トピック
Windows 7でまだ粘る人も10に移行する人も、最低限HDDはSSDに載せ替えよう
~詳細な手順や性能の向上度合いを紹介
- 提供:
- 日本サムスン株式会社
2019年11月6日 11:00
Windows 7世代のノートPC、デスクトップPCの遅さにイライラすることはないだろうか。とくに最新世代PCの速度を体験したことがある人ならなおさらだ。旧世代PCの遅さはスペックの低さもあるが、もし搭載されているストレージがHDDであるなら、それが大きな原因になる。HDDはデータ転送速度が遅い、とくに細かなデータを読み書きするランダムアクセスが低速であるため、さまざまな処理で足を引っ張ることになる。
しかし、業務で使ってるPCの場合は個人の都合で買い替えるのは難しい。そこで提案したいのが、最低限“HDDをSSDに換装する”こと。Windows 7世代なら、ノートPCもデスクトップPCもHDDの接続インターフェイスは基本的にSATAが採用されている。そのため、SATA接続の2.5インチサイズのSSDなら、ハードウェアの交換は簡単にできるケースが多い。
さらにクローニング対応のソフトを使えば、OSを含めたデータも丸ごと移行できる。ただ、業務用PCをSSDに換装しても問題がないか会社のシステム担当などには事前に確認しておこう。
Windows 7の寿命がいよいよ迫ってきたなか、せめてもの延命措置としてHDDからSSDへの換装手順、そして性能の向上具合を紹介していく。
Samsung製SSD「860 QVO」
SATA接続の2.5インチ SSDで注目したいのは、Samsung SSD「860 QVO」だ。1TB、2TB、4TBと大容量モデルをラインナップし、HDDからの乗り換えに最適。しかも、1TB(MZ-76Q1T0B/IT)で実売価格は1万円前後(10月30日現在)とコストパフォーマンスは抜群だ。
データを記録するNAND型フラッシュメモリには1セルあたり4bitのデータを記録する「QLC」を採用。現在主流の1セルあたり3bit記録の「TLC」に比べて、1セルあたりの記憶容量が増えるため大容量化しやすく、コストも安くなるのが特徴だ。その一方で、記録密度が上がることで速度や耐久性ではTLCに劣ると言われている。
しかし、860 QVOではNANDの一部をSLCとして使うことで高速なデータ転送を実現する「Intelligent TurboWrite」を備え、TLCと変わらない速度を実現。耐久性を示すTBWも1TBで360TBWと十分。保証期間も3年あり、QLCだからと不安になることはないだろう。
さらに、現在は860 QVO 1TBと860 EVO 500GBに数量限定でUSB 3.0接続の2.5インチ外付けケースであるORICOの「2577U3-BK」がセットになっており、データを手軽に移行できるのもポイントだ。
ギガバイトクラスの容量を求める場合は、Samsung SSD「860 EVO」がオススメだ。こちらはNAND型フラッシュメモリにTLCを採用し、250GBや500GBの容量もラインナップされている。500GBの実売価格は7,000円前後(10月30日現在)となっている。
ノートPCの実機を使って換装手順を紹介
ここからはノートPC、デスクトップPC両方でのHDDからSSDへの換装手順を紹介していこう。用意するのは、換装用のSSD、2.5インチ対応でUSB接続の外付けケース、クローニング対応のソフトの3つ。Samsung製SSD専用のクローニングソフトである「Samsung Data Migration」が無料でダウンロードできるので、今回紹介している数量限定で外付けケースが付属している860 QVO 1TBや、860 EVO 500GBさえ購入すれば換装の準備が完了できるわけだ。
デスクトップPCで3.5インチシャドウベイしかない場合は、3.5インチベイを2.5インチベイに変換するマウンタが別途必要になる。
なお、一部のPCでは特殊なパーティション構造のためにクローニングできないものや、ハードウェア構成を変えると正しく動作しないものも存在する。手持ちのPCが換装可能なのかは、事前にインターネットなどで調べておこう。
HDDからSSD換装の流れは、
- SSDを外付けケースに取りつけ
- 外付けケースをPCのUSBコネクタに接続
- クローニングソフトを実行。※もし、USB外付けケースをPCにつないでもソフトウェアから認識されない場合は、ディスクの管理を実行。手動でフォーマットし、次のステップへ。それでも見えていない場合は、外付けケース周りの接続を確認する
