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最新USBメモリってSSDとどちらが速い? 何回抜き差しできる? いきなり抜いてOK? ウエスタンデジタルに聞いてみた
~耐久性を高める設計や品質基準、知っておきたい取り扱い方などをチェック
- 提供:
- ウエスタンデジタル
2021年4月23日 06:55
今や文房具並みに普及したと言ってもよいUSBメモリ。ちょっとしたファイルの保存、持ち運びや受け渡しなどが実に手軽に実現できる。挿してすぐ使える、誰でも大抵読める、パッと渡せる、持ち運びが楽、といったメリットはネットワークがこれだけ発達した現在でも引き続き有用だ。
しかし、お手頃になったことでスルーしがちになっていることもある。当たり前に使いすぎていて気にしなくなっている「正しい使い方」、日ごろあまり気にしていない「耐久性、信頼性、安全性」だ。
USBメモリを使うとき、今さらこういうことを気にしながら使う機会はあまりないかもしれない。しかし、数GBの容量のUSBメモリが数百円で購入できるものの、一部の低価格な製品には、仕様が明記されていなかったり、製造・販売などの出自がよくわからなかったり、極端に遅い・動作が不安定などの不具合や不満が出る製品だったりすることもある。「使い捨てしてしまえるほど安いから」と割り切ってしまうのは簡単だが、保存したデータが壊れてしまったり、肝心なときにきちんと動かないようでは、大事なデータの保管には(たとえ一時的だとしても)不安しかない。
それでは、そんな不安を抱かないようにするには? 答えは簡単で、速度の面でも品質の面でも信頼性が高い製品を選ぶことである。その目安となるのは、ベンチマークであったり、公開されている仕様であったり、メーカーのブランドイメージやユーザー間の口コミであったりする。今回は、“サンディスク”ブランドのUSBメモリだけではなく、NANDフラッシュメモリの開発からデータセンター用ストレージまで、ストレージに関する数多くのソリューションを持つ総合ストレージメーカーであるウエスタンデジタルに、USBメモリの基本構造や特徴、安全な使い方についてうかがった。
USBメモリのスピードは?壊れやすいの?壊れにくい?
USBメモリの正しい使い方を理解する前提として、その基本構造を見ておこう。
構造としてはSSDに近く、NAND型フラッシュメモリにコントローラチップ、そしてUSBコネクタのインターフェイスというのが基本構成。基板はコンパクト、インターフェイス直結なのでケーブル類もないため、ポータブルSSD/HDDに比べて圧倒的に小さく、そして軽い。このUSBメモリの最大の特徴こそが、USBメモリを普及させた理由だろう。
速度と容量面のスペックも順調に進化している。ウエスタンデジタルによると、最新の「サンディスク エクストリーム Go USB ドライブ」はリードは400MB/s、ライトも240MB/sで容量256GB、最上位の「サンディスク エクストリーム プロ USB 3.2 ソリッドステート フラッシュドライブ」はリード420MB/s、ライト380MB/sで最大1TBに達している。容量の小さい極めて安価なUSBメモリ製品ではリード/ライト速度すら明記されていない場合もあるが、最新の上位モデルともなれば、その速度と容量は国内市場の売れ筋ポータブルSSDと遜色がないレベルだ。
また、SSDにおいては高級なモデルになるほど、使用しているNANDの生産地やメーカーが重視されているのだが、サンディスクブランドのSSDと同様に、USBメモリにも日本製のNANDが採用されている。
速度の面ではすでにポータブルHDDを大幅に上回っているだけでなく、HDDのように記憶装置部分には可動部がないため、落下や衝撃に強いということも容易に想像ができる。ウエスタンデジタルによると、前述のエクストリーム Go USB ドライブの場合、筐体は金属製で「頑丈で、どんな用途にも使いやすい」仕上げにしているとのこと。さすがに容量の大きさや容量単価の面はポータブルHDDに譲るが、このあたりは用途による使い分けでクリアすべきところだろう。
