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ゲーミングモニター選びは変わった。最先端はミニLED・量子ドット・有機EL!重要要素をとことん解説

~オススメの液晶&有機ELゲーミングモニター4製品も紹介

 大画面☆マニアを自称する西川善司であるが、自身のゲーム好きも相まって、最近はゲーミングモニター関連の評価や解説が増えている。

 PS5が発売された2020年前後は「これからゲーミングモニターを買うならば、4K/HDR対応、HDMI 2.1対応を選べ」的な主旨の購入ガイドを多く手掛けてきたが、最近ではそのあたりの基本知識を身に付けたユーザーが多くなり、ゲーミングモニター選びは以前と比較して一段高い次元での評価軸で行なわれるようになってきている。

 具体的には次のようになっており、このあたりを「買い換えの際の検討項目」に追加するユーザーが増えつつある。

  • VRRなどの可変フレームレート表示への対応
  • 各ゲームジャンル最適化画質や照準器強制表示機能などのゲームプレイ支援機能
  • 120Hzを超えたハイリフレッシュレート対応
  • PCゲームならではのウルトラワイド対応

 今回の企画では、 ゲーミングモニター選びにおいて押さえておくべきポイントの新テーマとして、「ミニLED」、「量子ドット」、「有機EL」といったものを掲げたい。 これら3つのテーマについてすでに詳しい人は、記事後半の製品評価パートを読み進めてもらって構わない。そこで今おすすめの4台を紹介している。

液晶は「ミニLED+量子ドット」で選べ

 ゲーミングモニターの主流は今でも液晶パネルを使ったものだ。液晶パネルは応答速度があまり速くないと言われていたが、液晶素材や配向・駆動技術の進化によって、この点は劇的に改善されている。

 今では多くの製品が「1桁台ms」の応答速度となってきており、ゲーミングモニターの要求に応えられるほど高速化されている。今回の企画で取り上げている唯一の液晶勢となるBenQの「EX321UX」も、IPS型液晶パネルを採用しているが、その応答速度は1ms(1,000分の1秒)となっている。

BenQ「EX321UX」ミニLEDバックライトと量子ドット技術を採用したIPS液晶のゲーミングモニターだ

 1msは、理屈上は1,000fpsの表示に耐え得ることになるが、さすがにそこまで表示可能な製品はなく、現在市場を賑わせているのは、240Hzや300Hzを超えた液晶のゲーミングモニターとなっている。

 リフレッシュレート240Hzで求められる応答速度が約4ms、300Hzで約3msなので、応答速度1msは必要十分に高速だ。ちなみに、EX321UXの最大リフレッシュレートは144Hzで必要な応答速度は約7ms。応答速度1msであれば余裕だろう。

 そんな応答速度に不安がなくなった液晶パネルでも、まだ弱点はある。それは液晶パネルの各画素は自ら発光できないこと。なので、液晶パネルの表示には光源となるバックライトが必要だ。なお、そのバックライト部材には、近年は白色LEDが用いられることが多い。

 液晶パネルは、基本的には「液晶でできた各赤緑青(RGB)サブピクセルにて光をどのくらい通すか」のメカニズムでフルカラー表示を行なっており、黒画素表示に際してはRGBサブピクセルのすべてで「光を完全遮断」で行なうことになる。

 しかし、この「完全遮断」が完璧ではなく、背後からバックライトの光がどうしても漏れてきてしまうため、黒色が薄明るくなってしまう表示特性があるのだ。これを「黒浮き」という。

液晶パネルの仕組み
液晶パネルの構造概略図。液晶パネル自体は、バックライトからの光を「どれくらい通すか」の機能しかないので、白黒濃淡映像の表示機能しか持たないことになる。従って、白色光から赤緑青の各色を取り出すカラーフィルタを駆使することでカラー液晶パネルを実現している。つまり、液晶パネルの1画素は、実際には赤緑青の3色分の3画素(サブピクセル)から成っている。こうしたサブピクセル構造は有機ELも同じである

