。
続いて、Microsoft OfficeのWord、Excel、PowerPointに加えWebブラウザのEdgeを実際に動作させてさまざまな作業を実行する「PCMark 10 Applications」を実行する。オフィスワークでの性能を確かめられるテストだ。
このテストではRyzen AIが強さを見せた。特にExcelでは6コアのRyzen AI 5 340でも高いスコアが出ている。8コアのSnapdragon X Plusが10コアよりも高スコアなのは、8コアSnapdragon X Plus搭載機の筐体が15.6型と大きく、より強力な冷却機構を搭載しており、高い動作クロックで安定動作しやすいためだろう。Cinebench 2024のSingle Coreのスコアからもその傾向は見て取れる。
ここでもバッテリ駆動では結果が一変する。Snapdragon Xシリーズはスコアがほとんど変わらないのに対して、それ以外のCPUは20%~80%もスコアが下がっている。PCMark 10 Applicationsはシングルコア性能が重要のようで、これもCinebench 2024のSingle Coreと同じ傾向だ。
次はAI処理性能をチェックしてみよう。さまざまな推論エンジンを実行して総合的なスコアを出す「AI Computer Vision Benchmark」を実行した。Snapdragon XシリーズはQualcomm SNPE(Integer)、Core UltraシリーズはIntel OpenVINO(Integer)、Ryzen AIシリーズはAMD Ryzen AI(Integer)に設定している。
スペック上は50TOPSのNPUを搭載するRyzen AIシリーズが強そうだが、トップに立ったのは8コアのSnapdragon X Plusだった。これもPCMark 10 Applicationsと同じくNPUが高いクロックで安定して動作するためだろう。Ryzen AI 7 350とRyzen AI 5 340は同じNPUを内蔵しているはずなのに、スコアの差が大きい。ノートPCの設計や冷却力によって同じNPUでも差が出るのが分かったのが今回のテストでの大きな収穫だ。
NPUはそもそも省電力のプロセッサなので、これについてはバッテリ駆動でもスコアの変化は小さかった。省電力でもAI処理が高速というNPUの特徴が改めて分かった結果だ。
クリエイティブワークとして画像処理も試そう。Adobe PhotoshopのCamera Rawを使って60枚のRAW画像(6,024×4,024ドット)をサイズを1,000×667ドットに変換、シャープ出力にスクリーン/標準を追加してJPEG(画質8設定)に変換するのにかかった時間を測定した。
このテストはコア数とメモリ容量や速度が処理時間に大きく影響しているようで、Snapdragon X EliteとCore Ultra 7 258Vが強さを見せた。メインメモリの容量が16GBの環境は処理速度が遅くなる傾向だ。この処理はバッテリ駆動でもほとんど変化がなかった。
ゲーミング性能を見よう。定番3Dベンチマークの「3DMark」と人気MMORPGのベンチマーク「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」を実行する。今回のPCについては、すべてCPU内蔵のGPU機能を利用している。
3DMarkではArc 140Vを内蔵するCore Ultra 7 258V、Radeon 860Mを内蔵するRyzen AI 7 350が高いスコアを出した。そして、Snapdragon X Eliteと10コアのSnapdragon X Plusが続く形だ。8コアのSnapdragon X PlusはGPU性能が上位に比べてかなり低いので、それがスコアに表れている。
バッテリ駆動時は、Snapdragon X Eliteと10コアのSnapdragon X PlusがRyzen AI 7 350を上回る。GPU性能もバッテリ駆動でほとんど変化しないのは大きなポイントと言えるだろう。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークは、Core Ultraが強い。それにRyzen AI 7 350、Snapdragon X Elite、10コアのSnapdragon X Plusと続く。バッテリ駆動時はRyzen AI 7 350とSnapdragon X Elite、10コアのSnapdragon X Plusのスコアが逆転するのは3DMarkと同様だ。
Snapdragon Xシリーズに搭載されているAdreno GPUはCPU内蔵型としては、かなり高い性能を持っている。ただし、先述しているようにArm版Windowsはx86/x64のゲームとの互換性は高くない。Snapdragonを搭載するWindows機が増えてくれば、Armにネイティブ対応するゲームも増加してくるだろう。
次はバッテリ駆動時間を確かめよう。実際にMicrosoft Officeなどのアプリを動作させるPCMark 10 Applications Battery Lifeを実行している。画面の輝度は50%、省エネ機能は「20%でオンにする」に設定し、バッテリが100%の状態から電源が切れるまでを測定した。
バッテリの容量がそれぞれ異なるので目安でしかないが、今回のPCはどれも長時間のバッテリ駆動が可能だ。Core UltraとSnapdragon Xの駆動時間は近いが、バッテリ駆動時のPCMark 10 ApplicationsのスコアはSnapdragon Xの方が上だ。オフィスワークの作業効率はSnapdragon Xの方が優れていると言っていいだろう。
最後にシステム全体の消費電力を見よう。Cinebench 2024実行時の最大値を測定している。電力計にはラトックシステムの「REX-BTWATTCH1」を使用した。
これもバッテリ駆動時間と同様にディスプレイのサイズなどが異なるので目安となるが、Snapdragon Xの低さが際立つ。Cinebench 2024のMulti CoreのテストはSnapdragon X Eliteがトップだ。それで消費電力は一番低かった。電力効率は非常に高いと言える。
バッテリ駆動でも安定して高性能が特徴のSnapdragon Xシリーズ
以上の結果を総合すると、低消費電力と高性能を両立しているのがSnapdragon Xシリーズだと言える。Arm版Windows 11は一般的なx86/x64アプリとの互換性とパフォーマンスが高まっており、オフィスワークでもプライベートでの動画視聴などでも幅広い用途で快適に利用できる。
特にバッテリ駆動時でもほとんど性能が変わらない点は外出先や移動中での作業が多い人にとって魅力的に映るだろう。Arm版Windowsにネイティブ対応するアプリも増えてきており、Snapdragon Xシリーズ搭載PCの価値は今後さらに上がっていくことも期待できる。
先行するCPUとの比較という観点では、利用するアプリや冷却機構によって差は生じるものの、大きなくくりで言うと、Snapdragon X EliteとCore Ultra 7(シリーズ2)とRyzen AI 7が、Snapdragon X Plus(10コア)とCore Ultra 5(シリーズ2)とRyzen AI 5が、それぞれ同程度の価格/性能/用途となっており、その次にSnapdragon X Plus(8コア)が続く感じと考えていいだろう。





























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