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“ゲーミングノートPC”って普通のノートPCと何が違うの?ゲームが得意なPCは実はオールラウンドに強いんです!

~いろんな用途に活躍できる万能選手、MSIのゲーミングノートPCを徹底チェック

 夏の長期休暇を利用してPCゲームの世界に飛び込んでみたいと考えている人もいるのではないだろうか。そこで必要になるのが「ゲーミングPC」だ。

 このゲーミングPCは、一般的なPCとどこが違うのか。簡単に言えば、“ゲームを快適にプレイするための高い演算性能(CPU)と高性能なグラフィックス性能(GPU)を中心とした高スペックのPC”だ。どれくらいの性能が必要になるかはゲームによって大きく異なるが、美麗なグラフィックスのAAA級と呼ばれるようなタイトルでは、高いCPU、GPU性能に加えて、大容量のメモリとストレージも要求される。これらの条件を満たすのが「ゲーミングPC」というわけだ。

 価格や性能の選択肢の広さではデスクトップPCが優位と思えるが、最近ではノートPCでもさまざまなスペックのモデルが展開されている。そこで今回は複数のゲーミングノートPCを用意し、デスクトップPCと比べてどこにメリットがあるかの解説と、性能がどう違うのかを紹介していく。これからゲーミングPCの導入を考えているなら、ぜひ参考にしてほしい。

ゲーミングノートPCは「オールランダー」なのが強み

 “最新のゲームが快適に遊べるPC”は総じて高い性能を誇る。つまり、ゲーミングノートPCは、その高い性能を生かして、ゲーム以外にも幅広いアプリを快適に使える“オールラウンダー”でもあるのだ。

 文書やプレゼン作成、ビデオ会議と言ったオフィスワークを快適にこなせるのはもちろん、ゲーミングノートPCは色の再現性が高い高品質なディスプレイや立体音響を楽しめサウンド機能を採用しているケースが多く、動画の視聴といったエンタメ系コンテンツを楽しむのにも向いている。

 また、最近のクリエイティブ系アプリは、CPUとGPUの両方を活用するものが多く、写真や動画編集にチャレンジしやすい環境が整っているのもポイントだ。Webカメラやマイクを内蔵しているモデルがほとんどなので、ストリーマーやVTuberのような配信を1台である程度はできるのもゲーミングノートPCのよさと言える。

本体、ディスプレイ、キーボード、タッチパッド、Webカメラと仕事にも遊びにも使えるスペックと装備が揃っているのがゲーミングノートPCのよさ。ゲーム用途で追加が必須と言えるのはマウスぐらいだ

 ゲーミングノートPCをデスクトップPCのように使うことも可能だ。HDMIやType-Cなど外部ディスプレイの出力コネクターは基本備えており、キーボードやマウスを接続すれば、デスクトップと変わりない環境を作れる。ノートPCのものよりも大画面のモニター、さまざまなサイズやタッチ、使用感の製品が選べるキーボード&マウスはデスクトップPCと同様に活用できる。

 ノートPCのディスプレイも活用して2画面構成(デュアルディスプレイ)にして、作業効率をアップさせる、という使い方も可能。1つの画面でゲームをプレイしながら、もう1つの画面で攻略情報を調べたり、Discordなどコミュニケーション系のアプリでチャットしたりといった使い方ができるのは便利だ。もちろん、オフィス/クリエイティブアプリでの作業にも有効だ。

外部ディスプレイに接続すれば、2画面構成となるので利便性の向上も狙える

 なお、同じ「ノートPC」でも、ビジネス用途向けノートPCとゲーミングノートでは、仕様上の特徴の違いが大きい。ビジネス用途向けノートPCは、場所を問わず使いやすいように携帯性やバッテリ駆動時間を重視したものが多いが、使用頻度やコストの面を考慮して外部GPU(dGPU)を備えていないものがほとんど。ディスプレイの仕様も含めゲームをプレイするのには向いていない。

 ビジネスや軽めのファミリーユースにおける性能はビジネス用途向けノートPCでも十分に高いものが多いが、ゲーム、さらにはGPUを駆使する場合もあるクリエイティブワークまでも視野に入れた汎用性となるとゲーミングノートPCがこれを上回る。

