レビュー

お手頃価格の湾曲27型165Hzゲーミングモニター「G-MASTER GB2766HSU-1A」はPS5との相性も◎

iiyamaの「G-MASTER GB2766HSU-1A」。実売価格3万7,000円前後

 ゲーミングモニターにおいて、Apex LegendsやフォートナイトなどFPSやTPSを中心にプレイするなら1秒間に描画できるコマ数を増やせる「高リフレッシュレート」、残像感を軽減する「高速応答」、画面ズレのテアリングを防ぐ「可変リフレッシュレート対応」であることがもっとも重要なスペックだろう。

 サイバーパンク2077やアサシンクリード ヴァルハラなど、シングルプレイ中心のオープンワールドゲームをじっくり楽しむなら色の表現力に優れ、コントラストが高い方がよい。PCだけではなく、家庭用ゲーム機との接続も考えているなら、PS5の120Hz動作に対応しているかが気になるハズだ。

 マウスコンピューターによるiiyamaブランドの「G-MASTER GB2766HSU-1A」は、これらの要素をすべて備えたゲーミング液晶だ。しかも、実売価格は3万7,000円前後と非常にお手頃。湾曲仕様と没入感も高いこのモニターのレビューをお届けする。

高コントラストな27型湾曲モニター

 iiyamaのG-MASTER GB2766HSU-1Aは、27型サイズでフルHD解像度のゲーミング液晶だ。最大165Hzの高リフレッシュレートでの駆動に対応し、応答速度は1ms(MPRT)と高速。

 また、液晶が苦手とする“黒”の表現力に優れるVAパネルを採用しており、標準でも3,000:1、最大8,000万:1(Adv. Contrast機能時)という非常に高いコントラスト比を実現している。

 視野角も上下/左右ともに178度と広い。sRGBなど色域のカバー率を公表していないのは残念だが、メリハリのある映像が楽しめるのは確かだ。

 公称スペックでは対応を明記していないが、テストしたWindows 11 Proの環境ではHDRに設定が可能だった。HDRを有効にすることで、対応コンテンツならば明るい場所はより明るく、暗い場所はより暗くとメリハリがさらに増すので、よりリアリティのある映像が体験できる。サイバーパンク2077やForza Horizon 5など、大作ゲームではHDR対応も多いだけに、これはうれしいポイントだ。

 モニターとビデオカードのフレームレートを同期させる可変リフレッシュレート機能はAMDのFreeSync Premiumに対応。NVIDIAのG-SYNC Compatibleへの対応は謳われていないが、筆者が試す限りでは、有効化可能だった。

リフレッシュレートはDisplayPort、HDMIどちらの接続時でも最大165Hz
スペックには明記されていないがHDRも有効化が可能だった
公式スペックでは可変リフレッシュレートはAMDのFreeSync Premiumのみ対応だが、NVIDIAのG-SYNC Compatibleも有効化でき、問題なく動作した

 基本スペックを紹介してきたが、一番の特徴と言えるのは湾曲仕様だろう。曲率1,500Rというのは、湾曲タイプの液晶でも最大クラス。これによって27型サイズながら、画面全体を視野に入れやすくなるのが最大の強み。視野全体が画面になるため没入感が高まるだけではなく、視線を余り動かさずに画面全体を把握できるため、FPSやTPSでは重要になる画面のわずかな動きも認識しやすくなる。

 湾曲タイプだと画面に違和感があるのでは、と思う人もいるだろうが、実際に正面から見ると曲がっている感覚はほとんどない。27型の一般的な平面のモニターと見比べると、左右が把握しやすくなって見やすいと思うほどだ。ゲームだけではなく、仕事にも集中しやすくテレワーク用にも意外とよいのではないだろうか。

正面からだと分かりにくいが、下から見れば湾曲しているのがよく分かる
ゲームを表示させて正面から見たところ。上側を見ると湾曲しているのが分かるが、ほとんど違和感はない

暗部を見やすくする「黒レベル調整」やシーン別のプリセットも

 背面にあるスティックを押し込むとOSDメニューを呼び出せる。コントラストや輝度の調整、ブルーライトを軽減する「Blue Light Reducer」、輝度を落として消費電力を削減する「ECOモード」といった機能が用意されているが、ゲーム向けとして注目したいのは「黒レベル調整」だ。

 黒レベル調整は、暗部の明るさを調整する機能で、数字を上げるほど全体が明るくなる。FPSやTPSでは暗い場所に隠れている敵などを見つけやすくなる効果はあるが、ホラーゲームでは雰囲気を損なう可能性も。ゲームに合わせて調整するのがよいだろう。

 お手軽に色味を調整できる機能としては「i-Style Color」がある。標準/スポーツ/シューティング/シミュレーション/テキストとシーン別に5種類のプリセットが用意されているほか、ユーザーが調整した設定を保存しておくことも可能だ。

背面のスティックでOSDメニューを呼び出せる
OSDメニュー。暗部を調整できる「黒レベル調整」はピクチャー調整の中に用意されている
「i-Style Color」は画像調整の中に搭載。標準で5つのプリセットが用意されている
スティックの上下左右にはECOモード、i-Style Color、音量調整、入力選択のショートカットが割り当てられている

スタンドの機能も充実。湾曲でも回転も可能

 スタンドは、高さを13cmの間で調整でき、チルト(下方向-5度、上方向+18度)、ピボット(90度回転)にも対応と高機能だ。唯一スイベルは備えていない。土台はY字型のシンプルなもので場所を取らず個人的には好印象だ。スタンドは取り外し可能で、100mm×100mmのVESA規格にも対応しているのでモニターアームの取り付けも行なえる。

高さは13cmの間で調整でき、上方向のチルトは+18度まで動かせる
高さを一番下げた状態。下方向へのチルトは-5度まで動かせる
縦に回転も可能だ
背面から見たところゲーミング液晶だがLEDは備えていない
スタンドの下部にはケーブルをまとめるためのフックがある
スタンドを外せばVESAにも対応が可能だ

 映像の入力はHDMI×2、DisplayPort×1の3系統あるため、PCと家庭用ゲーム機の同時接続も可能だ。USB 2.0 Hub(2ポート)も用意されており、マウスやキーボード、コントローラなどを接続できるのも便利。

 電源がACアダプタではなく、内蔵型なのもうれしいポイント。大型のACアダプタが電源の場合は、それがどうしてもジャマとなって配線がしにくいためだ。なお、サイズは610.5×256×409.5~539.5mm(幅×奥行き×高さ)、重量は約5.7kgだ。

背面の端子類。2W×2のステレオスピーカーも備えている
電源は内蔵型なのでスタンダードな3ピンの電源コードが使える

PS5の120Hz駆動もサポート

 スペックに記載はないが、HDMI入力によるPS5の120Hz駆動が可能なことも確認した。「フォートナイト」と「Call of Duty: Vanguard」をプレイしてみたが、どちらも問題なく120Hzモードを有効にできた。

フォートナイトでは問題なく120Hzで動作した

3万円台で見せる充実ぶり

 27型でも画面全体を見やすい湾曲タイプ、165Hzの高リフレッシュレート、非公式ながらHDR対応、PS5の120Hz動作もOK、そしてスタンドも高機能と、充実ぶりが最大の魅力だろう。ゲーミングデバイスとしての見た目のハデさはないが、ワンランク上のゲーム体験を約束してくれる1台だ。