パソコン工房新製品レビュー

Ryzen+Radeonは良い組み合わせ。クリエイターにも推しの1台

~パソコン工房「SENSE-F1B6-LCR99Z-TGX」

パソコン工房「SENSE-F1B6-LCR99Z-TGX」

 デスクトップPCを購入する際のプロセッサとビデオカードの組み合わせとしては以下の4通りがある。

  • Intel CPU×NVIDIA GPU
  • Intel CPU×AMD GPU
  • AMD CPU×NVIDIA GPU
  • AMD CPU×AMD GPU

 この中で、コストパフォーマンスと純粋なゲーミング性能を重視するユーザーにおすすめなのが「AMD CPU × AMD GPU」という構成。なぜならこの構成は同価格帯で高い描画性能を発揮しやすく、同じ費用であればCPUとGPUをバランスよく高性能化できるというメリットがあるからだ。

 今回はこの「AMD CPU × AMD GPU」という構成で、高いコストパフォーマンスを実現したパソコン工房「SENSE-F1B6-LCR99Z-TGX」のスペック、拡張性、メンテナンス性、そしてパフォーマンスをチェックして、その実力に迫っていこう。

「Ryzen 9 9950X3D」「Radeon RX 9070 XT」は固定、メモリ、ストレージはカスタム可

 SENSE-F1B6-LCR99Z-TGXは、CPUにRyzen 9 9950X3D、GPUにRadeon RX 9070 XTを採用。メモリは32GB、ストレージは1TB SSDを搭載している。

前面と背面
右側面にはライセンスとシリアルナンバーが記載されたシールが貼られている
上面と底面

 パソコン工房のデスクトップPCは購入時にきめ細かくカスタマイズ可能。メモリは64GB、128GB、1stストレージは2TB、4TB SSDにアップグレード可能。また2nd、3rdストレージは「なし」、2TB、4TB、6TB、8TB HDDから選択できる。

 なお、1stストレージについてはリード7,300MB/s、ライト6,600MB/sのWD製SSD、2nd、3rdストレージはNAS運用を想定して耐久性を向上させたWD製WD Red Plusの2TB、4TBのHDDを選択可能だ。

 購入時のカスタマイズ項目としてはCPU、GPUを変更できないが、電源は標準の850W(80PLUS Gold認証)から、1,000W(80PLUS Platinum認証)、1,200W(80PLUS Platinum)にカスタマイズできる。電源ユニットの交換はかなり手間がかかるので、近い将来プロセッサやビデオカードを換装する予定があるのであれば、あらかじめより容量の大きい電源ユニットを選択したほうがいいだろう。

 インターフェイスは、背面にUSB 3.2 Gen 2x2 Type-C(20Gbps) 1基、USB 3.2 Gen 2(10Gbps) 3基、USB 3.2 Gen 1(5Gbps) 4基、2.5Gigabit Ethernet、HDMI、DisplayPort、各種音声出力を装備。ビデオカードの端子はHDMI、DisplayPort 3基。

 前面にUSB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、3.5mmコンボジャック。無線通信はオプションとなっているので、Wi-FiやBluetooth接続を利用するのであれば無線LAN子機やBluetoothアダプタを装着する必要がある。

上面には電源ボタン、リセットボタン、USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、3.5mmコンボジャックを用意
マザーボード側にはUSB 3.2 Gen 2x2 Type-C、USB 3.2 Gen 2 3基、USB 3.2 Gen 1 4基、2.5Gigabit Ethernet、HDMI、DisplayPort、各種音声入出力。ビデオカード側にはHDMI、DisplayPort 3基を配置
【表1】SENSE-F1B6-LCR99Z-TGXのスペック
SENSE-F1B6-LCR99Z-TGX
OSWindows 11 Home(DSP版)
CPURyzen 9 9950X3D(16コア、32スレッド、最大5.7GHz、170W)
GPURadeon RX 9070 XT(16GB GDDR6)
メモリ32GB(DDR5-5600、16GB×2、DIMMスロット×4)
ストレージ1TB SSD(PCIe Gen4 x4接続)
インターフェイス【背面】USB 3.2 Gen 2x2 Type-C(20Gbps)、USB 3.2 Gen 2(10Gbps) 3基、USB 3.2 Gen 1(5Gbps) 4基、2.5Gigabit Ethernet、HDMI、DisplayPort、音声入出力<br>【ビデオカード】HDMI、DisplayPort 3基
【前面】USB 3.2 Gen 2 Type-C、USB 3.2 Gen 1 2基、3.5mmコンボジャック
サイズ約230×465×465mm
重量実測11.6kg
パッケージには本体以外に、電源ケーブル、キーボード、マウス、説明書類、DSP版Windowsインストールメディアが同梱
無償で同梱される有線キーボードとマウス。ほぼ確実に接続できる入力デバイスとして重宝する
マザーボードやビデオカードの付属品が同梱。パーツを増設、換装する際に便利だ

スタンダードクリエイター向けマシンならではの拡張性、メンテナンス性を確保

 SENSE-F1B6-LCR99Z-TGXは約230×465×465mmというミドルタワーサイズのPCケースに、305×244mmのATXマザーボードを搭載し、360mm水冷CPUクーラーも採用されている。下記の写真をご覧いただければ分かる通り、内部スペースに余裕がある。ビデオカードは長さ最大410mm、CPUクーラーは高さ最大170mmまで装着可能だ。

左側面内部

 左側の金属パネルさえ外せば、メモリ、ストレージの増設、換装は容易。また背面配線が徹底されているので、エアフローを阻害するものは非常に少ない。高負荷時にもスムーズに内部の空気が排出されるので、高い冷却性能が確保されている。