 今も中堅クラスまでの一般的な液晶モニターは、光源となっている白色LEDバックライトからの光を導光板を使って画面全体に行き渡らせて光らせる「エッジ型バックライト」を採用している。

 なので、映像中に漆黒や暗い階調表現があっても、液晶パネルの裏では一律に高輝度な白色LEDバックライトが焚かれている。だから、たとえ表示映像中に局所的な漆黒表現があったとしても、完全に遮光し切れない液晶画素から光が漏れてきて「黒浮き」が起きるわけである。

  その黒浮きを改善するために、多数の白色LEDチップを液晶パネルの背後に2次元平面状に敷き詰めて、表示映像の明暗分布に細かく連動して、各白色LEDの輝度を細かく調整できる「直下型バックライト」(Full Array Local Dimming Backlight System)が誕生した。

 イメージ的には、白色LEDバックライトで「表示映像の白黒映像のようなもの」をリアルタイム生成して、その光を液晶パネルに照射することで、映像の黒い箇所は漆黒に近づき、明所はより明るくなって、映像全体のコントラスト感も増強されるというわけだ。

直下型とエッジ型バックライトの違い
従来のエッジ型は夜の闇の部分についても、バックライトの光が当たってしまうが、直下型ならその部分のバックライトを消して漆黒を表現できる

 この「表示映像の白黒映像のようなもの」を作り出すLEDバックライト駆動制御は「エリア駆動」とか「ローカルディミング」と呼ばれる。

 当初この直下型バックライトは、白色LEDチップの個数を中級機で数十個、上位機で100~300個程度だったのだが、超小型のLEDチップの誕生と、それら小型LEDを高密度に基板に実装する技術が確立されたことから、超小型のLEDチップの実装数を数千個レベルにまで引き上げた直下型バックライトシステムが実現されるようになる。

  超小型LEDチップを「ミニLED」と呼ぶことから、新世代直下型バックライトは「ミニLEDバックライト」と呼ばれるようになる。今回取り上げているBenQ「EX321UX」には、まさに4桁個のミニLEDが搭載されている。

 なお、EX321UXが採用するIPS型液晶は、斜めから見たときの色変移が少ない反面、斜めから見たときの黒浮きが目立ちやすい特性がある。しかし、ミニLEDによる超微細エリア駆動によって、この弱点を隠蔽することに成功している。

  液晶モニターにおいて「ミニLED採用」は“上級機の証”と言っていいだろう。

液晶のみならず有機ELにも使われだした魔法の技術「量子ドット」

 ミニLED技術とほぼ時を同じくして実用化が進んだのが「量子ドット」(Quantum Dot: QD)だ。これは、ナノメートルサイズの半導体化合物を用いて、入射してきた光を別の波長(色)の光に変換できる素材のこと。

 もともとは太陽光発電において白色の太陽光に対する光電効果の効率向上のために実用化されたのが始まりで、映像分野での積極活用が進んだのはここ10年くらいのこと。量子ドット部材としては、インジウム、リン、亜鉛、硫黄、セシウム、臭素、ヨウ素など、さまざまな元素を組み合わせたレシピが開発されている。なお、量子ドットによる光の波長変換はそうしたレシピ以外に、その粒径(サイズ)も大きく関わっている。

 なぜ名前に「量子」(Quantum)のキーワードが出てくるかというと、光の波長変換を量子力学レベルで行なうため、と説明されることが多い。波長変換精度は非常に優れており、レーザー光に迫るような「純色」を得られることから、ここ10年くらいで映像関連技術への転用が一気に始まったのだ。

 この光の波長変換に際し、エネルギー効率が良いとされているのが、波長の短い青色光だ。「青色LEDって寿命は大丈夫なの?」と心配する人がいるが、青色LEDの寿命が短いとされたのは1990年代まで。詳細は省略するが、2000年代以降は大幅に改善されている。