- クローニングを実行してHDDからSSDへデータを複製
- PCからHDDを取り外す
- SSDをPCに接続する
となる。これはノートPCでもデスクトップPCでも同様だ。
まずはノートPCの換装手順から解説する。ここでは例としてLenovoのThinkPad T420sを用意した。2011年発売でCPUはCore i5-2520M、メモリはDDR3の4GB、HDDはHGSTのHTS723232A7A364(320GB、7,200rpm)が搭載されていた。OSは32bit版のWindows 7 Professionalだ。内部へのアクセス方法やHDDの搭載位置はノートPCによって大きく異なる。事前にマニュアルなどで確認しておきたい。
デスクトップでの換装手順
つぎにデスクトップPCの換装手順を紹介する。こちらはNECのビジネス向けスリム型デスクトップPC「Mate MK33LB-E」を用意した。2012年のモデルで、CPUはCore i3-2120、メモリはDDR3の4GB、HDDは500GBという構成だ。OSには64bit版のWindows 7 Professionalが搭載されている。
ちなみに、今回のデスクトップPCでは外付けケースを使わずに、光学ドライブのSATAケーブルと電源ケーブルを抜き、そこにSSDを取り付けてクローニングを実行するという手も使える。ケースのカバーを外した状態での作業になるのであまりオススメはしないが、こういうやり方もある。
HDDからSSDへのデータ移行手順
ここからはSamsung Data Migrationを使ったクローニング手順を紹介していこう。
Samsung Data Migrationは、PCに搭載されているHDDやSSDのデータをSamsung製のSSDに移行するための専用ツール。Samsung製SSDへの移行以外には使えないので注意したい。ツールはSamsungのサイトより無料でダウンロードが可能だ。
基本的には移行元(ソースディスク)と移行先(ターゲットディスク)は自動的に認識される。CドライブとDドライブなど、1つのドライブに複数のパーティションがある場合、OSがインストールされているパーティションともう一1のパーティションだけ(合計2パーティションまで)複製が可能だ。3つ以上のパーティションが分かれているドライブを丸ごと複製はできない。また、メーカー製PCがあらかじめ用意しているリカバリ用のパーティションを複製できない点も注意が必要だ。
SSD換装でどれくらい高速化されるのか?
ここからはHDDからSSDに換装することで、どこまで動作が高速化するか検証していこう。テスト方法は、Windows 7の起動時間、データ転送速度を測るCrystalDiskMark、PCの総合性能を測るPCMark 8を実行した。
Windows 7の起動時間は、PCの電源ボタンを押してからスタートアップに登録したWebブラウザが起動するまでの時間をストップウォッチで3回計測したときの平均値とした。ノートPC、デスクトップPCのどちらも大きく高速化しているのがわかる。とくにノートPCでは、元の2.5インチHDDのデータ転送速度が遅いこともあり、3倍以上も高速化している。
CrystalDiskMarkでは、すべての項目で高速化しているが、とくに注目したいのはランダムアクセスの速度を示す4KiB(Q8T8)の結果だ。ノートPCのリードでは驚異の600倍以上の高速化。デスクトップPCでも56倍以上も速度が向上している。これは細かなデータの読み込み速度になるため、OS操作のレスポンス向上にも貢献。SSDに換装することでフォルダの作成やファイルのコピーといったちょっとした作業でも速度の向上を感じられる。
もう1つはPCMark 8。総合的な性能を測るHome acceleratedとストレージ性能を測るStorageをそれぞれ実行している。Home acceleratedはPCの基本性能は変わらないので微増。書き込み性能を見るWritingのテストが良好でSSDのほうがスコアが高くなっている。Storageの結果は顕著だ。当然ながらすべてのテスト項目でHDDよりもSSDが上回っている。
Scoreは体感速度の指標で、SSDは2倍以上。データ転送速度の指標となるbandwidthではノートPCでは33倍以上、デスクトップPCでも22倍以上もアップ。その効果がベンチ結果としてハッキリと現れている。