今回の個体ではマザーボードは「MSI PRO B650-S」を搭載していた
プロセッサは「AMD Ryzen 9 9950X3D」(16コア、32スレッド、最大5.7GHz)を採用
メモリはCrucial製「CT16G56C46U5」(DDR5-5600)。DIMMスロットは4基用意されており、最大256GBまで搭載できる
ストレージはPCIe 4.0 x4接続SSDを採用。M.2 SSD全体をカバーするヒートシンクが装着されている

 最近のビデオカードの大型化は著しいが、「ビデオカードホルダー」を装備。ほかの部屋に移動したり、長期間運用しても、端子への負担は最低限に抑えられている。ビデオカードは端子以外の3方向からラバー付きのステーでしっかりと固定されている。けっして推奨するわけではないが、横向きや、上下逆向きに持ったまま運んだとしても、ビデオカードが端子から緩むことはまずないはずだ。

ビデオカードは「AMD Radeon RX 9070 XT」(16GB GDDR6)を採用。ステーで固定されているので、本体を移動したり、長期間運用しても端子への負担は低い
ビデオカードは端子以外の3方向からラバー付きのステーでしっかりと固定されている

 メンテナンス性については、上面、底面のメッシュパネル、前面パネルは工具なしに簡単に取り外し可能で、手軽にたまったチリやホコリを除去し、新品同様のエアフローを確保できる。左右側面の金属パネルをはずすには背面のネジ4本を取り外す必要があるが、環境にもよるがこちらは半年に一度ぐらい開いて、エアダスターなどで吹き飛ばしてやれば十分だ。

右側面内部
電源は850W(80PLUS Gold認証)電源ユニットを内蔵。電源ケーブルは直結されている
360mm水冷CPUクーラーを装備。高負荷でも動作音を抑えつつ、ピークパワーを維持できる
PCI Express3.0[x1]、PCI Express4.0[x16](※x4動作)スロットが空いており、拡張カードを装着できる
3.5/2.5インチ兼用内蔵ベイを2基用意
上面、底面のメッシュパネル、前面パネルは工具なしに簡単に取り外し可能。手軽にたまったチリやホコリを除去し、新品同様のエアフローを確保できる

 本製品はデザイン特化型のデスクトップPCではないが、そのぶんスタンダードクリエイター向けマシンならではの拡張性、メンテナンス性を備えていると言えるだろう。

クリエイター向けPCとしてはミドルクラス上位のパフォーマンスを発揮

 最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回のSENSE-F1B6-LCR99Z-TGXは、Ryzen 9 9950X3D、Radeon RX 9070 XT、メモリ32GB(DDR5-5600)、ストレージは1TB SSD(PCIe 4.0 x4接続)という構成だ。定番ベンチマークを実施したところ、下記のような結果になった。

【表2】ベンチマーク結果
Cinebench 2024
CPU(Multi Core)2292
CPU(Single Core)137
3DMark
Solar Bay Extreme19956
Time Spy Extreme13685
Fire Strike Extreme32125
ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク
1,920×1,080ドット 標準品質(デスクトップPC)42403
PCMark 10
PCMark 10 Score11689
Essentials12517
Productivity16002
Digital Content Creation21635

 今回のベンチマークスコアを総括すると、SENSE-F1B6-LCR99Z-TGXは4K動画編集、RAW画像の現像、3D CGのレンダリングを快適にこなせるだけのパフォーマンスを備えている。8K動画の編集も、プレビュー解像度を調整したり、プロキシファイルを作成すれば可能だ。

 実際のアプリでも処理にかかる時間を計測してみたが、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像(7,952×5,304ドット、カラー - 自然)するのにかかった時間は41秒24、「Adobe Premiere Pro 2023」で実時間5分の4K動画(3,840×2,160ドット、30fps)を書き出すのにかかった時間は1分29秒78となった。クリエイター向けPCとしては、ミドルクラス上位のパフォーマンスを備えていると言えるだろう。

「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像(7,952×5,304ドット、カラー - 自然)するのにかかった時間は41秒24
「Adobe Premiere Pro 2023」で実時間5分の4K動画(3,840×2,160ドット、30fps)を書き出すのにかかった時間は1分29秒78

 ゲームについては、フルHDであればAAAタイトルもレイトレーシングを有効にした最高品質でプレイでき、WQHD、4Kでも設定を少し調整すれば最新ゲームも快適に遊べるだけの3Dグラフィックス性能を備えている。

 実際に「Cyberpunk 2077」のベンチマークをクイックプリセット「レイトレーシング: ウルトラ」で実行したところ、フルHDでは平均130.34fps、WQHDでは平均103.52fps、4Kでは平均69.94fpsで動作した。価格帯がまったく異なる他社ビデオカードには及ばないが、ゲーミングPCとしても最新AAAに十分な性能を備えていると言えよう。

クイックプリセット「レイトレーシング: ウルトラ」、WQHD解像度で「Cyberpunk 2077」の序盤をプレイしたところ、フレームレートは平均117.3fps、最小103.6fps、最大150.9fpsとなった。「SENSE-F1B6-LCR99Z-TGX」で「Cyberpunk 2077」をプレイするなら、このプリセットと解像度がおすすめだ

クリエイティブもゲームも高水準で楽しめるミドルハイデスクトップPC

 「SENSE-F1B6-LCR99Z-TGX」は、Ryzen 9 9950X3DとRadeon RX 9070 XTのタッグにより、4K動画編集やRAW現像、3D CGレンダリングを快適にこなし、最新AAAタイトルも高画質で楽しめる高いパフォーマンスを実現したミドルハイデスクトップPCだ。内部スペースに余裕のあるミドルタワー筐体や優れたメンテナンス性も魅力で、長期間安心して使える1台と言える。