 前段にて、液晶パネルのバックライトには白色LEDが採用されることが多いと記したが、そうした事情により、量子ドットとミニLEDを組み合わせたバックライトを採用した液晶モニターでは、白色ではなく青色のミニLEDが採用されることが多い。

  なので、「ミニLED+量子ドット」方式の液晶モニターでは、ミニLEDからの青色光はそのまま活用し、この青色光を緑量子ドットや赤量子ドットにぶつけて純度の高い赤色や緑色を得ることで、これまでの液晶モニターの常識を超えた、広色域な表示を実現している。

 今回のラインナップで言えば、BenQ EX321UXは、まさにこの「ミニLED+量子ドット」タイプの液晶モニターとなっている。なお、ミニLEDバックライトを採用するも、量子ドット技術は採用していない液晶モニター/TV製品は存在するが数は少ない。

 さて、この量子ドット技術、そんなにいいものならば「液晶のみならず、有機ELにも応用していけばいいのに」という気運が高まるのは自然なことだ。これについては次節で触れることにしたい。

続々登場する有機ELパネル採用のゲーミングモニター

 数年前までは「上級TV製品専用の映像パネル」というイメージだった有機ELも、近年ではずいぶんと身近な存在となり、ゲーミングモニターで続々と採用が進むようになってきた。

 本節では、有機ELパネルの構造を解説するとともに、「液晶との違い」や「有機ELパネルならではのゲーミングモニターの特長」について言及しよう。

有機ELパネルと液晶パネルの違い
有機ELパネルは液晶と違ってバックライトがなく、画素単位で発光を制御できるため、暗部の表現が優れている

  液晶パネルとは異なり、画素自らが発光する「自発光画素」を実現しているところが、有機ELパネルの最大の特長だと言える。 有機ELは英記でOLED(Organic Light Emitting Diode)だ。

 液晶パネルは、画面全体を光らせるバックライトの光を受けた液晶パネルが、画素(サブピクセル)単位で「どのくらいの光を通すか」の理屈で各画素を光らせる。

 それに対し、 有機ELパネルのような自発光画素は、画素(サブピクセル)単位で「自らが発光量を決める」ことができる。これが有機ELパネルが、液晶パネルに対して圧倒的なコントラスト性能を実現できることの根幹的な理屈となっている。

 そして、一般メディアではあまり語られないが、実は有機ELパネルは、各画素で漆黒表現は完璧に実践できるものの、暗部階調表現のうち最暗部付近の暗色表現は得意ではない。これは「自発光画素だからこその弱点」であったりする。

 有機ELのみならず、プラズマディスプレイでもそうなのだが、多くの自発光画素は「暗く光らせるのが苦手」である。自発光画素は、ある一定量“以上”の電荷を与えてやっと光り始めるので、「わずかに光る」ような画素表現は液晶のほうがむしろ得意なのだ。

 しかし、技術の発達により、有機ELの最暗部発光を時間方向や空間方向に分散して光らせることで最暗色表現の弱点をも克服しつつある。

  液晶パネルに対して優位な点はまだある。それは「応答速度の速さ」だ。液晶パネルの液晶画素の応答速度はミリ秒(ms)のオーダーだが、有機ELパネルの有機EL画素の応答速度はマイクロ秒(μs)のオーダーであり、ざっくり10倍~100倍は有機EL画素の方が速い。

 この応答速度の格差は、液晶分子の駆動が電場を活用しての物理移動を伴うものに対し、有機EL画素の発光(light emitting)現象は量子力学的なエネルギー変位によるものだからだ。

 この有機EL画素の超高速応答速度性能により、高いリフレッシュレートが実現可能となっただけでなく、高いリフレッシュレート時にも残像感のないキレのある表示を行なってくれる。今回、取り上げている有機ELモデルは、すべてが高リフレッシュレートに対応し、さらに超高速応答もアピールされているのを確認してほしい。

