パソコン工房新製品レビュー

14万円台で入手可能!映えるLED付きピラーレスケースのゲーミングPC

パソコン工房「LEVEL-M5P5-R57X-DPX [RGB Build]

 今回はパソコン工房のゲーミングPC「LEVEL-M5P5-R57X-DPX [RGB Build]」を紹介したい。ピラーレスケースを採用し、LEDによるイルミネーションも美しい、ゲーミングPCのデザイントレンドを盛り込んだ製品だ。ところが価格は標準構成で14万7,800円から。現在のゲーミングPCとしては破格だ。

 人気タイトルのリリースもあり、ゲーミングPCの注目度が高まっているが、一方で30万、40万という価格に躊躇している方も多いだろう。大作ゲームはリリースされたタイミングで楽しみたい。周りのみんなと当時に進め、ときに情報交換をしながら。オンラインゲームならなおさらだ。予算確保に時間をかけていたら旬を逃してしまう。まずはスタートを切ろう、という方に本製品を推したい。

この見た目のゲーミングPCが15万円なんて信じられる!?

 まずは外観をご覧いただこう。ピラーレスとは、前面および左側板の合わさる部分の柱(ピラー)を排し、左側面、前面の2面をガラスパネルとしたデザインだ。PC内部がより見渡せるようになり、CPUクーラーやビデオカードの造形をより楽しめる。そしてそこにARGB LEDのライティングも加わる。ゲームプレイ中はもちろん、インテリアとしてもムードを高めてくれる。剛性は大丈夫かと心配される方もいるかもしれないが、そこは問題ないレベル。多少負荷をかけたところでたわみはしない。

 前面がガラスパネルなので吸気ファンは右側面になる。本製品では12cm角ファン×2基をここに搭載。一方、排気ファンは天板部に12cm角×3基、背面に12cm角×1基搭載している。標準でトータル12cm角ファン×6基、しかもすべてRGB LED仕様というのはかなり豪華な設定と言えるだろう。

右側面に吸気ファン×2基を搭載
天板部に3基、背面部に1基、排気ファンを搭載している

 評価機のCPUクーラーは空冷、AMDリテール仕様(LED非搭載)。カスタマイズではRGB LED搭載サイドフロー型空冷CPUクーラーも用意されている(執筆時点)ほか、製品サイトのイメージカットにある通り、簡易水冷CPUクーラーの設定も想定されているようだ。

 そのイメージカットでは右側面に24cmクラスのラジエータを搭載している。天板部にも12cm角×3基分のスペースがあるが、ここに36cmクラスのラジエータが搭載できるかは何も情報がないが、スペース的には搭載できそうな印象だ。

今回試す構成ではAMDのリテールクーラーが装着されていた。冷却性能や見た目を求めるならBTOカスタマイズも可能だ

 もう1つこの筐体の魅力を紹介しておこう。本製品では天板部、底面部、そして吸気を行なう右側板部にそれぞれマグネット式フィルタを備えている。天板部、底面部のフィルタは表面に装着されているので手軽に着脱可能。右側板部フィルタは、側板裏に装着されているのでいったん側板を外す手間があるものの、その側板もスナップ式固定なので工具を取り出す必要はない。

天板部フィルタ
底面部フィルタ
右側板フィルタ

 筐体サイズは幅242×奥行き433×高さ432mmと比較的コンパクト。机の上に設置した際、高くなりすぎず圧迫感が緩和され、奥行きも長くなりすぎず比較的どんな机(学習机や事務机)にも設置できる。メンテナンス時の移動も比較的ラクだ。

枯れたパーツ構成が安さのヒミツ。安い中にも要所にこだわりパーツ

 本製品はmicroATXマザーボードをベースとしている。先の通り「大きすぎない」サイズ感を実現できているのはこのためだ。マザーボード上のチップセットはAMD B550。ここを見ると世代が分かる。現役ではあるが、2世代ほど古い。ここが安さのヒミツの1つだが、古いからとがっかりされた方もいるかもしれない。

