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フルHDはもう足りない!性能と実用性で選ぶならWQHDモニターが最適解。今オススメの製品を紹介

 21~24型でフルHD解像度のモニターを使っているが、画面が小さい、解像度が低いと感じている人は多いのではないだろうか。テレワークの推進によって自宅で仕事をすることが珍しくなくなった昨今、複数のアプリ、さまざまな情報を同時に表示する機会が増え、モニターのサイズや解像度が作業効率に大きく影響することに気付いた人も多いはずだ。

 フルHDからの買い替えにせよ、追加で購入してマルチモニター環境を構築するにしても、現在オススメなのがWQHD解像度のモニターだ。フルHD(1,920×1,080ドット)に対して、WQHD(2,560×1,440ドット)は解像度が約1.8倍もアップする。つまりデスクトップ領域が広くなり、複数のアプリを同時に起動しても重ならずに使いやすい。

 テレワークでは、Web会議のZoom、コミュニケーションツールのSlack、情報を確認するためのブラウザ、会議を記録するための文書作成など、複数のアプリを同時に使わなければいけない場面も多いだけに、作業効率は確実にアップする。

WQHDならフルHDの約1.8倍の作業領域
WQHDはフルHDよりも約1.8倍の解像度になり、デスクトップを広く使える
これはフルHDのデスクトップに4つのアプリを起動したところ。アプリを重ねずに配置するのは難しい
こちらはWQHDのデスクトップ。解像度が約1.8倍になるので、複数のアプリも重ならずに配置できる

 もちろん、解像度の向上という点では4K(3,840×2,160ドット)のモニターという選択肢もあるが、机に置きやすいサイズの27型から32型クラスでは等倍表示(スケーリング100%)ではその解像度の高さゆえに文字が小さくなり、視力が低い人には読みにくい場合もある。そのため、スケーリングを150%にアップさせて使うことが多いが、そうすると使えるデスクトップの広さはWQHDの等倍表示(スケーリング100%)と変わらなくなってしまう。

 4Kでスケーリングアップさせて使えば、文字が高精細になるので見やすいというメリットはあるものの、使い勝手という点ではWQHDとほとんど同じだ。

4Kモニターだと結局スケーリングして使うことに
4Kのスケーリング150%設定でのデスクトップ
WQHDのスケーリング100%設定でのデスクトップ。表示できる情報量は4Kと同等だ

 それにゲームプレイも考えるなら、WQHDのほうが現実的と言える。4Kは確かに高精細な表示を楽しめるが、ゲームを快適にプレイするための目安と言える“1秒間に60fpsの描画”を達成するにはかなりのハイエンド環境が必要になる。

 WQHDなら、ミドルレンジクラスのビデオカードでも快適に遊べるゲームが多い。実際にミドルレンジクラスのGeForce RTX 3060を搭載する環境で人気ゲームでフレームレートを測定してみよう。使用した主な環境は、Core i7-12700K、GeForce RTX 3060、DDR5-4800メモリ32GB、Windows 11 Proだ。

 まずは軽めのFPSとして「VALORANT」と「レインボーシックス シージ」から。VALORANTは射撃場の一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測。レインボーシックス シージは内蔵のベンチマーク機能を使用した。

 どちらもフルHDよりはフレームレートが下がるものの、WQHD解像度で144Hz以上の高リフレッシュレートを備えるゲーミング液晶の性能を十分生かし切れる。

 描画負荷としては中量級と言えるFPSの「Apex Legends」と「レインボーシックス エクストラクション」ではどうだろうか。Apex Legendsはトレーニングモードの一定コースを移動した際のフレームレートをCapFrameXで計測。レインボーシックス エクストラクションは内蔵のベンチマーク機能を使用した。

 少し重めのゲームでもミドルレンジクラスのビデオカードならWQHD解像度でも平均で60fps以上を達成できる。フルHD以上の高精細でのゲームプレイ環境をミドルレンジで実現できるのもWQHD対応モニターの強みと言ってよいだろう。

 では、4K解像度ではゲームがどれほど重くなるのか。フォートナイトで試して見よう。ソロモードのリプレイデータを再生した際のフレームレートをCapFrameXで計測している。

 WQHDでは平均60fps以上をキープできているが、4Kになると一気に平均フレームレートは半分程度まで下がってしまう。フルHDの4倍もの画素数なので仕方はないが、4Kで快適にゲームをプレイするにはハイエンドクラスのビデオカードが必要なのが分かる結果だ。