なお、これら作業はWindows 10環境でも同様だ。HDDからSSDへの換装における速度向上の恩恵は変わりなく受けられる。また、Windows 7は基本的に2020年1月14日でサポートが終了となる。2023年1月まで延長サポートが発表されているが、これは企業向けの有償サポート。大企業向けの救済措置という側面が強いため、個人ユーザーや小規模な企業は2020年1月14日で終了と考えておこう。
そのため、Windows 7を使っているユーザーはHDDからSSDへの換装を機会にWindows 10への乗り換えを考える場合もあるだろう。Windows 10はダウンロード購入もできるが、手軽なのがパッケージ版の購入だ。インストール用のUSBメモリが付属しており、それを使用して手軽にWindows 7からWindows 10へアップグレードが行なえる。アップグレードならデータやソフトを残したまま移行できる。Windows 10に対応しないソフトも一部にあるが、それは個別に対応を確認するしかない。
なお、Windows 7からWindows 10へとアップグレードするさい、HDDのままで行なうより、SSDに換装してからの方がスピーディーに行なえるだろう。
Samsungの独自ユーティリティ群「Samsung Magician」
SamsungのSSDを使うなら導入しておきたいのが「Samsung Magician」だ。これはストレージ向けの管理ツールで、ドライブの使用状況のチェックや性能測定、エラーチェック、TrimやSecure Eraseによる速度回復といった機能が用意されている。
基本的にはSamsungのSSD向けツールではあるが、最新版のVersion 6.0.0では他社製のドライブ情報も表示できるようになった。Samsung製のように詳細な情報をチェックできるわけではないが、ベンチマーク機能は利用できるので性能比較などに便利だ(USB接続のドライブではベンチマーク機能は使えない)。
このSamsung Magicianでも、Lenovo ThinkPad T420sとNEC Mate MK33LB-Eの標準搭載のHDDとSSD換装後でどれだけベンチマークが変化するのか確認した。SSD 860 QVOだけではなく。SSD 860 EVO(500GBモデル)に換装した場合の結果も合わせて掲載するので参考にしてほしい。
まず、ThinkPad T420sだがシーケンシャルの読み出し、書き込みはどちらのSSDでも読み出しで7倍以上、ランダムでは読み出しで400倍近く、書き込みでも280倍以上のスコアアップとなった。Mate MK33LB-Eでは、シーケンシャルの読み出し、書き込みでどちらのSSDでも3.5倍以上の速度アップ、ランダムでは読み出しで55倍以上、書き込みでは100倍以上と確かな効果を確認できた。なお、Mate MK33LB-Eでスコアが伸びていないのは、スペックやBIOSの設定でSATAがIDEモードになっていることが影響しているようだ。
【お詫びと訂正】初出時に、上記ベンチマークで「ThinkPad T420s」と「Mate MK33LB-E」の画像が逆になっておりました。お詫びして訂正させていただきます。
SSDの性能向上に役立つのが「Performance Optimization」だ。この機能では、対応SSDではRAPID modeを有効にして性能を向上できるほか、書き込み速度の低下を抑える効果のあるTrimコマンドの実行もできる。
また、SSDのデータを完全に消去できるSecure Erase機能も搭載。将来的にPCやSSDを廃棄するさい、万が一のデータ流出を防ぐためなどに使う。ただし、この機能を使うにはUSBメモリなどでブート可能なUSBドライブを作成し、そのUSBドライブからPCをブートさせる必要がある。PCによってはBIOSやUEFIのブート設定を変更する必要がある点は覚えておきたい。
以上のとおり、HDDをSSDに取り替えると、PCの性能は劇的に改善する。換装方法も、基本的にはドライバー1本でできてしまう。ストレージの換装を行なうとPCメーカーの保証が切れてしまうことがほとんどだが、今回紹介したようなWindows 7マシンは、すでに保証が切れている。こういう古いマシンはCPUなども性能が良くないので、理想としてはマシンごと新しい世代のものにしたいところだが、どうしてもいまのマシンをもう少し使い続けないといけないというのであれば、ぜひ換装を検討したい。
そういったとき、今回紹介したSamsungの860 QVOや860 EVOは、換装のさいに便利な外付けケースが付属するキャンペーンも実施されているほか、便利なユーティリティも無償で利用できるなど、オススメしたい製品だ。