パソコン工房新製品レビュー
これはちょうどいいミニタワーPC。手ごろな価格&設置スペースで、高性能を求めるならもってこい
2024年1月9日 10:00
パソコン工房はSENSE∞ブランドから、ミニタワー型のクリエイター向けデスクトップPC「SENSE-M37M-137F-ULX」を発売した。本製品は机の上に無理なく設置できるミニタワー型ながら、ビデオカードを標準搭載し、240mm水冷クーラーを選択可能。比較的動作音を抑えつつクリエイティブワークに集中できるマシンだ。
今回は本製品の実機を借用したので、詳細スペック、メンテナンス性、拡張性、そしてクリエイター向けPCとして気になるパフォーマンスについてレビューしていこう。
CPUとGPUは決め打ち、そのほかのスペックは変更可能
「SENSE-M37M-137F-ULX」はOSにWindows 11 Home、CPUに第13世代(Raptor Lake)のCore i7-13700F(16コア[8P+8E])、ビデオカードにGeForce RTX 4070 Tiを採用。メモリは16GB(DDR5-4800)、ストレージは1TB SSDを搭載している。
インターフェイスはUSB 3.2 Type-C、USB 3.0×4、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、DisplayPort×3、HDMI、音声入出力などを用意。ワイヤレス通信機能はオプションだ。
本体サイズは約215×401×347mm、重量は実測10.5kg。本製品は容量30Lのコンパクトケースながら、最新CPUや、最長280mmのビデオカードを搭載可能。また底面吸気・上面排気の垂直エアフローレイアウトを採用しており、ミニタワー型としては高い冷却効率を実現している。
なおここまでは標準構成のスペックだが、CPUクーラーなども含めて多くのカスタマイズ項目を用意している。目的と予算に応じてシステム構成を自由に選択できるわけだ。
製品名 | SENSE-M37M-137F-ULX |
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OS | Windows 11 Home |
CPU | Core i7-13700F(16コア[8P+8E]、24スレッド、最大5.20GHz、65W) |
GPU | GeForce RTX 4070 Ti(GDDR6X 12GB) |
メモリ | 16GB(DDR5-4800、DIMM×2、最大64GB) |
ストレージ | 1TB(PCIe 4.0 x4接続SSD) |
ワイヤレス通信 | オプション |
インターフェイス | USB 3.2 Type-C、USB 3.0×4、USB 2.0×2、Gigabit Ethernet、DisplayPort×3、HDMI、ライン入力/出力、マイク入力、ヘッドセット端子 |
本体サイズ | 約215×401×347mm |
同梱品 | 電源ケーブル、マニュアル、保証書、キーボード、マウス |
価格 | 28万7,800円~ |
メンテナンスはしやすいが、増設や換装はやや手間がかかる
「SENSE-M37M-137F-ULX」のケースはユニークな作りだ。左右パネルをはずすために背面のネジを取り外すPCケースが多い中、本製品はネジを側面に用意。ネジをはずせばすぐにパネルも上方から開けられる。メンテナンスしやすい理にかなった作りだ。
また内部スペースを効率的に利用するため、電源ユニットは本体前面上部に配置されており、電源ユニットの排気は上面のファンで排出する。ケーブル類は基本的に背面にまとめられているので、内部の掃除はしやすいと感じた。
ただし今回の240mm水冷クーラーを搭載した仕様だと、メモリやM.2 SSDのスロットには少々アクセスしにくい。またSATAの端子に指が届きにくい点も気になった。メモリのDIMMスロットも2基占有されているので、近い将来にストレージやメモリの増量を予定しているのであれば、購入時に済ませておきたいところだ。
ベンチマーク
最後にパフォーマンスをチェックしよう。今回は下記のベンチマークを実施している。
- CPUベンチマーク「Cinebench R23」
- 3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV BENCHMARK」
- ストレージベンチマーク「CrystalDiskMark 8.0.4」
- 総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2662」
- 「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像
- 「Adobe Premiere Pro 2023」で実時間5分の4K動画を書き出し
【表2】検証機の仕様 | |
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SENSE-M37M-137F-ULX | |
CPU | Core i7-13700F(16コア、24スレッド、最大5.2GHz) |
GPU | GeForce RTX 4070 Ti |
メモリ | DDR5-4800 SDRAM 16GB |