 WQHDモニターは、4Kモニターよりも価格が安いものが多く、導入しやすいのも大きなメリットと言える。そこで、ここではフルHDモニターからの乗り換えにオススメのビジネス向けやゲーミング、エンタメ向けのWQHDモニター4製品を紹介していく。

プロの要求に応える高色域27型モニター
ASUS「ProArt Display PA278CV」

ASUS「ProArt Display PA278CV」。実売価格5万円前後

 まず、1台目はASUSのクリエイター向け「ProArt」シリーズに属する27型WQHDモニター「ProArt Display PA278CV」だ。最大の特徴は色の表現力と精度の高さにある。PCの一般的な色空間のsRGB、放送向けの色空間のRec.709、両方ともカバー率100%とデザイン、動画編集どちらの業務にも対応しやすい。

 また、工場出荷時にキャリブレーションを行なっており、△E<2という高い色精度を保証。色ズレの心配がなく使えるのもクリエイターにとって非常に心強いところだ。IPSパネルを採用しており、視野角は上下左右とも178度と非常に広い。

高色域、高い色精度を誇るクリエイター向けのモニターだ
sRGBやRec.709など色空間の規格に合わせたモードを用意するなど、まさにプロ向けの仕様
OSDメニューの操作は右下のボタンで行なえる

 本体サイズは615×228×374~524mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は約8.7kg。映像入力はDisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4×1に加えて、65WのUSB PDに対応したType-Cも用意とノートPCとも接続しやすくなっているのがポイントだ。65W給電なので、Type-Cケーブル1本で映像出力と充電の両方を行なえる。

 このほか、USBハブや2W×2のステレオスピーカーも搭載。DisplayPort経由で最大4台までデイジーチェーン接続が可能と、マルチモニター環境を作りやすいのもクリエイター向けらしいところだ。

映像入力はDisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4×1、Type-Cを用意。USBハブとしてUSB 3.0を4ポート搭載している
Type-Cは65WのUSB PD機能もあり、ノートPCからの映像入力に加えて、充電も同時に行なえる
DisplayPort経由で最大4台までデイジーチェーン接続を行なうことも可能だ
背面のデザインはシンプル

 スタンドは上35度、下5度のチルト、左右45度のスイベル、150mmの範囲での高さ調整、左右90度のピボットとまさに“全部入り”の高機能仕様。自分好みの角度に調整しやすい。また、100mm×100mmのVESAに対応とモニターアームへの取り付けも可能だ。

150mmの範囲と高さ調整の幅は広い
チルトは上35度、下5度
ピボットにも対応している
スタンド下部にはケーブルをまとめるためのフックもある

 ゲーム向けではないが、リフレッシュレートは最大75Hzと一般的な60Hzよりもちょっと滑らかな描画が可能、可変リフレッシュレート(Adaptive-Sync)にも対応とゲームもなかなか快適に遊べるスペックを備えている。クリエイティブな作業が中心だが、息抜きにゲームもプレイしたいという人にもオススメの1台だ。

31.5型の迫力あるゲーミングモニター
アイ・オー・データ機器「GigaCrysta LCD-GCQ321HXDB」

アイ・オー・データ機器「GigaCrysta LCD-GCQ321HXDB」。実売価格6万7,000円前後

 アイ・オー・データ機器のゲーミングブランド「GigaCrysta」シリーズの31.5型WQHDの大型モニターが「GigaCrysta LCD-GCQ321HXDB」だ。

 ゲーミング向けということもあり、最大リフレッシュレートが165Hzと高く、NVIDIAの可変リフレッシュレート技術「G-SYNC Compatible」の認証を受けており、画面ズレのテアリングやスタッタリングと呼ばれる画面のカクつきを防げる。

 さらに、1ms(GTG)の高速応答を実現し、「スルーモード」を有効にすることでキーボードやマウスのボタンを押してから実際に画面に反映されるまでの内部フレーム遅延が約0.04フレーム(約0.233ms)となり、操作と表示のズレが少ないなど、ゲームを快適にプレイするための機能やスペックが充実しているのが最大の特徴だ。

165Hzの高リフレッシュレートに対応
可変リフレッシュレートの「G-SYNC Compatible」に対応
IPS方式と同様の性能を持つADSパネルを採用しており、画面は鮮やかだ
狭額縁なので大型モニターながら圧迫感はあまりない

 このほか、ゲームの暗部を見やすくする「Night Clear Vision」、映像にメリハリを付ける「エンハンストカラー」といったゲームの視覚面を向上させる機能に加えて、DisplayHDR 400認証も取得。HDR対応のゲームや映像コンテンツを31.5型の大画面でダイナミックに楽しめるのもよいところだ。ゲーミングモニターらしく背面のGigaCrystaロゴにはLEDを内蔵。OSDメニューで発光色や発光パターンの設定も行なえる。

