トピック

ガチくん、ときど、奥村茉実の3人が、RAW現像や動画編集などにチャレンジ

~ゲーミングPCはゲーム以外にも幅広く利用可能

左からときどさん、ガチくん、奥村茉実さん

 ゲーミングPCは一般的に、ゲームの画質やフレームレートを高品質に設定した状態でも快適に遊べることを念頭に設計されている。またローディング速度を速くする目的で、高速なストレージを採用していることも多い。これはゲーム以外の用途でもいろいろと活用できる。例を挙げれば写真や動画編集、ストリーミングなど。GPU支援に対応している編集ソフトもあり、より高速に処理ができる。

 本稿では、前回に引き続いてプロゲーマーのときどさん、ガチくんと、カプコン公認ストリーマーでタレントの奥村茉実さんに登場いただき、ゲーミングPCは、こういったことにも活用できるんだよということを、じっさいに体験してもらった。

PCなら映画やドキュメンタリーのような画質でのゲーム配信も可能

 まず、ガチくんにモデルになってもらい、雰囲気を作り込んだワイプ画像を盛り込んだサンプル動画を作成した。ゲームコンソールやスマートフォン単体でもプレイヤーの顔をワイプとして挿入しながらゲームを配信できる。しかし、カメラの画質の問題から、ワイプ画像は品質を上げにくい。ゲーム自体も、解像度やフレームレートを下げなければいけない場合もある。

 一方で、PCを使って配信すると、下記の動画のようなことができる。

 下の写真からもわかるとおり、今回は本格的な業務向けの照明を使っており、これをそのまま個人が自宅でやるのは現実的ではない。しかし、以前こちらの記事(格ゲー世界王者「ガチくん」の自宅配信環境をプロ並みの画質・音質に改造してきた)で紹介したとおり、コンパクトな照明とミラーレス/一眼レフカメラを用意すれば、個人の部屋でも映画やドキュメンタリーのような品質のワイプをつけて配信できる。ゲーム自体も、フルHD 60pや、ゲームが対応していれば4K 60pでの配信もできる。

インプレスeスポーツ部が普段定期配信を行なっているスタジオで撮影したので、その照明機材をそのまま利用した
こちらはガチくんの自宅配信の比較画像。左がWebカメラのみ、右は照明+ミラーレスカメラ

 一般的には個人配信では顔をワイプで映すのにWebカメラを使うだろう。Webカメラでもある程度の画質は確保できるものの、この例のように影をつけた暗い雰囲気を作るには、感度やシャッター速度、絞りなどをマニュアルで指定する必要がある。Webカメラでも多少はマニュアル設定できるが、限界がある。また、背景をボカしたいという場合も、Webカメラでは難しい。

 多くの人が配信を行なう昨今、PCで配信を行なえば、機材の準備が必要ということはあるものの、人と大きな差をつけられる。ガチくん自身がそうしているように、ゲームをプレイするのがコンソール機だったとしても、それをキャプチャユニットでPCに取り込んで、配信するというのも検討したいところだ。

動画編集

 続いて、この動画を使って、奥村さんに動画編集の初歩としてテロップ入れを体験してもらった。

編集:それでは、さわりだけですが動画編集もやってみたいと思います。PCならテロップなどを好きな位置に入れられますよね。先ほどガチくんに映ってもらった素材があるので、そこにテロップを入れます。今回使うソフトはアドビ「Premiere Pro 2020」です。

 テロップはフォントや文字色を自由に変えられます。ここの発言は強調したい!とか、映像では見えにくいところを文字でカバーしたい、なんていうときに入れると効果的ですね。

 そのさい、文字に縁取りをすると、背景と文字が同系色になってしまうことを避けられるので、文字が見やすくなります。作ったテロップは、どのくらいの時間表示するかをタイムラインで設定できます。さっきガチくんにおしゃれコンボをしてもらった動画を使って、テロップを入れる作業をしてみましょう。

