トピック
AMD製CPU搭載で約3万円のモバイルノート、デル「New Inspiron 11 3000」
- 提供:
- アマゾンジャパン
2018年5月15日 11:00
デルが発売するエントリーノートPC「New Inspiron 11 3000(3180)」シリーズは、AMD製APUを搭載するエントリー向けのモバイルノートPCだ。11.6型液晶を搭載する軽量小型な筐体で、気楽に持ち運べるモバイル性を備えつつ、31,980円(Amazon.co.jp 5月7日時点)からと、非常に安価な点が特徴となっている。
APUとは、Accelerated Processing Unitの略で、CPUと同じチップにグラフィックスを処理するGPU機能を統合したもののこと。コンパクトなのでノートPCやタブレットなどに搭載しつつ、エントリーからミドルレンジくらすのビデオカードの能力を発揮できる。
低価格PCには見えないスタイリッシュな筐体
New Inspiron 11 3000は、非常に安価なエントリー向けのモバイルノートPCだ。低価格なノートPCでは、さまざまな部分でコストダウンが要求されるため、あまり高価なパーツは多用できない。そのため、筐体には安価な樹脂素材が利用され、かなり安っぽい見た目の製品も少なくない。
本製品も、筐体素材には樹脂を採用している。しかし、天板がホワイトとブルーのモデルでは光沢感の強い塗装、グレーのモデルではメタリック調の塗装が施され、樹脂筐体特有のやすっぽさを低減。天板だけでなく、キーボード面や底面など、筐体全体が同じカラーで統一されている部分もポイントが高い。
天板にのみ高品質な塗装を施したノートPCも多くあるが、天板以外が異なる色だと、天板以外の部分のやすっぽさが際立ってしまう。New Inspiron 11 3000には、そういった印象は一切ない。
合わせて、側面や角は大胆に曲線を取り入れることで、かわいさもあり女性受けもしそうだ。さすがに高価格帯の製品同等の質感とまではいかないが、低価格帯のノートPCとしては、筐体の質感は優れると言っていいだろう。
本体サイズは、292×196×20.8mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトで、A4サイズの書類が入る鞄なら余裕で収納できる。重量は公称では最小構成時で1.35kgとされているが、実測では1,167.5gと、公称よりも200g近く軽かった。モバイルノートPCには1kgを切る軽さの製品も少なくないが、この重量なら毎日の持ち運びでも苦にならないだろう。
HD表示対応の11.6型液晶を搭載
ディスプレイは、1,366×768ドット表示対応の11.6型液晶を搭載する。個人的にはフルHD(1,920×1,080ドット)くらいが望ましいが、この価格帯でフルHD液晶の搭載はコスト的に難しいことを考えると、納得の範囲内。ディスプレイ表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みは少ない。文字入力を中心とした利用時には、軽快な作業が可能だ。
一報、発色の鮮やかさに関しては光沢液晶にやや劣る印象。また、全体的な色合いはやや青みが強いと感じる。とはいえ、この価格帯のPCに搭載されるディスプレイとしては標準的な表示品質だ。
パネルの種類は非公開だが、視野角がやや狭いため、おそらくTNパネルを採用しているものと思われる。視点を大きく移動させると、明るさや色合いが大きく変化するものの、このサイズのモバイルPCでは、利用時に視点が大きく移動することは少なく、こちらも実利用上大きな問題とはならないだろう。
扱いやすいキーボードを搭載
キーボードは、キーの間隔が開いているアイソレーションタイプのキーボードを搭載する。主要キーのキーピッチは約17.5mmと、フルサイズキーボードよりやや狭い。これは、筐体サイズを考えるとしかたがないだろう。
ストロークは1.5mmほどとまずまずの深さを確保。タッチは標準的な堅さでクリック感もしっかりしており、打鍵感は良好だ。Enterキー付近にわずかにピッチの狭いキーが見られるものの、配列は標準的で違和感なくタイピングが行なえる。もちろん、タッチタイプも余裕だ。
ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載する。筐体サイズの制約もあって、やや横長の形状となっている。その中でも最大限のサイズが確保されているため、扱いやすさは申し分ない。ジェスチャー操作にも対応する。
プロセッサにAMD製APUを搭載
New Inspiron 11 3000では、プロセッサとしてAMD製APU「AMD A」シリーズを採用している。モバイルノートPCでAMD製APUを搭載する製品は少ないため、競合となるIntel製プロセッサとの違いに不安を感じるかもしれない。
AMD製のプロセッサは近年自作PCを中心として、ハイエンドユーザーに広く支持されている。その原動力となっているのが2017年に登場した「Ryzen」シリーズだが、GPUを統合するAMD製APUも、同価格帯のIntel製プロセッサに比べ、高い描画能力を備え、コストパフォーマンスに優れることから、根強い人気がある。また、PlayStation 4やXbox Oneなどの家庭用ゲーム機にもAMD製APUは採用されており、その性能や安定性は申し分ない。
本製品に搭載されているAMD製APUは、エントリーモデルではA6-9220e、スタンダードモデルではA9-9420eとなる。いずれも、AMD製APUの第7世代モデルで、CPUコアを2コア内蔵するとともに、A6-9220eにはRadeon R4、A9-9420eにはRadeon R5というGPUを統合。これらGPUは、競合となるIntelのAtomシリーズやCeleronシリーズなどの統合GPUよりも優れた描画能力を誇る。
メモリは、DDR4-2400を標準で4GB搭載。エントリーモデルでのメモリ増量は行なえないが、スタンダードモデルでは最大8GBまで搭載可能となっているため、快適度を優先するならメモリ交換も考慮したい。
内蔵ストレージは、エントリーモデルが容量32GBのeMMC、スタンダードモデルでは128GBのeMMCを搭載。容量32GBは必要最小限ではあるが、Web閲覧やストリーミング動画視聴、テキスト入力などが中心の利用なら、なんとかなるだろう。こちらも、スタンダードモデルなら128GBと十分な容量となるため、いろいろなアプリを使いたいならスタンダードモデルがお勧めとなる。
