トピック

AMD製APU搭載で約3万円のモバイルノート、デル「New Inspiron 11 3000」

デル「New Inspiron 11 3000」

 デルが発売するエントリーノートPC「New Inspiron 11 3000(3180)」シリーズは、AMD製APUを搭載するエントリー向けのモバイルノートPCだ。11.6型液晶を搭載する軽量小型な筐体で、気楽に持ち運べるモバイル性を備えつつ、31,980円(Amazon.co.jp 5月7日時点)からと、非常に安価な点が特徴となっている。

低価格PCには見えないスタイリッシュな筐体

 New Inspiron 11 3000は、非常に安価なエントリー向けのモバイルノートPCだ。低価格なノートPCでは、さまざまな部分でコストダウンが要求されるため、あまり高価なパーツは多用できない。そのため、筐体には安価な樹脂素材が利用され、かなり安っぽい見た目の製品も少なくない。

 本製品も、筐体素材には樹脂を採用している。しかし、天板がホワイトとブルーのモデルでは光沢感の強い塗装、グレーのモデルではメタリック調の塗装が施され、樹脂筐体特有のやすっぽさを低減。天板だけでなく、キーボード面や底面など、筐体全体が同じカラーで統一されている部分もポイントが高い。

 天板にのみ高品質な塗装を施したノートPCも多くあるが、天板以外が異なる色だと、天板以外の部分のやすっぽさが際立ってしまう。New Inspiron 11 3000には、そういった印象は一切ない。

New Inspiron 11 3000のホワイトカラーモデル。天板は光沢感の強い塗装で、筐体底面も含めてホワイトで統一されているため、安っぽい印象は皆無だ
こちらはグレーモデル。グレーモデルはメタリック調でマットな塗装となっており、落ち着いた印象だ

 合わせて、側面や角は大胆に曲線を取り入れることで、かわいさもあり女性受けもしそうだ。さすがに高価格帯の製品同等の質感とまではいかないが、低価格帯のノートPCとしては、筐体の質感は優れると言っていいだろう。

ディスプレイを開いて正面から見た様子。高級感まではないが、質感は悪くない
天板部分。中央にデルのロゴがあるだけで、シンプルなデザインだ。また、側面や角は大胆にカーブを取り入れて、かわいいという印象も受ける

 本体サイズは、292×196×20.8mm(幅×奥行き×高さ)とコンパクトで、A4サイズの書類が入る鞄なら余裕で収納できる。重量は公称では最小構成時で1.35kgとされているが、実測では1,167.5gと、公称よりも200g近く軽かった。モバイルノートPCには1kgを切る軽さの製品も少なくないが、この重量なら毎日の持ち運びでも苦にならないだろう。

本体正面
左側面。高さは20.8mmと、極端な薄さではないが、鞄への収納性は悪くない
背面
右側面
底面。フットプリントは292×196mm(幅×奥行き)と十分にコンパクトだ
重量は実測で1,167.5gとまずまずの軽さ。これなら持ち歩きも苦にならないだろう

HD表示対応の11.6型液晶を搭載

 ディスプレイは、1,366×768ドット表示対応の11.6型液晶を搭載する。個人的にはフルHD(1,920×1,080ドット)くらいが望ましいが、この価格帯でフルHD液晶の搭載はコスト的に難しいことを考えると、納得の範囲内。ディスプレイ表面は非光沢処理となっているため、外光の映り込みは少ない。文字入力を中心とした利用時には、軽快な作業が可能だ。

 一報、発色の鮮やかさに関しては光沢液晶にやや劣る印象。また、全体的な色合いはやや青みが強いと感じる。とはいえ、この価格帯のPCに搭載されるディスプレイとしては標準的な表示品質だ。

 パネルの種類は非公開だが、視野角がやや狭いため、おそらくTNパネルを採用しているものと思われる。視点を大きく移動させると、明るさや色合いが大きく変化するものの、このサイズのモバイルPCでは、利用時に視点が大きく移動することは少なく、こちらも実利用上大きな問題とはならないだろう。

1,366×768ドット表示対応の11.6型液晶を搭載。パネルの種類は非公開だが、視野角がやや狭くTNパネルと思われる
表面は非光沢処理となり、外光の映り込みはほとんど感じられないが、反面発色の鮮やかさはやや劣る印象。色合いは全体的にやや青みが強いが、このクラスとしては標準的な表示品質と言える