暗部を見やすくする「Night Clear Vision」はOSDメニューで設定できる
背面のGigaCrystaロゴにはLEDを内蔵
LEDはOSDメニューで設定が行なえる
OSD操作のボタンは背面に用意されている

 サイズは714×231×453~563mm(同)で重量は約10.1kg。いずれもスタンド込みだ。映像入力はDisplayPort×1、HDMI×3、Type-Cの5系統と充実している。PCのほか、Nintendo SwitchやPS5など複数のデバイスを接続したい人にピッタリだ。なお、リフレッシュレート165Hz駆動はDisplayPortとType-C、HDMIは最大144Hzだ。

背面にDisplayPort×1、HDMI×3の4系統入力、左側面にType-C入力とUSBハブ、ヘッドセット端子を備えている

 このほか、USBハブや3.5W×2のステレオスピーカーも備えている。リモコンが付属しており、入力切り換えや各種設定を手元でできるのも便利だ。付属ケーブルがすべて青色と個性的なのもゲーミングモニターらしいところ。

手元で手軽に設定変更などが行なえるリモコンを付属
付属ケーブルがすべて青色なのも特徴だ

 スタンドは上20度、下3度のチルト、左右65度のスイベル、110mmの範囲での高さ調整が可能と、ピボットにこそ非対応だが十分高機能で見やすい位置に角度を調整しやすい。付属のネジを使うことで100×100mmのVESAに対応とモニターアームに接続も行なえる。

110mmの範囲と高さ調整が可能だ
チルトは上20度、下3度

 大画面でのゲームプレイは気持ちがよいものだ。165Hzの高リフレッシュレートにDisplayHDR 400認証、豊富な入力端子にリモコンも付属と、ゲームや映像コンテンツを快適に楽しめる環境が整っている。特に入力が5系統もあるのは珍しく、PCだけではなく複数のゲーム機も接続したいというゲーマーのニーズにも応えてくれる。

シンプル&スリムで高機能! 仕事にも学業にも使いやすい27型モニター
MSI「Modern MD272QPW」

MSIのModern MD272QPW。実売価格は33,000円前後

 MSIのビジネス向けモニターブランド「Modern」シリーズの27型WQHD液晶「Modern MD272QPW」を紹介しよう。ノートPCとの親和性が高いのが大きな特徴と言える。

 まず1つが、映像入力のType-Cが65WのUSB PDにも対応していること。Type-Cケーブル1本でノートPCからの映像入力と充電を済ませられる。さらに、1台のマウスとキーボードを2台のPCで共有できるKVM機能も搭載。モニターにノートPCとデスクトップPCを接続していても、同じキーボードとマウスで操作できるのが非常に便利だ。USBメモリや外付けHDDなどの共有といったUSBデバイスの共有も行なえる。

Type-Cの映像入力はノートPCへの65W給電も可能となっている
KVM機能によって2台のPCで同じキーボードとマウスなどUSBデバイスを使える
Type-Cで接続したノートPCとType-Bで接続したデスクトップPCで1つのUSBデバイスを共有できる仕組み
OSDメニューの操作はパネル底面のボタンで行なえる

 IPSパネルを採用しており、sRGBカバー率は90%、DCI-P3カバー率は73%とビジネス向けとしては十分な色域が確保されている。視野角も上下左右とも178度と広い。

 サイズは613.5×200.81×401.5mm(同)で重量は約5.85kg。27型としては軽量コンパクトで設置しやすいのも大きな強みだ。映像入力はDisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4b×1、65WのUSB PDに対応したType-Cの3系統。2W×2のステレオスピーカーも備えている。

sRGBカバー率は90%とビジネス向けなら十分な色域
映像入力はDisplayPort 1.2×1、HDMI 1.4b×1、Type-C×1の3系統

 スタンドは上20度、下5度のチルト、左右30度のスイベル、110mmの範囲での高さ調整が可能で、ピボットにも対応とシンプルなデザインながら高機能。マルチモニター環境を作って、1台は縦表示にしたいというニーズにも応えられるのは、さすがビジネス向けというところ。付属のネジを使うことで75×75mmのVESAに対応とモニターアームへの取り付けも可能だ。