 なお、以前の有機ELパネルでは、焼き付き抑止駆動の弊害で、その応答速度を無駄にしてしまう遅延が誘発されていたが、最新の有機ELパネル製品では、このあたりの改善が進んでいる。かつてはしばしば指摘されることもあった「有機ELは応答速度は速くても遅延が大きい」という問題は、最新の有機ELパネルではほぼ克服できている。

採用例の多い2種類の有機ELパネルの違い

 さて、現在の有機ELパネルには2種類があり、1つは最も業界で採用事例の多いLG式有機ELパネルと、最近採用事例を増やしているSamsung式有機ELパネルだ。

LG式の有機EL

 LG式の有機ELは、白色の単色有機ELパネルにカラーフィルタを組み合わせることでフルカラー有機ELパネルを形成させる方式だ。色域の広さという点では、量子ドット技術にはおよばないものの、最新のLG式有機ELパネルでは、一般的な広色域液晶パネルを超えた色域性能は獲得している。

 具体的には、4KブルーレイやNetflix、Amazon Prime、Disney+などの映像配信サービスの映画系タイトルのマスタリングで採用されているDCI-P3色空間カバー率が99%となる程度には広色域だ。よって、現状TV向け映像パネルとしては必要十分という評価となっていることから、LG式有機ELパネルはTV製品での採用事例が加速した。

 そして、近年のLG式有機ELパネルは、発光層をマルチレイヤー化することで、液晶パネルに勝るとも劣らないほどの高輝度性能に優れる点も特長として訴求されている。

 特に最新のLG式有機ELパネルは、画素単位に超微細レンズ(MLA : Micro Lens Array)を組み込むことで、有機画素からの放射光をほぼすべて表示面に導光させる技術を確立した。この技術はまだ有機EL TV製品への採用に留まっているが、いずれゲーミングモニターにも採用が始まることだろう。

 今回の企画では日本エイサーの「Predator X27U」と「Predator X45」が、LG式有機ELパネルの採用モデルとなる。

日本エイサーの「Predator X27U」と「Predator X45」ではLG式の有機ELパネルが使われている

Samsung式の有機ELパネル

 Samsung式有機ELパネルは、量子ドット(QD)技術を組み合わせた有機ELパネルになる。

 「量子ドット有機EL」(QD-OLED)パネルとも呼ばれているSamsung式の有機ELパネルでは、青色単色の有機ELパネルに対し、量子ドットシート(レイヤー)を組み合わせることでカラー有機ELパネルを形成したものになる。そう、LG式有機ELパネルは「白色有機EL×RGBカラーフィルタ」だが、Samsung式QD-OLEDは「青色有機EL×RG量子ドットレイヤー」(B: ブルー光はそのまま活用)という組み合わせなわけである。

 言うまでもなく、QD-OLEDパネルにも、ハイコントラスト性能、優れた漆黒表現といった有機ELパネルならではの特長はすべて備わっている。

 では、QD-OLEDならではの特長はどこにあるのか、それは前節で触れているように、量子ドット技術による、純度の高い発色性能ということになる。その広色域性能は、DCI-P3空間よりもさらに広色域なRec.2020色空間のカバー率が90%とアピールされるほどだ。

 QD-OLEDパネルの量産化が軌道に乗ったのは2021年のことなので、まだ高価なQD-OLEDパネルだが、2023年あたりからゲーミングモニターへの採用事例が急増した。今回の企画ではMSIの「MPG 271QRX」がQD-OLEDパネル採用機になる。

MSI「MPG 271QRX QD-OLED」。Samsung式の有機ELパネルを採用し、量子ドット技術が使われている

 そうそう。言い忘れるところだった。ユニークなウルトラワイドゲーミングモニターが数多く存在するのも有機EL製品の魅力だと筆者は考えている。その多くが湾曲パネルを採用しているのも楽しげだ。

 今回、取り上げている製品では、前述のPredator X45がこのタイプに該当する。45型の21:9のウルトラワイドゲーミングモニターはこのカテゴリでは最大表示面積を誇るだけでなく、曲げ率も最大級の湾曲率800Rとなっている。後掲の写真を見ていただければ、そのすさまじいカーブ具合を感じ取れるはずだ。