ゲーミングノートPCは「1台でゲーミング環境が揃う」のが強み

 ゲーミングノートPC最大のメリットは、オールインワンでゲーミング環境が整うことだ。デスクトップPCだと、セットモデルではない限り、別途モニターやキーボード、マウスが必要となるが、ゲーミングノートPCだと1台で完結できる。プレイするゲームや好みに応じて、マウスやコントローラーの導入が必要なぐらいだろう。

デスクトップPCの場合、モニター、キーボード、マウスといったデバイスを揃える必要がある

 ただ、“拡張性”という点ではデスクトップPCとノートPCでは大きく異なる。

 昨今、周辺機器の増設・拡張にはUSBやBluetoothが広く用いられ、マウスやゲームパッドはもちろん、ストレージや配信用のキャプチャーデバイスなども、ノートPCでもデスクトップPCでも同じように利用できる。デスクトップPCのほうがポート数は多いが、それもUSBハブなどを使えば解決できる問題だ。

 その一方で、内部の拡張性はデスクトップが圧倒的に優位だ。メモリや内蔵ストレージの増設、ビデオカードの交換によって性能の底上げといったことがデスクトップPCなら自由度が高い場合が多い。ノートPCはメモリやストレージを増設できるものも一部あるが、CPUやGPUの増強はできない。そのため、購入時のスペック選びはより慎重に検討したい。

ノートPCはUSBポートに限りがあるが、ハブを使えば拡張できる。周辺機器との接続に困ることはあまりない
【デスクトップPC/ビジネス向けノートPC/ゲーミングノートPCの違い】
デスクトップPCビジネス向けノートPCゲーミングノートPC
導入コスト〇~△ 本体以外にモニターが必要
ゲームでの“最高性能”×
省電力性
携帯性×
拡張性:ビデオカード××
拡張性:メモリ◎多くの機種で交換、増設可能〇一部の機種で交換、増設可能(MSIのノートPCは公認サポート店にて増設可能)
拡張性:ストレージ〇 SSD/HDDなど自由度高△ 一部機種で内蔵の交換・増設に対応(MSIのノートPCは公認サポート店にて増設可能)
拡張性:外付け周辺機器
キーボード/ポインティングデバイス別売り or セット内蔵(マウスは別売りが多い)
モニター別売り or セット(増設可)内蔵(増設可)
どんな人向き?省スペース性を気にせず、性能を重視、周辺機器も自由に選び、将来的な拡張を視野に入れて長く使いたい人自宅と会社、外出先と場所を選ばず使える携帯性とバッテリ駆動時間の長さを重視したい人拡張性よりも設置場所を取らず、1台でシンプルにゲーミング環境を整えたい人や持ち運びを重視したい人

MSIのゲーミングノートPCとデスクトップPCをコスパ&性能で比較

 ここからは、MSIのゲーミングノートPCから搭載GPUなどが異なる3モデル、同じくスペックの異なるデスクトップPC(自作PC)を3モデルを想定し、価格と性能を合わせてチェックしていく。自作PCでは、モニター、キーボード、マウスの組み合わせプランも用意。そこまで含めた上でのコストパフォーマンスを評価していきたい。

【今回テストしたMSIゲーミングノートPC3の主な仕様】
モデルKatana-17-B13VFK-3503JPThin-A15-B7VE-4159JPCyborg-15-A13UCK-4169JP
CPUIntel Core i9-13900H
(14コア、20スレッド)
AMD Ryzen 7 7735HS
(8コア、16スレッド)
Intel Core i7-13620H
(10コア、16スレッド)
メモリDDR5 32GB(16GB×2)DDR5 16GB(8GB×2)DDR5 16GB(8GB×2)
GPUGeForce RTX 4060 Laptop GPU(8GB)GeForce RTX 4050 Laptop GPU(6GB)GeForce RTX 3050 Laptop GPU(4GB)
SSD1TB(NVMe SSD)1TB(NVMe SSD)512GB(NVMe SSD)
電源ACアダプタ 200WACアダプタ 120WACアダプタ 120W
OSWindows 11 HomeWindows 11 HomeWindows 11 Home
ディスプレイ17.3型
(2,560×1,440ドット、240Hz)
15.6型
(1,920×1,080ドット、144Hz)
15.6型
(1,920×1,080ドット、144Hz)
サイズ
(幅×奥行き×高さ)
398×273×25.2mm359×254×21.7mm359.36×250.34×21.95~22.9mm
重量2.6kg1.86kg1.98kg
参考価格28万円15万3,000円14万円
3種類の性格・位置付けの異なるゲーミングノートPCを比較

