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1,000Whクラスのポタ電、冷蔵庫/エアコン/電子レンジがどれだけ動くか知ってる?災害に備えて検証してみた
2025年8月4日 06:04
いよいよ夏本番、海水浴やキャンプが楽しめるアウトドアシーズンの到来だ。が、同時に災害が多発する時期でもある。ここで1台持っていると便利なのが、みなさんご存知のポータブル電源。屋外でも冷蔵庫や冷房器具、スマホなどに電力供給できるし、自宅で万一停電が発生しても家電製品がいつも通り使えるスグレモノだ。
そして、四六時中PCに触っていないとなんとなく不安になる我々PCユーザーにとっても、ポータブル電源は日常的に役立つアイテムだったりする。1,000Whクラスの中容量の製品でも高性能デスクトップPCを動作させられるくらいパワフルだし、無停電電源装置として機能する製品なら突然の電源断によるデータ消失も防げるからだ。
そんな風に万能に使えるポータブル電源だけれど、いざというときにどれくらい活躍してくれるのか、今のうちに知っておくことはとっても大切。ポータブル電源の容量と電化製品の消費電力から計算すれば稼働時間の目安は分かるとしても、実使用時に消費電力が一定とは限らないし、環境や条件によっても結果は異なるはず。
ということで、実際にいろいろな電化製品やPCをつないで稼働時間をチェックしてみることにした。ざっくりとした検証ではあるものの、みなさんが実際にポータブル電源を購入したり活用したりする際の参考になれば幸いだ。
中容量な1,152Whのポータブル電源で検証
基本となるポータブル電源選びをどうすればいいか、といったあたりは、以下の関連記事をご覧いただきたい。ポータブル電源の容量や機能、出力性能などから、自分の使い道にマッチしそうな製品の選び方を紹介している。
さて、今回は「いろいろな電化製品をどれくらい動かせるか」という検証をメインに行なっていく。具体的な使用イメージを通じて、ポータブル電源の選び方や活用方法をもう少し細かく探っていけるようになれば、と思っている。
それにあたり、検証用のポータブル電源として「BLUETTI AC180」(標準価格10万9,800円)をメーカーからお借りした。まさに中容量と言える1,152Whの電池容量を持つモデルで、定格(AC)出力が1,800W、瞬間最大出力が3,600Wという高いスペックを誇る。
耐久性に優れるリン酸鉄リチウムイオンバッテリを採用し、充放電サイクルを3,500回繰り返した時に80%以上の残容量を維持するとのことで、およそ10年間使い続けられる長寿命も特徴。AC出力は4つと豊富にあり、DC出力も最大100WのUSB Type-Cが1つ、最大15WのType−Aが4つという構成だ。
Type-Cが1つなので、複数のType-Cデバイスを同時に充電したいときには物足りない感じがしなくもない。が、本体の天面に最大15Wのワイヤレスチャージャーを内蔵しているので、スマホの充電は置くだけでOKという使い勝手の良さがそれをカバーしてくれる。ほかに最大120W出力のシガーソケットも使用可能だ。
本体は立方体に近い形状で、1,000Wh超えという容量のわりにはコンパクトに見える。ただし、重量は約16.4kgとそこそこ重いので、頻繁にあちこちへ持ち運んで使う、というよりは、ある程度決まった場所に置いて運用する、といった使い方が多くなるだろう。
災害を想定して冷蔵庫/エアコン/電子レンジを動かしてみる
というわけで、災害が発生しやすいこれからの時期を想定して、日常的にも非常時にもよく使うと思われる生活家電をポータブル電源で動かしてみることにする。
冷蔵庫
停電したときに真っ先に気になるのは、おそらく冷蔵庫や冷凍庫だろう。電力が失われると保冷し続けることが困難になり、保管している食品が全滅するのも時間の問題だ。数十分程度なら開閉さえしなければ傷みにくいだろうが、停電が長時間に及ぶならポータブル電源が大いに助けになる。
検証に使用した筆者宅の冷蔵庫は、2024年に新調した当時の最新モデル(容積406リットル)。製品仕様では年間消費電力量が249kWhとなっており、買い替えるまで使っていた十数年前の冷蔵庫に比べれば圧倒的に省電力化が進んでいる。