 以下、製品紹介パートとなる。ここまで説明してきた技術を採用した、今おすすめのゲーミングモニター4選となっており、それぞれ独自の特徴を備えているのがおもしろいところ。ぜひ読み比べてみてほしい。

MSI「MPG 271QRX QD-OLED」
量子ドットと有機ELの融合でハイレベルな映像美と高速性

MSI「MPG 271QRX QD-OLED」。実売価格 : 14万円前後

 多彩なモニターを展開しているMSIだが、特にゲーミングはエントリーから湾曲、ウルトラワイドなど非常に充実している。その中でも映像美とゲーミング機能と両方が充実しているのが「MPG 271QRX QD-OLED」だ。

 量子ドットと有機ELを組み合わせたQD-OLEDパネルを採用しているのが最大の特徴で、サイズは26.5型、解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)。True 10bitカラー(約10億7,000万色)で、色域はDCI-P3 99%、Adobe RGB 98%、sRGB 100%、色精度はDelta E 2以下とクリエイティブワークもこなせる色の再現度だ。

 HDRはDisplayHDR True Black 400認証を取得しており、対応コンテンツならば有機ELならではの明暗が強烈に効いた映像を楽しめる。DisplayHDRの設定を「ピーク1000ニット」に変更することで、さらに明暗を高めることも可能だ。

量子ドットと有機ELを組み合わせたパネルは色域が広くゲーム画面を美しく表示できる
ピボットに対応しているので縦置きも可能だ

 リフレッシュレートは360Hz、応答速度は0.03ms(中間色)とマウスやキーボード、コントローラを押してから画面に反映されるまでのスピードも高速で、気持ちよくゲームをプレイできる。

 VRR(可変リフレッシュレート)機能としては、Adaptive-Syncに対応。ゲーム内の暗部を見やすくする「ナイトビジョン」、画面の中央に照準を表示してFPS/TPSで敵を狙いやすくする「Smart Crosshair」といったゲーミングモニターの定番機能もしっかり押さえている。映像のぼやけ(モーションブラー)を評価するClearMR認証で最上位のClearMR 13000を取得しており、ゲームプレイにおいてブレが非常に少ないのも強みだ。

背面の上部にはLEDを内蔵。Gaming Intelligenceアプリで発光色やパターンの制御が可能だ
デジタル顕微鏡60倍で拡大した画面。ドットが縦長ではなく四角いのがQD-OLEDに特徴だ

 映像入力についてはDisplayPort 1.4aとHDMI 2.1に対応し、どちらの接続でもリフレッシュレート360Hzの設定が可能だ。さらに、PS5はWQHD/120Hz/VRRのすべてを利用できる。コンシューマゲーム機との相性も抜群だ。

 使い勝手においては2台のPCでマウスやキーボードと言ったUSBデバイスを2基まで共有できるKVMスイッチ機能を搭載。Type-Cポートは映像入力だけでなく最大90WのUSB PD機能もあるのでノートPCを充電しながらの接続も行なえる。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4a×1、HDMI 2.1×2、USB Type-C(DP Alt Mode+USB PD対応)×1、USB 2.0×2、USB 2.0 Type-Bアップストリーム×1を装備

 PCとUSB接続することで、Windows上からOSDメニューと同じモニターに関する細かな設定ができるのも便利だ。

OSDメニューはG.I.、ゲーム、プロフェッショナル、イメージ、入力源、PIP/PBP、Naviキーなどで構成されている。Gaming Intelligenceアプリを使えば、Windows上でも設定が可能だ

 有機ELは焼き付きが気になるところだが、独自の「MSI OLED Care 2.0」によってピクセルシフト、パネル保護、静止画検出など複数の機能で防止。3年間の保証もあり、安心して使える。量子ドットと有機ELによる映像美と高リフレッシュレートや応答速度のよさによる良好なレスポンスで、非常に快適なゲーム環境を作ってくれる1台だ。