 比較用のデスクトップPCとして、ゲーミングノートPCの価格やスペックを意識して構成した。1台目ははPコア8基、Eコア12基で合計20コア28スレッドのCore i7-14700KにGeForce RTX 4060 Tiを組み合わせ“アッパーミドル”という性能を狙ったもの、2台目は人気CPUのCore i5-14500にGeForce RTX 4060と“定番ミドルレンジ構成”、3台目は同じくCore i5-14500にGeForce RTX 3050を組み合わせ“価格を抑えたエントリー寄り”というプランだ。

【比較用デスクトップPCの主な仕様】
比較デスクトップPC(1)比較デスクトップPC(2)比較デスクトップPC(3)
CPUIntel Core i7-14700K
(20コア28スレッド)
Intel Core i5-14500
(14コア20スレッド)
Intel Core i5-14500
(14コア20スレッド)
マザーボードZ790搭載ATXマザーボードB760搭載microATXマザーボードB760搭載microATXマザーボード
メモリDDR5-5600 16GB×2DDR5-5600 16GB×2DDR5-5600 16GB×2
ビデオカードNVIDIA GeForce RTX 4060 TiNVIDIA GeForce RTX 4060NVIDIA GeForce RTX 3050(8GB版)
SSDM.2 SSD 1TBM.2 SSD 1TBM.2 SSD 1TB
CPUクーラー簡易水冷クーラー(36cmクラス)CPU付属CPU付属
電源ユニット850W 80PLUS GOLD650W 80PLUS Bronze650W 80PLUS Bronze
PCケースATXケースmicroATX ミニタワーケースmicroATX ミニタワーケース
想定合計価格231,000円前後146,000円前後136,000円前後

 デスクトップPCをゲーミング環境として利用するには、モニター、キーボード、マウス、OSも必要。そこで、こちらも予算別に3種類の想定プランを作ってみた。同じくゲーミングノートPCのスペックを意識して選んだものだ。

 WQHD解像度で高リフレッシュレートのモニターは価格の安いものでも4万円近くなるため、「プランA」は合計6万500円とそれなりに高い価格となった。予算を抑えるなら「プランC」の組み合わせだが、そうなるとゲーミング向けのモニターやキーボード、マウスではなくなってしまう。なかなか難しいところだ。改めて別途必要なものを確認すると、オールインワンで揃うゲーミングノートPCの便利さが見えてくる。

【モニター/キーボード/マウス/OSのプラン】
プランA:WQHD/高リフレッシュレートプランB:フルHD/高リフレッシュレートプランC:フルHD/低価格
モニターMSI MAG 27CQ6PF(WQHD/180Hz)MSI G2412F(フルHD/180Hz)MSI PRO MP223(フルHD/100Hz)
キーボードMSI Vigor GK20 JPMSI Vigor GK20 JP有線キーボード
マウスMSI CLUTCH GM08MSI CLUTCH GM08有線マウス
OSWindows 11 HomeWindows 11 HomeWindows 11 Home
想定合計価格60,500円前後47,500円前後28,000円前後

 なお、今回は実ゲームとして「Apex Legends」、「Ghost of Tsushima Director's Cut」、「サイバーパンク2077」を用意した。解像度はすべてフルHD、Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレート、Ghost of Tsushima Director's Cutは旅人の宿場周辺の一定コースを移動した際のフレームレート、サイバーパンク2077はゲーム内のベンチマーク機能を実行した際のフレームレートをそれぞれ「CapFrameX」で測定している。

