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ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク

 NVIDIAは11月2日より、新たなハイエンドGPU「GeForce GTX 1070 Ti」を発売する。今回、発売に先立って同GPUを搭載したビデオカードを試用する機会が得られたので、ベンチマークテストでその実力を探ってみた。

コア数が大きく増加したGeForce GTX 1070の上位モデル

 GeForce GTX 1070 Tiは、すでに発売済みのGeForce GTX 1080/1070と同じく、PascalアーキテクチャベースのGPUコア「GP104」を採用したハイエンドGPUだ。GeForce GTX 1070 TiのGP104コアでは20基のSM(Streaming Multiprocessor)のうち19基が有効化されており、2,432基のCUDAコアと152基のテクスチャユニットを備えている。

 GPUコアの動作クロックは、ベースクロックが1,607MHz、ブーストクロックは1,683MHz。VRAMとして8Gbpsで動作する8GBのGDDR5メモリを備え、256bitのメモリインターフェイスでGPUコアと接続している。その他、主要なスペックは以下の表のとおり。

【表1】GeForce GTX 1070 Tiの主な仕様
モデルナンバーGeForce GTX 1070 TiGeForce GTX 1080GeForce GTX 1070
アーキテクチャPascal (GP104)
製造プロセス16nm
Streaming Multiprocessor19基20基15基
CUDAコア2,432基2,560基1,920基
テクスチャユニット152基160基120基
ROPユニット64基64基64基
ベースクロック1,607MHz1,607MHz1,506MHz
ブーストクロック1,683MHz1,733MHz1,683MHz
メモリ容量8GB GDDR58GB GDDR5X8GB GDDR5
メモリスピード8Gbps10Gbps8Gbps
メモリインターフェイス256bit256bit256bit
メモリ帯域256GB/s320GB/s256GB/s
消費電力180W180W150W

 GeForce GTX 1070 TiのGPUコアは、下位モデルのGeForce GTX 1070よりも上位モデルのGeForce GTX 1080に近く、消費電力もGeForce GTX 1080と同じ180Wに増加した。一方、VRAMについてはGeForce GTX 1070と同等の仕様となっている。

 今回借用したのはGeForce GTX 1070 Tiのリファレンスモデルである「Founders Edition」。金属フレームを採用した2スロットタイプのGPUクーラーを搭載し、1系統のPCI-E 8ピンを補助電源コネクタとして備えている。画面出力端子はDVI-D、HDMI、DisplayPort×3。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク カード表面。Pascal世代のハイエンドGPU搭載「Founders Edition」共通の外観デザインを採用している
カード表面。Pascal世代のハイエンドGPU搭載「Founders Edition」共通の外観デザインを採用している
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク カード裏面。金属製のバックプレートで覆われている
カード裏面。金属製のバックプレートで覆われている
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 基板上部にはLED内蔵の「GEFORCE GTX」ロゴとSLI端子、PCI-E 8ピン電源コネクタを装備
基板上部にはLED内蔵の「GEFORCE GTX」ロゴとSLI端子、PCI-E 8ピン電源コネクタを装備
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 画面出力端子。3系統のDisplayPortのほか、DVI-DとHDMIを各1系統ずつ備える
画面出力端子。3系統のDisplayPortのほか、DVI-DとHDMIを各1系統ずつ備える

テスト機材

 GeForce GTX 1070 Tiをテストするにあたり、比較対象としてラインナップ上で隣接するGeForce GTX 1070とGeForce GTX 1080を用意した。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク GeForce GTX 1070搭載の「ZOTAC ZT-P10700K-10M」。ZOTACオリジナル仕様のOCモデルだが、リファレンス仕様との差は小さい
GeForce GTX 1070搭載の「ZOTAC ZT-P10700K-10M」。ZOTACオリジナル仕様のOCモデルだが、リファレンス仕様との差は小さい
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク GeForce GTX 1080搭載の「ZOTAC ZT-P10800A-10P」。リファレンス仕様準拠のFounders Edition
GeForce GTX 1080搭載の「ZOTAC ZT-P10800A-10P」。リファレンス仕様準拠のFounders Edition
【表2】各ビデオカードのテスト時動作仕様
GPUGeForce GTX 1070 TiGeForce GTX 1070GeForce GTX 1080
ビデオカードベンダーNVIDIAZOTACZOTAC
製品名リファレンスボードZT-P10700K-10MZT-P10800A-10P
ベースクロック1,607MHz1,518MHz1,607MHz
ブーストクロック1,683MHz1,708MHz1,733MHz
メモリ8GB GDDR58GB GDDR58GB GDDR5X
メモリスピード8.0Gbps8.0Gbps10.0Gbps
メモリインターフェイス256bit256bit256bit
メモリ帯域256GB/s256GB/s320GB/s