高さは110mm、ティルト-5度/15度、スイベル-30度/30度の範囲で調整できる
パッケージには本体、電源ケーブル、USB 2.0アップストリームケーブル、HDMIケーブル、VESAマウント用スペーサーネジ、クイックスタートガイドが同梱

日本エイサー「Predator X27U」
有機ELの応答性のよさと豊富なゲーミング機能を装備

日本エイサー「Predator X27U」(型番: X27Ubmiipruzx)。実売価格 : 11万8,000円前後

 ゲーミングブランドとして「Predator」シリーズを展開している日本エイサー。モニターもウルトラワイド、湾曲など多くのラインナップを用意しているが、機能充実で設置しやすいのが「Predator X27U」(型番: X27Ubmiipruzx)だ。

 有機ELパネルを採用し、サイズは26.5型、解像度はWQHD(2,560×1,440ドット)。True 10bitカラー(約10億7,000万色)で、色域はDCI-P3 99%、色精度はDelta E 1未満と色の表現力は高い。

 HDRをサポートし、有効化すると対応コンテンツにおいて明暗を強調しつつ、暗部をある程度明るくしてゲーム内の情報を見逃しにくくしているのは、ゲーミングモニターらしい調整と言える。カラーモードをHDRに設定すると、黒の再現性をしっかりと高めるので、映像コンテンツも快適に楽しめる。

有機ELパネルを採用。色域はDCI-P3 99%と色の再現性は高い
スタンドの足は大きめだが、それだけに安定感は抜群だ。マウスやキーボードを激しく操作しても揺れにくい。ピボットにも対応する

 リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.03ms(中間色)と表示速度に優れ、入力デバイスの操作から画面反映までのレスポンスは非常に優秀だ。

 VRRとしては、AMD FreeSync Premiumに対応している。ゲーム内の暗い部分を見やすくする「ブラックブースト」、画面の中央に照準を表示する「照準点」、画面中央を拡大する「スナイパーモード」といったゲーミング系機能も充実、色の調整をかなり細かくできるのも特徴だ。

有機ELということあってかなり薄型。重量もこのサイズとしては軽めで設置しやすいのも強み
デジタル顕微鏡60倍で拡大した画面。肉眼では分からないが有機ELは黒い領域が多いのが一般的

 映像入力については、DisplayPortとType-Cがリフレッシュレート240Hz対応、HDMIは144Hzまでとなる。PS5についてはWQHDと120HzはサポートしているがVRRは対応していない。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2、USB 3.2 Gen 1 Type-C(DP Alt Mode+USB PD対応)×1、USB 3.2 Gen 1×2、USB 3.2 Gen 1 Type-Bアップストリーム×1を装備

 使い勝手においては2台のPCでキーボード、マウスを共有できるKVMスイッチ機能を搭載。Type-Cポートは映像入力に加えて最大90WのUSB PD機能も備わっているので、ノートPCやスマホの充電に活用も可能だ。このほか、眼精疲労を軽減するブルーライトシールドプロはTÜV Eyesafeを取得している。

OSDメニューはゲームアシスタント、ゲーミング、画質調整、カラー、オーディオ、OSD、システムなどで構成されている

 有機ELの美しさと応答性のよさに加えて、安定性が高いスタンド、5W+5Wのスピーカーも内蔵と機能面も充実している。ゲームに加えて、エンタメ用やクリエイティブ用のモニターとしても活躍できる1台だ。

高さは150mm、ティルト-5度/25度、スイベル-25度/25度の範囲で調整できる
パッケージには本体、ACアダプタ、USB 3.2 Gen 1アップストリームケーブル、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、クイックガイド、保証書、修理依頼書、色差成績書が同梱する

日本エイサー「Predator X45」
44.5型ウルトラワイドの湾曲が生み出す圧倒的な没入感

日本エイサー「Predator X45」(型番: X45bmiiphuzx)。実売価格 : 24万円前後

 日本エイサーの「Predator X45」(型番: X45bmiiphuzx)は、44.5型で画面比率21:9のウルトラワイドかつ湾曲仕様となっている大型モニターだ。