PC Watchの若杉が説明して、奥村さんにPremiere Proを操作してもらった
Premiereで動画素材を読み込む
ファイル→新規→レガシータイトルを選択
レガシータイトルのウィンドウが出るので、テロップに出したい文字を入力
文字のスタイルを変更
テロップの位置を調整
文字の周囲の枠をドラッグ&ドロップすることでサイズを自由に変更できる
タイムライン上テロップを出したいところにドラッグして完了

奥村:テロップを入れると一気に本格的になりますね。

編集:要所要所でテロップを入れることで、より「番組」らしく演出できます。コンソール機でも、プレイを録画してカット編集くらいはできたりますが、自由度はPCのほうが遙かに高いですね。

ガチくん:僕も生配信はやってますが、今後、編集したものを上げていきたいなとも思ってるんですよ。

編集:動画の編集は結構時間もかかってたいへんなんですが、慣れてくると、「より良く見せるにはどうしたらいいか?」とか考えること自体が楽しくなってきますよ。

ときどさんが、写真のRAW現像に挑戦

 最後に、この企画で撮影を行なったカメラマンの若林直樹氏に講師になっていただき、ときどさんにRAW画像の現像を体験してもらった。

若林:ミラーレスや一眼レフなどの高性能なカメラは、一般的なJPEG以外にRAW形式での撮影ができます。

ときど:「RAW」って、生って意味ですよね。

若林:そうです。「RAW」は「生データ」という意味で、撮影した時に撮像センサーが検出した色のデータが、そのまま記録されているんです。そうすると、その写真はぱっと見、コントラストや彩度が低かったとしても、明るさと暗さのピークが「ヒストグラム」のなかに収まってさえいれば、その情景がじっさいに持っていた色を復元できるんです。

 たとえば、人間の目には同じ真っ黒に見える部分でも、RAWデータだと黒がある部分と別の部分で1階調だけ違うといった情報もちゃんと残っているので、その黒い部分の明るさを持ち上げるたときに、その2カ所がきちんと異なる明るさになるんですね。そういったRAWデータに対して色の補正などを施し、最終的な写真を作り出す作業を「現像」と呼びます。

カメラマンの若林直樹氏にPhotoshopでのRAW現像を3人に解説してもらった

 では、僕が以前撮影した写真を使って、ときどさんに作業してもらいますね。PhotoshopにRAWファイルを読み込ませると、現像用の専用アプリ「Camera Raw」が立ち上がります。この写真は、今の時点では明るい部分が白飛びしていて、暗い部分は黒つぶれしてしまってます。まずはシャドウを明るく持ち上げてみましょう。シャドウの数値を+70くらいにしてみてください。

RAWを読み込ませてすぐの状態。船内は全体的に暗く、一方、窓の外は白く飛んでしまっている
暗部を持ち上げて明るくした

ときど:おお、暗くて見えてなかった部分が見えてきました。これだけでもかなり変わりますね。

若林:これは晴れの日に船内で撮った写真なんで、船内は明るさが不十分で、一方で窓の外は明るくて白飛びしてるわけです。では、この白飛びを修正しましょう。ハイライトを90くらい落としてみてください。

ハイライトを落として、白飛びしかけていた遠景の空を見えやすくした

ときど:あ、すごい!雲がくっきり見えるようになった!

若林:もう少しかっちりさせてみましょう。明瞭度を両極端にいじってみてください。絵が眠くもなるし、くっきりさせることもできます。

明瞭度を下げきった状態。全体がぼやけて見える
明瞭度を上げきった状態。色の境界がくっきりとして見やすいが不自然だ

ときど:マイナスに振ると、メルヘンな感じになるし、プラスに振ると、絵画のようにタッチがくっきりしますね。おもしろい。

若林:いったん仕上げてみましょう。メニューの「イメージ」→「色調補正」→「シャドウ・ハイライト」を開くと、パラメータを細かく設定できます。私の場合は仕事で紙の雑誌に掲載する写真を撮っているので、雑誌によって印刷するときに黒つぶれしない程度の黒レベルを見極める必要があるんですね。ここで設定するのは、たとえば「グレー」がきちんと「グレー」として出るかどうか、その数値を読んで、細かく調整するんです。

