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データ復旧は一発勝負?失敗しないおすすめ業者の選び方

今回話を伺ったデジタルデータソリューション データリカバリー事業部エンジニアグループ 薄井雅信氏(左)とデータリカバリー事業部エンジニアグループ 大下敬一朗氏(右)

 PCやサーバーなどが破損し、中のデータが不幸にも取り出せなくなってしまうことがある。ほんの少し前までは何の問題もなくアクセスできていたのに、中身が見られないどころか、どんなファイルがあったか確認すらできないとなると、目の前が真っ暗になってしまう。

 また、そのような場合に焦ってメーカーに"修理"を依頼してしまうと、取り出せたはずのデータを完全に失ってしまう。では、どのように対処するのが良いのだろうか。

 こうした障害の発生時は、データ復旧を手掛ける専門の業者に依頼するのが一番だが、なにせこうした障害は、一生に何度も、かつ繰り返し遭遇するものではないため、どのような基準で業者を選ぶべきか、判断がつかない人がほとんどだろう。

 実のところ、データ復旧は一発勝負に近い面があり、ある業者で成功しなかったからといって別の業者に依頼するといった具合に、何度も作業を繰り返すと、それだけ復旧できる確率は低くなっていく。それゆえ、最初の業者選びは非常に重要だ。

 今回はこうしたデータ復旧業者の選び方について、デジタルデータソリューションが運営するデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」の事例をもとに、復旧を依頼する利用者の側として知っておくべきポイントをチェックしていこう。

データ復旧業者を選ぶ上で重要なポイントは?

 データ復旧業者を選ぶ上で重要なのは、なんといっても技術力だ。データ復旧業者は国内で100社以上存在しているが、中には自前の技術をほとんど持たず、対処しやすい軽微な作業以外は門前払いしたり、他社に丸投げする業者も少なくない。

 それゆえ、まずは自社できちんと復旧作業を行なえる技術力を持っているかどうかという、基本的な部分のチェックから始めなくてはいけないのが現状だ。言うまでもないが、診断/復旧にかかる費用が安いからという理由や、営業拠点が近所にあって持ち込みしやすいからという理由だけで任せるべきではない。

 では技術力はどこを見れば分かるのだろうか。各業者が公開している復旧率の数字はもちろん、過去の事例ほど説得力を持つものはないだろう。ホームページなどで紹介されているデータの復旧成功に至った事例を見れば、その業者の技術力を垣間見ることができるし、事例の多さはその業者の信頼性を表していると言える。

 全く別の観点から、業者の信頼性を推し量ることもできる。例えば、復旧作業を行なっている現場の見学に対応しているというのもその1つだ。前述のように、技術力を持たない一部の業者は、作業自体をアウトソースしている場合も少なくない。復旧作業を行なっている拠点の見学に対応している業者ならば、そうした心配は限りなくゼロと言っていい。

すべての条件を満たすデータ復旧業者とは

 デジタルデータソリューションが運営するデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」は、これら条件の全てを満たすデータ復旧業者だ。

同社のオフィス内写真

 同社のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」は、11年連続してデータ復旧国内売上ナンバーワンで、復旧率は95.2%を誇っている。中でもHDDにデータを書き込む磁気ヘッドがデータ記録面(プラッタ)に接触して傷がつく、いわゆる「スクラッチ障害」の復旧は、以前までは不可能とされていたもので、その技術は高く評価されており、令和3年度の東京都経営革新優秀賞を受賞しているほどだ。

 データ復旧にまつわる相談実績は29万件以上を誇り、その中には官公庁や警察案件も多数含まれている。それらの技術力と実績を支えるのが、世界トップクラスと言われる同社の設備保有台数だ。六本木にある同社の復旧ラボには平均約7,300台のドナー部品がストックされており、迅速な部品交換を可能にしている。それらがズラリと並ぶラボの様子はまさに圧巻だ。

デジタルデータリカバリーのデータ復旧ラボ。機器の種類や障害によってエリアごとに専門のエンジニアが復旧しており、見学も受け付けている
復旧ラボには部品交換用のドナー部品約7,300台がストックされている

 この復旧ラボは依頼者からの見学にも対応しており、実際に作業が行なわれている様子をつぶさに見ることができる。多くのデータ復旧サービスでは、機材を送付してから診断結果が出るまで、全く音沙汰のない場合がほとんどという中、実際に見学が可能な同社は安心感がある。