 有機ELパネルを採用し、解像度はUWQHD(3,440×1,440ドット)。True 10bitカラー(約10億7,000万色)で、色域はDCI-P3 99%、色精度はDelta E 1未満と高い色の再現性を持っている。HDRに対応、輝度はピーク時で1,000cd平方/mと非常に明るい。

 最大の特徴は、44.5型の大型ウルトラワイド仕様なのに加えて、湾曲率800Rとという湾曲モニターの中でも最大クラスの“曲がり方”をしていること。それだけにモニターを前にすると視界ほぼ全体が画面となり、映像に対して圧倒的な没入感を得られる。有機ELの美しさも相まって、映像の場所に自分もいるかのような感覚になってしまうほど。

有機ELパネルを採用。DCI-P3 99%と広色域だ
湾曲率は数字が小さいほどカーブが大きくなる。800Rは湾曲モニターの中でも最大クラスの曲がり方だ

 リフレッシュレートは240Hz、応答速度は0.03ms(中間色)と表示スピードも優秀だ。迫力や没入感だけではなく、ゲームに対するレスポンスも良好。

 VRRとしては、AMD FreeSync Premiumに対応しており、画面ズレやカク付きも軽減可能だ。ゲーム内の暗い箇所を明るくする「ブラックブースト」、画面の中央に照準を表示して敵を狙いやすくする「照準点」、画面中央を拡大する「スナイパーモード」といったゲーミングモニターの定番機能もしっかり押さえている。

44.5型で湾曲ということもあり幅992mm、奥行き349mmと設置スペースはそれなりに必要。スタンドは大きめで安定感は高い
デジタル顕微鏡60倍で拡大した画面。有機ELらしいドットの並びと言える

 映像入力についてはDisplayPortとType-Cがリフレッシュレート240Hz対応、HDMIは100Hzまでとなる。PS5については120Hz駆動、VRRとも非対応だ。また、画面比率21:9に対応していないため表示やゲームプレイは問題なくできるが、Predator X45の場合は、横に引き延ばされた映像となる。

インターフェイスは、DisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2、USB 3.2 Gen 1 Type-C(DP Alt Mode+USB PD対応)×1、USB 3.2 Gen 1×2、USB 3.2 Gen 1 Type-Bアップストリーム×1を装備

 使い勝手の面では2台のPCでキーボード、マウスを共有できるKVMスイッチ機能、最大90WのUSB PD機能を持ったType-Cポートが便利な存在だ。このほか、色を変化させずにブルーライトをカットするTÜV Eyesafe認定を取得したブルーライトシールドプロも備えている。5W+5Wのスピーカーを内蔵し、ヘッドフォン端子も用意と充実の装備だ。

OSDメニューはゲームアシスタント、ゲーミング、画質調整、カラー、オーディオ、OSD、システムなどで構成されている

 大型のウルトラワイド、有機ELの美麗な画面、800Rの強烈な湾曲が合わさった迫力と没入感はほかのモニターでは味わえないもの。それだけにサイズが大きく、設置場所を選ぶ、文書作成など一般的なPCの作業をするにはちょっと画面がでかすぎるといった面はあるものの、視界全体に広がる映像を一度見るとやみつきになってしまうほどインパクトのある製品だ。

高さは110mm、ティルト-5度/15度、スイベル-15度/15度の範囲で調整できる
パッケージには本体、電源ケーブル、USB 3.2 Gen 1アップストリームケーブル、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、DisplayPortケーブル、VESAマウント用ネジ、クイックガイド、保証書、修理依頼書、色差成績書が同梱する

BenQ「EX321UX」
ミニLED&量子ドットの美しさを4K&32型の大画面で堪能

BenQ「EX321UX」。実売価格 : 24万円前後

 BenQのエンタテイメント向けゲーミングブランド「MOBIUZ」シリーズから登場した、映像美・ゲーミング性能の両方を追求したハイエンドモデルが「EX321UX」だ。

