レビュー
こんなに小さくてSSD!? しかもお手頃価格! いろいろ試してわかったバッファロー製“USBメモリ型SSD”の規格外っぷり
2020年12月10日 09:50
バッファローから革新的ポータブルストレージが登場!
バッファローはスティック型SSD「SSD-PUTAシリーズ」を11月11日に発表、11月28日より販売を開始した。サイズは23×11×68.2mm(幅×奥行き×高さ、突起物含まず)、重量は約17gと小型・軽量ながら、本製品はれっきとしたUSB接続型の外付けSSD。携帯性とSSDならではの利便性を両立したまったく新しい革新的なストレージだ。
ラインナップは250GB版「SSD-PUT250U3-BKA」(税別6,100円)、500GB版「SSD-PUT500U3-BKA」(税別9,100円)、1TB版「SSD-PUT1.0U3-BKA」(税別1万5,600円)の3種類。
1GBあたりの税別価格は、250GB版が24.4円、500GB版が18.2円、1TB版が15.6円となっており、新ジャンルの製品ながら1GBあたりの価格が10~50円前後のケーブル接続型SSD(1TB版において)と比べてお買い得感が非常に高い。コストパフォーマンス的にもいまイチオシの外付けSSDなのだ。
速さと軽さと持ち運びやすさを実感、ケーブルからの開放感がすごい
SSD-PUTA最大の特徴はなんと言っても圧倒的にコンパクトなこと。重量は約17gと非常に軽く、胸ポケットやバッグに入れてもまったくジャマにならない可搬性を備えている。
また、外付けHDDと違ってケーブルが存在しないので煩雑さがない。たとえば、TVの録画用のストレージとして、ケーブルをダラーンとと垂らすことなくスマートに直結できるのだ。そして可動部がなく静かなので、リビングはもちろん寝室のような場所で使うのにも快適だ。
外観はUSBメモリとまったく変わらないSSD-PUTA。USBメモリみたいだけどUSBメモリとは何が違うのか? それは以下の記事でも解説されているが、簡単に言えばUSBメモリはWindowsから「リムーバブルメディア」として、本製品のようなスティック型SSD(USBメモリ型SSD)は「ローカルディスク」として認識されるという違いがある。
そのため、SSD-PUTAはGPT形式やダイナミックディスクへの変換が可能で、パーティション操作の自由度が高いのだ。もちろん一般的なUSBメモリよりも高速であることも見逃せない。
SSD-PUTAはコンパクトなだけでなく、性能も優れており、USB 3.0接続時に全モデルでリード速度430MB/sが謳われている。
実際にストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.0」で、同社のポータブルUSB HDD「HD-PCG500U3-BA」と速度を比較してみたが、SSD-PUTAはシーケンシャルリードで約3.9倍に相当する462.17MB/s、シーケンシャルライトで約3.4倍に相当する402.64MB/sのスコアを叩き出した。SATA SSD並みの速度が出ており、携帯性とスピードを両立しているわけだ。
筐体の作りもしっかりしている。USB端子はスライド対応でキャップをなくす心配はなく、ストラップホールが用意されているのでキーホルダーなどからぶら下げておけば紛失する恐れは少ない。また、米国国防総省制定MIL規格「MIL-STD-810G 516.6 procedure IV」に準拠しており、高さ1.2mからの落下テストなどをクリアしている。
NANDフラッシュにデータを記録するSSD-PUTAは、ポータブルHDDのように物理的に動作する機構が存在しないので、タフネス性という点でも比べものにならないほど頑丈だ。
SSD-PUTAはどれだけ速いのか? 動画・写真編集で検証してみた
大容量または大量のファイルを扱うような実際の利用状況において、SSD-PUTAがどれくらいの性能を発揮するのか気になるところだろう。250GB版「SSD-PUT250U3-BKA」と、上述した500GBポータブルHDD「HD-PCG500U3-BA」を使い、検証してみた。
まずはWindowsのエクスプローラーを使って同一ドライブ内で約5分の4K動画(3.9GB)をコピー&ペーストしてみたところ、SSD-PUTAはポータブルHDDの約5倍に相当する24秒62で処理を終えた。大容量の写真や動画データをSSD-PUTAに読み書きするさいに大きな恩恵を受けられることは間違いない。
つぎにアプリケーションで動作速度を確認する。検証に利用したのは動画編集アプリ「Adobe Premiere Pro」と写真管理アプリ「Adobe Lightroom Classic」。Premiere Proでは約5分の4K動画(3.9GB)を同一ドライブ内でエンコードする時間、Lightroom Classicでは100枚のRAW画像(4.05GB)を同一ドライブ内で現像(自然→カラー)する時間を計測した。
結果は、SSD-PUTAはポータブルHDDに対して、Premiere Proで約1.04倍に相当する4分42秒88、Lightroom Classicで約1.03倍に相当する7分22秒86で処理を終えた。ストレージの速度差がそのまま処理時間に反映されなかったのは、両アプリとも演算中にストレージの読み込み/書き込みを並行して実行しているためだと思われる。