110mmの範囲と高さ調整が可能だ
チルトは上20度、下5度
ピボットにも対応しているので、縦表示もできる

 このほか、ブルーライトをカットして目の疲れを軽減する「アイセイバー」やWindows上でモニターの設定を行なえるアプリ「Productivity Intelligence」も用意。マウスとキーボードで手軽に設定を変更できるのは非常に便利だ。

ブルーライトをカットするアイセイバー機能を搭載
Windows上で各種設定を行なえる「Productivity Intelligence」アプリ
パネル底面のボタンに割り当てる機能を変更できるのも便利だ

 比較的手頃な価格で、27型としてはコンパクト、スタンドも高機能でノートPCとも接続しやすいとビジネス向けとして高いコストパフォーマンスを実現している。

 ホワイトを基調にしたデザインもスマートで、仕事用としても学業用としてもオススメ。75Hzのちょっと高めのリフレッシュレートに可変リフレッシュレートのFreeSyncにも対応と、ゲーミングモニターほど高機能ではないが、ゲームも楽しめる仕様だ。

HDRやサウンドにこだわった27型ゲーミングモニター
BenQ「MOBIUZ EX2710Q」

BenQ「MOBIUZ EX2710Q」。実売価格5万5,000円前後

 BenQのゲーミングモニターシリーズ「MOBIUZ」の1つで、27型WQHD液晶の「MOBIUZ EX2710Q」を紹介しよう。ゲームや映像コンテンツ向けの機能が充実しているのが最大の特徴だ。

 PC向けのHDR規格「DisplayHDR 400」の認証を取得しており、HDR対応のゲーム、映像を楽しめるのに加えて、BenQ独自の「HDRi」技術を搭載。ゲーム画面をより見やすくする寒色系に調整する「ゲームHDRi」、コントラストを高めてよりシャープな映像にする「シネマHDRi」というプリセットによって、表示するコンテンツに合わせて調整できるのが楽しい。HDRを有効にすると色味などの調整ができないモニターが多いだけに、これは大きな強みと言ってよいだろう。

デフォルトのDisplayHDR設定。暖色系の色味だ
独自のゲームHDRi設定。寒色系の色味になる
独自のシネマHDRi設定。シャープでコントラストが強まる
HDRの切り換えは右下のボタンで手軽に行なえる

 IPSパネルを採用しており、上下左右178度の視野角に加え、デジタルシネマ向けのP3色域のカバー率が95%と色域が広く、応答速度は1ms(MPRT)と高速。リフレッシュレートは165Hzと1秒間に最大165コマという滑らかな描画が可能になっている。可変リフレッシュレートのFreeSync Premiumもサポートと、画面ズレのテアリングや画面がカクつくスタッタリング対策も万全だ。

P3色域のカバー率が95%と色の再現力は高い
リフレッシュレートは最大165Hzまで設定が可能だ

 さらに、スピーカーは2W×2のステレオに加えて、背面に5Wのウーファーを備える独自の「treVolo True Sound」オーディオシステムを採用することで、スリムながら低音の迫力があり、ステレオ感がはっきりと分かる仕上がり。

 サウンドモードとしてシネマ、レーシング、FPSなど5種類があり、FPSにすると銃声や足音が際立つなど、ジャンルごとにこだわりのチューニングが行なわれている。ヘッドセットで耳が圧迫されるのが苦手、という人には高品質なスピーカーはうれしい装備だろう。

スピーカーは前面の2W×2に加えて、背面に5Wのウーファーも備える
サウンドモードとして5種類のプリセットを用意
OSDメニューの操作は背面のスティックで行なえる

 本体サイズは614×252.5×425.8~525.8mm(同)で重量は約7.4kg。映像入力はDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2の3系統だ。USB 3.0ハブ機能も備えている。

映像入力はDisplayPort 1.4×1、HDMI 2.0×2の3系統
背面。入力端子部分を隠せるカバーが用意されている

 スタンドは上15度、下5度のチルト、左右15度のスイベル、100mmの範囲での高さ調整が可能だ。ピボットには非対応。ガッチリとした土台でゲームプレイでキーボードやマウスを激しく操作しても揺れない安定感がある。100mm×100mmのVESAに対応とモニターアームへの装着も問題ない。

100mmの範囲と高さ調整が可能だ
チルトは上15度、下5度
スタンド下部にはケーブルをまとめるための穴を用意

 価格は高めだが、165Hzの高リフレッシュレート、独自のHDR機能、高音質なスピーカーとエンタメを存分に楽しめる環境が整っており、それだけの価値がある1台。ゲームのプレイも動画の視聴にもこだわりたい人にはピッタリの1台になってくれるはずだ。