特集
高額なSSDって本当に必要?ゲームや動画編集で差が出る境界線は?実は旧世代で十分な場合も……
2026年2月19日 06:19
ストレージの主役は、2000年代後半にHDDからSSDへと変化がはじまり、2010年にSATA 3.0(6Gbps)規格が登場して高速化、低価格化が進んだことで一気にSSDへと置き換わった。HDDに比べて圧倒的に高速なランダムアクセスは、これまでとはOS、アプリ、ゲームにおいて桁違いのレスポンスのよさを生み出し、今やなくてはならない存在だ。
そのSSDは、SATA接続からPCI Express接続へと進化し、現在(2026年)はPCI Express 4.0(以下PCIe 4.0)とPCI Express 5.0(以下PCIe 5.0)接続のNVMe SSDが主流となっている。 PCIe 5.0は最速クラスでは公称スペックのリードは14,000MB/s以上に到達、PCIe 4.0でもリードは7,500MB/s前後だ。SATAのSSDは最速でもリードは550MB/s前後なので、PCIe 5.0は25倍以上の速度になる。
これが実際の使用においてどこまで差があるのか気になる人も多いだろう。そこで今回は、SATA、PCIe 3.0、PCIe 4.0、PCIe 5.0接続のSSDを8種類、そして比較用にHDDも用意し、データ転送速度だけではなく、各種ベンチマーク、実ゲームでのロード時間、動画エンコードなど実施。インターフェイスの進化とともに、SSDがどこまで高速化しているのか確かめていく。
PCIe 5.0/4.0/3.0/SATAのSSDとHDDで比較検証
まずは、比較検証に使用したストレージを紹介しておこう。PCIe 5.0は現役最速クラスを用意した。MicronのCrucial T705とSamsungの9100 PROだ。どちらも公称リード速度は14,000MB/sを超えている。TLC NAND、DRAM搭載というハイエンドモデル。個人向けSSDの最高点を見ることができるはずだ。
PCIe 4.0からはハイエンドモデルからMicronの「Crucial T500」とSamsungの「990 PRO」を用意。どちらもTLC NAND採用でDRAMも搭載、公称リード速度は7,400MB/s超えとPCIe 4.0としては最速クラスだ。エントリークラスとしてDRAMレスのSamsung「990 EVO Plus」も加えた。
PCIe 3.0からはMicronの「Crucial P3」とSamsungの「980」を用意した。どちらもDRAMを搭載しないエントリークラスだ。公称リード速度はどちらも3,500MB/sとPCIe 5.0に比べると4分の1程度になってしまう。これだけでもインターフェイスの進化を感じる部分だ。
このほか、比較用としてSATA接続のSSDとして定番のMicron「Crucial MX500」、HDDからはWestern Digital「WD Blue」を用意した。SATA接続のストレージとの速度差にも注目していきたい。
今回比較検証用に用意したSSDの容量と基本スペックは以下にまとめた。
| 製品名 | 接続 | 容量 | NAND | DRAM | リード/ライト(MB/s) |
|---|---|---|---|---|---|
| Micron Crucial T705 | PCIe 5.0 x4 | 2TB | TLC | 搭載 | 14,500/12,700 |
| Samsung 9100 PRO | PCIe 5.0 x4 | 2TB | TLC | 搭載 | 14,700/13,400 |
| Micron Crucial T500 | PCIe 4.0 x4 | 2TB | TLC | 搭載 | 7,400/7,000 |
| Samsung 990 PRO | PCIe 4.0 x4 | 2TB | TLC | 搭載 | 7,450/6,900 |
| Samsung 990 EVO Plus | PCIe 4.0 x4 | 2TB | TLC | なし | 7,250/6,300 |
| Micron Crucial P3 | PCIe 3.0 x4 | 1TB | 非公開 | なし | 3,500/3,000 |
| Samsung 980 | PCIe 3.0 x4 | 1TB | TLC | なし | 3,500/3,000 |
| Micron Crucial MX500 | SATA 3.0 | 1TB | TLC | 搭載 | 560/510 |