シャドウとハイライトの微調整を行なっているところ

ときど:やってみるとおもしろいですね。いろんなことができそう。

若林:次は先ほどの「色調補正」メニューから「トーンカーブ」を開いてください。コントラストをつけるために、暗部を少し下げます。それで上から3分の1くらいの部分、ハイライトのところを持ち上げると、コントラストがついていい感じになるでしょ。

 続いて「イメージ」メニューから「自然な彩度」を開いてみます。色味を見て、少しだけ上げておきましょう。船内の木目調や空の青さを見ると変化がわかりやすいと思います。どうしてこういう操作をするかというと、紙への印刷では、普段僕らが画面で見ている「RGB」というカラーモードではなく「CMYK」を使う関係で、彩度が落ちてしまうんです。そういう事情があるので、雑誌用の仕事ではこういう処理も施します。あとは好みでシャープネスをかけてみるとかですね。

トーンカーブを開く
トーンカーブでシャドウを引き締め、ハイライトを持ち上げてコントラストをつけた
最後に自然な彩度で色合いの調整を行なった

若林:ではビフォー・アフターを比べてみましょうか。

現像前
現像後

ときど:うわっ。

ガチくん:これ最初のやつですよね。全然違うじゃないですか。

ときど:こんなことできちゃうんですね。

若林:カメラが生成するJPEGは、カメラが適正と判断した絵を出してくれます。ほとんどのカメラにはJPEGとRAWを同時に記録する機能があるので、私がよくやるのは、自分で調整したJPEGと、カメラが出力したJPEGを見比べることです。そうすると「カメラが出した絵のほうがいいな」って思うことがときどきあります。

 今回調整した写真は、シャドウもハイライトもきちんと残っていました。そういうデータを残しておくために、撮影時点で気をつけることは「ヒストグラムの両端を見ること」です。シャドウがつぶれきっていないこと、ハイライトが飛びきっていないことが大事です。ヒストグラムの山が残っていれば、後でどうにでもなってしまうのです。だから私にカメラのことを聞いてきた人には、ヒストグラムを見るように勧めています。

 これまでやってきたようなことが、おおむねPhotohopをはじめとした画像処理ソフトの基本です。

ときど:めちゃめちゃおもしろかったです。ありがとうございました!

ゲーム以外にも積極的にPCを活用しよう

 以上のように、PCでは、ソフトを使ってさまざまなコンテンツを生み出せる。コンテンツを作ると聞くと、大げさに聞こえるかもしれないが、SNSに写真や動画をアップロードするということは、いまや誰にとっても一般的なことになっている。スマートフォンでもある程度の編集はできるが、ちょっと凝ったことをやろうとしたら、機能や性能、使い勝手などの面で多少の不自由さを感じるだろう。

 そういったとき、ゲーミングPCがあれば、その性能をゲーム以外のコンテンツ作成にも活かせる。先の動画配信のところで説明したように、ゲーム自体はコンソール機でプレイし、その動画をPCで編集したり、配信したりという風に組み合わせるのもいいだろう。


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今回のキーワード

 本特集では、今回出演いただいた3名のサイン入り色紙を5名にプレゼントする。応募にあたっては、前後編それぞれの記事のキーワードが必要になる。後編のキーワードは「ゲームや写真・動画編集を楽しもう」だ。

 応募はこちらのリンクから。応募期間は12月13日から19日まで。

・当選者の発表は、商品の発送をもって代えさせていただきます(ご応募いただいた方の個人情報は発送のためだけに使用し、当選者決定のあとにデータは削除します)。

・発送は宅配便または普通郵便にて行ないますが、長期不在、受け取り拒否などで未着の場合は当選を無効とさせていただきます。

・ご応募は日本国内に在住の方に限らせていただきます。

・ご応募はおひとり様1通とさせていただきます。複数の応募を確認した場合は無効といたします。