扱いやすいキーボードを搭載

 キーボードは、キーの間隔が開いているアイソレーションタイプのキーボードを搭載する。主要キーのキーピッチは約17.5mmと、フルサイズキーボードよりやや狭い。これは、筐体サイズを考えるとしかたがないだろう。

 ストロークは1.5mmほどとまずまずの深さを確保。タッチは標準的な堅さでクリック感もしっかりしており、打鍵感は良好だ。Enterキー付近にわずかにピッチの狭いキーが見られるものの、配列は標準的で違和感なくタイピングが行なえる。もちろん、タッチタイプも余裕だ。

アイソレーションタイプのキーボードは、標準的な配列で扱いやすい
主要キーのキーピッチは約17.5mmとフルピッチには届かないが、タッチタイプも余裕
ストロークは1.5mmほどとまずまずの深さで、標準的なタッチとしっかりとしたクリック感があり、打鍵感は良好
Enterキー付近に、わずかにピッチの狭いキーが見られるが、ほぼ気にならないレベルでタッチタイプも余裕で行える

 ポインティングデバイスは、クリックボタン一体型のタッチパッドを搭載する。筐体サイズの制約もあって、やや横長の形状となっている。その中でも最大限のサイズが確保されているため、扱いやすさは申し分ない。ジェスチャー操作にも対応する。

ポインティングデバイスはクリックボタン一体型のタッチパッドを搭載。横長の形状だが面積は広く、ジェスチャー操作にも対応しており扱いやすい

プロセッサにAMD製APUを搭載

 New Inspiron 11 3000では、プロセッサとしてAMD製APU「AMD A」シリーズを採用している。モバイルノートPCでAMD製APUを搭載する製品は少ないため、競合となるIntel製プロセッサとの違いに不安を感じるかもしれない。

 AMD製のプロセッサは近年自作PCを中心として、ハイエンドユーザーに広く支持されている。その原動力となっているのが2017年に登場した「Ryzen」シリーズだが、GPUを統合するAMD製APUも、同価格帯のIntel製プロセッサに比べ、高い描画能力を備え、コストパフォーマンスに優れることから、根強い人気がある。また、PlayStation 4やXbox Oneなどの家庭用ゲーム機にもAMD製APUは採用されており、その性能や安定性は申し分ない。

 本製品に搭載されているAMD製APUは、エントリーモデルではA6-9220e、スタンダードモデルではA9-9420eとなる。いずれも、AMD製APUの第7世代モデルで、CPUコアを2コア内蔵するとともに、A6-9220eにはRadeon R4、A9-9420eにはRadeon R5というGPUを統合。これらGPUは、競合となるIntelのAtomシリーズやCeleronシリーズなどの統合GPUよりも優れた描画能力を誇る。

 メモリは、DDR4-2400を標準で4GB搭載。エントリーモデルでのメモリ増量は行なえないが、スタンダードモデルでは最大8GBまで搭載可能となっているため、快適度を優先するならメモリ交換も考慮したい。

 内蔵ストレージは、エントリーモデルが容量32GBのeMMC、スタンダードモデルでは128GBのeMMCを搭載。容量32GBは必要最小限ではあるが、Web閲覧やストリーミング動画視聴、テキスト入力などが中心の利用なら、なんとかなるだろう。こちらも、スタンダードモデルなら128GBと十分な容量となるため、いろいろなアプリを使いたいならスタンダードモデルがお勧めとなる。

 無線機能は、IEEE 802.11b/g/n準拠の無線LAN(1×1)とBluetooth 4.0を標準搭載。側面ポート類は、左側面に電源コネクタ、HDMI 1.4a出力、USB 3.0、microSDカードスロットを、右側面にオーディオジャックとUSB 2.0をそれぞれ装備。microSDカードスロットに大容量microSDカードを装着すれば、データ保存用のサブドライブとして活用できるため、内蔵ストレージの容量不足解消に活用できるだろう。このほか、ディスプレイ上部中央に、720p対応のWebカメラも搭載する。

左側面に電源コネクタ、HDMI 1.4a出力、USB 3.1 Gen1×1、microSDカードスロットを用意
右側面にはオーディオジャックとUSB 2.0×1を用意
ディスプレイ上部中央には、720pのWebカメラを搭載

