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このUSBケーブル、何に使えるんだっけ?見た目で分からない仕様の判別法

USBケーブルの仕様は見た目には判別できない。市販のテスターやチェッカーを活用するのが、最も手っ取り早い方法だ

 USBケーブルは、その外観からは仕様が判別できないのが厄介だ。

 具体的には、充電専用か、あるいはデータ転送にも対応するかという違いに加えて、どれだけの電力を供給できるのか、また転送速度はUSB 2.0止まりなのか、それともUSB 3.x(3.0/3.1/3.2)やUSB4などの高速伝送に対応するのかといった違いがある。さらにUSB Type-Cケーブルは、DisplayPort Alt Mode(DP Alt Mode)対応で映像信号の出力に使えるのか否かといった違いまである。

 最新のUSB4ケーブルは、コネクタ部分にデータ転送速度と供給電力が印字されるようになり、一定の改善が見られるが、そうでないUSBケーブルの仕様を判別するには、どのような方法があるだろうか。

 今回はテスターやチェッカーを用いた判別方法に加えて、それらが手元にない場合の簡易的な見分け方についてまとめてみた。

USBケーブルの3つの機能は相互に関連しない

 まず最初に知っておきたいのは、USBケーブルの機能は大雑把に3通りに分けられるということだ。

【表】USBケーブルの機能の例
ケーブルの機能値の例
電力供給2.5W、4.5W、7.5W、15W、60W、100W、240Wなど
データ転送USB 2.0(480Mbps)、USB 3.0(5Gbps)、USB 3.2(20Gbps)など
映像信号伝送DP Alt Mode対応/非対応

 これらの機能は相互に関連していないので、たとえば「USB 2.0対応」のUSBケーブルがあったとしても、それはあくまでデータ転送の速度について述べているだけで、どれだけの電力を供給できるかは分からない。またUSB Type-Cケーブルで「100Wの充電に対応」とされていても、映像信号の伝送ができるかどうかは不明だ。

 また「Micro USB」や「USB Type-C」といったUSBのコネクタは、単に物理的な形状だけを指しているので、それによって属性が決まることはない。DP Alt Modeによる映像信号の出力のように、両端USB Type-Cのケーブルでのみ使える機能は存在するが、だからといって「両端がUSB Type-Cだから映像信号を伝送できる」という見分け方はできない。

USBケーブルのコネクタ形状を見ただけでは、どれだけの電力を供給できるかはもちろん、転送速度も、DP Alt Modeへの対応の可否も不明だ
コネクタ内部の樹脂が青色のUSB AおよびBコネクタはUSB 3.x対応であることを表わしているが、あくまでUSB-IFがその配色を推奨しているだけで、例外も存在する

テスターやチェッカーを使わずに仕様を確認するには?

 これらUSBケーブルの仕様を知るには、テスターやチェッカーを使うのが最も手っ取り早いわけだが、実環境での挙動をもって判断するのがまったく不可能というわけではない。ここではテスターやチェッカーがない環境で、何とかして仕様を知る方法について考えていこう。

 まず1つは、データ転送に対応するか否か。これは実際にそのUSBケーブルを用いてHDDやSSDなどをPCに接続し、ストレージとして認識されるかをチェックすればよい。ストレージとしてエクスプローラーに表示されればデータ転送に対応しているし、表示されなければ給電専用だ。

 またストレージとして認識されるのであれば、ベンチマークツールを使うことで、転送速度を知ることができる。PCおよびストレージがボトルネックでないことが絶対条件だが、USB 3.x以上とUSB 2.0を見分ける程度であれば、速度差が大きいこともあり、判別は比較的容易だ。複数のUSBケーブルを仕分けする用途であれば役に立つ。

対象のUSBケーブルを使って任意のストレージをPCに接続する
データ転送に対応したUSBケーブルであればデバイスとして認識されエクスプローラーに表示される。充電専用であれば表示されない
PCとストレージがボトルネックになっていなければ、CrystalDiskMarkなどのベンチマークツールを使うことでUSBケーブルの転送速度を判断できる。左はUSB 3.2、右はUSB 2.0