ストレ-ジ | 1TB PCIe 4.0 x4接続SSD |
TDP | 65W |
OS | Windows 11 Home |
サイズ | 約215×401×347mm |
【表3】ベンチマ-ク結果 | |
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Cinebench R23 | |
CPU(Multi Core) | 19,859 |
CPU(Single Core) | 1,960 |
FINAL FANTASY XV BENCHMARK | |
1,920×1,080ドット、軽量品質、フルスクリ-ン | 22,590 |
1,920×1,080ドット、標準品質、フルスクリ-ン | 22,292 |
1,920×1,080ドット、高品質、フルスクリ-ン | 19,074 |
CrystalDiskMark 8.0.4 | |
1M Q8T1 シーケンシャルリード | 3,979.248MB/s |
1M Q8T1 シーケンシャルライト | 2,946.554MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルリード | 2,697.609MB/s |
1M Q1T1 シーケンシャルライト | 2,875.461MB/s |
4K Q32T1 ランダムリ-ド | 684.857MB/s |
4K Q32T1 ランダムライト | 511.351MB/s |
4K Q1T1 ランダムリ-ド | 81.852MB/s |
4K Q1T1 ランダムライト | 322.665MB/s |
PCMark 10 v2.1.2662 | |
PCMark 10 Score | 8,827 |
Essentials | 11,472 |
Productivity | 10098 |
Digital Content Creation | 16114 |
Adobe Lightroom Classicで100枚のRAW画像を現像 | |
7,952☓5,304ドット、カラ- - 自然 | 1分17秒67 |
Adobe Premiere Pro 2023で実時間5分の4K動画を書き出し | |
3,840×2,160ドット、30fps | 1分17秒29 |
まずCPUスコアだが、Core i7-13700F搭載機としては少し低めに出た。Cinebench R23実行中のCPU温度とクロック周波数の推移を見てみると、CPU温度は平均51.09℃、最大58℃、クロック周波数は平均3,044.64MHz、最大3,959.8MHzに留まっている。今回はBIOSはデフォルト、電源モードを「パフォーマンス」に設定してベンチマークを実施したが、本製品は低発熱、静音性を重視したセッティングになっているようだ。
一方3Dグラフィックス性能については、GeForce RTX 4070 Ti搭載機としては順当な結果。推定ゲームパフォーマンス(Estimated game performance)を見てみると、「Apex Legends」(1080p Ultra)は140fps以上と表示されている。「FINAL FANTASY XV」ベンチマークの判定も「非常に快適」だ。本製品は4K解像度でも快適に3Dゲームをプレイできる性能を備えている。
ストレージ速度はPCIe 4.0 x4接続SSD搭載機としてはやや低め。とは言っても、1M Q8T1 シーケンシャルリードで3,979.248MB/s、1M Q8T1 シーケンシャルライトで2,946.554MB/sに達している。実用上十二分な速度だ。
総合ベンチマーク「PCMark 10 v2.1.2662」のPCMark 10 Scoreは8,827、Essentialsは11,472、Productivityは10,098、Digital Content Creationは16,114。本製品のPCMark 10 Scoreは、PCMark 10の指標「Gaming PC(2023)」の約93%に相当している。ゲーミングPCとしても高い性能を備えているわけだ。
そして実アプリの所要時間は、「Adobe Lightroom Classic」で100枚のRAW画像を現像するのに1分17秒67、「Adobe Premiere Pro 2023」で実時間5分の4K動画を書き出すのに1分17秒29となった。高負荷な処理をこれだけ短時間に完了させられるということは、クリエイティブワーク本来の編集作業に多くの時間を費やせることになる。
手ごろな価格&設置スペースなハイパフォーマンスマシンを求める方にもってこい
本製品は机の上に無理なく設置可能なミニタワー型ながら、最長280mmのビデオカードと240mm水冷クーラーを搭載可能。低発熱、静音性を重視したセッティングになっているようだが、GeForce RTX 4070 Tiを搭載しているだけに、クリエイティブアプリや3Dゲームを快適に動作させられるパフォーマンスを備えている。
システム構成的にはミドルレンジクラスだが、そのぶん手が届きやすい価格が設定されている。手ごろな価格&設置スペースだけでなく、高いパフォーマンスを発揮するマシンを求めている方に「SENSE-M37M-137F-ULX」は魅力的な選択肢だ。