大画面&高性能の「Katana 17 B13Vシリーズ」

 まずは、MSIのゲーミングノートPCの中で17.3型と大型のディスプレイを採用している「Katana 17 B13Vシリーズ」のパフォーマンスをチェックしていこう。テストに使用したKatana-17-B13VFK-3503JPは、CPUには、高性能コア(Pコア)を6基、高効率コア(Eコア)を8基の合計14コア20スレッドに対応するノートPC用ハイエンド仕様のIntel「Core i9-13900H」を搭載。さらに、GPUにはNVIDIA最新世代でミドルレンジに位置するGeForce RTX 4060 Laptop GPUを採用している。

Katana 17 B13Vシリーズ。液晶は17.3型で、テストしたモデルはWQHD/240Hzのゲーミング仕様で、CPUはNVIDIA Core i9-13900H、GPUはIntel GeForce RTX 4060 Laptop GPUを搭載
キーボードは日本語配列でテンキー付き。バックライトは発光パターンや発光色のコントロールも可能だ

 Katana-17-B13VFK-3503JPは、今回3モデルでもっとも高性能ということもあり、デスクトップPCからは「比較デスクトップPC(1)」、「比較デスクトップPC(2)」と比較する。なお、動作モードはMSI Centerで「究極のパフォーマンス」に設定している。これはほかの2モデルでも同様だ。まずは、CPUパワーを測定する「Cinebench 2024」と3Dベンチマークの定番「3DMark」の結果から見ていこう。

Cinebench 2024の結果
3DMarkの結果

 Katana-17-B13VFK-3503JPは、CPU、GPUとも格上と言える比較デスクトップPC(1)にはスコアは届かない。その一方で、この構成でモニターの解像度をKatana 17 B13Vシリーズと同等クラスにするためには、「プランA」を選ぶ必要がある。そうなると合計金額は29万1,500円とKatana-17-B13VFK-3503JPを超えてしまう。

 注目は「比較デスクトップPC(2)」とのスコアだろう。CPUは同じコア数、GPUもデスクトップ向けとノートPC向けの違いはあるものの同じRTX 4060ということもあってスコアはかなり近くなっている。“デスクトップPCのミドルレンジ構成に近い性能は持っている”と見てよいだろう。

Apex Legendsの結果
Ghost of Tsushima Director's Cutの結果
サイバーパンク2077(レイトレーシングなし)の結果
サイバーパンク2077(レイトレーシングあり)の結果

 全体としては3DMarkと同じ傾向だ。Apex Legendsは平均203.7fpsと240Hzの高リフレッシュレートを生かせるだけのフレームレートを出している点に注目したい。画質を少々下げれば常時240fpsキープも可能になるだろう。

 Ghost of Tsushima Director's Cutとサイバーパンク2077はアップスケーラー+フレーム生成でフレームレートを大幅にアップする「DLSS 3」に対応していることもあり、高画質設定でも快適に遊べるのがポイントだ。特にサイバーパンク2077でレイトレーシングを効かせても平均100.2fpsと高いフレームレートを出しているのはうれしいところ。

15万円台の良コスパで重量級ゲームも遊べる「Thin A15 B7Vシリーズ」

 「Thin A15 B7Vシリーズ」は15.6型のディスプレイを採用するゲーミングノートPCとしてはスタンダードと言えるモデルで、CPUにはAMDのZen 3+アーキテクチャを採用する8コア16スレッドの「Ryzen 7 7735HS」を採用する。テストに使用したThin-A15-B7VE-4159JPは、GPUはGeForce RTX 4050 Laptop GPU、1TBのSSDを搭載するモデルだ。

Thin A15 B7Vシリーズ。15.6型でフルHD/144Hzのディスプレイを採用。テスト機のCPUはAMD Ryzen 7 7735HS、GPUはNVIDIA GeForce RTX 4050 Laptop GPUを搭載
キーボードは日本語配列でテンキーはない。バックライトは備わっているが青色のLEDで可能なのは明るさ調整だけだ

 Thin A15 B7Vシリーズは、今回の3モデルで中間に位置する。デスクトップPCからは「比較デスクトップPC(2)」、「比較デスクトップPC(3)」と比較しよう。まず、「Cinebench 2024」と「3DMark」の結果から見ていこう。