これだけ小さく軽量に作られたUSBメモリだが、実際の頑丈さ、安全性はどういうレベルになっているのだろうか? ウエスタンデジタルに設計や品質の基準について、具体的な内容をうかがった。
回答によると、「とくに公表はしておりませんが、弊社のUSBメモリ製品はすべて、1mの落下に耐える落下強度、耐衝撃性を備え、故障・破損の原因になりやすいコネクタの強度は“5,000回の抜き挿しに耐えられる強度”という社内基準に基づいて設計、製造、出荷されております。製品によって若干仕様は違うのですが、たとえば、前述のエクストリーム Go USB ドライブの場合、製品の保管温度は-10℃~70℃に対応し、動作温度は0~45℃となっております。また、空港のX線検査を通してもデータなどに影響を受けないことを確認しています」とのこと。精密機器であることに変わりはないが、これはかなり頑丈と言ってよいものだろう。
この品質基準であれば、たとえばストラップやキーホルダーに付けて携帯するのもOKだろうし、机の上から落としてしまうくらいでは深刻なダメージにはならないだろう。普段PCを使う環境下での耐温度性もあり、かつ出張で飛行機に乗るさいの荷物検査もOKだ。データのやり取りに日常的かつ頻繁に使うことも想定された設計と言える。
ただし、USBメモリ製品は頻繁に雨風にさらされるような過酷な環境下での使用は想定されていないため、屋外の作業現場やレジャーなどに持っていくさいには、防水・防滴・防塵には要注意で、通常のラインナップではこのあたりには対応していないそうだ。屋外の作業現場などに適したIP55準拠(粉塵と全方向からの噴流水に対する保護なので、防塵・防滴の強度としてはかなり高い)の防塵・防滴モデルも、海外ではサンディスクブランドで販売されていると言うが、現時点は「日本での需要があまり見込めない」とのことで、残念ながら日本での取り扱いはなし。とはいえ、防塵・防滴を含めた高耐久性USBメモリが欲しいという声が日本国内でも多く上がれば導入を検討したい、との回答をいただいた。
なお、前述のとおり細部の仕様は製品によって条件や内容が異なる場合があるが、製品ごとの詳細の仕様については、製品のWebページまたはカスタマーセンターで確認可能とのことだ。USBメモリ製品仕様は、メジャーブランドではない低価格な製品ではそれほど細かく公表されていない場合もある。手軽に使えるUSBメモリとはいえ、大事なデータを持ち運ぶものであることに変わりはないのだから、信頼性のあるブランドの製品を選んでおくのがよいだろう。
使用中のお作法:USBメモリの安全な取り外し
次に、USBメモリに記録したファイルを安全に扱うための作法、使い方をもう一度確認しておこう。USBメモリは取り付け・取り外しが容易なデバイス。扱いやすい一方で、抜くタイミングしだいではファイルに悪影響を与える可能性がある。
もっともていねいな作法は、USBメモリの“取り出し”(通知領域の「ハードウェアを安全に取り外してメディアを取り出す」や、エクスプローラーで対象ドライブを右クリックから)を実行してから物理的に取り外すことだ。
Windowsでは、ストレージへの書き込み時にキャッシュを利用することで外部ストレージのパフォーマンスを上げる“遅延書き込み”を利用することがある。パフォーマンスは上がるのだが、ファイルのコピーや移動の操作と実際にデータを書き込むタイミングにずれがあるため、取り外しが容易なUSBメモリの場合、実際の書き込みが完了する前にUSBメモリを抜いてしまうと、エラーが出たり、最悪の場合ファイルを失ったりしかねない。安全な“取り出し”はこの遅延書き込み時のエラーを防ぐために必要なプロセスだ。
ただ、この一連の動作・操作は、Windows 10の場合、バージョン1809以降で外部ストレージの取り扱いポリシーが変更され、USBメモリは「クイック取り外し」という設定に変更されている。この設定は遅延書き込みを使用しない設定なので、画面上でファイルの書き込みが完了していれば、見たとおり作業が完了していることになり、“取り外し”操作を行なわなくても問題なく取り外し可能だ。