| Western Digital WD Blue | SATA 3.0 | 8TB | - | - | 215/215 |
データ転送速度とアプリのレスポンスをチェック
ここからはベンチマークで実際の性能をチェックしていこう。検証環境は以下の通りだ。システムSSDはチップセット経由のM.2スロット(4.0 x4)に搭載。検証するSSDについてはCPU直結でPCIe 5.0 x4対応のM.2スロットに装着、ヒートシンクはSSDに標準付属しているモデル以外はマザーボード付属のものを利用。バラック状態でテストを行なっている。
CPU: AMD Ryzen 7 9800X3D(8コア16スレッド)
マザーボード: ROG CROSSHAIR X870E HERO(AMD X870E)
メモリ: G.SKILL TRIDENT Z5 neo RGB F5-6000J2836G16GX2-TZ5NRW(PC5-48000 DDR5 SDRAM 16GB×2)
ビデオカード: MSI GeForce RTX 5060 8G VENTUS 2X OC(NVIDIA GeForce RTX 5060)
システムSSD: Micron Crucial T700 CT2000T700SSD3JP(PCI Express 5.0 x4、2TB)
CPUクーラー: Corsair NAUTILUS 360 RS(簡易水冷、36cmクラス)
電源: Super Flower LEADEX III GOLD 1000W ATX 3.1(1,000W、80PLUS Gold)
OS: Windows 11 Pro(24H2)
まずは、データ転送速度を測る「CrystalDiskMark 9.0.1」から実行しよう。最大速度を見るためのSequential Read(Q8T1)、Sequential Write(Q8T1)およびOSやアプリのレスポンスに影響しやすいランダム性能のRandom Read(Q1T1)、Random Write(Q1T1)の結果を掲載する。
シーケンシャルリードを見るとそれぞれのインターフェイスの限界が見えてくる。PCIe 5.0は14,500MB/s前後、PCIe 4.0は7,400MB/s前後、PCIe 3.0は3,600MB/s前後だ。SSDの進化にはインターフェイスの進化も欠かせないことが分かる。PCIe 5.0 x4レーンの理論値は約15.75GB/s(15,750MB/s)なので、これ以上高速なSSDの開発にはPCIe 6.0の登場が必要なのではないだろうか。実際にデータセンター向けではPCIe 6.0対応で最大28GB/sの「Micron 9650 SSD」などが登場している。
ちなみにHDDはシーケンシャルよりもランダムアクセスの遅さがOSやアプリのレスポンスの悪さにつながっている。内部で磁気ディスクが回転しているので、どうしてもデータをランダムに読み出すのは苦手だ。その一方で、容量単価がSSDよりも圧倒的に安く、20TBを超える大容量モデルもあるのでデータ保存用としてはまだまだ残ることになるだろう。
製品別に見るとメーカーによって特徴が異なるのがおもしろい。Micronはランダムライト性能に優れ、Samsungはランダムリード性能に優れている。これはメーカーごとの開発方針やコントローラの違いがあるのだろう。アプリのレスポンスという点では、ランダムリードが高速の方が優位に思えるが、実際はどうか。次のベンチマークで確かめたい。
次は、OSやアプリの起動をはじめ、クリエイティブ系、オフィス系アプリのさまざまな処理をエミュレートしてスコア化するPCMark 10のFull System Drive Benchmarkを実行しよう。主にアプリに対するレスポンスのよさを見るテストだ。
個別データに関しては、OSやアプリの起動、Adobe系アプリの処理、Microsoft Officeの処理に関する平均アクセス時間を集計したものだ。数字が小さいほど高速に処理を完了できている。PCIe 5.0とPCIe 4.0の差は小さいが、PCIe 4.0とPCIe 3.0の差は大きい。とはいえ、それでもSATA SSDに比べるとかなり高速だ。PCIe接続になったことでアプリのレスポンスもよくなったことが分かる結果だ。ちなみに、個別の数字の単位はmsと0.001秒だ。1つの処理で体感するのは難しいと思うが、ちりも積もればと考えれば、高速なSSDを使う価値はある。
ゲーミング性能はどこまで変わる?
