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5年前のノート対最新Intel Evoノート5本勝負 ビジネス編
~テレワークは「できてりゃいい」から「積極活用」の時代へ
- 提供:
- インテル株式会社
2021年2月26日 06:55
テレワークの推進でノートPCの需要が高まっているなか、ZoomなどWeb会議やOffice関連のアプリの利用が中心であれば、それほど高いスペックは必要ないと思われがちだ。確かに、これらのアプリを単に動作させるだけならば古いPCでもできてしまう。
だが、ビジネス向けのモバイルノートはパソコン市場においてとくに進化が速く、性能はもちろん、バッテリ駆動時間、最新インターフェイスや最新無線LAN規格への対応、Webカムやマイクの品質にいたるまで大きな改善が図られている。ますます本格的、効率的なテレワークの時代が到来するなか、本当に古いPCこれまでと同じスタイルで使い続けてよいのか気になっている方も多いのではなかろうか。
そんな疑問をバシッと解決すべく、この企画では、ビジネス用途における新旧PCの違いをさまざまな角度から検証してゆく。ビジネスアプリ使用時の性能差はもちろん、重量、バッテリ駆動時間といった“モビリティ”、USBや無線LANといった“インターフェイス”といった面まで、どんな違いがあるのかを探っていきたい。実際に比較するのは、「Intel Evoプラットフォーム」に準拠するレノボ・ジャパンの2020年冬モデル「Yoga Slim 750i Carbon(82EV003CJP)」と、2016年に発売された同社の「ThinkPad X260(Core i5-6300Uモデル)」だ。
さて、最新のビジネスノートパソコンと言っても、性格の異なるさまざまな製品が存在する。ここで注目したいのは「Intel Evoプラットフォーム」に準拠したノートパソコンだ。Intel Evoプラットフォームは、現代的なノートパソコンを実現するための基準。最新世代のCPUやデータ転送速度40GB/sを実現するThunderbolt 4ポートの搭載、高速なWi-Fi 6への対応といった最新デバイスの採用に加えて、高速なアプリケーション起動、長時間のバッテリ駆動、高速レジュームなど、使い勝手の面での要件が定められており、それらをクリアしたパソコンがIntel Evoプラットフォーム準拠を名乗ることができる。Evo準拠PCは最新デバイスを搭載しているだけでなく、それらを活かした最新世代PCならではの快適な体験を保証されていると言える。
まずは、新旧パソコンのスペックについて触れておこう。「Yoga Slim 750i Carbon(82EV003CJP)」は、CPUに第11世代のCore i7-1165G7(4コア/8スレッド対応)、メモリ16GB、ストレージは1TBのNVMe SSDを搭載。さらに、13.3型の液晶ディスプレイは2,560×1,600ドットの解像度だ。
「ThinkPad X260(Core i5-6300Uモデル)」は、CPUに第6世代のCore i5-6300U(2コア/4スレッド対応)、メモリ8GB、ストレージは256GBのSerial ATA SSDを搭載。液晶ディスプレイは12.5型で解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)。
どちらも13.3型クラスの液晶を搭載するモバイルノートであり、表面上は似た立ち位置の製品と言える。約5年の月日による進化、CPUで5世代の差(Core i7とCore i5の違いはあるが)でどう変わるのか試すのに向いていると言えるだろう。
対決1 MS Office編~ビジネスの基本ツールで大きな性能差が
まずは、「PCMark 10」のStandardテストでPCの総合的な性能差、ApplicationテストでWordやExcelなどOfficeアプリでの性能差を見ていこう。なお、OSはどちらもWindows 10 64bit版で最新のバージョン20H2にアップデートしてテストを行なっている。
PCMark 10のStandardはPCの基本的な性能をシチュエーション別に確認するテスト。各用途で快適に使える目安の値が設けられており、ビデオ会議/Webブラウジング/アプリ起動性能を見る“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成アプリ性能を見る“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集時の性能を見る“Digital Content Creation”で3,450以上とされている。