 付属ACアダプタは、小型で携帯性に優れる。接続する電源ケーブルが太く重いため、電源ケーブル込みの重量は実測で278gとやや重くなるが、それでも本体と合わせて1.5kgを切るため、携帯性が大きく損なわれることはないだろう。

付属ACアダプタは小型で、携帯性に優れる
電源ケーブルがややかさばって、ACアダプタの重量は実測で278gだったが、それでも本体と合わせても1.5kgを切るため携帯性が大きく失われることはない

性能はIntel製CPU搭載の競合製品を上回る

 では、ベンチマークテストの結果を見ていこう。利用したベンチマークソフトは、Futuremarkの「PCMark 10 v1.0.1493」、「3DMark Professional Edition v2.4.4264」、Maxonの「CINEBENCH R15.0」の3種類だ。エントリーモデルとスタンダードモデル双方で計測を行なっている。

 結果を見ると、当然ながら上位APUを搭載するスタンダードモデルのほうがスコアは上回っている。そして、これらスコアは、エントリーモデルも含めて、競合となるIntelのAtomシリーズやCeleronシリーズを搭載する同価格帯PCの結果と比べても同等以上のスコアだ。

 実際の使用感についても、競合製品とほぼ変わらない印象。さすがに10万円を超える価格のモバイルノートなどにはおよばないが、動作が遅すぎて不満を感じるといったことはない。Webアクセスや動画視聴、テキスト入力、Office系ビジネスアプリの利用であれば、大きな不満を感じることなく利用できるだろう。

New Inspiron 11 3000 スタンダードモデルNew Inspiron 11 3000 エントリーモデル
CPUAMD A9-9420e(1.80/2.70GHz)AMD A6-9220e(1.60/2.40GHz)
チップセット
ビデオチップRadeon R5 GraphicsRadeon R4 Graphics
メモリDDR4-2400 SDRAM 4GBDDR4-2400 SDRAM 4GB
ストレージ128GB eMMC32GB eMMC
OSWindows 10 Home 64bitWindows 10 Home 64bit
PCMark 10v1.0.1493
PCMark 10 Score1172952
Essentials30852093
App Start-up Score30612451
Video Conferencing Score35941842
Web Browsing Score26712032
Productivity22782032
Spreadsheets Score28852523
Writing Score18001637
Digital Content Creation622552
Photo Editing Score746651
Rendering and Visualization Score408372
Video Editting Score791698
CINEBENCH R15.0
OpenGL (fps)16.4115.27
CPU9467
CPU (Single Core)5438
3DMark Professional Editionv2.4.4264
Cloud Gate16621312
Graphics Score28151965
Physics Score683607
Sky Diver1111981
Graphics Score1139999
Physics Score10961016
Combined score960829

 続いてバッテリ駆動時間だ。New Inspiron 11 3000の公称のバッテリ駆動時間は約8時間となっている。エントリーモデルを利用して、Windowsの省電力設定を「バランス」、電源モードを「(バッテリー)より良いバッテリー」、バックライト輝度を50%に設定し、無線LANを有効にした状態で、BBenchでキー入力とWeb巡回にチェックを入れて計測したところ、約6時間38分の駆動時間を確認した。

 公称と比べるとやや短い印象だが、計測条件を考えると十分な駆動時間と言える。液晶の輝度をもう少し下げても視認性は大きく損なわれないため、工夫すればもっと長時間の駆動が可能となるはずで、外出時の利用も不安が少ないだろう。

スタイリッシュで性能重視の低価格PCとして魅力

 New Inspiron 11 3000は、約3万円で購入できる、非常に安価なモバイルPCだ。しかし、安さを感じさせないスタイリッシュな筐体デザインや、AMD製APU搭載による性能面など、価格を超える魅力のある製品に仕上がっている。

 最も価格の安いエントリーモデルでは、内蔵ストレージ容量が少ないため、Webの閲覧やストリーミング動画視聴、テキスト入力中心で大容量のアプリを使わない用途や、シンクライアント的な使い方がお勧めとなる。

 内蔵ストレージ容量が128GBとなるスタンダードモデルなら、大容量アプリも余裕でインストールできるため、より汎用的な使い方が可能となる。2台目のPCとしてはもちろん、Web閲覧や動画視聴用PCとして、また子供や学生の入門用PCとしてお勧めしたい。

 すでにAmazon.co.jpでも販売されており、売れ行きは好調とのことだ。