 「ホームページであたかも自社で作業をしているように記載しているところもありますが、そこで復旧不可能と診断されて当社にお問い合わせをいただくケースで、実際に作業を見せてもらったという話は聞いたことがなく、当社でご覧になるのが初めてという方ばかりです」(薄井氏)。

 ラボの見学は、復旧を依頼する機材の持ち込みも兼ねて、遠方から飛行機や新幹線などで訪れる利用者も少なくないとのこと。このラボは50台を超える監視カメラと外部警備員を配置した国際空港レベルのセキュリティゲートを備え、機器の持ち込みや持ち出しを徹底管理している。ISO27001やPマークも取得済みであるなど、情報セキュリティの管理体制も徹底している。

ラボの入退室には国際空港レベルのセキュリティゲートを通過する必要がある

 復旧のスピードは最短で当日。約8割の依頼が48時間以内に復旧を完了させている。無料相談は24時間365日行なっているほか、復旧対応も365日年中無休であるなど、あらゆる点でスピード感がある。数多くの案件から得たノウハウが蓄積され、そのことが対応の迅速さ、ひいては復旧率の高さにつながっているというわけだ。

個人や法人を問わず、さまざまなメディアのデータ復旧に対応

 一般的にデータ復旧と言えば、法人が用いる業務データに関するものというイメージが強いが、同社のデータ復旧サービスは、個人ユーザーも含めて幅広く対応している。身近な写真やメールのデータはもちろん、子供の成長記録や冠婚葬祭の写真データの復旧、さらには卒業論文や研究データの復旧のような、一度失うと取り返しがつかない個人的なデータについても、同社の実績は豊富だ。

 法人についても、一般的なオフィス文書やPDFなどにとどまらず、ドローンで撮影したテレビ局の映像データの復旧、医療機関の電子カルテデータの復旧といった、業務に密接に結びついた特殊なデータの扱いにも長けている。さらには殺人事件や特殊詐欺など、警察への犯罪捜査の協力も多数手掛けている。

ラボにおける復旧作業の様子
ラボにはHDDの開封を行なうためのクリーンルームも設置されている

 メディア別に見るとどうだろうか。まずは一般的なPCやサーバーなどに用いられているHDD。サーバーやNASによくみられるRAID構成の機器からのデータ復旧はもちろん、製造元のメーカーでも復旧が不可能だったスクラッチ障害や暗号化済みのドライブ、ファームウェア障害からの復旧も、同社の得意とするところだ。データ量が何TBと多くても、同社であれば問題なく対応できる。

 「HDDは気温が上がってくると壊れる確率が上がり、当社に持ち込まれる数も増えてきます。最近も暖かくなったせいか、スクラッチ障害で持ち込まれる案件が増えつつありますね」(薄井氏)。最近はテレワークの普及により、オフィスの稼働が下がっている企業も多いが、こうした障害の発生件数は依然として高いのだという。

プラッタ(データ記録面)に傷がついたHDD(右)と正常なHDD(左)。比べると円状に一周していることが分かる

 またHDDに代わって近年は採用例が増えつつあるSSDのほか、USBメモリやSDカードなど、メモリ類にも対応している。事故などで見た目がボロボロになっていたり、火災で燃えてしまったメディアであっても、データの取り出しに成功した例は少なくないとのこと。

火災で焼けてしまったUSBメモリ

 「個人のお客様で多いのはUSBメモリですね。最近はUSBポートから出っ張らない小型モデルが増えています。SDカードは、最近はコロナの自粛が明けて運動会や発表会が開催される機会が増えたためか、カメラやビデオカメラの電源を久しぶりに入れたら認識しなかったということで、そこで使用されていたメモリカードが持ち込まれる例も増えています」(大下氏)。

スマートフォンで使われていたSDカードのほか、デジカメやビデオカメラなどで使われていた大容量カードが持ち込まれることも多い

また最近は、スマートフォン本体が持ち込まれるケースも多いという。「スマートフォンに入っている内蔵メモリと、スマートフォン本体が同時に壊れるケースはあまりありません。車に轢かれたり、マンションの高層階から落としたような場合は別ですが、お風呂に浸かったようなケースでは、内蔵メモリが壊れることはほとんどありません。スマートフォンの起動が不可能でも、データは無事ということもしばしばです」(大下氏)。

10年間諦めきれなかったデータが戻ってきた!

