パソコン工房新製品レビュー
普通のスリム型PC“だからこその良さ”に注目。dGPUやストレージ拡張性ありで、MS Office付き
2024年7月10日 10:00
パソコン工房が展開しているスリム型デスクトップPCの「STYLE∞ S-Class」に新モデルが登場した。置き場所を選ばない幅95mmのコンパクトなボディに人気CPU、Microsoft Officeを組み合わせ、仕事も遊びもそつなくこなせるのが強みだが、拡張性も確保されており、長く使える作りである点も見逃せない。“普通だからこその良さ”が詰まって1台のレビューをお届けする。
Core i5-14400&Microsoft Officeという即戦力の構成
「iiyama PC STYLE-S17M-144-UH3X-WHITE [Office SET]」はOSにWindows 11 Home、CPUに第14世代のCore i5-14400(Raptor Lake Refresh)を採用。メモリは8GBのDDR5-4800、ストレージは500GB(NVMe M.2)のスリム型デスクトップPCだ。
Core i5-14400は、パフォーマンス重視のPコアと効率重視のEコアを組み合わせたハイブリッドアーキテクチャ採用のCPU。Pコアを6基、Eコアを4基で合計10コア16スレッドという構成で最大クロックは4.7GHzと高め。コア数を求める処理もクロックを求める処理にも対応可能と、一般的なアプリであれば十分快適に動作できるパワーを持つ。それだけにミドルレンジのCPUとして非常に人気のモデルだ。
さらに、Office Personal 2021が標準で付属しており、すぐに仕事などで使えるのもポイント。なお、これはWord、Excel、Outlookを組み合わせたもので、そのほかOffice系アプリは含まれていない。特にプレゼン作成では定番のPowerPointが入っていない点は気を付けておきたい。
主なインターフェイスは、背面にUSB 3.2 Type-C、USB 3.0×2、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、DisplayPortおよびHDMI出力、音声入出力端子を備えている。
前面にはヘッドフォン出力、マイク入力、USB 3.0×2、USB 2.0×2を用意。Wi-FiやBluetoothといったワイヤレス機能は搭載されていない。
本体サイズは約95mm×283mm×326mmとコンパクト。幅が狭いのに加えて、縦置き、横置きのどちらにも対応できるため、設置しやすいのが大きな強みだ。
iiyama PC STYLE-S17M-144-UH3X-WHITEの仕様 | |
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CPU | Core i5-14400(10コア16スレッド) |
メモリ | DDR5-4800 8GB |
ストレージ | 500GB SSD |
GPU | UHD Graphics 730 |
OS | Windows 11 Home |
インターフェイス | USB 3.2 Type-C、USB 3.0×4、USB 2.0×4、Gigabit Ethernet、HDMI、DisplayPort、音声入出力端子 |
本体サイズ | 95×283×326mm |
パーツを拡張しても保証が切れないのがうれしい
スリム型だが、拡張性が確保されているのも見逃せない。さらに、メーカー製PCではパーツ構成を変更すると保証が切れてしまう場合も多いが、パソコン工房では別途パーツを組み込んでも保証対応の対象となる。
ただし、パーツの増設や交換によって発生した不具合や不良については保証対象外になり、有償修理になる点は覚えておきたい。
本機は拡張スロットとして、LowProfile形状となるがPCI Express 4.0 x16スロットを始め、PCI Express 4.0 x1スロット、PCI Express 4.0 x4スロット(x16形状)を搭載。後々、PCゲームを楽しみたいと思ったときに、ビデオカードを追加できるのは非常に心強いところだ。
このほか、M.2スロット、3.5/2.5インチ兼用内蔵ベイ、2.5インチ内蔵ベイにそれぞれ1基ずつ空きがあるので、SSDやHDDを追加した大容量のストレージ環境も作れる。
OSや一部パーツをカスタマイズしての注文にも対応している。Windows 11 Proに変更を始め、Microsoft OfficeをHome & BusinessやProfessionalにアップグレード、CPUグリスの変更、メモリの増設(最大64GB)、ストレージの容量アップなどが可能だ。
十分な実用スペックで動作音も静か
次にベンチマークで性能をチェックしてみよう。ベンチマークは以下のものを用意した。
- PCMark 10
- 3DMark
- ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク
- CrystalDiskMark v8.0.5
- Cinebench R23
PCMark 10は、Web会議/Webブラウザ/アプリ起動の“Essentials”で4,100以上、表計算/文書作成の“Productivity”で4,500以上、写真や映像編集“Digital Content Creation”で3,450以上が快適度の目安となっているが、すべてクリアした。一般的な用途であれば不満のないスペックを持っていると言える。
PCMark 10と3DMarkの結果 | |
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PCMark 10 | |
PCMark 10 Score | 5,703 |
Essentials | 10,489 |
Productivity | 8,079 |
Digital Content Creation | 5,939 |
3DMark | |
Time Spy | 723 |
Fire Strike | 2,157 |
ゲームに関しては「ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク」は1,920×1,080ドットで「設定変更を推奨」という評価。1,280×720ドットでようやく「普通」評価になるので、かなり軽めのゲームなら遊べるレベルと思っておこう。
ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマーク | |
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1,920×1,080ドット 標準品質(デスクトップPC) | 2,501 |
1,280×720ドット 標準品質(デスクトップPC) | 5,781 |
ストレージは、シーケンシャルリードが3,497.93MB/s、シーケンシャルライトが1,649.57とNVMe SSDとしてトップレベルではないが、ランダム性能はそれなりに高いので、レスポンス面で不満を感じることはないだろう。
SSDをCrystalDiskMark 8.0.5で計測 | |
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1M Q8T1 シーケンシャルリード | 3,497.93 MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 1,649.57 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 2,145.16 MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 1,648.97 MB/s |
4K Q32T1 ランダムリ-ド | 465.27 MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 358.88 MB/s |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 81.37 MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 264.16 MB/s |
そして感心したのは、Cinebench R23などCPUにフルで負荷がかかる強烈な作業を実行しても動作音がそれほど大きくないこと。騒音計を使い、PCが動作していない暗騒音が34.5dBの環境でCinebench R23を10分間動作させたときの動作音をPC正面から10cm離れた位置で測定したが39.8dBだった。ファンが回っているのは分かるが、気になるレベルではなかった。強烈な負荷が続かなければ、もっと静かなので、静音性を気にする人も満足するのではないだろうか。
Cinebench R23 | |
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CPU(Multi Core) | 15,569 |
CPU(Single Core) | 1,826 |
コンパクトで拡張性も確保と長く使える相棒になれる1台
「iiyama PC STYLE-S17M-144-UH3X-WHITE [Office SET]」は、幅95mmのスリムボディに一般的なアプリなら十分快適にこなせる性能とMicrosoft Officeを備え、“即戦力”のデスクトップPCに仕上げつつ、ビデオカードやSSD/HDDを増設可能な拡張性を確保しており、将来的なアップグレードを楽しめる余地もある。ごく普通のスリム型デスクトップPCの良さをうまくまとめた1台だ。