 ミニLEDと量子ドットを組み合わせたIPSパネルを採用し、サイズは31.5型、解像度は4K(3,840×2,160ドット)。True 10bitカラー(約10億7,000万色)で、色域はDCI-P3 99%、Adobe RGB 99%と色の表現力に優れている。さらに、1,152分割という細かなエリア駆動によってハイレベルな明るさと黒の表現が求められるDisplayHDR 1000認証を取得。

 このほか、AIが自動的に映像を分析してコントラストを調整する独自のShadow Phage機能が非常に特徴的だ。たとえば、ゲーム内の暗がりに情報があると検知すると、その部分を明るくする。ミニLEDの表現力とゲームのプレイしやすさを両立してくれる機能だ。

ミニLEDと量子ドットの組み合わせを採用。色域はDCI-P3 99%と非常に広い
モニターが31.5型なのでスタンドも大きめ。それだけに安定感はすばらしく、マウスやキーボードを激しく入力しても揺れにくい

 リフレッシュレートは144Hz、応答速度は1msと4Kのゲーミングモニターとして十分高速だ。VRRはAMD FreeSync Premium Proに対応する。

 カラーモードとして、金属の質感にこだわる「Sci-Fiモード」、キャラの装備や影、物体の質感を鮮明にする「ファンタジーモード」、現実に近いコントラストや色彩調整を行なう「リアリスティックモード」とゲームの世界観に合わせた3種類を用意。

 数百におよぶゲームタイトルのアートスタイルに関するデータベースを構築および分析したとしており、プリセットにこだわるBenQらしさが出ている部分だ。リモコンを付属しているので、手元で手軽に切り換えられるのも便利。

宇宙船をモチーフしたという未来的なデザインも特徴の1つ
デジタル顕微鏡60倍で拡大した画面。ドットがISPパネル特有の“くの字”型になっている

 映像入力についてはDisplayPort、Type-C、HDMIともリフレッシュレート144Hzに対応。PS5は、4K/120Hz/VRRいずれも利用可能と高解像度でなめらかな描画を楽しめる。また、HDMIは1ポートがeARC(Enhanced Audio Return Channel)に対応しているので、最大7.1チャンネルのサラウンドも利用可能だ。

インターフェイスは、DisplayPort 2.1×1、HDMI 2.1×2、USB 3.2 Gen 1 Type-C(DP Alt Mode+USB PD対応)×1、USB 3.2 Gen 1×3、USB 3.2 Gen 1× Type-C×1、3USB 3.2 Gen 1 Type-Cアップストリーム×1を装備

 このほか、本体のUSBポートに接続したデバイスを複数のPCで共有できるKVMスイッチ機能を搭載、Type-Cポートは映像入力と最大65WのUSB PD機能も備わっている。

 ゲーム別の最適なカラー設定を保存、共有、ダウンロードできる「Color Shuttle」アプリを利用できるのもおもしろい。Color ShuttleのWebサイトには、数多くのゲームのカラー設定が公開されている。

OSDメニューはカラーモード、Eye-Care、オーディオ、入力、クイックメニュー、システムで構成されている。リモコンでも操作可能だ

 AIエンジンの「PixSoulエンジン」の搭載によって、先述したShadow Phageのほか、色ムラのないパネルの均一化、色彩の最適化を行なうようになっており、常に最適な状態で映像を楽しめるのも大きな特徴だ。

 本機はミニLED&量子ドットの美しさを4K解像度と31.5型の迫力で体験できるのは格別。価格は高めだが、それだけの価値があるゲーミングモニターだ。

高さは100mm、ティルト-5度/15度、スイベル-15度/15度の範囲で調整できる
パッケージには本体、電源ケーブル、USB 3.2 Gen 1アップストリームケーブル、USB Type-Cケーブル、HDMIケーブル、リモコン、クイックスタートガイド、保証書、キャリブレーションレポートが同梱する