まず、Yoga Slim 750i Carbonはすべての項目でこの目安を大きく上回った。ThinkPad X260もEssentialsとProductivityは上回ったが、後者はギリギリといったところ。新旧製品を比較すると各項目のスコアに大きな開きがある。とりわけDigital Content Creationでは2倍以上の差が生まれている。近年ではビジネス文書に写真や図版を貼り込んだり、スライドに動画を組み込んだりすることもあるので、ビジネス用途と言えどもクリエイティブ性能はおろそかにできない。
ビジネスアプリにおける性能差は、仕事で使うPCのもっとも重要な部分なのでもっと掘り下げてみよう。PCMark 10のApplicationsは、実際にMicrosoft OfficeのWord、Excel、PowerPointおよびWebブラウザのEdgeを使い、さまざまな処理の性能を数値化する。ビジネスで必須のアプリでの速度差がハッキリと分かるテストだ。
結果はすべてのアプリにおいて、Yoga Slim 750i Carbonの圧勝。ThinkPad X260の約1.4〜1.9倍のスコアを記録した。細かく見ていけば、Wordのカット&ペーストのテストはYoga Slim 750i Carbonだと0.191秒で完了、ThinkPad X260は0.462秒と2倍以上の差が出ているものもある。1つ1つの処理時間の差はわずかかもしれないが、それが積もり積もれば作業効率の大きな違いとなるし、操作時のストレスの軽減にも繋がる。すでに、この項目の結果からだけでも最新PCのほうがビジネスに有利なのが分かる。
対決2 Zoom編~CPU負荷は? Webカム画質、マイク音質は?
次はWeb会議アプリの定番「Zoom」を使ったときの性能を比較していこう。最初はCPU負荷をチェックする。Web会議アプリは意外に負荷が高く、単に会話をするだけなら低スペックのPCでもなんとかこなせるが、流行のバーチャル背景機能を使えなかったり、他のアプリを同時に使う際などに極端に動作が遅くなってしまったりすることがある。
最近では、Zoomと同時にExcelやWord、Webブラウザを立ち上げている方は多いだろうし、環境音を消すためにノイズキャンセルアプリを利用している人もいるだろう。そのため、Web会議時のCPUの余力は十分に残しておきたい。
ここでのテストでは、Zoomで3人接続したとき、さらにノイズキャンセルアプリの「Krisp」の使用を加えたとき、それに画面共有機能を加えたときの3パターンでCPU使用率をチェックした。すべてもっとも安定した使用率を掲載している。
ThinkPad X260でもCPU使用率に余裕があるように見えるが、画面共有使用時にアプリを起動したりフォルダを開いたりするとCPU使用率が100%に到達することがあった。2コア/4スレッド対応のCore i5-6200Uでは処理にそれほど余力があるわけではない。CPU使用率が100%になって処理がカクつくと、大切な商談がそのつど滞ってしまう。Yoga Slim 750i Carbonなら画面共有で同時に複数のアプリを動かしてもCPU使用率は最大でも75%程度。まだCPUパワーには余裕があった。
見落とされがちなのだが、PCの進化はCPUやGPU、ストレージの性能ばかりではない。Webカメラやマイクの性能も大きく変わってきている。スクリーンショットだとThinkPad X260もそんなに悪くない。むしろ顔の血色がよい分、好印象を抱く方もいるかもしれない。ただ、色味に関してはPC設計者の好みによるものと言える。
実際の画質に関しては、筆者が撮影した動画を見てほしい。Webカメラはどちらもスペック上は720p(92万画素)。ぱっと見で赤身のやや強いThinkPad X260の印象がよく見える方もいるかもしれないが、よく見ると肌や衣服、タペストリーなどの質感はYoga Slim 750i Carbonのほうがよく出ているように思える。部屋のライティング次第でもっと画質を上げる余地がありそうだ。
また、本体マイクの性能には大きな違いがあった。Zoomの標準設定に沿って各種の音質補正を有効にしているが、ThinkPad X260は音が硬く、いかにも補正されているように聞こえる。Yoga Slim 750i Carbonは声が柔らかくきめ細やかで、自然な感じで録れている。さらにKrispを使うと一層上質な音になった。