 各GPUのテスト環境には、Coffee Lake-Sベースの6コア12スレッドCPU「Core i7-8700K」を搭載したIntel Z370環境を用意した。そのほかの構成パーツについては以下の通り。

【表3】テスト機材一覧
GPUGeForce GTX 1070 TiGeForce GTX 1070GeForce GTX 1080
CPUCore i7-8700K
マザーボードZ370 GAMING PRO CARBON AC (UEFI: A13)
メモリDDR4-2666 8GB×2 (2ch、19-19-19-43、1.2V)
システム用ストレージPlextor PX-128M8PeG (128GB SSD/M.2-PCIe 3.0 x4)
アプリケーション用ストレージOCZ VTR180-25SAT3-480G (480GB SSD/SATA 6Gbps)
電源玄人志向 KRPW-TI700W/94+ (700W 80PLUS Titanium)
グラフィックスドライバGeForce Game Ready Driver 388.09GeForce Game Ready Driver 388.00
OSWindows 10 Pro 64bit (Ver 1709 / build 16299.19)
電源設定高パフォーマンス
室温約28℃

ベンチマーク結果

 それでは、ベンチマークテストの結果を紹介する。実行したテストは「3DMark (グラフ1~6)」、「VRMark (グラフ7~8)」、「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク (グラフ9)」、「Ashes of the Singularity: Escalation (グラフ10)」、「オーバーウォッチ (グラフ11)」、「Fallout 4 (グラフ12)」、「ダークソウル3 (グラフ13)」、「ニーア オートマタ (グラフ14)」、「The Witcher 3: Wild Hunt (グラフ15)」、「ゴーストリコン ワイルドランズ (グラフ16)」、「ウォッチドッグス2 (グラフ17)」。

 3DMarkのDirectX 12テスト「Time Spy」でのGeForce GTX 1070 Tiのスコアは、GeForce GTX 1070比で112%前後、GeForce GTX 1080比で約95%前後だった。

 DirectX 11テストのFire Strikeでのスコアは、GeForce GTX 1070比で約111%、GeForce GTX 1080比で約92~94%前後となっている。同じくDirectX 11テストで低GPU負荷の「Sky Diver」ではCPU性能がボトルネック気味で各GPUの性能差は縮んでいるが、おおむねGeForce GTX 1070とGeForce GTX 1080の中間の性能を発揮している。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ01】 3DMark - Time Spy Extreme v1.1
【グラフ01】 3DMark - Time Spy Extreme v1.1
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ02】 3DMark - Time Spy v1.1
【グラフ02】 3DMark - Time Spy v1.1
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ03】 3DMark - Fire Strike Ultra v1.1 (3,840×2,160ドット)
【グラフ03】 3DMark - Fire Strike Ultra v1.1 (3,840×2,160ドット)
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ04】 3DMark - Fire Strike Extreme v1.1
【グラフ04】 3DMark - Fire Strike Extreme v1.1
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ05】 3DMark - Fire Strike v1.1
【グラフ05】 3DMark - Fire Strike v1.1
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ06】 3DMark - Sky Diver v1.0
【グラフ06】 3DMark - Sky Diver v1.0

 VRMarkでは、低負荷のOrange Roomにおいて、GeForce GTX 1070 TiのスコアはGeForce GTX 1080比で約98.5%と肉薄しているが、これはCPU側のボトルネックによるものだ。実際、高負荷テストのBlue RoomのスコアはGeForce GTX 1080比で約93%となっており、3DMarkの結果と同程度の差がついている。

 一方、GeForce GTX 1070比のスコアは、Orange Roomで約110%、Blue Roomでは約115%となっている。高GPU負荷テストでGeForce GTX 1070 Tiが差を広げたようにも見えるが、CPUのボトルネックでGeForce GTX 1070 Tiが性能をフルに発揮できずスコアが頭打ちとなっていたため、Orange Roomのスコア差が詰まっていたと見るのが妥当だろう。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ07】 VRMark v1.1.1272 (スコア)
【グラフ07】 VRMark v1.1.1272 (スコア)
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ08】 VRMark v1.1.1272 (フレームレート)
【グラフ08】 VRMark v1.1.1272 (フレームレート)

 ファイナルファンタジーXIVベンチマークでは、描画品質を最高品質に固定した上で3種類の画面解像度でテストした。

 もっとも低解像度であるフルHDではCPUがボトルネックとなり、GeForce GTX 1070 Tiと各GPUのスコア差が小さくなっているが、GPU負荷が高いWQHDと4KではGeForce GTX 1070比111%前後、GeForce GTX 1080比91%前後というスコアを記録している。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ09】 ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク
【グラフ09】 ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター ベンチマーク

