パソコン工房新製品レビュー

パソコン工房のミニタワーゲーミングPC。RTX 3060 Ti搭載の新筐体は何が変わった?

LEVEL-M77M-137-SAX。実売価格は224,800円

 パソコン工房にて販売を開始している「LEVEL-M77M-137-SAX」は、ゲーミングブランド「LEVEL∞」の最新デスクトップゲーミングPCだ。Core i7-13700とGeForce RTX 3060 Tiを搭載し、性能的にはミドル~ミドルハイクラスに位置づけられる。

 解像度2,560×1,440ドット(WQHD)までのゲーミング用途では多くの人気タイトルで十分なパフォーマンスが期待できるのはもちろん、もともとのポテンシャルも高いため、新生活の時期にしっかりしたPCが1台欲しいというユーザーにとっては魅力的な選択肢になり得るだろう。

 なお、本製品を含めたLEVEL∞のミニタワーPC「M-Class」シリーズは、3月から新筐体を採用するモデルチェンジを果たしており、デザイン的にも新鮮さを感じられるモデルに仕上がっている。

 この記事では「LEVEL-M77M-137-SAX」の試作機をもとに、特徴や使い勝手などのインプレッション、およびベンチマークによる性能チェックを実施していく。

WQHD解像度までのゲーム描画に適した本体スペック、メモリはDDR5搭載

LEVEL-M77M-137-SAXの主なスペック
CPUCore i7-13700(16コア/ 24スレッド/ 2.10GHz/ TB時最大5.20GHz/ 24MBスマートキャッシュ)
GPUGeForce RTX 3060 Ti(8GB GDDR6)
メモリ16GB (DDR5-4800、8GB×2 / デュアルチャネル)
ストレージ500GB (M.2NVMe SSD)
OSWindows 11 Home 64ビット
ネットワーク有線LAN(1000BASE-T)
本体サイズ幅206×奥行432×高さ411mm(最大突起物除く)
直販価格22万4,800円

 まずは、「LEVEL-M77M-137-SAX」の基本的なハードウェア性能を確認していこう。

 CPUは16コア/24スレッドのCore i7-13700を搭載する。ピーク性能が高いPコア、高効率なEコアという2種類のCPUコアを併載するハイブリッド アーキテクチャ採用SKUであり、特にマルチタスク作業に高い適正があると言える。

 メニーコア化に加え、最大動作クロック5.2GHzと高クロック化も進んでおり、単純な処理能力も十分。ゲーム用途で活躍するのはもちろん、画像編集や動画編集といったクリエイティブ用途、ゲームプレイと並行してのリアルタイム配信なども快適にこなしやすい。

CPUはデスクトップ向けPC向けハイエンドの「Core i7-13700」。メニーコア化、高クロック化の進んだ最新世代CPUということで、処理能力は高い。特性の異なる2種類のCPUコアに効率的に処理を割り振ることで、複数アプリの同時利用時などにも高い処理能力を発揮する
GPUは「GeForce RTX 3060 Ti」。リアルタイムレイトレーシング(DXR)に対応するミドル~ミドルハイクラスのGPUだ

 GPUのGeForce RTX 3060 Tiは、近年PCゲームタイトルで採用が増えているリアルタイムレイトレーシング(DirectX Raytracing)処理に対応可能なGeForce RTXシリーズのうち、性能的にはミドル~ミドルハイクラスに位置するモデルだ。

 「RT Core」を活用するレイトレーシング処理を含めたWQHD(2,560×1,440ドット)解像度までのゲーム描画を主なターゲットとしており、フルHD解像度で利用する場合は144fpsを超えるようなハイフレームレートでの描画も期待しやすい。

 また、「Tensor Core」を搭載することで、マイクのノイズキャンセリングなどに活用できる配信向けツール「NVIDIA Broadcast」なども利用可能だ。

 負荷が高くないタイトルではターゲットを超えた4K解像度での快適描画にも期待できるなど、コストパフォーマンスの良いGPUと言えるだろう。

 メインメモリの容量は16GB(DDR5-4800、デュアルチャネル)で、ストレージは高速なデータ転送に対応する500GB NVMe SSD。メモリが広帯域なDDR5対応となっているため、利用するアプリによっては総合性能を伸ばしやすい点は評価できる。

