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在宅/ハイブリッドワークに最適な高性能&高機能PCを見分けるたった1つの簡単な方法

インテルはEvoやvProという複数のロゴシールを用意しており、そのロゴシールで製品の性格を簡単に知ることができる

 ノートPCには、パームレスト部分にCPUなどのロゴシールが貼られていることが多い。「Core」や「Pentium」ロゴシールはおなじみだろう。ここ最近販売されているノートPCを見てみると、「Evo」および「vPro」といったCPU以外のロゴが付いたノートPCを見かけることがある。これらのロゴは何を意味し、何のためについているのだろうか?

 知ってしまえば簡単で、Evoなら「長時間バッテリ駆動が可能で快適に使えるノートPC」を、vProであれば「ハードウェアを利用した高いセキュリティと簡単な管理を実現」を意味する。高性能、高機能なPCが欲しいけど、スペックを見てもよく分からないと言う人は、このロゴを頼りに購入するだけで、確実にそれらを手に入れることができるのだ。

Evoは快適に使えるノートPCという証、vProは高セキュリティを実現したノートPCの証

vProのロゴマーク

 ノートPCのパームレストには、そのノートPCを特徴付けるロゴシールが貼られている。一般的なノートPCには「Intel Core」のようなCPUの種類を示すロゴシールが貼られている。どんなCPUが搭載されているか一目で分かるので、購入時の参考となる。

 1月に発表された第12世代インテルCoreモバイル・プロセッサー、(以下第12世代Core)用にもそうしたロゴシールがある。ただ、製品によっては、おなじみの「Intel Core」のシール以外にも、「Evo」、「vPro」というシールがあることに気付くだろう。

 これらのEvoやvProは、ある特定の条件を満たした製品に貼られるロゴマークになっている。簡単に言うと、Evoは「インテルEvoプラットフォーム」の仕様に準拠した製品に、そしてvProは「インテルvProプラットフォーム」の仕様に準拠した製品に貼られるものとなっている。それぞれの名称に「プラットフォーム」という言葉が付いていることからも分かるように、これらのブランドはCPUだけでなく、周辺部分の機能性を指し示すものとなる。

 インテルEvoプラットフォームでは、ユーザーがPCを快適に利用できるための仕様を規定している。ユーザーがノートPCに望むことは、大まかに高品質なディスプレイ、高い性能、そして長時間バッテリ駆動時間となるだろう。Evoではそうしたユーザー体験を実現するための仕様が細かく規定されており、それをクリアした製品だけがEvoブランドを冠することができる。

 一方のvProは完全にビジネスに振ったプラットフォームとなっている。ビジネスに利用するPCはより高いセキュリティと、大企業などで使われる場合にはリモートからPCを管理する機能など管理性も重要になっている。そうした機能をパックにしたものがvProとなるのだ。

 EvoもvPro以前から存在していたが、第12世代Coreの登場とともに内容がアップデートされている。以下で細かく解説していく。

ユーザーが快適に使えるようにするためのスペックを策定しているインテルEvoプラットフォーム

第12世代CoreでのEvoプラットフォームの要件と新機能

 インテルはEvoの基本スペックを次のように規定している。

  1. スリープから直ぐに復帰して使えること(スリープから1秒以内で復帰すること)
  2. 優れた応答性(第12世代Core、SSDなどの高性能なコンポーネントを採用、バッテリでも高性能)
  3. オールデーバッテリ(フルHDディスプレイ搭載で、9時間以上駆動できること)
  4. 30分の充電で4時間以上駆動できる急速充電機能
  5. 高速なネットワーク機能(Wi-Fi 6などの高速なネットワーク機能が必須)
  6. 優れた形状を採用していること(12~16型フルHD以上のディスプレイを採用し、薄さ15mm以下であることなど)

 こうした仕様を満たしたノートPCで、インテルが運営する認証機関での試験を通過した製品だけがEvoとして認証されて、製品にロゴマークのシールを貼ることができるようになっている。第12世代Coreが発表されたのに合わせて、いくつかの新要件が追加されている。

 具体的には、マイクのバックグランドノイズキャンセリング機能、Wi-Fi 6E(新しく導入される6GHz帯をサポートしたWi-Fi 6)、さらにWebカメラの解像度をフルHD以上にすることなどが盛り込まれた。リモートワーク/テレワークの一般化に伴い重要視されているWeb会議の品質を向上させるハードウェアやソフトウェアなどを標準搭載することが求められている形だ。

 また、第12世代CoreのEvoでは、第11世代でのEvoでは対象外だったHシリーズ CPUも対象になっている。このため、コンテンツクリエーション向けのPCや、ゲーミングノートPCでもEvoで規定されているユーザー体験を満たしたPCが実現可能になる。例えば、従来のゲーミングPCと言えば大きくて厚さもあるというイメージだったと思うが、第12世代CoreのEvoマシンでは、ゲーミングノートPCでも薄型を実現した製品が登場する見通しだ。

