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MagSafeがAndroidスマホでも使えるって知ってた?Amazonで千円くらいの3製品を買ってみた

 Apple独自のワイヤレス充電技術「MagSafe」は、磁力でiPhoneに充電器やカードケースなどを装着できる便利な規格だ。ところが、Appleやサードパーティから販売されているMagSafe対応アクセサリを使えるようにするための「Androidスマホ用MagSafe対応リング」が数多く販売されている。

 これらは製品によってどのような違いがあるのだろうか?今回は人気を集めている3製品を実際に入手してみたので、同梱品や吸着力などの差をチェックしてみよう。

MagSafeとはなにか?

 「MagSafe」はAppleが開発した独自のワイヤレス充電技術。対応iPhoneとアクセサリにはマグネットが内蔵されており、両者が引き合うことで正確な位置合わせと、強い固定を実現している。

これは「iPhone 16 Pro」。中央にあるのがMagSafe用マグネットだ。円上のマグネットの中央に「受電コイル」が内蔵されている

 同社のノートブック「MacBook」にも磁力によって接続する充電コネクタ「MagSafe」(初代/2/3)が存在するが、今回はiPhone用のみについて取り上げる。

 iPhone用MagSafeは、2020年にiPhone 12シリーズへ第1世代、2024年にiPhone 16シリーズへ第2世代が採用された。第1世代は最大15W、第3世代は最大25Wで充電可能。両世代ともQi規格との下位互換性が確保されており、Qi対応のAndroidスマホに対して最大7.5Wで充電可能だ。

これは「MagSafe充電器」。中央には「送電コイル」が内蔵されている
これはApple純正の「MagSafe対応iPhone 16 Proシリコーンケース」。「iPhone 16 Pro」に適合した位置にマグネットを内蔵している

 現在、ワイヤレス充電器「MagSafe充電器」やワイヤレスモバイルバッテリ、カード収納ケース「MagSafe対応iPhoneファインウーブンウォレット」、マグネット式スマホリング、車載スマホホルダー、iPhoneをWebカメラとして利用するためのディスプレイ装着マウントなどが発売されている。

左はSinjimoru製マグネットカードホルダー、右はAnker製モバイルバッテリ「Anker 622 Magnetic Battery」。Apple純正と同じく、マグネットが内蔵されている

 ちなみに、Appleは「Accessory Devices That Communicate With Electronic Devices(電子機器と通信するアクセサリデバイス)」という特許を2022年4月に出願、2023年12月に取得しており、MagSafeにデータ通信機能が追加されるという噂があったが、現時点で確定情報はない。

比較的人気を集めている「MagSafe対応リング」を3製品入手

 今回は、「Android用MagSafe対応リング」として、「MOFT Snap-On スマホスタンド マグネットリング」(1,280円)、「Sinjimoruマグネットリングプレート」(960円)、「UGREENメタルリング」(1099円)の3製品を購入した。

有名メーカーMOFT製のマグネットリング

「MOFT Snap-On スマホスタンド マグネットリング」(1,280円)

 ウォレット機能とスタンド機能を備えた「Snap-On スマホスタンド」を販売するMOFT製のマグネットリング。「スマホケース用」として開発されており、「直接スマホに貼り付けないでください」と販売サイトに記載されている。航空機用アルミニウム合金製で、質感は今回の3製品の中で最もよいと感じた。

マグネットリング本体と、梱包ケースを兼ねたマニュアルが同梱。マグネットリング本体の実測重量は5.29g

アタッチメントガイド付きで正確に貼り付け

「Sinjimoruマグネットリングプレート」(960円)

 スマホ、およびスマホケースに貼り付けられるマグネットリング。ただしスマホ本体よりも、スマホケースに貼り付けることが推奨されている。アタッチメントガイド、ガイドステッカー、貼り付け面の材質により付着力が足らない場合に使用する「接着力強化フィルム」が同梱されている。

マグネットリング本体に加えて、アタッチメントガイド、接着力強化フィルム、ガイドステッカー、説明書が同梱。マグネットリング本体の実測重量は4.31g

2枚入りで安価なメタルリング

「UGREENメタルリング」(1,099円)