 このように幅広いデータ復旧に対応する同社だが、具体的にどのような事例があるのか、最近の事例から紹介してもらった。いずれも他社で復旧に失敗したり、診断によって復旧不可能と判定されたところ、同社が復旧に成功したというケースだ。これらは同社の技術力の高さを裏付ける、何よりの証拠といえる。

 まずはHDD。1つは、10年前に落下させてデータが読み取れなくなったHDDからデータ復旧に成功した事例だ。当時は復旧業者2社に持ち込んでいずれも復旧不可と判定されたものの、どうしてもデータを諦めきれず、10年越しに当時のHDDを同社に持ち込んだところ、4割ものデータの読み出しに成功したのだという。

 「HDDは15年以上も前のIDE接続の古いタイプで、2社でどのような作業が行なわれたか分からないため、慎重にヘッド交換を行なってからファームウェア修復を行ないました。機種が古いために現行モデルのファームウェアとはプログラムが異なっており、何時間も掛けてファームウェアの書き換えを行なって起動に成功し、そのあと10日近くかけてデータの取り出しに成功しました」(薄井氏)。

 諦めきれなかったデータが10年越しに戻ってきたことで大いに喜ばれ、薄井氏にとっても感慨深い事例になったというこの案件、HDD内部には同社への持ち込み前に復旧にチャレンジした業者の痕跡が残っており、当初聞いていた2社以外にさらに別の外注先とみられる業者が悪戦苦闘した跡があったという。それだけ多くの業者が手に負えなかった障害から復旧に成功させたのは、同社の技術力の賜物だろう。

 もう1つはHDD表面のプラッタに磁性体の剥離が発生し、ファームウェアが損傷したことによってデータが読み取れなくなった事例だ。この例では、同社でファームウェアの修復から作業を行なったことで、2割のデータの復元ができたという。

 「磁性体剥離は一見すると大きな傷もなくきれいに見えるのですが、実際には全面に細かく傷が入っていて、データを読み取ることができません。この例も、ファームウェアが書き込まれている面にもスクラッチによる傷が入っていたため、ヘッドを交換しただけでは読み取ることができませんでした」(薄井氏)。

HDDのプラッタの断面図。上記の事例はデータの記録されている磁性層まで傷が到達していた

 そこで同社では、部品交換とファームウェア修復を反復して行ないつつ、取り出しに成功したバイナリデータの壊れている箇所を何時間もかけてつなぎ合わせ、ようやくデータ領域へのアクセスに成功。最終的に約2割のデータの取り出しに成功した。

 「もちろん全てのデータが取り出せるに越したことはありませんが、他社では復旧自体が不可能と診断されていたこともあり、お客様からは感謝の言葉をいただきました」(薄井氏)。

 スクラッチの復旧に独自技術を持つ同社の強みが発揮されたこの事例だが、部品の交換にあたっては同社が保有する7千台以上のドナーの中から互換性のあるヘッドを見つけ出して読み取りに使用するなど、縁の下で復旧作業を支えていたことも、見逃せないポイントと言えるだろう。

USBメモリやmicroSDカードはNAND型フラッシュメモリから直接データを読み出し

 最近は、USBメモリやmicroSDカードといったメモリ類のデータ復旧依頼が増えているのだという。「これまで当社がお預かりするメディアはHDDがトップだったのですが、最近はSSDやメモリ類が増加し、件数が逆転することも増えてきました。特に直近1~2カ月はこの傾向が顕著で、メモリ担当メンバーを増員して対応にあたっています」(薄井氏)。

 そんなメモリ類の復旧作業は、顕微鏡を使わなくてはいけない緻密な工程もあるため、ラボを訪れても詳しい作業を見るのは難しい。同社ではこうした場合のために作業手順を紹介する動画を用意しており、同じものがウェブでも公開されている。以下がその内容だ。大下氏にその詳しい工程を解説してもらった。

【データ復元】認識しないSDカードの復旧(配線作業)

 まず1本目の動画は、microSDカードの記録領域であるNANDに配線を行なっている様子を収めたものだ。通常NANDへはコントローラからアクセスするが、コントローラが壊れているために、NANDにダイレクトに配線を行なってアクセスせざるを得ず、これはその準備工程にあたる。作業は顕微鏡を用い、すべて手作業で行なわれている。