ウエスタンデジタルに取り外しの“正しいお作法”について聞いてみたところ、「クイック取り外しに設定されていればアクセス中でなければ外しても大丈夫とMicrosoftが明言していますが、弊社としてはより安全にお使いいただくために“取り外し”操作を行なってから物理的に取り外すことをお勧めしています」とのことだった。基本的には即外しOKだが、大きなファイルのコピー中や、USBメモリ上のファイルを開いているときにうっかり外してしまう、という初歩的な操作ミスを防ぐための確認のワンクッションと考えると、流れとしてはしっくりくる。
なお、Macで利用するさいは「いきなり取り外さず、取り外したいUSBメモリを選択してメニューから“USBを取り外す”を必ず実行してください」とのことだ。
小さいゆえの紛失・盗難に備えるべし
最後に、紛失や盗難に対する対策を考えておきたい。USBメモリは非常にコンパクトなストレージだ。前述のエクストリーム Go USB ドライブは、7.4×18×60.3mmでわずか約10gしかなく、コンパクトなポータブルSSDよりもっとずっと小さい。ただこれだけ小さいと、落としたり、置き忘れたり、盗まれたりする可能性も高くなる。容量も十分で、いろんなファイルを手軽に保管でき“過ぎ”てしまうので、単に「デバイスをなくす」だけにとどまらず、データ流出といった2次被害も生じやすい。
そこで、重要度・機密性の高いデータをUSBメモリに入れて持ち出すときに使っておきたいのが、“ファイルの暗号化”だ。すぐ使える方法としては、USBメモリ全体を暗号化して保護するWindows 10の標準機能「BitLocker to Go」があるが、これは使えるエディションがProとEnterpriseに限られている(Homeは閲覧のみ)。
サンディスク製品の場合、「SanDisk SecureAccess」という暗号化ツールが新品のUSBメモリ内に収録されており、WindowsおよびMacユーザーは、パソコンにUSBメモリを挿せばすぐに利用できる。使い方自体は簡単で、USBメモリ上の実行ファイルを起動して、画面の指示に従ってパスワードを設定、専用のファイル管理画面を使って安全に保存したいファイルを出し入れする、というものだ。
2度目以降のSanDisk SecureAccessの起動にはパスワードが必須となり、SanDisk SecureAccessで暗号化保存したファイルはエクスプローラーからは直接開けず(暗号化された特殊な形式で保管されている)、SanDisk SecureAccessを介して操作する。手間は増えるが、いざというときの安全性はグッと高くなる。BitLocker to Goとの違いは、導入のしやすさ(購入後誰でもすぐ使える)、暗号化せずに使う/暗号化して保管するの2つが1台のUSBメモリ内で両立できる、といった点。BitLocker to Goでは、USBメモリ全体を暗号化するため多少のパフォーマンス低下(手元で試したところ10%前後とわずかではある)が生じていたが、SanDisk SecureAccessでは、暗号化するかしないかを使い分けることによってパフォーマンスと手間の選択が可能だ。
ポータブルSSD/HDDとはまた違う立ち位置・使い方のUSBメモリ
安価な製品も多いUSBメモリだが、メーカーが万全の設計を行なった耐久性ということであれば安心感は高いし、しっかりした製品であれば「大事に使おう」というユーザー心理にもつながる。高速&大容量の製品ならなおさらだ。また、前述のサンディスクのUSBメモリの2モデルはなんと無期限保証がついている。パソコン用の内蔵メモリなどではときおり見かけるが、持ち運びや抜き差しが多いUSBメモリにも適用しているのは、性能と品質に自信があればこそ。「大事に使おう」を支える品質と保証と言ってよいだろう。
そして、この「大事に使おう」の精神は「中身の安全にも気を付けよう」につながりやすい。テレワーク/リモートワークが増えたこんな時代だからこそ、小さく高速で容量も十分なUSBメモリを便利かつ安全に活用したい。