Wi-Fi 6Eやノイズキャンセリングなどの機能が搭載されている

第12世代Coreで、大企業向けと中小企業向けに別れたvPro、違いは管理機能

 vProは、ビジネスパーソンが利用するPC向けに、強力なセキュリティと、リモート管理などの優れた管理性を提供するプラットフォームとなっている。

 例えば、vProには「Intel Hardware Shield」という機能が用意されており、OSとvProが提供するハードウェアレベルのセキュリティ機能を組み合わせることで、ソフトだけでは実現できない高いセキュリティ性を実現可能になっている。また、Intel CPUに搭載されているMA(Management Engine)というハードと、各種管理ソフトウェアを組み合わせることで、リモートから電源を入れてOSにパッチを当てたりなどの管理すら可能になる。

 第12世代Core世代では、vProが2つのグレードに別けられている。1つが「Enterprise」で、もう1つが「Essentials」だ。前者が大企業向け、後者が中小企業向けと位置付けられている。

 EnterpriseとEssentialsの違いは、主に管理機能となる。Enterpriseでは強力な管理機能が必要になるため、vProで提供されるすべての管理機能が利用できる。しかし、中小企業ではそもそも専任の管理者がいなかったりするので、全ての管理機能は必要ではないことあり、大企業向けの管理機能を省略し、その分安価な価格にしたものがEssentialsだ。

第12世代CoreのvProは「Enterprise」と「Essentials」の2つがある
「Enterprise」と「Essentials」、管理性の機能が両者の違い
第12世代CoreではvProの新しい機能(主にセキュリティ)が追加されている

 しかし、セキュリティ機能に関しては、中小企業ユーザーでも、大企業ユーザーでも同じレベルの機能が必要になるため、基本的には同じ機能が利用できる。例えば、Microsoftが規定しているSecured-Core PCの仕様を実現するには、vProのハードウェアセキュリティ機能が必要になるが、それらのハードウェアセキュリティ機能はEnterpriseもEssentialsも対応している。

 vProの機能を利用するには、CPUがvProに対応している必要がある。vProに対応しているかどうかは、CPUのモデルに依存しており、スペック表の「vPro」の項目で確認できる。

 例えばPシリーズの最上位製品のCore i7-1280PならEnterpriseグレードのvProに対応した製品が、Core i7-1260PであればEssentialsグレードのvProに対応した製品が用意されている。同じCore i7-1280Pでも、vPro対応版とvPro非未対応版があるが、vProに対応したノートPCを購入したい場合には、vProのシールが目印となる。

赤線で囲った部分がvProのスペック

 また、従来のvProはWindows OSだけが対象になっていたが、第12世代CoreからGoogleのChromebookも対象になっている。Chromebookは、文部科学省のGIGAスクール構想により小中学校に導入されたPCの中でトップシェアになっており、現在多くの小中生がChromebookを使っている状況だ。

 そうした事情もありChromebookには注目が集まっている。Chromebookを教師用のPCなどに利用している学校や、ビジネスPCとして利用している企業にとっても、よりセキュリティが高いChromebookという選択肢ができることは歓迎して良いだろう。

ChromebookがvProに対応

Evo、vProのまとめ

新しいブランドバッジ

 こうした強化により、Windows OSに限ってもEvoにだけ準拠しているノートPC、EvoとvProの両方に準拠しているノートPC、vPro Enterpriseにだけ準拠しているノートPC、vPro Essentialsにだけ準拠しているノートPC、どちらにも準拠していないノートPCという5つの組み合わせが登場することになる。

 そのことが把握しやすいよう、組み合わせによりロゴシールは微妙に変えられており、具体的には以下のようになっている。

EvoとvProの両方に準拠しているノートPC

 EvoとvProの両方に準拠しているノートPCでは「An Evo Design」と下段に書かれていたvProロゴシールが貼られる。Evoは「ユーザーが快適に使えるノートPC」でありvProは「高いセキュリティと管理性を実現したノートPC」であるため、EvoとvProが両方付いている製品は「快適に使えて、かつ高いセキュリティを実現した最高グレードのノートPC」という意味になる。

Evoにだけ準拠しているノートPC

 Evoにだけ準拠しているノートPCには「Evo」と書かれたロゴシールが貼られることになる。Evoは「快適に使えるノートPC」という意味になる。

vPro Enterpriseにだけ準拠しているノートPC

 vPro Enterpriseにだけ準拠したノートPCには、下段には何も書かれていないvProのロゴシールが貼られる。vPro Enterpriseは高いセキュリティと管理性を実現しており、かつよりよい管理性を実現しているノートPCになる。

vPro Essentialsにだけ準拠しているノートPC

 vPro Essentialsにだけ準拠しているノートPCには、下段に「Essentials」と書かれているvProのロゴシールが貼られる。vPro Essentialsは高いセキュリティと中小企業向けの管理性を実現しているノートPCになる。

EvoにもvProにも対応していないノートPC

 EvoにもvProにも対応していないノートPCには、Intel Coreと書かれているシールが貼られる。Coreブランドの製品は、高いCPU性能を実現しているノートPCという位置付けになる。

 このように、ロゴシールを見るだけで、ノートPCがどんな特徴を持った製品であるのか、一目で分かるようになっているのだ。どれを買うか迷った場合には、パームレストのロゴシールが選択基準の1つになるだろう。