それもあってか、通常稼働時の消費電力は60〜70W程度といったところ。時々0〜20Wとほとんど電力を使わない時間帯もあった。 冷蔵庫を1時間動作させたときの消費電力はポータブル電源全容量の9%分だったので、単純計算で最大11時間余り、半日近く動作させられる計算になる。
加えて、それとは別に設置している 単体の冷凍庫(容積142リットル)にもつないでみたところ、概ね50〜80Wの使用電力で推移し、こちらも1時間で全容量の9%分を消費した。 検証時は冷却レベルを最大値にしていたため、非常時は最低限の設定に抑えておけばさらに長時間使えそうだ。
エアコン
続いてはエアコン。夏季の停電は冷房が使えなくなると今や致命的なため、重要な家電の1つと言える。大きな電力が必要になりそうだが、あらかじめポータブル電源だけでどれくらいの時間動作するのかを知っておけば、いざという時にほかの家電との配分を考慮するのにも役立つだろう。
検証に使用した筆者宅の仕事部屋にあるエアコンは2013年製でやや古め。6畳用ではあるものの冷房時の定格消費電力は580Wで、省電力性能はあまり高くない。これにポータブル電源をつないでみると、立ち上げ後の最初の数分間は300〜600Wと消費電力が大きかったが、その後は300Wあたりで安定し、ほとんど電力を使わない時間帯もあった(外気温29℃、室温28℃、エアコン設定温度は26℃、風量は中)。
結果的にエアコンを1時間稼働させたときには24%分を消費し、最長4時間ほど稼働する計算に。 一番暑さの厳しい時間帯に動かすとしても、これだと不足気味かもしれない。温度や風量の設定を抑えることも考えたいが、エアコンを稼働させる前提なら、より大容量のポータブル電源を選んだほうが良さそうだ。
電子レンジ
さらに、温かい料理を食べられるかどうかも災害時には大事なことだったりする。ガスなどで火が使えれば電気に頼らずに済むかもしれないが、そうでないなら電子レンジを使う、ということになるだろう。そういった点でも、出力の大きなポータブル電源があると安心だ。
筆者宅の電子レンジは200/500/600/800Wの4パターンの出力で温められるが、これらは消費電力とイコールではない。実際の消費電力はそのワット数の2倍ほどになることがある。 試しに電子レンジで800Wで温めると1,350W前後の消費電力となった。2分間の稼働でポータブル電源の容量を5%消費したので、満充電なら20回(計40分稼働)は温かい食事にありつけそうだ。
ちなみにBLUETTI AC180は、先ほど紹介した通り定格1,800W、瞬間最大出力3,600Wで、電子レンジも含め家庭内の家電のほとんどすべてをまかなえる。非常時のバックアップとしてポータブル電源の導入を考えているなら、家電の最大使用電力とポータブル電源の出力性能から購入すべきモデルを判断するのも1つの手だ。
| 1時間あたりの消費量 | 最大稼働時間 | |
|---|---|---|
| 冷蔵庫 | 9% | 約11.1時間 |
| 冷凍庫 | 9% | 約11.1時間 |
| エアコン | 24% | 約4.2時間 |
| 電子レンジ | 150% | 約40分 |
ゲーム用途や仕事用途のPCを動かしてみる
生活家電がポータブル電源でどれくらい動くのか、というのはお分かりいただけたと思う。では、PCだとどうだろうか。当然ながらPCの性能が高ければ高いほど、基本的には消費電力が大きくなる。ゲームのように負荷の大きい処理が続いた場合には、短時間で電池容量を消費しきってしまいそうだ。
なので、ここではデスクトップPCで高負荷な3Dゲームを1時間プレイした場合と、業務利用を想定してノートPC(MacBook Air M2)でテキスト編集やWebブラウジングなどの低負荷な作業を1時間こなした場合の2パターンで試してみた。
デスクトップPCについては、PC本体(Core Ultra 265、GeForce RTX 4070)とゲーミングモニター(ウルトラワイド、120Hz)の2つをポータブル電源につなぎ、Starfieldをプレイ。消費電力としては常時300Wから400Wをうろうろする感じで、1時間動かすとポータブル電源の容量は46%減少した。最大で2.2時間ほどの稼働になりそうだ。 ちなみにアイドル時は大体70〜80Wなので、その5倍、10時間以上は持つと思われる。