 続いては、USB Type-Cケーブルが急速充電に対応しているか否かだ。手っ取り早いのはAndroidスマホを使う方法で、USB PD対応の充電器に接続した時点で、画面に「急速充電中」と表示されれば急速充電=USB PDに対応しているし、表示されなければ非対応だ。ただし具体的な出力までは分からない。またiPhoneはこうした表示はない。

USB PDによる急速充電に対応したAndroidスマホとUSB PD充電器を接続する。今回はPixel 7 Proを使用
「急速充電中」と表示されれば急速充電に対応している。ただし具体的な出力までは分からない

 急速充電に使用するUSB Type-Cケーブルが、3A対応なのか、それとも5A対応なのかは、適当なPCおよび充電器があれば見分けられる。

 具体的には、65W以上での給電が可能なUSB PD充電器と、65W以上での充電に対応するノートPCを用意し、両者をUSBケーブルで接続した時にユーティリティ上の充電器が65W以上と認識されていれば5A対応、60Wとして認識されていれば3A対応であると判断できる。これは3Aの場合は上限が20V/3A=60Wになる性質を利用したものだ。

 ただしこれらの方法は、65W以上に対応する充電器とノートPCが手元に揃っていなくてはいけない上、PC側に電源を表示するユーティリティが搭載されている必要がある。たまたま手元にこれらが揃っているのなら試す価値はあるが、そうでなければ後述のテスターなどを購入したほうがよいだろう。

USB PDによる急速充電に対応したPCとUSB PD充電器を接続する。いずれも65W以上に対応していることが条件だ。今回は最大出力100WのUSB PD充電器を用いている
USBケーブルが5A対応であれば、充電器は仕様通り100Wとして認識される
USBケーブルが3Aまでしか対応しなければ充電器は60W(20V/3A)とみなされる。ちなみにここではレノボのノートに付属するユーティリティを用いている

テスターやチェッカーのおすすめを紹介

 以上のように、USBケーブルの素性をチェックするには、それらを確かめる側の環境がある程度整ってなくてはいけないことが分かる。また試してみたはよいものの、よく分からなかった、となることも多いと考えられる。

 そのため、こうしたUSBケーブルをチェックする機会が多いのであれば、やはり安価なもので構わないので、ケーブルチェッカーないしはテスターを購入しておいたほうが望ましい。ここでは3つの製品について、具体的な用途と使い方について紹介する。

ルートアール「RT-TC5VABK」

 最初に紹介するのは、USBケーブルの先端に取り付ける電力チェッカーだ。ルートアールのUSB Type-C電圧・電流チェッカー「RT-TC5VABK」であれば、充電器からスマホなどのデバイスに対して、どれだけの電力が供給されているかといった情報を、本体の液晶画面にリアルタイムに表示できる。

 同様の製品は多数存在するが、本製品は電力(W)だけでなく、電圧(V)や電流(A)も表示できるので、USB PDによる急速充電において、まず電圧(V)が跳ね上がり、それを追うようにして電流(A)が上昇していく様子が確認できる。また本製品は一端がケーブルになっているので、ポートに直接差し込むタイプの製品に比べて取り回しも容易だ。

ルートアール「RT-TC5VABK」。実売価格は2,910円
4.628W(5.036V/0.919A)で充電されている。急速充電には非対応のようだ
23.517W(15.02V/1.565A)で充電されている。15Vという電圧からして、急速充電が行なわれていると見られる

エスエスエーサービス「MS-009」

 一方、手持ちのUSBケーブルが、データ転送に対応しているか否かを確認したければ、USBケーブルの結線を確認できるチェッカーがおすすめだ。

 これを使えば、本体に搭載されたUSBポートにケーブルの両端を差し込むことで、結線の状況をLEDの点灯で教えてくれる。ここで紹介しているのはエスエスエーサービスの「MS-009」という製品だが、基板の形状を見る限り、複数の業者が同じ製品(MECHANIC DT3)を取り扱っているようだ。

 たとえば、データ転送に対応したUSB Type-Cケーブルを接続した場合、5つのLEDがすべて点灯した状態になる。また充電にしか対応しないMicro USBケーブルの場合は、LEDの「D+」と「D-」が点灯しないといった具合に、USBケーブルの結線に応じてLEDの点灯パターンが変わってくる。