 しかし、古いということは悪いことばかりではない。最新製品よりもファームウェアアップデートが進んでいてバグ潰しも終わり、最適化が進んで安定性も高まっていると期待できる。

マザーボードはAMD B550チップセットを採用するモデル。PCI Expressやメモリの規格も現行最新のものより1世代古い

 拡張スロットは3基で、上からPCI Express 4.0 x16、PCI Express 3.0 x1、PCI Express 3.0 x4(x16形状)。最上段x16スロットにビデオカードが装着されている。この状態で下段2スロットは空いているので、後から拡張カードを挿して機能を追加するといったことも可能だ。

ビデオカードを取り外したところ。拡張スロットスペースは、x16スロット、M.2スロット、x1スロット、x16形状のx4スロット、その前方にもう1基M.2スロットがある

 メモリスロットは4基ある。標準ではDDR4-3200 DIMM 8GBが2枚搭載されており計16GBだ。容量についてはカスタマイズで最大128GBまで、RGB LEDイルミネーション付きも選べる。最新DDR5ではなくDDR4であるメリットは価格。容量単価が安いため、仮に現在標準的な32GBにアップグレードするにも追加コストは1万円ほどだ。

メモリスロットは4基。標準構成ではDDR4-3200 8GB×2枚が装着されていた

 M.2スロットは2基搭載しており、標準構成では1TB×1基が搭載されている。低価格PCでは3、4GB/s程度の中速SSDを用いることも多いが、本製品は6GB/sクラスと速さも十分。そしてなにより標準1TBがうれしい。

 昨今は1タイトル数100GB要求するゲームも増えているので、さすがに標準512GBではいくら安くてもカスタマイズ前提になってしまう。M.2スロットの空きもあるので当初は標準1TB、足りなくなれば追加というのも可能だ。ほか、3.5/2.5インチシャドウベイが2基あるので、HDD/SSDの追加搭載できる。

CrystalDiskMark 8.0.6で計測した転送速度。シーケンシャルリードが6.4GB/s、同ライトが6GB/sあたりでお値段以上の速度と言える
電源チャンバー内前方寄りに2つの3.5/2.5インチシャドウベイがある

 バックパネルを見てみよう。まあ、Dsub15ピンやPS/2ポートに目が行くのは古参PCユーザーだがそこは重要ではないだろう。主に使うだろうUSBは、USB 10Gbps Type-C×1、USB 10Gbps×1、USB 5Gbps×4、USB 2.0×2と必要十分には備わっている。有線LANは1GbE。家庭にもっとも普及しているのは1GbEだ。

本体背面。バックパネルにある統合GPU用映像出力端子は挿し間違え防止の封印済み。USBは豊富でType-Cも備えている

 フロントインターフェイスは、USB 5Gbps×2基とヘッドフォン出力、後は電源ボタンにLED(切り替え)ボタンとシンプルだ。

本体前面はフラットなガラス面と下部にフラットなインターフェイス面
電源ボタン、LED切り替えボタン、USB 5Gbps×2基、オーディオジャックが用意されている

 それではゲーミング性能を左右する重要部分、内部スペックに移りたい。

 CPUはRyzen 7 5700Xだ。AM4プラットフォーム向けのCPUで、最新Zen5からすると2世代古いZen 3世代となる。とはいえ「7」グレードなのでコア数は十分で8コア16スレッド。クロックも最大4.6GHz。これなら多くのタイトルの必須要件を余裕でカバーできる。

CPUはAMD Ryzen 7 5700X。右下の通り8コア16スレッドと、多くのゲームタイトルが掲げる推奨スペックを満たす

 次にビデオカード上のGPU。こちらについてはRadeon RX 6600を採用している。現行が9000シリーズなのでこちらも2世代ほど古く、2021年発表のメインストリーム向けGPUになる。同じ2021年発表、同クラスのGPUとしてはGeForce RTX 3060あたり。

GPUはAMD Radeon RX 6600。グラフィックスメモリは8GBと現在の基準からすると少なめ

 ビデオカードとして見ると、長さ29cm弱でデュアルファン仕様、厚みは2スロット分ほどでまずまずの大きさだ。仮にシングルファンのショートカードだと、ビデオカードが小さすぎて貧弱に感じることもある。このくらいの大きさがゲーミングPCとしてバランスよく、見栄えがする。