一方、ノートPCは満充電状態で、最大100WのType-Cポートから給電しつつ使用した。こちらは外部モニターは接続せずノートPC単体で、Webブラウジングやテキスト編集を行ない、時々動画再生するといった内容。 結論から言えば、ノートPCを1時間使用してもポータブル電源の容量消費は1%に満たず、70分使用してようやく1%減少した。単純計算で5日近くは持つことになる。
ところで、負荷の大きな処理になるともちろん消費電力は大きくなるが、ノートPCの場合は画面輝度も消費電力に顕著に影響することが分かる。たとえば画面輝度を最大にすればアイドル状態でも8Wほど消費するが、最低にすればわずか2Wだ。実用に問題ない中程度の輝度で3〜4Wといったところなので、常日頃から明るすぎない画面で使うことがバッテリを長持ちさせる秘訣と言える。
最後におまけで、筆者がほぼ毎日使っているバーチャルサイクリング環境一式をまとめてポータブル電源で動かしてみた。 ミニPC(バーチャルサイクリングソフトの稼働用)、モニター、送風機、サーキュレーター、スマートサイクルトレーナーの5つで消費電力は150W前後。走り始めから1時間後にポータブル電源の残量は21%減となった。1日1時間走るとしても、余裕で4日分は持つようだ。
| 1時間あたりの消費量 | 最大稼働時間 | |
|---|---|---|
| デスクトップPC&モニター | 46% | 約2.2時間 |
| ノートPC | 1%未満 | 約4.9日 |
| バーチャルサイクリング | 21% | 約4.8時間 |
UPSとしても活用できる
デスクトップPCで本格3Dゲームをプレイしても2時間は遊べる計算になったわけだけれど、消費しきった瞬間に強制的に電源が切れてしまうため、こうした使い方はあまり現実的ではないだろう。ただ、ポータブル電源にデスクトップPCをつないで使うことは無意味というわけではない。というのも、冒頭で軽く触れた通り、BLUETTI AC180はUPS(無停電電源装置)の機能を備えているからだ。
家庭内の壁面コンセントからAC180に電源ケーブルを接続し、AC180にデスクトップPCの電源ケーブルをつなぐ、という形で接続していると、平常時は壁面コンセントからPCにパススルーで電力供給される。しかし、瞬間的にでも停電になった場合には、UPS機能によって約20ミリ秒という短時間のうちにAC180からの電力供給に切り替わり、PCの電源断を免れることができる。
昨今は落雷を伴うゲリラ豪雨が発生することも多く、停電リスクは増している。それによって電気が瞬断し、作業中の大事なデータが失われてしまうことも考えられるので、普段からデスクトップPCをポータブル電源につないだまま使うというスタイルも大いにアリなのだ。もちろん業務用途では専用のUPS装置を使いたいところだが、個人宅ならポータブル電源のほうがほかの家電などにも汎用的に使えるという意味で、メリットは間違いなく大きい。
非常時の備えというよりも、日常的に活用することを前提に導入すべし
ポータブル電源をこれから購入しようと考えているなら、自宅の家電をどれくらいの時間動かしたいのか、その家電を動かすのに最大でどれくらい電力を必要とするのか、といったあたりを勘案して選ぶことが大事。
また、ポータブル電源は本体のディスプレイにリアルタイムの消費電力量が表示されるため、実際に各家電(やPC)を動かしてみることで、使い方やシチュエーションによって消費電力量がどう変化するのか、といったこともある程度理解できるようになる。
災害などの非常時には、限られた蓄電容量をできるだけ節約しながら使いたいはずなので、各家電の挙動を知っておくことがポータブル電源の賢い使い方にもつながる。その意味でも、非常時のためだけにポータブル電源を備えておく、というよりは、非常時に有効活用できるよう日常的に積極活用していく、という意識で導入したいところだ。



























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