 ただし機能としては「充電に対応するか」「データ転送に対応するか」の判別しか行なえず、転送速度のチェックや、映像信号の伝送の可否は判別できない。また基板がむき出しなので扱いには少々気を使う。実機を購入して試した限り、はんだ付けの品質も決して高くなく、価格相応といった印象だ。

エスエスエーサービス「MS-009」。実売価格は1,980円。基板単体で販売されている
上面はUSB Type-C(基板への給電用)、USB Type-A、USB Type-Cポートが並ぶ
底面はLightning、USB Type-C、Micro USBが並ぶ。Lightningに対応するのはめずらしい
USB4ケーブル。すべてのLEDが点灯しており、給電とデータ転送の両方に対応することが分かる
USB Type-A to Cケーブル。USB Type-Cケーブルでのみ点灯する「CC」以外の全LEDが点灯しており、こちらも給電とデータ転送の両方に対応するようだ
このMicro USBケーブルは「D+」「D-」が点灯せず、データ転送には対応しないようだ

ビット・トレード・ワン「USB CABLE CHECKER2」

 USB 2.0か3.2以上か、また映像信号の伝送に対応するかも含めてチェックするのであれば、USBケーブルチェッカーの中では高機能版にあたる、ビット・トレード・ワン「USB CABLE CHECKER2」がおすすめだ。

 使い方は前述の「MS-009」と同様で、USBケーブルの両端をポートに差し込むことで、基板上のLEDの点灯状態により、結線が判別できる。データ転送の可否のチェックはもちろん、USB 2.0とUSB 3.2の判別も可能なので、速度のチェックにも使用できる。SBU1と2が点灯しなければDP Alt Modeに非対応=映像信号の伝送に対応しないという判断もできる。

 また本体上部の液晶画面には、USBケーブルの抵抗値やeMarkerの有無といった情報も表示されるので、抵抗値が小さい=品質が高いUSBケーブルを選別して残したり、eMarkerのない規格外のUSB Type-Cケーブルを見抜いて処分するのにも役立つ。電池を搭載するためスタンドアロンで動作するのも便利だ。

 価格は5,220円と、前述の「MS-009」に比べてやや高価だが、機能は圧倒しており、価格なりの価値はある。難点は供給が安定しておらず品切れの頻度が高いこと、また前述の「MS-009」と違ってLightningには非対応なことくらいだろうか。

ビット・トレード・ワン「USB CABLE CHECKER2」。実売価格は5,220円
左のポート群(USB Type-C、USB Type-A)と右のポート群(Micro USB、USB Type-C、miniB)のいずれかをケーブルでつないで測定を行なう
USB4ケーブル。すべてのLEDが点灯している
これは「3.2」のエリア内が消灯していることから、USB 2.0ケーブルであると判断できる
某社モバイルバッテリ付属品の両端USB Type-Cケーブル。データ通信用の「D-」「D+」が消灯していることから給電専用であることが分かる

USB4ケーブルやThunderbolt 4ケーブルへの入れ替えも検討したい

 以上のように、既存のUSBケーブルのスペックを知ることは、一筋縄ではいかないことが分かる。上記のようなチェッカーやテスターを使って判別できたとしても、ラベルなどに仕様を書いて貼っておかない限り、取り外した段階でまた分からなくなってしまう。

 もしこれから新規にUSBケーブル、特にUSB Type-Cケーブルを購入する場合は、速度と最大出力が印字されているUSB4ケーブルや、スペックがほぼ共通であるThunderbolt 4ケーブルを選ぶという手もある。仕様がはっきりしないケーブルをこれらと入れ替える形で段階的に処分していけば、手持ちのUSBケーブルも徐々に分かりやすくなっていくはずで、長期的にはこうした方法も検討したいところだ。

現行のUSB4ケーブルは、USB-IFのフォーマットに基づき、速度(40Gbps)と最大出力(240W)がコネクタに印刷されているので、仕様がある程度は判別できる
Thunderbolt 4ケーブルはどれも同じ規格(40Gbps、100W、DP Alt Mode対応)であるためそもそも判別の必要がない