 SSD容量はゲーミングPCとしてはそれほど余裕がないので、不安であればSSDをアップグレードする、あるいは2台目のSSDやHDDを追加するといったBTOカスタマイズを活用するのもいいだろう。

 そのほか、80PLUS Bronze認証の電源ユニットは容量700Wで、ネットワークはオーソドックスなGigabit Ethernetの有線LANコネクタが利用可能となっている。

新筐体は上位モデルと共通の意匠に、高級感と扱いやすさが光る

新筐体でもっとも大きく変わったのがフロントパネル。上位モデルと意匠を揃えたマットブラックの落ち着いた外観に

 続いて、この世代から6年ぶりに刷新された「M-Class」の外観やインターフェイス類などを見ていこう。

 なお、今回貸し出された機材は試作機とのことで、実際の製品とは部分的に異なる可能性もある点には留意いただきたい。

 新筐体は、今年に入ってから同様にフルモデルチェンジとなったフラグシップモデル「R-Class」と意匠を揃えており、フロントパネル部分の落ち着いたマットブラックと、差し色となるパネル側面のレッドラインが特徴的な外観。

「LEVEL∞」のブランドロゴが刻印されている部分はカバーになっており、ツールフリーで取り外し可能。内部のフィルタも手で取り外し、簡単に清掃できる
フロントのカバー上部にはスリムドライブのベイを配置。標準ではドライブが付属しないため、オプションを選択するか自分で取り付ける必要がある

 流行のシンプルデザインに寄せてはいるものの、全体としてほぼ直線で構成されたフォルムは従来の筐体を思わせる。正面から見るとマットブラック1色だが、やや斜めから覗き込めばレッドラインが見えるなど、見る角度によって見栄えが異なる点はユニークだ。

カバー側面からは従来の筐体を思わせる赤いラインが覗く
天面。メッシュ形状の排気口が大きく開いており、上部に物を乗せると塞いでしまうため注意

 本体サイズはおよそ幅206×奥行432×高さ411mm(最大突起物除く)と、ミニタワーPCとしては大きめで、一般的なミドルタワーよりも若干コンパクト、といった感じのサイズとなっている。奥行きが許せば机置きは可能だが、小型さに期待してしまうと、やや圧迫感があるかもしれない。

 吸気口の役割も果たすフロントパネルは中心部分がカバーとなっており、ツールレスで簡単に取り外しが可能。内部には同じく取り外し可能なダストフィルタが装着されており、従来モデルよりもメンテナンス性が向上している。

フロント付近には電源ボタンとUSBポート、オーディオコネクタを配置
メンテナンス性が意識されており、マグネットタイプのメッシュフィルタが標準で取り付けられている

 上部にはスリムタイプの光学ドライブを搭載可能なドライブベイを配置しているものの、ドライブ自体は標準付属ではないため、必要であればBTOカスタマイズなどで追加するといい。それ以外にフロントインターフェイス類はなく、スッキリとした印象だ。

 天面のフロント側には電源ボタン、USB 3.0ポート×2、ヘッドセット端子を配置。従来モデルと異なり、大きくメッシュタイプの排気口が開口されているため、トップに物を置くとPC内部に熱がこもる可能性が高い。どうしても何かを置きたいのであれば、排気口を塞がないフロント近くがいいだろう。

 排気口にはマグネット式のダストフィルタが装着されていて、こちらも簡単に取り外し・清掃ができる。同じようなフィルタは底面にも用意されていて、ホコリ掃除はしやすい設計と言えそうだ。

両側面のサイドパネルにウィンドウなどはなく、一般的なスチール製
内部レイアウト。従来の「M-Class」筐体は上部に電源を配置し、フロント5インチベイも用意されていた。これらを整理した結果、内部スペースにはかなりの余裕が生まれている
一体型水冷クーラーのラジエータはフロントに装着されている。トップには別途ケースファンが配置され、冷却力はかなり強化されている印象だ
サンプル機にはビデオカードホルダーが装着されていたが、本来はGeForce RTX 4070 Ti以上のビデオカードを搭載したモデルのみに追加される
サイドパネル右側面を外せば、マザーボード裏と下部の2.5インチおよび3.5インチドライブベイにアクセス可能
左側面の下部からは底面フィルタを引き出せる。取り外しての清掃も容易だ