 DirectX 12とDirectX 11を選択可能なAshes of the Singularity: Escalationでは、画面解像度をフルHDに固定した上で描画品質を「Crazy(最高品質)」と「Standard」の2種類に設定してテストを実行した。

 描画品質「Standard」ではDirectX 11ではCPUがボトルネックとなって頭打ち気味だったフレームレートが、DirectX 12を利用することで改善していることが確認できる。とは言え、DirectX 12を使ってもCPUがボトルネックであることには変わりなく、GeForce GTX 1070 Tiと比較用製品の差は比較的小さい。

 描画品質をCrazyに引き上げるとGeForce GTX 1070 TiとGeForce GTX 1070の差は拡大しており、DirectX 11で約14%、DirectX 12では約18%の差をつけて上回った。一方、GeForce GTX 1080比でのフレームレートはDirectXのバージョンを問わず約95%となっている。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ10】 Ashes of the Singularity: Escalation (v2.51.28527)
【グラフ10】 Ashes of the Singularity: Escalation (v2.51.28527)

 オーバーウォッチでは最高品質設定の「エピック」で、フルHD、WQHD、4K、以上3つ画面解像度でフレームレートを測定した。

 GeForce GTX 1070 Tiが記録したフレームレートは、GeForce GTX 1070比で114%前後、GeForce GTX 1080比92%前後だった。数字としてはこれまでのテストと同程度だが、4K解像度において、60fpsを1割以上割り込むGeForce GTX 1070に対し、ギリギリではあるが60fpsを上回ったGeForce GTX 1070 Tiの差は大きなものだ。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ11】 オーバーウォッチ (v1.16.0.2)
【グラフ11】 オーバーウォッチ (v1.16.0.2)

 フレームレートの上限が60fpsに制限されているFallout 4、ダークソウル3、ニーア オートマタでは、各ゲームの最高品質設定でフルHD、WQHD、4Kの3画面解像度でテストを実行した。

 Fallout 4では、WQHDまではどのGPUも60fpsを維持できるため差がつかなかった一方、4KではGeForce GTX 1070比で約125%、GeForce GTX 1080比では約90%という結果を記録した。これまでのテストに比べGeForce GTX 1070との差が大きく開いており、ほかよりGPUコア自体の差がフレームレートに反映されたようだ。

 ダークソウル3でもWQHDまでは全GPUが60fpsを維持できている。4KではGeForce GTX 1070比で約112%、GeForce GTX 1080比は約88%という結果で、Fallout 4とは逆にGeForce GTX 1080との差が開く結果となった。

 ニーア オートマタでは、今回テストしたGPUが60fpsを維持できたのはフルHDまでで、WQHD以上ではいずれも60fpsを割り込む結果となっている。GeForce GTX 1070 Tiと各GPUのフレームレート差は、GeForce GTX 1070比で17%前後、GeForce GTX 1080比では92~94%程度となっている。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ12】 Fallout 4 (v1.9.4.0/高解像度テクスチャパック適用)
【グラフ12】 Fallout 4 (v1.9.4.0/高解像度テクスチャパック適用)
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ13】 ダークソウル3 (v1.14)
【グラフ13】 ダークソウル3 (v1.14)
ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ14】 ニーア オートマタ (build 1787043)
【グラフ14】 ニーア オートマタ (build 1787043)

 The Witcher 3では、グラフィック・プリセットをもっとも高品質なものに設定し、フルHD、WQHD、4Kの3画面解像度でそれぞれフレームレートを測定した。

 GeForce GTX 1070 Tiが記録したフレームレートは、GeForce GTX 1070比で約114~118%、GeForce GTX 1080比で約92~95%だった。テスト時の画面解像度が大きくなるほどGeForce GTX 1080との差が拡大している。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ15】 The Witcher 3: Wild Hunt (ver. 1.31)
【グラフ15】 The Witcher 3: Wild Hunt (ver. 1.31)

 ゴーストリコン ワイルドランズでは、フルHD解像度で描画品質を変更してベンチマークモードを実行した。

 GeForce GTX 1070 Tiの結果は、GeForce GTX 1070比で約109~111%、GeForce GTX 1070比で約93~94%。比較用GPUとの差は3DMarkなどの結果に近いものとなっており、今回のテストでは標準的な結果だ。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ16】 ゴーストリコン ワイルドランズ (v2530591)
【グラフ16】 ゴーストリコン ワイルドランズ (v2530591)