音質補正をほぼ解除した設定(オリジナルサウンドをオン)での声を聞いてみると、ThinkPad X260のマイクは本体のファンの音をかなり拾っていた。補正を効かせたさいには、このファンノイズを消すために大幅に音声データに手が加えられ、声が固くなってしまったと思われる。
一方で、Yoga Slim 750i Carbonの録音結果は、ファンノイズを感じられないほどクリア(こちらのほうが音量が小さいが、両機種とも音量の自動調整を有効にしているのでZoomの調整の結果と思われる)。このクオリティがベースとなるので、結果として補正を効かせる際にもデータの修正が少なく、オリジナルに近い音声が配信されると考えられる。録音品質に関してはYoga Slim 750i Carbonは大幅な進化があると見てよいだろう。
Web会議において高音質であることは、会議を円滑に進めて、参加者の格を上げることにつながる。音質向上を狙うなら外付けのマイクやヘッドセットを使うのがベストであることに変わりはないが、そこまで手間をかけられないという方も多いはず。本体内蔵マイクの音がよければ、万事解決だ。
対決3 モビリティ対決~重さは近いが、できることには大きな違いが
モビリティ性能についても比較してみよう。
- サイズ:幅295.9mm×奥行き208.9mm×高さ14.25mm(最薄部)
- 重量:約966g
- 公称バッテリ駆動時間:約14時間
Yoga Slim 750i Carbon
- サイズ︓幅305.5mm×奥⾏き208.5mm×⾼さ19.9mm(最薄部)
- 重量︓約1.49kg
- 公称バッテリ駆動時間︓約8.4時間
ThinkPad X260
どちらも13型クラスの液晶を搭載しているが、Yoga Slim 750i Carbonのほうが解像度は大幅に高く、筐体の底⾯積は⼩さい。重量に関しては、ThinkPad X260は堅牢性をとくに重視した性格であることから単純な比較はできないものの、Yoga Slim 750i Carbonはその約65%の重量でありながら、Office系アプリにおいて最大約2倍もの性能を実現している点には素直に驚かされる。
また、耐久性に関しては、Yoga Slim 750i Carbonはアメリカ軍の物資調達の耐久基準に使われている「MIL規格」に準拠したタフなボディを採用。薄型軽量と相まって、アクティブなビジネスパーソンでも安心して携帯できる。
また、バッテリ駆動時間も大きく異なる。PCMark 10のBatteryテストのうち連続してOffice系の処理を行なう「Modern Office」を実行したときのバッテリ駆動時間を比較した。どちらもバッテリは100%の状態からスタート。液晶の輝度は50%に設定している。
Yoga Slim 750i Carbonは10時間30分、ThinkPad X260は7時間1分とほぼ3時間半の差となった。なお、古いノートPCを使い続ける上でバッテリの劣化は避けて通れない。知らぬ間にバッテリ駆動時間が短くなり、ユーザーの稼働に制限を与えている可能性は忘れないでおきたい。
対決4 無線LAN速度~将来性を考えると速いほど良い
Wi-Fiの通信速度も異なる。Intel Evoプラットフォームは、Wi-Fi 6への対応が必須だ。Yoga Slim 750i Carbonも当然Wi-Fi 6かつ2ストリーム/160Hz仕様なので、最大2,402Mbpsの通信速度に対応する。ThinkPad X260はWi-Fi 5で通信速度は最大866Mbps。理論値だけでも約2.8倍の差がある。Wi-Fi 6を使うには、ルーター側の対応も必要になるとはいえ、最近では低価格化が進んでいる。スマホのWi-Fi 6対応も進んでおり、データ転送の効率を考えるとWi-Fi 6環境を整えたいところだ。
実際のファイル転送でどの程度差が出るのか。ルーターにASUSTeKの「RT-AX3000」(Wi-Fi 6/最大2,402Mbps対応)、ファイルの送信先としてWi-Fi 6かつ2,402MbpsでルーターとリンクしたノートPC(ThinkPad X1 Carbon Gen 8)を用意。Yoga Slim 750i Carbon、ThinkPad X260それぞれで1.13GBの動画ファイルをネットワーク経由で送るのにかかる時間を測定した。
約8秒、33%ほどYoga Slim 750i Carbonが高速だ。理論値ほどの差はないが、ネットワーク内でデータをやり取りする機会が多い場合には、Wi-Fi 6で統一したほうが仕事の効率は向上する。
対決5 インターフェイス~PCの使い方の変化に気付いているか?