 2つセットで販売されている「メタルリング」。詳しくは後述するが、本製品自体には磁力はない。厚さは粘着面含めて実測0.7mm前後と薄く(メタルリングのみであれば公称0.4mm)、スマホ、スマホケースに装着してもほとんど厚み増は気にならない。

メタルリング2つと、ワランティーインフォメーションのみというシンプルな構成。説明書は同梱されていない。メタルリングの実測重量は4.00g

最も気になる吸着力をチェック

 「Android用MagSafe対応リング」で重要なのは、やはりどれだけ確実にアクセサリ類を固定できるかということ。

 そこで今回は、磁力が伝わることがないアルミニウムの板に3製品を貼り付け、そこにMagSafe対応スマホリングを装着。そしてスマホリングを引き離すのに要した力を、Wheeler製「Digital Trigger Gauge」で計測してみた。

Wheeler製「Digital Trigger Gauge」で5回計測を実施し、その平均値を上記グラフに掲載している

 気になる結果は下記の通り。吸着力は、「UGREENメタルリング」、「MOFT Snap-On スマホスタンド マグネットリング」、「Sinjimoruマグネットリングプレート」の順番に強いという結果になった。マグネットリングではない、メタルリングが最も吸着力が高いというのは意外な結果だ。

吸着力は、UGREENメタルリング、MOFT Snap-On スマホスタンド マグネットリング、Sinjimoruマグネットリングプレートの順番に強かった

 一般的には磁石同士をくっつけたほうが、磁石と金属よりも吸着力が強くなる。しかし、磁石の磁力、金属の材質、サイズ、形状などによって、磁石と金属のほうが強く吸着する場合もある。

左から、「MOFT Snap-On スマホスタンド マグネットリング」、「Sinjimoruマグネットリングプレート」、「UGREENメタルリング」。磁力が含まれていない「UGREENメタルリング」は、マグネットシートに反応が現れない

 今回はスマホリングとして「Andobil MagRing Pro」を使用したが、その場合は「UGREENメタルリング」が最も吸着力が高くなるというわけだ。

今回はスマホリングとして「Andobil MagRing Pro」を使用した

 マグネットリングの2倍の吸着力を発揮した「UGREENメタルリング」だが、デメリットもある。それは、ずれて装着される可能性があるということ。マグネットリングであれば近づけると、磁力で誘導されて正しい位置に固定されるが、メタルリングではずれていてもそのまま固定されてしまう。当然ずれてしまっていては、最大限の吸着力を発揮できない。

メタルリングはこのように多少ずれていても、そのまま固定されてしまう

 脱着などの際にずれないように気をつけなければならないし、利用中にもずれていないかチェックする必要もあるわけだ。

「Android用MagSafe対応リング」を正しく貼るのに役立つアプリ

 吸着力が高い「Android用MagSafe対応リング」を入手しても、正しい位置に貼らなければワイヤレス充電の効率が低くなってしまう。

 製品公式サイトや説明書などにワイヤレス充電の正確な位置が記載されていない場合に便利なのが、Android用アプリ「Ampere」。多少のタイムラグはあるが、ワイヤレス充電器やモバイルバッテリの位置を動かすことで、最も充電効率の高い正しい位置を確認できる。数値自体が正しいかどうかは不明だが、少なくとも正しい位置の特定には役立つはずだ。

充電値をチェックできるAndroid用アプリ「Ampere」

今回の3製品はどれも、スマホリングであれば十分実用的な吸着力を確認できた

 「Android用MagSafe対応リング」を導入すれば、AndroidスマホでもiPhone用の多くのMagSafe対応アクセサリを利用可能となる。特に今回紹介した3製品は、吸着力に違いはあれど、スマホリングなどであれば十分実用的な吸着力を確認できた。

 もちろん急速充電であればUSB Type-C端子経由のほうが断然高速だ。しかし、カードケースやスマホリングなどだけでもAndroidスマホの利便性を向上させられるはずなので、ぜひ試してみてほしい。