無線機能は、IEEE 802.11b/g/n準拠の無線LAN(1×1)とBluetooth 4.0を標準搭載。側面ポート類は、左側面に電源コネクタ、HDMI 1.4a出力、USB 3.0、microSDカードスロットを、右側面にオーディオジャックとUSB 2.0をそれぞれ装備。microSDカードスロットに大容量microSDカードを装着すれば、データ保存用のサブドライブとして活用できるため、内蔵ストレージの容量不足解消に活用できるだろう。このほか、ディスプレイ上部中央に、720p対応のWebカメラも搭載する。
付属ACアダプタは、小型で携帯性に優れる。接続する電源ケーブルが太く重いため、電源ケーブル込みの重量は実測で278gとやや重くなるが、それでも本体と合わせて1.5kgを切るため、携帯性が大きく損なわれることはないだろう。
性能はIntel製CPU搭載の競合製品を上回る
では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1493」、「3DMark Professional Edition v2.4.4264」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」の3種類だ。エントリーモデルとスタンダードモデル双方で計測を行なっている。
結果を見ると、当然ながら上位APUを搭載するスタンダードモデルのほうがスコアは上回っている。そして、これらスコアは、エントリーモデルも含めて、競合となるIntelのAtomシリーズやCeleronシリーズを搭載する同価格帯PCの結果と比べても同等以上のスコアだ。
実際の使用感についても、競合製品とほぼ変わらない印象。さすがに10万円を超える価格のモバイルノートなどにはおよばないが、動作が遅すぎて不満を感じるといったことはない。Webアクセスや動画視聴、テキスト入力、Office系ビジネスアプリの利用であれば、大きな不満を感じることなく利用できるだろう。
New Inspiron 11 3000 スタンダードモデル | New Inspiron 11 3000 エントリーモデル | |
---|---|---|
CPU | AMD A9-9420e(1.80/2.70GHz) | AMD A6-9220e(1.60/2.40GHz) |
チップセット | ― | ― |
ビデオチップ | Radeon R5 Graphics | Radeon R4 Graphics |
メモリ | DDR4-2400 SDRAM 4GB | DDR4-2400 SDRAM 4GB |
ストレージ | 128GB eMMC | 32GB eMMC |
OS | Windows 10 Home 64bit | Windows 10 Home 64bit |
PCMark 10 | v1.0.1493 | |
PCMark 10 Score | 1172 | 952 |
Essentials | 3085 | 2093 |
App Start-up Score | 3061 | 2451 |
Video Conferencing Score | 3594 | 1842 |
Web Browsing Score | 2671 | 2032 |
Productivity | 2278 | 2032 |
Spreadsheets Score | 2885 | 2523 |
Writing Score | 1800 | 1637 |
Digital Content Creation | 622 | 552 |
Photo Editing Score | 746 | 651 |
Rendering and Visualization Score | 408 | 372 |
Video Editting Score | 791 | 698 |
CINEBENCH R15.0 | ||
OpenGL (fps) | 16.41 | 15.27 |
CPU | 94 | 67 |
CPU (Single Core) | 54 | 38 |
3DMark Professional Edition | v2.4.4264 | |
Cloud Gate | 1662 | 1312 |
Graphics Score | 2815 | 1965 |
Physics Score | 683 | 607 |
Sky Diver | 1111 | 981 |
Graphics Score | 1139 | 999 |
Physics Score | 1096 | 1016 |
Combined score | 960 | 829 |
続いてバッテリ駆動時間だ。New Inspiron 11 3000の公称のバッテリ駆動時間は約8時間となっている。エントリーモデルを利用して、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約6時間38分の駆動時間を確認した。
公称と比べるとやや短い印象だが、計測条件を考えると十分な駆動時間と言える。液晶の輝度をもう少し下げても視認性は大きく損なわれないため、工夫すればもっと長時間の駆動が可能となるはずで、外出時の利用も不安が少ないだろう。
スタイリッシュで性能重視の低価格PCとして魅力
New Inspiron 11 3000は、約3万円で購入できる、非常に安価なモバイルPCだ。しかし、安さを感じさせないスタイリッシュな筐体デザインや、AMD製APU搭載による性能面など、価格を超える魅力のある製品に仕上がっている。
最も価格の安いエントリーモデルでは、内蔵ストレージ容量が少ないため、Webの閲覧やストリーミング動画視聴、テキスト入力中心で大容量のアプリを使わない用途や、シンクライアント的な使い方がお勧めとなる。
内蔵ストレージ容量が128GBとなるスタンダードモデルなら、大容量アプリも余裕でインストールできるため、より汎用的な使い方が可能となる。2台目のPCとしてはもちろん、Web閲覧や動画視聴用PCとして、また子供や学生の入門用PCとしてお勧めしたい。
すでにAmazon.co.jpでも販売されており、売れ行きは好調とのことだ。