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FDD 512台のシーク音で奏でる“楽器”「Floppotron 3.0」

 フロッピーディスクドライブ(FDD)を使って音楽を奏でる楽器“Floppotron”の開発者Pawel Zadrozniak氏は13日、512台のFDDを使った「Floppotron 3.0」のベータを発表した。

 Floppotron 3.0では、512台のFDD、16台のHDD、4台のフラットベッドスキャナのモーターの動作音(つまりシーク音)を使って演奏をする。MIDI互換となっており、カスタムのMIDI-RS485ゲートウェイ(nRF52 MCUを採用)を制作し、MIDIデータを流し込むことで再生できる。

 RS485からはまた独自開発のインターフェイスを介して、1つのコントローラで192基のFDDを操作できるようにしている。ちなみにFDDのモーターを駆動するのは「EN」、「DIR」、「STEP」の3つの信号のみで、STEPにより要求された周波数でヘッドを駆動させる。とてつもない数のFDDやHDDを稼働させるために、5V/18Aの電源を16基、12V/8Aの電源を3基用いている。消費電力は平均で300Wだが、ピーク時には1,200Wに達する。

ブロックダイアグラム(Pawel Zadrozniak氏のブログより)

 FDDは縦一列で一度に再生できるトーンは1つだけだが、サウンドエンベロープシミュレーションを採用しているのが特徴。再生するドライブ数のアクティブな時間を変化させることで、時間の経過に伴う音量の変更を実現し、ピアノのキーストロークや、指数関数的に減衰するギターの弦などを再現。これにより自然な聞こえ方を実現しているのだという。

制作風景

 FDDではカバーできない高いトーンを再現するため、フラットベッドスキャナを用いている。こちらはHP製の古い製品を採用している。そのままだと見栄えが悪いので、RGB LEDストライプを用いてセンサー部に貼り付けた。一方、分解したHDDでクリック音を再現している。

 実際のデモだが、ドライブ数が大幅に増えていることもあって、従来のFDD 72台を用いたFloppotron 2.0よりもはるかに力強いサウンドを実現している印象だ。