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スクエニ、AI相棒と事件捜査できるADVゲームのデモを無償公開も、現時点ではAI削除

 スクウェア・エニックスは24日、自然言語処理を盛り込んだアドベンチャーゲームの技術デモ「SQUARE ENIX AI Tech Preview: THE PORTOPIA SERIAL MURDER CASE」(以下PORTOPIA)を公開した。Steamから無料で試せる。

 原作は1983年発売のアドベンチャーゲーム「ポートピア連続殺人事件」。プレイヤーは兵庫県警の刑事(ボス)となって、相棒の真野康彦(ヤス)とともに殺人事件の捜査を進めていくというシステム。PORTOPIAでは自然言語処理(Natural Language Processing、NLP)の構成要素の1つである「自然言語理解」(Natural Language Understanding、NLU)によって、プレイヤーが自由に文字列を打ち込み、登場人物と会話することで物語を進めることができる。

 原作でも文字列を打ち込んで登場人物と会話したり、指示を出すことができたが、正解となる文字列があらかじめ決まっており、正解が分かっていても間違った文字列を入力した場合は不正解扱いになっていた。PORTOPIAではNLUによってプレイヤーが打ち込んだ言葉の意味を理解し、より自由度の高いコミュニケーションを行ないながら、ゲームを進めることが可能になったとしている。

 技術デモは現在の自然言語処理への理解を深めることを目的としており、プレイヤーの文章の意味をヤスが理解する部分で自然言語理解を、入力された文章に応じたヤスの返答を生成する部分で自然言語生成(Natural Language Generation、NLG)をそれぞれ盛り込むという触れ込みだったが、記事執筆時点では「AIの非倫理的な発言の可能性を考慮し」、NLGの機能を削除したバージョンを公開している。

 このほか技術面ではプレイヤーが発した音声を文章に変換するSpeech To Textを搭載しており、十分な体験を得るにはCUDA対応のGPUと、多くのVRAMが必要としている。

 推奨スペックは、CPUがRyzen 3 1200およびCoreプロセッサ、メモリ16GB、GPUはGeForce GTX 960(Voice Input使用時)/GeForce RTX 2070(Voice Input設定「Medium」使用時は8GB以上のVRAM必須)/GeForce RTX 4080(Voice Input設定「High」使用時は16GB以上のVRAM必須)、OSはWindows 10/11となっている。

 ただし、公開中のバージョンでNLGの機能を削除した結果、ヤスが不自然な返答を繰り返す“人工無能”と化しており、Steamでの評価は「非常に不評」となっている。