Cinebench 2024の結果
3DMarkの結果

 Core i5-14500のほうがコア数が多いこともあり、Cinebench 2024はデスクトップ勢が優勢。その一方で、3DMarkではCPU Profile以外は比較デスクトップPC(3)を上回る。ここがポイントだ。

 比較デスクトップPC(3)は13万6,000円前後の構成だ。モニターやOSを「プランB」にすると合計18万3,500円とThin-A15-B7VE-4159JPの15万3,000円を大きく上回る。ミニマム構成の「プランC」との組み合わせでも合計16万4,000円で、3D性能的には比較デスクトップPC(3)を上回るThin-A15-B7VE-4159JPのほうがこれよりも安くなる。これはコストパフォーマンス良好と言ってよいだろう。

Apex Legendsの結果
Ghost of Tsushima Director's Cutの結果
サイバーパンク2077(レイトレーシングなし)の結果
サイバーパンク2077(レイトレーシングあり)の結果

 デスクトップ版のGeForce RTX 3050(8GB版)は世代的には古いがメモリバス幅は128bit、GeForce RTX 4050 Laptop GPUは最新世代だが96bitとバス幅が狭いのが影響したのか、Apex Legendsでは比較デスクトップPC(3)よりもフレームレートは下回った。それでも平均126.5fpsなので、144Hzのリフレッシュレートをかなり生かせるフレームレートは出ている。

 Ghost of Tsushima Director's Cutは、RTX 3050はFSRのフレーム生成を利用できるため、GeForce RTX 4050 Laptop GPUとよい勝負となった。その一方で、FSRのフレーム生成非対応のサイバーパンク2077では、RTX 3050はフレームレートを伸ばせず、Thin-A15-B7VE-4159JPが上回った。レイトレーシング有効時でも平均65.5fpsと快適に遊べるフレームレートを出している点に注目したい。

価格重視で選ぶなら「Cyborg 15 A13Uシリーズ」

 今回の3モデルでもっとも低価格になるのが「Cyborg 15 A13Uシリーズ」だ。14万円前後で購入可能だが、ディスプレイは15.6型で解像度はフルHD、リフレッシュレートは144Hzと高く、ゲーミングノートPCとして重要なポイントはしっかり押さえている。CPUは、Pコア6基、Eコア4基で合計10コア16スレッドのIntel「Core i7-13620H」とゲーム用途としては十分な性能だ。テスト機のCyborg-15-A13UCK-4169JPが搭載するGPUはエントリークラスのGeForce RTX 3050 Laptop GPU。SSDは512GBだ。

Cyborg 15 A13Uシリーズ。15.6型でフルHD/144Hzのディスプレイを備える。全バリエーションモデルがIntel Core i7-13620Hを搭載し、テスト機はGPUにNVIDIA GeForce RTX 3050 Laptop GPUを採用
キーボードは日本語配列でバックライトも搭載。RGB LEDなので発光パターンや発光色の変更も可能だ

 Cyborg 15 A13Uシリーズは、GPUのグレードで見れば今回一番下になる(CPUコア数はThin A15 B7Vシリーズのほうが少ない)。デスクトップPCからは「比較デスクトップPC(2)」、「比較デスクトップPC(3)」と比較しよう。まずは「Cinebench 2024」と「3DMark」の結果から。

Cinebench 2024の結果
3DMarkの結果

 3DMarkを見ると、GPU性能の違いが如実に出る。比較デスクトップPC(3)はデスクトップ版のRTX 3050(8GB版)なので、GeForce RTX 3050 Laptop GPUよりもCUDAコア数もメモリ容量も多く性能差は大きい。その一方で、比較デスクトップPC(3)は高リフレッシュレートモニター採用の「プランB」との組み合わせで合計18万3,500円とCyborg 15 A13Uシリーズよりも4万円以上高くなる。導入コストには大きな差があるわけだ。

Apex Legendsの結果
Ghost of Tsushima Director's Cutの結果
サイバーパンク2077(レイトレーシングなし)の結果
サイバーパンク2077(レイトレーシングあり)の結果

 Apex Legendsは平均84.9fpsと十分快適にプレイできるフレームレートが出ている。144Hzのリフレッシュレートを生かしたければ、もう少し画質を落とすのがよいだろう。Ghost of Tsushima Director's Cutは、FSRによるフレーム生成を利用できることもあって、平均52.3fpsとプレイ可能なフレームレートを達成。人気ゲームを高い画質で楽しめる。