ただし、実際にアプリケーションを操作していると、ストレージの読み書きが発生するたびに両者の速度差を明確に体感できる。とくにその差が顕著に表われたのがLightroom Classicで、クイック現像で「カラー→自然」と選び「プリセットを適用」が完了するまでの所要時間。SSD-PUTAはポータブルHDDの約3.5倍に相当する39秒49という短時間で処理を終えた。つまり最終的なエンコード、書き出し作業よりも、数値化しにくい写真、動画の編集中の操作レスポンスにSSD-PUTAの高速性が活かされるわけだ。
ゲームでも速さの違いは体感できるのか? パソコンゲームとPlayStation 4で検証
次はゲームにおける性能をチェックしてみよう。最近の3Dゲームはプログラム・データサイズが大きくなっているので、外付けストレージをゲーム用フォルダとして利用している方も多いことだろう。
そのようなユースケースを想定して、Core i7搭載ゲーミングノートに250GB版「SSD-PUT250U3-BKA」と、500GBポータブルHDD「HD-PCG500U3-BA」で、ゲームの起動時間、ロード時間がどれくらい変わるか計測してみた。テストに使用したのはSteam版の「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS」だ。
その結果だが、SSD-PUTAはポータブルHDDに対して、PUBGの起動時間は約2倍に相当する48秒22、「トレーニングモード」のロード時間は約2.8倍に相当する19秒77となった。ひんぱんにロードが発生するゲームほど、SSD-PUTAの高速性は威力を発揮するはずだ。
SSD-PUTAはPlayStation 4やPlayStation 5でも利用可能だ。とくにPlayStation 4では内蔵HDDをSSDに換装しなくても、SSD-PUTAをUSB端子に接続するだけで高速化できるのでメリットは大きい。一方、最新のPlayStation 5はPlayStation 5用ゲームを外付けストレージにインストールできないが、PlayStation 4専用の拡張ストレージとして利用可能。貴重な内蔵ストレージを節約できるのでぜひ試してみてほしい。
さて今回はPlayStation 4の内蔵HDDとSSD-PUTAに「Detroit:Become Human」をインストールして、それぞれ起動後にクレジットが表示されるまでの時間を計測したが、SSD-PUTAはポータブルHDDに対して約1.4倍に相当する17.83秒で起動した。ゲームにおいて約7秒のロード時間の差は大きい。ゲーム中のステージ間のロード時間も大幅に短縮されるはずだ。
なお、バッファローの製品公式サイトには、PlayStation 4の「モンスターハンター:ワールド」のデータロード時間が内蔵HDDでは86.3秒だったところSSD-PUTAでは17.9秒と大幅に高速化されたとのこと。一度にロードするデータ量が多いほど、ストレージ高速化の効果は大きいわけだ。
サポートは国内大手のバッファローだから安心
万が一のときのためのデータ復旧サービスや暗号化機能も用意
SSD-PUTAはパソコン周辺機器国内最大手のバッファローの製品。LINE、チャット、メール、電話などで手厚いサポートを受けられるのも大きなアドバンテージだ。また、本製品は「バッファロー正規 データ復旧サービス」対象商品。保証期間内の軽度の論理障害であればユーザー登録するだけで無償でデータ復旧してくれる。保証期間外の障害や中度の障害も固定料金で対応してくれるから安心感が高い。
また、手軽に持ち運べるからこそ、万が一の紛失のために積極的に利用したいのが、無償でダウンロードできるバッファロー独自の暗号化ソフト「SecureLock Mobile2」。これは暗号化方式にAES256bitを採用したソフトで、ファイルをウィンドウにドロップするだけの簡単な操作でパスワードまたはパターンによる暗号化、復号化が可能。機密性の高いデータを持ち歩くさいには、ぜひ活用しておこう。
SSD-PUTAシリーズの誕生はユーザーの声がきっかけ
SSD-PUTAシリーズは、従来のポータブルストレージをより手軽に快適に使えるようにした新機軸の製品と言える。SSD-PUTAのような製品がどうして生まれたのか、バッファローにその経緯を確認してみた。
まずSSD-PUTAシリーズだが、じつはその前身となった「SSD-PSMU3シリーズ」が存在する。こちらの製品もSSDを搭載しており、本体サイズが33×59.5×9.5mm(幅×奥行き×高さ)と十分に小さい。コンパクトなポータブルストレージとして好評ではあったものの、一部のユーザーから「本体の小ささ・軽さには満足しているが、ケーブルが邪魔」といった意見があったという。
バッファローはそうしたユーザーの声を反映すべく、ケーブルレスの商品の企画をはじめたそうだ。それが今回のSSD-PUTAシリーズになるわけだが、SSD-PSMU3シリーズが発売されたのは今年(2020年)の3月であるため、製品化まで約9カ月ほどしかかかっていない。かなり速いペースで開発が行なわれたことがわかる。
両者は似たサイズ感ではあるが、コネクタ部分も含めて内部構造は違うようで、SSD-PUTAシリーズの大きさのスティック型SSDを実現するには高速性を十分に発揮可能な部品の調達が必要だったそうだ。そしてその課題がクリアできたため、早期の発売ができたとのことである。
バッファローはSSD-PUTAシリーズについて、写真や動画などを多く扱う人に好適としており、高速かつ大容量で持ち運びが簡便なSSDはそういった用途でのメリットが大きいという。また、最近のパソコンは標準でSSDが搭載されているものの、容量は低く抑えられている傾向があり、気軽に容量を追加できる外付けSSDとしての活用をおすすめしたいとしている。
[制作協力:バッファロー]