 サイドパネルは一般的なスチールタイプで、内部が見えるウィンドウなどは用意されていない。上部のネジ2つは、一度ドライバーなどで緩めてしまえば手回しで着脱可能なので、比較的手軽にPC内部にアクセスできるだろう。

 マザーボード前面側にアクセスするには左側面のパネルを、2.5インチおよび3.5インチドライブベイにアクセスしたい場合は右側面のサイドパネルを外す必要がある。

 内部レイアウトは電源を下部に配置するタイプとなり、フロントベイを削減したこともあって、ややレガシー気味な印象のあった従来モデルよりスペースにだいぶ余裕が生まれている。

 一体型水冷クーラーなども配置可能となり、水冷クーラー利用時でも最長300mmのビデオカードを組み合わせられるようだ。保証対象外ではあるが、購入後のカスタマイズなどもしやすく、この点は従来モデルと比べて大きなメリットと言えるだろう。

 なお、このサンプル機にはビデオカードを支えるためのホルダーが装着されているが、通常販売される「M-Class」モデルの場合、GeForce RTX 3070以上のビデオカードを搭載したモデルのみにホルダーが追加されるとのこと。

背面インターフェイス類。マザーボード側の映像出力端子はシールで封印されている

 背面インターフェイスはUSB 3.1 Type-Cポート、USB 3.0ポート×2、USB 2.0ポート×2、有線LANコネクタ、オーディオ端子×3を用意。映像出力端子はビデオカード側のHDMI、Display Port×3を利用可能だ。

「LEVEL-M77M-137-SAX」の性能をベンチマークでチェック

 では、「LEVEL-M77M-137-SAX」の性能をいくつかのベンチマークで計測してみよう。以下のベンチマークやゲームを利用した。

  • Cinebench R23
  • 3DMark
  • CrystalDiskMark 8.0.4
  • ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
  • レインボーシックス シージ
  • Cyberpunk 2077
  • ホグワーツ・レガシー

 「Cinebench R23」のスコアはマルチコアテストで20,000ptsを超えており、シングルコアテストでは2,011ptsと、どちらも最新のハイエンドCPUらしい良好な記録と言える。

Cinebench R23
CPU(Multi Core)20,493 pts
CPU(Single Core)2,011 pts

 特にマルチスコアは高い水準で、「Core i7-13700」の16コア/24スレッドにのぼるメニーコア構成の影響も大きいだろう。最新のAAA級ゲームタイトルの処理はもちろん、ゲーム以外の演算処理においても高いパフォーマンスを発揮できそうだ。

 「3DMark」の総合スコアは、「Time Spy」で11,000越えなど、WQHDまでの解像度を想定したテストであればおおむね良好な値を獲得できており、想定されるターゲットに対してしっかり性能が出ていると言っていい。

3DMark v2.24.7509
Time Spy Extreme score5,593
Time Spy Extreme Graphics score5,401
Time Spy Extreme CPU score7,006
Time Spy score11,394
Time Spy Graphics score11,099
Time Spy CPU score13,415
Fire Strike Ultra score7,195
Fire Strike Ultra Graphics score6,972
Fire Strike Ultra Physics score38,467
Fire Strike Ultra Combined score3,637
Fire Strike Extreme score13,664
Fire Strike Extreme Graphics score13,873
Fire Strike Extreme Physics score38,512
Fire Strike Extreme Combined score6,568
Speed Way Score2,095

 個別のスコアでは、特にCPU性能が求められるCPU scoreやPhysicsの値が良く、第13世代Coreの素性の良さが感じられるだろう。4K解像度のテストもそこまで厳しい値ではないものの、DirectX 12 Ultimateの要素を盛り込んだ最新テスト「Speed Way」に関しては、さすがに力不足の感がある。

 「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では、WQHD解像度までで最高指標である「非常に快適」相当のスコアを達成できた一方、4K解像度では「快適」に留まる。

ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク
1,920×1,080ドット 最高品質24,682
2,560×1,440ドット 最高品質18,692
3,840×2,160ドット 最高品質9,392