搭載されていたビデオカード。大口径デュアルファンを搭載

実ゲーム性能はどのくらい!? 重量級、人気タイトルで実力チェック

 本製品はゲーミングPC。肝心なのは価格を抑えつつもゲームで十分なフレームレートを稼げているかどうかだ。そこはベンチマークで明らかにしていこう。

ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク

 まずファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークから見ていこう。フルHD(1,920×1,080ドット)、最高品質プリセットでは13,020ポイント、「とても快適」評価、93.72fpsと、プレイするのに十分な性能と評価できる。ではWQHD(2,560×1,440ドット)ならどのあたりが限界だろうか。

 まず標準品質(デスクトップPC)では12,686ポイント、「とても快適」評価で88.99fps、次に高品質(デスクトップPC)では10,016ポイント、「快適」評価で69.65fpsといった結果だった。60fpsを満たすという目標ではこのあたりが境界になる。

 最高品質でも「快適」評価には変わりないが、スコアは8003ポイントと1万を下回り、57.30fpsと60fpsを下回った。時おりカクついても仕方がないと割り切ればWQHD、最高品質でもいける。

FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク

 次にFINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク。少しGPU負荷も高くなるので、フルHDの検証のみとした。まず高品質では8,098ポイントで「快適」評価、標準品質では11,427ポイントで「とても快適」評価、軽量品質では15,331ポイントで「非常に快適」評価だった。

 評価とフレームレートの関係は先のファイナルファンタジーXIVからイメージしてほしい。高品質では時おりカクつきがあるもののプレイ可といったあたり、標準品質なら全般的にスムーズな映像を得られる。軽量品質の非常に快適というのは、フレームレートに相当な余裕があるイメージだ。

サイバーパンク2077

 続いてサイバーパンク2077。リアルタイム・レイトレーシングにも対応するタイトルだが、Radeon RX 6600はここがやや不得意。そこでラスタライズのみのテストとした。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)だ。最高画質設定の「ウルトラ」でも平均74.35fsps、最小62.22fpsと、60fpsのボーダーラインを超えている。FSR3 FG(フレーム生成)にも対応しているのでこれを有効にすれば120fpsを超えられた。

モンスターハンターワイルズ ベンチマーク

 最後にモンスターハンターワイルズ ベンチマーク。解像度はフルHD(1,920×1,080ドット)だ。最高画質設定の「ウルトラ」でもベンチマークで表示される判定としては「問題なくプレイできます」だった。ただし、「ウルトラ」を選んだ際、「使用グラフィックスメモリが非常に大きくなっています。深刻な不具合が生じる可能性があります。」といった警告が表示され、実際、ベンチマーク開始直後などは重度のカクつきが生じていた。

 つまり、8GBというグラフィックスメモリがこのあたりでボトルネックになっている。映像のスムーズさを求めるなら「高」設定でも十分なグラフィックスを楽しめるので、そのあたりを選んでおいたほうがよいだろう。むしろ、Radeon RXが得意とされるタイトルはRadeon RX 6600でも効果的なようで安心できる結果と言える。

初期投資を抑えてゲーミングPCデビューするならこの製品

 ベンチマーク結果の通り、プレイ環境はフルHD中心という但し書きが付く。とはいえ、この解像度下においては高~最高画質設定で十分なフレームレートを得られていた。重めのタイトル中心に検証しているので、軽量なeスポーツタイトルなどはより高いフレームレートが得られる。eスポーツ入門機としても十分通じる。

 もちろんこの価格帯のゲーミングPCを狙っている方にしか伝わらないが、全体を総括して「お値段以上」を感じさせてくれる製品だった。特によかったのが見た目だ。ゲーミングPCの王道をこの価格で実現できている。ピラーレス、すべてRGB LEDファン仕様、しかもメンテナンス性がよい。指摘している通りビデオカードがそこそこ大きいこともあり、15万円のゲーミングPCの見た目ではないと言っておこう。