次はゲームのインストールや起動、ロード、データのコピー、録画しながらのプレイなどゲーム関連のさまざまな処理をシミュレートする3DMarkのStorage Benchmarkを実行しよう。
PCMark 10のFull System Drive Benchmarkと同じ傾向だ。PCIe 4.0とPCIe 3.0で大きな差が付いている。PCIe 3.0はインターフェイスの壁の影響もあるが、PCIe 4.0以降はNANDの高密度化、コントローラの進化で内部のデータ転送速度が向上しており、それが高性能につながっている。
続いて、SSDからGPUのビデオメモリにデータを直接転送することでゲームのロード時間を高速化する「DirectStorage」の速度を測定する3DMarkのDirectStorage feature testを試そう。DirectStorageの利用にはPCIe接続NVMe SSDが必要になるため、SATA接続のSSDとHDDはテストに含めていない。
インターフェイスの差がそのまま出たといえる結果だ。ただ、残念なのはDirectStorageに対応しているゲームの数がそもそも少なく、対応していてもその技術を十分に生かせているとはいえないのが現状だ。その速度をフルに発揮できるゲームが登場すれば、PCIe 5.0 SSDの価値はグッと上がるだろう。
次はファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー ベンチマークの実行時に記録されるローディングタイムを見ていこう。
PCIe接続のSSD間では差は小さい。最速のCrucial T705と一番遅いSamsung 980を比較しても1秒も変わらないという結果だ。これもPCMarkにおけるアプリの処理と同じでちりも積もれば……といえる。メーカー間を見ると、Micronの方が優秀だ。アプリの処理ではSamsungが強かったが、ゲーム関連はMicronに軍配が上がることが多いのはおもしろいところ。
実ゲームでのロード時間や動画のエンコード時間を確認する
ここまではベンチマークソフトを使ってきたが、ここからは実際にゲームやアプリを使って差が出るのか確かめていこう。まずは、ゲームのロード時間だ。サイバーパンク2077はセーブデータのロードが終わるまで、モンスターハンターワイルズはセーブデータの選択から実際にプレイできるようになるまでの時間を3回測定し、その平均を掲載している。
思いのほか差が出なかったというのが正直なところだ。さすがにHDDだと2倍ほどのロード時間になるが、SSDだとSATAを含めてわずかな差になった。なぜなら、筆者が確認する限り、サイバーパンク2077でロード時間は最大でもデータ転送速度は540MB/sほど、モンスターハンターワイルズで460MB/sほどだ。SATA SSDでも対応できる速度なのである。ゲームの保存先としては、SATA SSDやPCIe 3.0のSSDでも不満を感じるケースは少なそうだ。
次にApple ProResの8K素材(46.2GB)をエンコードアプリのHandBrakeでH.265形式のフルHD解像度に変換するのにかかる時間を測定した。素材の容量が大きいだけにストレージの速度がエンコード時間に影響するのか確かめよう、という趣旨だ。
PCIe接続のSSDに関してはほぼ変わらなかった。エンコード中のリード速度をチェックすると最大で640MB/s程度だった。PCIe 3.0でも十分に足りる速度だ。しかし、560MB/sのSATA SSDでは速度不足でエンコードまでの完了時間に影響が出ている。HDDではもっと顕著だ。クリエイティブ用途においてはSATA SSDの時代は終わりつつあるといってよいだろう。
SSDは確実に高速化しているが用途によっては旧世代もあり
現在最速を目指すのであれば、PCIe 5.0対応のM.2スロットを複数備えるマザーボードにPCIe 5.0対応のSSDを複数搭載するのが一番だろう。動画編集のように大容量ファイルを大量に扱う作業なら効率を大きく向上させてくれるはずだ。
ただ、一般的なアプリの利用でPCIe 5.0の速さを体感するのは難しい。PCIe 4.0対応SSDとの差が小さいためだ。さらに、ゲームのロードに関してはSATA SSDでも十分というケースも確認できた。ゲーム目的なら容量単価を重視して選ぶのもアリだろう。
クリエイティブ用途ではSATA SSDでは不足する場面もあることから、SSDが値上がり傾向にある2026年2月時点ではPCIe 4.0のエントリークラス製品がベターな選択肢といえるだろう。今回の結果がSSD選びの参考になれば幸いだ。




























![[Amazon限定ブランド]CCL い・ろ・は・すラベルレス 2LPET ×8本 ミネラルウォーター 無味 製品画像:2位](https://m.media-amazon.com/images/I/41h0MHfvhkL._SL160_.jpg)