 ウォッチドッグス2では、グラフィック・プリセットを最大に設定して、3つの画面解像度でフレームレートを測定した。

 GeForce GTX 1070 Tiのフレームレートは、GeForce GTX 1070比で約107~111%、GeForce GTX 1070比では約95~92%だった。GeForce GTX 1070との差は画面解像度を引き上げると増加する傾向にあり、ウォッチドッグス2では比較的GPUコアの差が効いているようだ。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ17】 ウォッチドッグス2 (v1.017.189.2.1088394)
【グラフ17】 ウォッチドッグス2 (v1.017.189.2.1088394)

 ワットチェッカーを用いて測定した、アイドル時消費電力と各ベンチマーク実行中のピーク消費電力をまとめたものが以下のグラフだ。

 アイドル時の消費電力は34~36Wでほぼ横並びとなっており、とくに意味のある差はついていない。一方、GeForce GTX 1070 Tiのベンチマーク実行中のピーク消費電力は196~256Wを記録しており、これはGeForce GTX 1070比で約107~119%、GeForce GTX 1080比では約95~98%に相当する。

 消費電力のスペックが180Wで並ぶGeForce GTX 1070 TiとGeForce GTX 1080の消費電力が近い数値となり、150WのGeForce GTX 1070がそこから20~30W前後低い消費電力となったこの測定結果は、まさにスペックどおりの結果といったところだ。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ18】 システムの消費電力
【グラフ18】 システムの消費電力

GeForce GTX 1070 Ti Founders Editionの動作温度をチェック

 ファイナルファンタジーXIVベンチマークを最高品質設定かつ4K解像度で実行し、ベンチマークテスト実行中の温度データなどをモニタリングソフトのGPU-Zで取得した。テスト時の室温は約28℃。

 テスト中のGPU使用率とGPU温度の推移グラフをみると、テスト実行中のGPU負荷はほぼ100%で推移しており、GPU温度は80℃を少し超えたところで頭打ちとなっていることがわかる。なお、GPU温度のピーク値は83℃だった。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ19】GPU使用率とGPU温度の推移
【グラフ19】GPU使用率とGPU温度の推移

 GPU温度とGPUクロックの推移を確認すると、GPU温度が80℃を超える中盤以降動作クロックが1,600MHz台に落ち込む時間が増加している。これは、GPUクロックを自動オーバークロックするGPU Boostの温度ターゲットが83℃に設定されているためで、温度上限に達してブースト動作を緩めた結果クロックが低下したというわけだ。

 なお、到達しているのはGPU Boost動作の温度上限であり、GeForce GTX 1070 Tiの動作限界温度である94℃には十分な余裕がある。また、ベンチマーク中にGPUクロックが200MHz以下まで落ち込んでいるのは、ベンチマークのシーン切り替えのタイミングであり、とくに異常な動作ではない。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ20】GPU温度とGPUクロックの推移
【グラフ20】GPU温度とGPUクロックの推移

 GPU温度とファンの回転数の推移をまとめたものが以下のグラフだ。GPUの温度上昇にともなってファンの回転数は増加しており、最大で約2,200rpmに達している。ただ、これがGPUクーラーの限界というわけではない。

 GeForce GTX 1070 Ti Founders Editionが備える冷却ファンはフルスピードなら約4,000rpmで動作可能であり、ファン回転数を高めればGPU温度をさらに引き下げることは可能だ。

 標準のファン制御は、GPU Boostの温度ターゲット到達を回避するより静音性を重視したものとなっている。これはほかのFounders Editionでも同様であり、GPU Boost動作をGPU温度に制限されたくなければ、よりファンの回転数を引き上げるか、より強力なオリジナルクーラーを搭載したモデルを選択すべきだろう。

ハイエンドビデオカードの新しい選択肢、「GeForce GTX 1070 Ti」をベンチマーク 【グラフ21】GPU温度とファン回転数の推移
【グラフ21】GPU温度とファン回転数の推移

価格次第では性能重視の選択肢となりえる新ハイエンドGPU

 GeForce GTX 1070 Tiが持つ性能は、GeForce GTX 1070の1.1倍強、GeForce GTX 1080の0.9倍強といったところで、ラインナップ上の立ち位置どおり、両GPUの中間程度の性能を持っている。

 NVIDIAはGeForce GTX 1070 Tiの価格を449.99ドルと設定しており、これは発売当初のGeForce GTX 1070 Founders Editionと同じ価格だ。GeForce GTX 1070は安価なものなら4~5万円程度、GeForce GTX 1080も6~7万円台で購入可能な現在、GeForce GTX 1070 Tiには当然その中間の価格が期待される。

 GeForce GTX 1070 Tiが“買い”なGPUとなるかは価格次第ではあるが、ゲーミング性能に優れた特性を持つIntelの第8世代Coreプロセッサの国内発売と同時期に投入されるこのハイエンドGPUが、より安く、より高いゲーミング性能を求めるユーザーにとっての選択肢となることを期待したい。