 とは言え、出力レポートから平均フレームレートを確認すると、フルHDで172fps、WQHDで120fpsと十分な値が出ていることに加え、4Kでも63fpsと、平均60fps超えは達成できていた。本作は決して高負荷なタイトルではないため、4Kでも比較的快適な動作が見込めるということだ。

 ゲーム内ベンチマークモードで平均・最小フレームレートを計測している「レインボーシックス シージ」は、もともと軽量なチームシューター系タイトルということもあって、フルHD・最高画質設定で平均425fps・最小でも335fps、WQHDでは平均318fps・最小253fpsと、ターゲットとする解像度で十分なパフォーマンスを発揮できている。より高負荷な4K解像度でも、平均174fps・最小152fpsと、十分な結果だ。

 既存タイトルの中でも屈指の高負荷で知られる「Cyberpunk 2077」では、ゲーム内ベンチマークモードを利用し、本ゲームの最高設定となる「レイトレーシング:ウルトラ」プリセットで計測を実施。

 アップスケーリング技術「DLSS」は自動的に有効化されているが、それでもフルHD解像度で平均フレームレートはぎりぎり60fpsを超えられる程度。WQHD解像度では平均51fps・最低38fpsと、1つの指標である平均60fpsを下回ってしまう。

 とは言え、これだけの負荷でも問題なくゲームをプレイできるのは評価すべきポイントだろう。4K解像度では平均32fps・最低24fpsと、さすがにカクつきが目立つようになる。

 最新の人気タイトル「ホグワーツ・レガシー」では、NVIDIAのFPS計測ツール「FrameView」を使用し、ホグワーツ魔法魔術学校内の一定コースを移動した際の1分間のフレームレートを計測。

 なお、画質はもっとも負荷が高くなるよう調整し、DLSSはRTX 40シリーズでしか利用できないフレーム生成以外の機能を有効化している。

 肝心の結果については、WQHD解像度まで平均100fps超えの安定したフレームレートを発揮できている。4Kでも平均fps自体は76%と比較的高めだが、マップの読み込み時などにカクつきやすく、最低フレームレートはやや落ちてしまった。とは言え、比較的解像度によらず快適な描画が期待できそうだ。

 「CrystalDiskMark 8.0.4」では、データサイズ1GiB、テスト5回の条件で計測を実施。シーケンシャルリードでは3,500MB/s前後、シーケンシャルライトは1661MB/s以上で、若干リード優位ではあるものの基本的には良好な速度が出ている。

CrystalDiskMark 8.0.4
Q8T1 シーケンシャルリード3,054.05 MB/s
Q8T1 シーケンシャルライト1,661.92 MB/s
Q1T1 シーケンシャルリード2,674.92 MB/s
Q1T1 シーケンシャルライト1,660.75 MB/s
Q32T16 4Kランダムリード461.64 MB/s
Q32T16 4K ランダムライト473.33 MB/s
Q1T1 4Kランダムリード85.53 MB/s
Q1T1 4K ランダムライト248.62 MB/s

 ランダムリード・ライトはどちらもさほど高速ではないが、データコピーやゲームの読み込みといったシーンでは、SATA接続のSSDやHDDを上回る速度のメリットを享受しやすいだろう。

WQHDまでは安定、ゲームや設定次第では4Kも狙えるスマートな1台

 以上の通り、「LEVEL-M77M-137-SAX」は、フルHD~WQHD解像度設定のゲーミング用途で現行タイトルを快適にプレイ可能なミニタワーPCだ。

 フルHD環境ではハイリフレッシュレートモニターとの組み合わせが捗るのはもちろん、WQHDでもさまざまタイトルで安定したフレームレートを享受できる。

 また、ゲーム系のテストでは特別に負荷の高い「Cyberpunk 2077」を除き、4K解像度でもそれほど悪くないフレームレートが出ている点も注目に値するだろう。ハイフレームレートを狙わないのであれば、4Kを選択肢に入れてゲーム側の設定を吟味してみるのも良さそうだ。

 新筐体に関しては外観に目が行きがちだが、メンテナンス性が向上したことにより、購入後のカスタマイズがしやすくなっているのもポイントの1つ(保証対象外)。今後のパーツ更新を見据えた1台としても評価しやすく、用途を選ばず使いやすい、シンプルかつスマートな1台と言えるだろう。