NANDへの緻密な配線作業を行なうために、同社ラボには顕微鏡も用意されている
データ読み出しのための配線が行なわれたmicroSDカード。実際の大きさは指先大だ

 「microSDカードの裏のコーティングをはがした後、NANDのメモリチップに直接アクセスするための配線を探し、銅線を接続します。そうして中のデータを読み出したのち、コントローラが行なっているデータの並び替えなどの作業を再現して、始めてデータが読めるようになります」(大下氏)。

 この作業に用いられる銅線は、髪の毛以下の細さという。外科手術並みの精密さが求められるこの作業だが、配線パターンは同社が把握しているだけでも3,000ほど存在するという。大下氏によると「これだけのパターンを把握している業者は、おそらく他にないはず」とのことだ。

 続いて2本目の動画は、基板に熱風を当ててデータが保存されているメモリチップを取り外す「チップオフ」と呼ばれる作業だ。これもやはり、記憶領域であるNANDに直接アクセスするための準備工程となる。

【データ復元】認識しないUSBメモリの復旧(メモリチップ剥離作業)
メモリチップの剥離作業を行なっている様子。約300℃の熱風を吹き出す設備を用いて、破損しないよう慎重に作業が進められる

 「USBメモリやmicroSDカードといったメモリ類は、全体を管理するコントローラ、記憶領域であるNAND、そしてそれらが載っている基板の3つで構成されており、どれかが壊れると認識されなくなります。このうち仕組み上どうしても壊れやすいのがコントローラで、認識しない場合はコントローラに異常が発生していることがほとんどです」(大下氏)。

SDカードの内部構造。記憶領域であるフラッシュメモリと全体の動作を管理するコントローラーに分かれている

 コントローラが壊れていると判断すれば、このようにNANDチップを取り外して銅線をつないだあと、テスターを使って電流を流すことでピンの役割を特定。元と同じ配線を再現した後にアクセスすることで、高い確率でデータを取り出せるのだという。基板が壊れている場合も、同じ手順でNANDへと直接アクセスする。

 こうした緻密な作業が実を結んだ事例を教えてくれた。1つは他社で「メモリ素子の破損により復旧不可」と診断された事例で、前述のような作業を経てデータを取り出し、レイアウトを特定した上で要素を並び替え、復旧に成功したとのこと。他社ではデータそのものが破損しているとの診断結果だったが、実はそれは「誤診」であり、NANDの中のデータは生きていたという事例だ。

 「認識しないという見た目の症状は同じでも、詳しい原因を把握して復旧対応ができるかどうかは業者の技術力次第です」(大下氏)。記録されていたのは工事用の工程管理データで、復旧できなければ大変な手間をかけて一から作り直さなくてはいけなかったのが、無事復元できたことで一件落着したのだという。同社に依頼することがなければ、他社の診断が誤りだったことは明らかにならず、データは取り出されないままだっただろう。

 もう1つの事例は、ペットの写真が入ったmicroSDカードをユーザー自身が誤ってフォーマットし、メーカーに復旧を依頼したものの復旧不可と判定されたというもの。この例ではユーザー自身も市販の復旧ソフトを使うなどして懸命に復旧を試みたものの、ついにはmicroSDそのものが認識されなくなるなど状況が悪化。同社に復旧を依頼したところ、前述のような作業を経て、約10日かけて写真データの取り出しに成功した。

スマートフォンはハードウェアごと復旧を行なう場合も

 ところで最近は、スマートフォンの本体がまるごと持ち込まれる事例も多いという。最近のスマートフォンはメモリカードに対応せず、データが基板上のメモリ領域に保存されているためだが、こうした場合はどのように対応しているのだろうか。

 「オンボードの場合、CPUやメモリ、ベースバンドICという電源管理用のチップ、さらに暗号化の専用チップを、動作する基板に載せ替えた後に、データの取り出しを行ないます。格安スマートフォンだと過去のデータの蓄積がないため苦労することもありますが、復旧事例が多いスマートフォンの復旧は比較的容易ですね」(大下氏)

スマートフォンのデータ復旧にも対応している。大手メーカー製品はノウハウも豊富だ

 ちなみにスマートフォンのデータが他のメディアと異なるのは、特定のハードウェアでしか読み出せないケースがあることだ。「スマートフォンから取り出すデータは写真や動画、LINEの履歴、通話履歴などがほとんどですが、中には仮想通貨のウォレットのように、スマートフォンの認証機能を使わないとアクセスできないデータもあります。こうした場合は、スマートフォン自体の復旧を行なうことになります」(大下氏)。