拡張性もチェックしよう。Intel Evoプラットフォームの強みは、Thunderbolt 4対応である点だ。Thunderbolt 4はUSBを含めた“全部入り”と言える仕様。コネクタ形状はType-C、Thunderbolt機器を使え、最大データ転送速度は40Gbps、最大100WのUSB PDをサポート、映像出力(DisplayPort Alt Mode)にも対応する。USB Type-Cコネクタは、ノートPCによってデータ転送速度をはじめ、USB PD、DisplayPort Alt Modeへの対応もまちまち。いちいち細かな仕様を確かめる必要があった。その点、Thunderbolt 4なら全部入りなので安心して使える。
加えてYoga Slim 750i Carbonは、USB PD対応のACアダプタやモバイルバッテリで充電が可能と、汎用性が一気に向上する。さらに、Thunderbolt対応の多機能ドッグによってテレワークに最適な環境も作りやすい。
外出時にはモバイルノートとして使い、会社や自宅では大画面ディスプレイとマウス、キーボードを接続してデスクトップPCのような使い方をする、という使い方は以前からあるのだが、実際にやってみると気になってくるのがケーブル接続の煩雑さ。毎回、つなぐデバイスと同じ数のケーブルを接続することになるは結構なストレスだ。結果、自席でもノートを直接操作すればいいや……となりがちだ。そんな問題を即解決してくれるのが、Thunderbolt対応ドック。
今回用意したのは、Thunderbolt 3接続の多機能ドック「ThinkPad Thunderbolt 3 ドック 2」。この製品は、USBポート、ディスプレイ出力(HDMI、DisplayPort)、ヘッドセット端子を備え、USB PDにも対応。Yoga Slim 750i Carbonとは、Thunderboltケーブル1本接続するだけで、外部ディスプレイやUSB機器との接続もAC電源からの給電も一気に実現できる。
Evoノートは旧世代のハイエンドデスクトップパソコン以上の性能があるので、デスクトップ用のキーボード、マウス、ディスプレイと組み合わせて使うとまさにデスクトップパソコンのような操作感だ。しかも、出先で進めていた仕事の状態をそのまま継続することまでできてしまう。
ThinkPad X260はType-Cを持たず、USBポートは3.0対応のType-Aのみ。充電も専用のACアダプタ。映像出力はHDMIポートを持っている。Yoga Slim 750i Carbon同様に、USB接続のキーボード、マウス、HDMI接続のディスプレイを接続できるが、ノートPCを持って外出するたび、戻ってくるたびにこれだけの本数のケーブルを抜き差しするとなると、だいぶ面倒に感じる。
Evoノートは性能が高いだけではなく、ビジネスパーソンの可能性を高めてくれる
今回の各種テストから、Intel EvoプラットフォームのノートPCは、約5年前のノートPCに比べて、基本性能だけでなく、バッテリ駆動時間、ワイヤレス通信速度、インターフェイスの充実度も大きく進化していることが確認できた。その進化点を合わせて考えると、理想的なテレワーク自体のワークスタイルが見えてくるはずだ。
デスクトップPC並みの性能を、オフィス、コワーキングスペース、カフェ、自宅のリビング、書斎と好きな場所で活用する。そこで行なう高品質なWeb会議がスムーズなコミュニケーションをもたらし、同時に取引先や仲間内でのあなたの存在感をちょっと高めてくれる。バッテリ駆動時間も気にならないし、さまざまな最新デバイスをつないでもっと自分に合った環境を作ることもできる。ワーケーションだって絵に描いた餅ではなくなるのだ。
積極的なテレワーク活用で、これまで以上にアクティブなビジネスライフを送りたいなら、Evoノートが大きな助けとなることは間違いないだろう。