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大気中にダイヤの粉末散布で地球が冷えるとの研究結果。ただしコストは3京円

 大気中にダイヤモンドの粉末が含まれた気体を散布することで、地球を冷却できる可能性があるとの研究結果がAGU誌にて7日報告された。論文の著者はチューリッヒ工科大学のS. Vattioni氏ら。

 地球温暖化への対策として、成層圏にエアロゾルを注入し、太陽光を反射して熱を宇宙空間に返すことで、地球を急速に冷却する方法が有望視されている。中でも、二酸化硫黄ガスが有力な候補だと考えられているが、酸性雨を引き起こす可能性があるとされているほか、粒子の重量沈降などの影響で放射効率が低下する問題がある。

 研究グループでは、こういった影響を考慮した気候モデルを構築。二酸化硫黄に加え、カルサイト、ダイヤモンド、アルミニウム、炭化ケイ素、アナテース、ルチルの7種類の粒子で比較した。その結果、150nm径のダイヤモンド粒子を注入した場合が最も効果が高いことが分かった。また、化学的に不活性であることから、酸性雨を引き起こす可能性も低いとしている。

 なお、本研究で用いられたモデルでは、年間500万トンの人口ダイヤモンド粒子を注入すると、45年で1.6℃の温度低下を実現できると示されているが、Phys.orgの試算によれば約200兆ドル(日本円で約3京円)もの莫大な費用がかかるという。