 ただ、最重量級と言えるサイバーパンク2077はレイトレーシングを使わない設定でもRTX 3050はフレーム生成を利用できないこともあって、フレームレートは低め。快適に楽しむには画質を下げる必要がある。プレイするゲームが軽めのFPS中心、画質は多少犠牲にしてもかまわない、導入コストをとにかく抑えたい、という人にはよい選択肢になってくれるだろう。

動作音やCPU/GPUの温度もチェックする

 最後にゲーミングノートPC 3製品の動作音やCPU/GPUの温度推移を見ていこう。動作音は本体正面と排気口となる左側面10cmの位置に騒音計を設置し、サイバーパンク2077プレイ時のファンの音を計測した。温度推移は、同じくサイバーパンク2077を10分間プレイした際のCPUとGPUの温度推移をシステム監視アプリの「HWiNFO Pro」で追った結果だ。

サイバーパンク2077プレイ時の動作音
CPU温度の推移
GPU温度の推移

 動作音はスペックの高いKatana-17-B13VFK-3503JPが一番高くなるのは仕方のないところ。ヘッドセットやヘッドフォンでゲームをプレイする人にはあまり関係ないだろう。そして、Thin-A15-B7VE-4159JPとCyborg-15-A13UCK-4169JPは動作音に関しては非常に優秀だ。

 ゲーミングノートPCは高いスペックをしっかり冷却するために動作音はどうしても大きめになる傾向だが、この2モデルは正面からはファンの音があまり気にならないレベル。冷却システムの進化を感じる部分だ。

 動作音は小さいほうがよい、という人はこの2モデルがオススメ。温度推移を見ると、ゲーミングノートPCで重要となるGPUの温度は3台とも緩やかな上昇でしっかりと冷却されている。特にThin-A15-B7VE-4159JPは、動作音が控えめでCPUも温度低め。3製品の中で一番軽い1.86kgとなっており、ノートPC的な“持ち運びやすさ”も含めたバランスのよさが光る結果だ。

性能か価格か、何を重視するかでオススメは変わる

 ここまでMSIのゲーミングノートPCをデスクトップPCとの比較も交えて検証してきたが、どれを選んだらよいかは、性能、予算感、ゲームの楽しみ方で変わってくる。

 性能やゲーム以外の作業しやすさまで重視するなら「Katana 17 B13Vシリーズ」がオススメ。高いCPU/GPU性能を備えているのはもちろん、17.3型と大型で見やすいディスプレイにテンキー付きのキーボードはオフィスやクリエイティブワークにも向いているからだ。高フレームレートでのプレイや描画の美しさにこだわりたい人にも合っている。

 バランス型は「Thin A15 B7Vシリーズ」だ。厚み21.7mm、重さ1.86kgと3モデルの中でもっとも薄くて軽く、持ち運びしやすいのに加えて、フルHDなら重量級ゲームも快適にプレイできるパワーを持つ。動作音も控えめで、価格は15万円台とコストパフォーマンスも良好だ。幅広いユーザーにオススメしやすい。

 導入コストを抑えたいなら「Cyborg 15 A13Uシリーズ」だ。重量級ゲームを高画質でプレイするにはちょっと厳しいが、軽~中量級のFPSなら十分快適にプレイできる。随所にスケルトン構造を取り入れたデザインや発光パターンや発光色にこだわれるキーボードはゲーミングPCらしく、入門機としてもよいだろう。動作音が抑えめなのもナイスなポイントだ。

 ノートPCの進化は著しいものがあるが、ゲームをプレイするうえでの“最高パフォーマンス”という点ではまだデスクトップPCが有利。とはいえ、それはあくまでも予算の制限がなければ、という話ではある。デスクトップPCには、カスタマイズの楽しさ、将来的な拡張性といった優位点もあるが、コストパフォーマンスのよさ、ゲームのためのPCの導入しやすさではゲーミングノートPCに軍配が上がる。ゲーム、PCライフをどのように楽しむか。そんなところも頭に入れつつ、検討してみてはいかがだろうか。