 USBメモリやmicroSDカード自体、復旧できる業者はもともと多くないのだが、スマートフォン内のデータについてもこれは同様なのだという。「メーカーはデバイスの修理は行なってもデータの復旧はしてくれないので、一度修理を依頼してしまうとほとんどのデータは消えてしまいます。そのため、メーカに依頼する前に持ち込んで欲しいです」(大下氏)。中には正式に業務提携しているわけではない大手のスマートフォンメーカーから非公式に紹介されたとして、同社の門を叩く利用者もいるのだという。

「できれば最初に持ち込んでほしい」その理由とは

 同社はその技術力の高さゆえ、他社が断ったデバイスが巡り巡って持ち込まれるケースも多い。すでに他社で復旧不可能と診断されていることで、藁にもすがる思いで持ち込んでくるユーザーも多いそうだが、同社は複数の理由から「復旧の確率を高めるためにも、できれば最初に当社に持ち込んでほしい」(薄井氏)と訴える。

 「ユーザーの方が復旧の難易度を自力で判断するのはまず不可能です。それならば、対応できる障害の幅が広い業者を最初から選んだ方が、復旧できる可能性が高まります」(薄井氏)。

 例えばHDDの場合、開封するとディスクの劣化が起こることはよく知られている。そうなると復旧できるデータが減ってしまうので、早いタイミングで信頼の置ける業者を選ぶことが、どれだけ多くのデータを取り出せるかに大きく影響する。

 また、中には技術力の低い業者によって、部品の取り違えが起こるケースがあるのだという。「ヘッドの互換性が分からずに別の部品と交換し、本来なかったスクラッチの傷が新たに発生するケースもあります。また作業ミスで違うチップが取り付けられて返却されていたため、お客様経由で他社に連絡し、そのチップを取り戻したこともあります。そうした作業ミスのリスクもありますので、最初から当社に任せてほしいですね」(薄井氏)。

技術力のない業者は、HDDの各部品の素性が分からないまま復旧作業を強行し、新たな傷をつけてしまうことも

 これはメモリ類に関しても同様だという。「メモリチップを取り外す技術がないせいで、コントローラが壊れているだけで復旧を諦める他社さんは多いですね。コネクタや基板の修理だけはできるので、よく見るとコントローラを付け直した跡はあるのですが、直接NANDにアクセスしたらあっさり読み出せたというケースはよくあります」(大下氏)。

さまざまなメモリカードの復旧に対応している。このほかドライブレコーダーやドローンのデータ復旧も手掛ける

 こうした事例を聞くにつけ、最初に依頼する復旧業者選びがどれだけ重要であるかを痛感する。たまたま目についた素性すら明らかでない業者に依頼したことで、データの復旧は失敗に終わり、かつ多額の作業費用を負担させられるのは、泣きっ面に蜂以外の何物でもない。大切なデータを取り戻すことができるかは、ひとえに復旧業者選びにかかっているといっても過言ではないだろう。

国際基準の方式でデータを消去するサービスも

 データ復旧サービスを主軸に据える同社だが、データの障害自体、起こらないに越したことはないとの観点から、予防するバックアップサービス、定額制でデータ復旧を⾏なえるワランティサービス、データを完全に消去する消去サービスも⽤意している。

 ユーザーがデータを安全に取り扱えるよう、データのプロとしてサポートする体制を整えているのも、信頼できる業者ならではといえるのではないだろうか。

 近年問題となりつつあるのが、企業における情報漏えいである。退職者のPCを処分する際や、他の社員に貸与するタイミングで削除したと思っていたデータが削除できておらず、個人情報や顧客情報が漏洩するケースが増加している。

 そこでニーズが高まっているのがデータ消去サービスである。同社では「データ復旧業者が復旧できないデータ消去サービス」として、デジタルデータクリアを提供している。HDDやSSD、SDカード、USBメモリといった主要の機器に対応し、「米国国防総省準拠方式」と呼ばれる政府機関承認の技術で完全にデータを抹消して消去証明書を無料で発行している。

 データ復旧に長年携わりデータが消える仕組みを研究してきた同社だからこそ、確実なデータ消去が可能になっている。

 テレワークやDXなどで、ますますデータの重要度が高まる時代。デジタルデータリカバリーやデジタルデータクリアをはじめとする同社のサービスは、データ時代の駆け込み寺として頼もしい存在だと言えるだろう。